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ルネサンス(2378)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ルネサンスとは

株式会社ルネサンスは、東京都墨田区に本社を構えるフィットネス・スポーツクラブ運営企業であり、DICの関連会社として業界内でも存在感のある企業である。国内スポーツクラブ市場では第3位の規模を誇り、他社からの事業譲渡や買収を積極的に行ってきたことで店舗網を拡大してきた。特に2024年には東急系のスポーツオアシスを買収し、店舗数では業界首位の座を獲得するなど、業界再編の中心的な存在となっている。

同社が展開するブランドは非常に幅広く、「スポーツクラブ ルネサンス」「スポーツクラブ&スパ ルネサンス」「スパ&フィットネス ルネサンス」といった総合型クラブから、「テニススクール ルネサンス」「スイミングクラブ ルネサンス」などの専門型施設まで多岐にわたる。さらに、女性専用サーキットトレーニングジム「Body Q’t(ボディキュッと)」や、ヨガ・ピラティス、ベリーダンス、フラダンスなどを展開する女性専用スタジオ「Demi RENEISSANCE(ドゥミルネサンス)」など、ターゲットごとに細分化したブランド展開を行っており、幅広い顧客層にアプローチしている。

事業の広がりはフィットネス領域にとどまらず、介護リハビリ施設の運営や自治体・企業向けの健康支援サービスなど、ヘルスケア領域全体にまたがっている。特に健康寿命の延伸をテーマにしたプログラム開発や、医療機関との連携を深めた取り組みは、フィットネス企業としての枠を超えた総合健康サービス企業への進化を感じさせる。近年ではオンラインフィットネスやアプリを活用したパーソナルトレーニング、企業向けウェルビーイング支援などデジタル活用にも力を入れており、リアル施設とオンラインサービスの両面で顧客接点を広げている。

さらに、2025年4〜6月には全国23施設で大規模改装を実施し、サウナやスパなどの付加価値を高める設備投資を行っている。都市部の店舗にはコワーキングスペースを導入し、運動と仕事を組み合わせた新しい利用スタイルを生み出すなど、施設利用の多様化にも対応している。また、買収した旧スポーツオアシス店舗には、ルネサンスが特に得意とする児童向けスイミングスクールを強化する方針を取り入れ、競争力を高める戦略を進めている。これらの取り組みは、単純なスポーツクラブ運営にとどまらない「健康総合サービス企業」への進化を意識したものであり、成長モデルとしても一貫性がある。なお、同社の資本金は32億1,035万円で、業界内でも規模の大きい企業の一つとなっている。

ルネサンス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高 営業利益 経常利益 純利益 1株益(円) 1株配(円)
連23.3 40,760 680 311 -1,141 -60.4 8
連24.3 43,627 1,261 524 632 32.5 10
連25.3 63,737 1,946 1,224 766 39.5 12
連26.3予 67,000 2,200 1,400 1,300 68.7 13
連27.3予 70,000 2,500 1,700 1,050 55.5 15

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF 投資CF 財務CF
2023 1,614 -4,238 3,350
2024 4,831 -4,520 436
2025 3,510 -3,158 1,086

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(高値/安値) PBR
2023 1.6% -10.4% -2.7%
2024 2.8% 5.5% 1.1%
2025 3.0% 6.3% 1.3% 28.7倍 / 22.9倍 1.99倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

ルネサンスの業績を見ていくと、まず売上が大きく伸びている点が目立つ。連24.3の436億円から25.3では637億円へと急拡大しており、これは東急系スポーツオアシスの買収効果が本格的に表れ始めたことを示している。26.3期予想でも670億円と増収基調が続いており、事業規模の拡大に勢いがある。

ただし、利益率はまだ発展途上で、営業利益率は24.3期で約2.8%、25.3期で3.0%、26.3期予想で3.2%と、小幅な改善が続いているものの業界トップ水準とは言い難い。店舗統合コストや改装投資、スタッフの増員など短期的な負担が利益を圧迫していると考えられる一方、今後は買収したオアシス店舗の効率化が進むにつれて利益がさらに乗ってくる余地がある。

純利益は24.3期の6.3億から25.3期の7.6億へ改善し、26.3期予想では13億と大幅増加が見込まれている。EPSも32.5円→39.5円→68.7円と成長が著しく、業績回復がストレートに株主価値向上につながっている点は高評価ポイントだ。

一方で、株式市場での評価はすでにある程度織り込まれており、2025年の予想PERは約23〜28倍、PBRは約2倍と、バリュエーションはやや割高感がある。これは「業績改善への期待」が株価に乗っている状態であり、今後さらに株価が評価されるためには、利益率の一段の改善やROEの上昇(理想は10%前後)が必要になる。

ROE・ROAの改善傾向は見られるものの、まだ大きな高収益体質とは言い難い。赤字から黒字へ回復し、財務指標が正常化してきた段階であり、ここからどれだけ効率よく稼げる企業へ変わっていけるかが中期的な評価ポイントとなる。

総合すると、ルネサンスは「売上成長が強い」「黒字回復の勢いがある」「EPSが伸びている」というポジティブな材料が揃っている一方で、「利益率がまだ低い」「PERが高め」「PBRも割高ゾーン」という慎重に見たいポイントも存在する。短期で急騰するタイプではないが、中期的には業績の上振れや統合シナジーの可視化によって再評価される余地がある銘柄といえる。買うなら“利益率の改善が続いているか”を注視しながら、押し目を狙う戦略が向いている。

配当目的とかどうなの?

