株価
クロスキャットとは

クロスキャットは、金融・クレジット・官公庁・自治体を中心に幅広い分野でITサービスを提供する独立系の中堅SI企業であり、「信頼性」「提案力」「技術力」「品質管理」の4つを強みとして長年事業を展開してきた。とくにクレジット業界向けシステムでは国内でも有数の実績を持ち、大手金融機関や公共機関からの安定した案件に支えられて堅実な成長を続けている。また、製造・流通・通信など民間企業向けのプロジェクトも強化しており、事業領域の裾野を広げることで収益基盤の多様化にも成功している。
同社が提供するサービスは大きく「SI(システムインテグレーション)」と「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の2つに分かれている。SIサービスでは、40年以上のシステム開発ノウハウを活かし、基幹系・情報系システムの構築、アプリケーション開発、インフラ設計・運用など幅広い領域をカバーしており、信頼性の高い開発体制が大きな評価を受けている。特にクレジットカード会社向け業務システムは同社の中核分野で、入会審査、与信、請求管理などの基幹領域を支える高度なシステム開発に強みを持つ。
一方、DXサービスではクラウドやデータ活用の領域で近年存在感を高めている。自社開発のクラウド型勤怠管理システム「CC-BizMate」は利用企業が増え続けており、クロスキャットの代表的プロダクトへ成長している。また、独自のDX支援フレームワークである「CC-Dash」を活用したデータ分析基盤の構築やBIコンサルティング、クラウド移行支援なども展開しており、企業のDX推進を総合的に支援する体制が整っている。これにより、受託開発だけでなくストック型のサービス提供も強化されている点は、将来的な利益の安定化にも寄与する。
加えて、クロスキャットはM&Aにも積極的で、製造系SI企業の取り込みや西日本地域の拠点拡大などを通じて事業領域の拡大を図っている。地域金融機関との連携事例も増えており、多摩信用金庫向けに口座開設自動化システムを構築した事例では、自社のDX推進基盤を活用した業務効率化ソリューションが高く評価された。同社はデータ活用支援やクラウド移行など、高度なIT需要が拡大する領域で顧客を着実に増やしており、システム開発中心のSI企業から、DX支援企業へと進化しつつある。
総合すると、クロスキャットは長年のSIノウハウを武器に、金融・公共系の安定需要を取り込みながら、近年はクラウド・データ分析など成長領域でも存在感を強めるバランスの良いIT企業である。安定収益と成長投資を両立させており、中堅SIerの中では将来性の高い企業として注目されている。
クロスキャット 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | EPS(円) | 配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023/3 | 13,835 | 1,461 | 1,510 | 1,019 | 67.9 | 37(記念) |
| 2024/3 | 14,931 | 1,521 | 1,570 | 1,311 | 90.3 | 28 |
| 2025/3 | 16,194 | 1,836 | 1,898 | 1,316 | 93.2 | 33 |
| 2026/3(予) | 17,200 | 2,050 | 2,100 | 1,450 | 103.6 | 34〜35 |
| 2027/3(予) | 18,200 | 2,250 | 2,300 | 1,550 | 110.7 | 34〜36 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 737 | -158 | 59 |
| 2024 | 1,223 | 94 | -963 |
| 2025 | 692 | -28 | -319 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 10.5% | 20.0% | 11.8% | – | – |
| 2024 | 10.1% | 25.7% | 13.8% | – | – |
| 2025 | 11.3% | 22.4% | 12.5% | 高値平均:24.2 安値平均:10.9 |
