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ライク(2462)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ライクとは

ライク株式会社は、携帯電話販売店への派遣事業からスタートし、現在は人材サービス、子育て支援(保育)、介護事業を展開する持株会社である。旧社名はジェイコムホールディングス株式会社で、ジェイコム株大量誤発注事件に巻き込まれた企業として一般にも知られているが、ケーブルテレビ事業を行うJ:COMとは全く関係がない点は誤解されやすいポイントである。2016年12月1日に持株会社化とブランド再構築を目的として「ライク株式会社」へと商号を変更し、子会社ジェイコム株式会社も「ライクスタッフィング」へ名称変更するなど、グループ全体で統一感を持たせる再編を行った。

同社の大きな特徴は、事業領域を「人」に関わる3つの分野に絞り込んでいる点である。具体的には、人材サービス事業を展開するライクスタッフィング、保育事業を担うライクキッズ、介護事業を運営するライクケアがあり、この3つの事業がグループの中核を成している。いずれも日本が抱える社会課題と密接に結びついた領域であり、企業としての事業テーマは「子育て」「人材」「福祉」にフォーカスしている。

まず人材サービス事業については、携帯キャリア・家電量販店・コールセンターなど、店舗スタッフや接客・販売・営業系の派遣で大きな実績を持つ。特にモバイル業界では長年の取引実績があり、携帯ショップ向け派遣ではトップクラスの規模を誇る。加えて物流・建設などの現場系職種や、事務・営業支援など幅広い領域にも展開を拡大しており、若年層の就業支援から企業の採用代行・研修設計まで多様なサービスを提供している。日本では慢性的な人手不足が続いており、同社にとっては需要が安定して増加しやすい環境が続いている。

次に保育事業を担うライクキッズは、認可保育園「にじいろ保育園」の運営を中心に、企業主導型保育所、学童保育、自治体からの委託運営など多岐にわたるサービスを提供する。共働き家庭の増加に伴い保育サービスの需要は継続的に高く、保育士の確保が社会課題となる中で同社は人材育成力を背景に一定の競争力を持っている。保育園運営はストック型の安定した収益を生みやすく、グループ全体の収益基盤の安定化に寄与している。

介護事業のライクケアでは、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、デイサービスなどの運営を展開している。高齢化社会が進む日本において、介護分野の需要は長期的に拡大し続けると考えられており、同社にとって成長余地が大きい領域である。保育と介護の共通点として「人材不足」という構造的課題があり、同社は人材サービス事業を持つ強みを活かして、保育・介護の両領域で人材確保力を発揮しやすい点が特徴となっている。

ライクグループ全体としては、人材派遣という景気変動の影響を受けやすい収益モデルと、保育・介護という景気に左右されにくいストック型サービスを組み合わせることで、収益の安定化と成長性を両立させようとしている。また、子育て支援と高齢者福祉という、政府の政策的にも後押しがある分野に事業の軸を置いている点は、長期的に見てもプラス材料となる。

一方で、課題としては人材派遣事業は景気後退局面で需要が減りやすいこと、保育・介護はいずれも人件費が高く利益率が低くなりがちな点が挙げられる。また、保育園運営における自治体との関係や補助金制度、介護保険制度など、外部制度の影響を受けやすい環境に置かれていることも事業リスクとなる。グループとしての人材確保力が非常に重要で、離職率の改善や働きやすい環境整備は継続的な課題である。

とはいえ、ライクは「人材 × 保育 × 介護」の3本の柱により、社会ニーズの高い分野でバランス良く事業を展開している企業であり、長期的な需要を背景に安定性と成長性を兼ね備えたポートフォリオを構築している。派手さはないが、人口構造が変わる中で“必要とされ続けるサービス”を提供する企業という点が大きな特徴となっている。

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直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
連21.5 54,274 3,610 5,341 3,262 171.1 50
連22.5 57,642 4,238 5,234 3,268 170.9 52
連23.5 60,015 3,580 4,255 2,568 133.9 58
連24.5 60,469 3,333 3,953 2,447 127.6 58
連25.5 62,336 2,951 3,498 2,097 109.3 60
連26.5予 65,200 3,400 4,050 2,750 143.3 60
連27.5予 67,000 3,600 4,200 2,850 148.5 60