ルネサンスを配当目的の投資対象として見ると、現状の予想配当利回りは1.23%と、それほど高い水準ではなく、配当株としての魅力は限定的といえる。日本株の平均配当利回りが概ね1.6〜1.8%前後で推移していることを踏まえると、ルネサンスの利回りは市場平均を下回っており、「配当を目的に積極的に買いたい銘柄」という位置づけにはならない。

同社の配当推移を見ると、確かに業績の回復とともに配当額は増えてきており、24.3期の10円から、25.3期12円、26.3期予想13円へと安定的な増配傾向にある。しかし、ひとつ注意すべき点は、現在のルネサンスがまだ急速に利益改善を進めている過程にある企業であり、利益率も業界トップ水準とは言えないところだ。営業利益率は依然として3%前後と薄利の構造で、投資余力を確保しつつ配当も増やしていくには、経営効率の向上が欠かせない。

利回り1.23%という数字は、成長企業が控えめに出す「記念配当のような水準」に近く、配当収入をメインに運用する投資家には物足りない。一方で、完全な無配や不安定な配当を出す企業に比べると、ルネサンスは黒字転換を果たして配当を継続・増配しているため、最低限の株主還元姿勢は保っていると言える。

結論として、ルネサンスは配当目的だけで買う銘柄ではなく、どちらかと言えば「業績回復・事業拡大を期待しつつ、ついでに配当ももらえる」タイプの株である。配当利回りを重視する場合は、より利回りの高い銘柄を選ぶ方が効率的だが、ルネサンスを成長株として中期保有するつもりなら、低利回りでも気にせず投資判断をできる銘柄といえる。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在の株価は1,051円で、ここからの5年間を見通すうえで最大のポイントになるのは、スポーツオアシスの買収による規模拡大効果がどの程度まで利益改善につながるかである。売上は確実に伸びており、26.3期には670億円まで到達する見込みで、フィットネス需要の回復や子供向けスクールの強化、サウナ・スパなど付加価値サービスの拡充が追い風になっている。しかし、現状の利益率は3%前後と低く、フィットネス産業特有の固定費負担の重さや、スタッフ人件費の高止まり、光熱費の上昇といった要因が収益の伸びを抑えている。こうした環境の中で、買収したオアシス店舗の統合・効率化がどこまで進むかが、今後の株価を大きく左右するだろう。

良いシナリオでは、オアシスの統合作業が順調に進み、バックオフィスの統一化やジム運営の標準化によってコスト削減が進むほか、全国で実施している改装やサウナ・スパ強化、コワーキングスペース導入といった付加価値施策が会員単価の上昇につながる。この場合、営業利益率が4%台に乗る可能性も出てくる。また、フィットネス人口の増加や健康志向の高まりも追い風となり、安定的な会員獲得が続けば、EPSも伸び、ROEが10%前後に近づく展開も視野に入る。その結果、株価は市場からの再評価が進み、1,500円〜1,800円に到達する可能性が十分ある。

中間的なシナリオでは、売上は伸び続ける一方で、利益率の改善が緩やかにとどまるケースが考えられる。オアシス統合の効果は限定的にとどまり、設備投資や人件費の上昇を完全には吸収できないため、営業利益率は3〜3.5%程度で推移する見通しだ。この場合、市場はルネサンスを「成長はしているが利益率はまだ低い会社」と評価するため、株価は現在値付近の1,100〜1,300円のレンジで動きやすく、大きな上昇余地は生まれにくい。規模拡大の恩恵はあるものの、足元の収益改善が明確にならない限り、積極的な買いは入りづらい状況になる。

悪いシナリオでは、統合作業が想定以上に時間を要し、会員数が伸び悩んだり、原価や光熱費が再び上昇するなど逆風が重なるケースが想定される。フィットネスクラブは会員数の増減が利益に直結するため、退会率が高止まりしたり競合とのシェア争いが激しくなると、利益率が再び3%を割り込み、EPSが伸び悩む展開も十分あり得る。また、消費環境の悪化や景気後退が重なれば可処分支出の減少がスポーツクラブ利用に影響し、株価は800〜950円まで下落する可能性も出てくる。特にROEが再び悪化し始めるような兆候が見られると、投資家からの評価は一段と厳しくなる。

総合して考えると、ルネサンスの5年後の株価は「利益率の改善」と「統合シナジーの定着」に強く左右される。売上は成長しており事業は拡大しているものの、収益性の改善が見えてこない限り、高いPERを正当化するほどの材料にはならない。一方で、利益率が改善し、ROEがしっかりと上昇してくれば中期的な株価上昇は十分狙える銘柄である。現時点では「成長期待と収益課題が混在」している状態にあり、投資するなら業績の進捗を注意深く追いながら、中期的視点での保有が望ましいタイプの銘柄と言える。

この記事の最終更新日:2025年12月1日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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