2.46 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
クロスキャットの業績を見ると、売上は年々増加しており、149億 → 161億 → 172億と安定した成長が続いている。SIerの中でも金融・クレジット領域に強いため、受注が安定しており、景気が急激に悪化しない限り業績が崩れにくい体質となっている。営業利益も15億、18億、20億と着実に積み上がっており、営業利益率は10%前後とSIerとしては標準以上の水準を維持している。特に2026年予想では利益率が改善傾向にあり、受注単価や生産性の向上がうかがえる。
ROEが24〜25%と極めて高い点は大きな魅力で、資本効率の面では同業の中でもトップクラスに位置している。ROAも10%を超える水準で推移しており、総資産を効率よく利益に変えている企業といえる。これは自社プロダクトの「CC-BizMate」などストック型収益が育ち始めていることに加え、DX需要の拡大で高収益案件が増えていることが背景にある。
一方で、バリュエーションを見るとPERは安値で10倍台、高値で24倍台と振れ幅が大きく、投資家の期待次第で評価が変動しやすい銘柄である。PBRが2.46倍とやや高めで、成長期待をある程度織り込んだ株価水準でもある。高ROE企業は一般にPBRが上がりやすいため、この水準は不自然ではないが、割安とは言い切れない点には注意したい。
純利益は13億→13億→14億と大きな伸びではないものの、堅実に積み上がっている。景気変動に大きく左右されない「金融・公共系システム」が中核にあることで、安定成長を続けている形だ。配当は28円→33円→34〜35円と緩やかに増配しており、配当性向に無理のない範囲で株主還元を強化している。配当狙いとしては極端に高利回りではないが、安定感のある増配企業として評価できる。
総合すると、クロスキャットは売上・利益ともに堅実な成長が続き、ROE・ROAの高さからも収益性が際立った優良SIerである。景気敏感ではあるが、金融・公共系の案件比率が高いため、業績の安定性も十分に確保されている。株価は割安とまでは言えないものの“成長力のある中堅SI企業を長期保有したい投資家”にとっては魅力的な選択肢になる。一方で、短期的な割安感を狙うタイプの投資家にとっては、押し目を待つ戦略のほうが適しているだろう。
配当目的とかどうなの?
クロスキャットを配当目的で見た場合、予想配当利回り(2026・2027年度)は3.21%と、東証プライム銘柄としては“やや高めの中堅クラス”に位置する。高配当株とまでは言えないものの、IT企業・SIer業界の中では比較的しっかり配当を出している部類に入る。特にクロスキャットは利益率が10%前後とSIerとしては安定して高く、営業利益が毎年積み上がっているため、配当を維持する余力も十分にある。
同社の配当は特別配当を除けば毎年じわじわと増えており、利益成長に合わせて自然な形で増配を続けている企業だ。2024年度の28円から、2025年には33円、そして2026年には34〜35円と堅実に積み上がっている。配当性向も極端に高くなく、利益がブレた場合もしっかり対応できる余裕がある点は安心材料となる。
SIerは人件費の上昇や案件の競合などで収益性が揺らぎやすい一面があるが、クロスキャットは金融・公共向けの案件が多く、長期契約の案件が中心であることから安定して利益を稼げる体質がある。これが配当の継続性を高めている最大の理由だ。さらに、クラウド勤怠管理「CC-BizMate」などストック収益が増えつつあり、将来的にキャッシュフローがより安定すれば配当余力がさらに高まる可能性もある。
ROEやROAが非常に高い点も配当面ではプラスで、ROE20%前後というのは小型~中堅SIerの中でもトップクラス。資本効率が良いため、利益成長と配当を両立しやすい企業構造である。財務体質も堅実で、借入に依存しない軽いバランスシートのため、配当維持においても心配の少ない企業となっている。
とはいえ、利回りだけの観点で評価すると、3%台前半は“高配当目的で積極的に買うほどではないが、長期保有で安定して配当を得たい人には十分に魅力的”というラインに位置している。商社株や銀行株のように5%前後を狙えるほどのインパクトはないが、その代わり業績のブレが少なく、配当が減配されにくいタイプの企業である点は評価ポイントになる。