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 4,797 -1,476 -3,274
2024 3,637 -1,432 -3,414
2025 3,786 -2,158 -2,290

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 5.9% 16.5% 6.5%
2024 5.5% 14.5% 6.3%
2025 4.7% 11.7% 5.1% 高値平均 15.6倍 / 安値平均 11.2倍 1.64倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

ライクの直近の業績を見ると、売上高は毎期着実に伸びており、事業規模は順調に拡大している。背景にあるのは、主力の人材派遣に加えて、保育・介護という社会的ニーズの高い領域に軸足を置いた事業ポートフォリオである。特に人材サービスは景気の影響を受けやすい一方、保育・介護は景気に左右されにくく、ストック型収益の割合が増えてきている点は安定感のある構造といえる。

一方で利益面に注目すると、24.5期から25.5期にかけて営業利益・純利益が減少しており、人件費や採用コストの上昇が収益を圧迫したと考えられる。人材事業は派遣スタッフの労務費が大半を占めるため、労働市場のひっ迫が続く局面では利益率が下がりやすい。保育・介護も人件費比率が高く、短期的な収益改善が難しい領域である。したがって利益率の低下は構造的な要因を含んでおり、高収益企業として評価するには弱さがある。

ただし26.5期予想では、営業利益が34億円まで戻る見込みが示されており、前期の一時的な利益低下から回復する可能性がある。経常利益や純利益も増加予想となっており、改善基調に入るかどうかが株価評価の分岐点になる。

ROE・ROAは中小型株としては十分高い水準で、特にROEは10%を超える年が続いているため、資本効率の悪くない企業といえる。事業の特性上、設備投資が大きくないため、比較的効率的に利益を生み出せている印象がある。

バリュエーション面では、PBRが1.6倍前後とそこまで割安とはいえないが、高すぎる水準でもない。PERは25.5期予想ベースで見ると、株価次第では10〜15倍程度に収まりやすい領域で、極端な割高感はない。成長が急激でない企業としては、妥当〜やや割安寄りの評価といえる。

配当も毎期コンスタントに支払われており、60円配当(記念配当含む)が続く見込みで、配当利回りは3〜4%台と手堅い水準にある。保育や介護といった社会性の高い事業を持ち、安定配当を狙う投資家に相性が良いタイプの銘柄といえる。

総合すると、ライクは売上成長が続きつつも、利益が安定しにくい構造を持つため、爆発的な成長株ではなく、“安定成長+配当”を狙う中長期投資家向けの企業である。景気敏感な人材サービスと、ストック型の保育・介護を組み合わせたバランス型の事業構造は強みであり、長期的には底堅い業績が期待できる一方、利益率の改善が見られない場合には株価の上値は重くなる。投資判断としては、大きな値上がりを狙う銘柄ではなく、成長と安定性のバランスを重視したポートフォリオの一角としては十分検討できるタイプの企業といえる。

配当目的とかどうなの?

ライクを配当目的で見た場合、まず目につくのは安定して毎年配当を出している点で、特に近年は60円前後の水準を維持しており、予想配当利回り(2026・2027年度)はおよそ3.98%と日本株の中では比較的高い部類に入る。利回りが極端に高いわけではないが、安定した事業構造を考えると“無理のない高めの利回り”といえる。景気が悪化しても人材不足は構造的に続いており、保育・介護も社会必須インフラとして需要が途切れにくいため、配当が急激に減配される確率は低めである。

また、同社の事業は「人材サービス」「保育」「介護」という3本柱で構成されており、景気敏感な派遣事業と、景気に左右されにくい社会インフラ型の事業が組み合わさっているのが特徴で、この組み合わせが比較的安定したキャッシュフローを生みやすい。特に保育・介護は行政の補助金や制度に支えられている面もあり、急激に収益が悪化しにくい構造になっている。配当を狙う投資家にとっては悪くない背景だといえる。

一方で注意すべき点は、利益率の低下傾向である。人件費の上昇、採用難によるコスト増、保育・介護領域の採算性の低さなどが影響し、営業利益率はここ数年右肩下がりとなっている。利益の余裕度が厚いわけではないため、60円配当を今後も維持し続けられるかどうかは、利益がしっかりと回復してくるかにかかっている。配当性向が極端に高くなっているわけではないが、利益の伸び悩みは中長期的に配当成長の余地を狭める可能性がある。