結論として、クロスキャットは「利回り目当てでガッツリ配当を狙う銘柄」というよりも、「成長株寄りのIT企業でありながら、3%超の配当も安定してもらえるバランスの良い銘柄」という位置付けが最も近い。成長性と安定性の両方を求める投資家、長期的に配当を積み上げながら値上がりも狙いたい投資家には十分向いている企業といえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
クロスキャットの現在株価は1,059円で、今後5年間の株価推移を考えるうえで最も重要なポイントは、同社が独立系SIerとしては珍しく金融・クレジット・公共という「景気の変動に比較的強い領域」を主力にしていることだ。金融機関向けの基幹システムは長期案件が多く、一度構築すると10年以上に渡って保守や追加開発が継続する傾向があり、安定した収益源となる。また、公共向けのシステム案件も景気に左右されにくいため、業績が急落しにくい構造になっている。これがクロスキャットの安定した利益成長の背景にある。
加えて、近年はクラウド型勤怠管理システム「CC-BizMate」などの自社プロダクトが伸び始めており、従来の受託開発型ビジネスに加えてストック型収益が積み上がりつつある。さらに、独自のDXフレームワーク「CC-Dash」を使って企業のデータ分析基盤構築やBI導入を進めるなど、単なるSI会社ではなく“DX支援企業”としての位置づけも強めている。こうした取り組みは利益率の改善につながり、営業利益率が10%前後で安定している点は中堅SIerとして非常に高い評価につながる。
これらの背景から、クロスキャットの株価は中長期で伸びやすい土台はしっかり固まっている。ただし、SIer業界全体としては人件費の高騰やエンジニア不足といった課題も抱えており、利益率が高止まりする保証はない。また、プロジェクトの大型化・複雑化による納期遅延やコスト増などのリスクもあるため、株価は業績進捗と投資家期待の両方で上下しやすい。
こうした前提のもとで、まず良いケース(強気シナリオ)を考えると、DX関連案件やクラウド移行需要が拡大し、営業利益が20億→25億→30億に向けて着実に伸びていく未来が見える。公共案件の新規受注や金融機関の基幹システム刷新など、長期案件が増えれば収益はさらに安定し、株価はPER20〜25倍が許容される可能性がある。その場合、株価は1,800〜2,400円程度まで上昇するイメージとなり、ストック型サービスが伸びればさらに上値を目指す展開も考えられる。
次に、中間の最も現実的なシナリオでは、売上は年3〜5%の堅実な成長、営業利益も20億→22億→24億程度の自然な増加にとどまり、ストック型収益は伸びるものの急拡大までは行かない。金融・公共は安定しているものの、景気環境によって民間案件の動きが鈍る年もある。利益率は10〜11%前後で推移し、ROEも18〜20%程度を維持。この場合、株価は1,200〜1,600円程度のレンジに収まると考えられ、現在の株価からは緩やかな上昇を期待できる。極端な上昇はしにくいが、高配当(3%超)が下支えとなり、長期保有と相性が良い。
一方で、悪いケース(弱気シナリオ)では、人件費上昇が利益を圧迫し、案件競争が激化して受注単価が下落する可能性がある。また、景気が悪化すれば金融機関のシステム刷新が後ろ倒しになったり、公共系案件の新規が鈍化したりすることもありうる。この場合、営業利益は横ばいか微減となり、利益率も10%を切る可能性がある。投資家の期待も後退しPERは8〜12倍の低位レンジに収まり、株価は800〜1,000円程度まで下落する可能性がある。ただし、クロスキャットは財務が強く、負債が少ないため、極端に崩れるシナリオは考えにくい。
総合的に見ると、クロスキャットは“下値は固いが、上値は業績次第で大きく開く”というタイプの中堅SI企業である。高ROE、高利益率、堅実な受注基盤という強みがあるため、長期的に見れば株価がじわじわと上昇しやすい土台は整っている。現在の1,059円は中間シナリオの下限寄りに位置しており、割安感も一定程度ある水準だといえる。配当利回り3%超も長期投資家にとって魅力的で、安定した業績に支えられた配当を受け取りながら持ち続けるには相性が良い銘柄だ。
この記事の最終更新日:2025年11月30日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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