それでも、利回り3.98%は日本市場全体で見れば十分魅力的で、銀行預金や低金利商品と比べれば高い収益性を期待できる。高配当株としての“安定感”を求める投資家には向いており、景気後退局面でも配当が大崩れするタイプではないと考えられる。ただし、毎年配当が増えていくような“配当成長株”というよりは、「安定配当をコツコツ受け取る銘柄」というイメージが近い。

まとめると、ライクは配当目的で保有するには悪くない銘柄で、特に高齢化・共働き増加といった構造的追い風を背景に業績が安定している。ただし利益率の回復が弱いと増配余地は限られ、利回りは高止まりしつつ配当そのものが据え置きで推移する可能性が高い。大幅な値上がりよりも安定したキャッシュリターンを重視する配当投資家に向いている銘柄といえる。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在の株価1,505円を起点に、ライクという会社の5年間の株価を考えるときに最初に押さえておきたいのは、この企業が短期で爆発的な成長をするタイプではなく、地味だが確実に社会的な需要のある領域を押さえているという点だ。人材サービス、保育、介護という三つの事業は、どれも日本社会が抱えている根本的な問題である少子高齢化、人手不足、働き方の多様化と直結している。そのため、景気が悪くなっても需要がゼロになることはなく、むしろ社会インフラとして欠かせない存在になりつつある。ここが、ライクという企業が“暴落しにくい”理由でもある。

ただし、安定しているからといって強い成長が期待できるかというと、そこは少し複雑だ。人材サービスは景気の波を受けやすいし、保育や介護は人件費が高く利益率が伸びにくい。ここ数年、営業利益率が5〜6%台からさらに低下しているのはその象徴で、人件費の上昇や採用難が重くのしかかっている。売上は増えているのに利益が思うように伸びない構造はしばらく続きそうで、この点が株価上昇の“足かせ”になる可能性がある。

こうした背景をふまえた上で、株価の将来像を三つのシナリオに分けると理解しやすい。

良い場合は、人材・保育・介護の三事業が全体的に底堅く推移し、特に人材サービスで単価改善や稼働率の上昇が続くケースだ。保育・介護でも行政支援が強まり、補助金制度の改善や人材確保策が効果を発揮して収益が安定してくると、利益の伸びが株価へ反映されやすくなる。ROEが10%後半に戻り、PBRが1.6倍から2倍前後に評価されれば株価2,200〜2,500円台まで上昇しても不思議ではない。急騰というより、じわじわ評価が戻る形の上昇だ。

中間シナリオはもっと現実的で、売上は伸び続けるが利益率が大きく改善しないケースである。人材サービスは忙しいが採算はそこそこ、保育・介護は必要とされているが人件費高騰で利益が伸び悩む。このような状態が続くと企業としての安定感はあるので株価は崩れにくいが、投資家が高評価をしにくく大きな上昇は期待しづらくなる。PBR1.4〜1.7倍の範囲で推移し、株価は1,600〜1,800円のあたりで“やや上・やや下”のレンジ相場を繰り返すだろう。このシナリオはもっとも起こりやすく、配当を受け取りながら横ばいで推移するタイプの銘柄として成立する。

悪い場合は、採用難や人件費高騰が長期化し、保育・介護領域で赤字に近い状態が継続するようなケースだ。人材サービスも景気後退があれば受注が減りやすく、利益がさらに圧迫される。こうなると投資家の評価が下がり、PBRは1倍前後まで落ち込む可能性がある。その場合、株価は1,200〜1,300円台で停滞し、値動きも弱くなる。ただ、事業が社会インフラとしての性質を持っているため、1,000円を大きく割り込むような深刻な暴落は想定しにくく、どこかで底打ちする可能性は高い。

総合すると、今の株価1,505円は「割高ではないが、強い成長期待も織り込まれていない」ちょうど真ん中あたりにある。事業の安定性だけを見れば買いやすいが、利益率が戻らない限り、大きな株価上昇は望みにくい。一方で配当は安定しており、利回りベースでは魅力もあるため、長期の資産形成に向けた“守りの銘柄”としては十分に役割を果たす。つまりライクは、急上昇を狙う銘柄ではなく、社会的ニーズが常に存在する領域で事業を行うため大崩れしない、安定性重視の長期投資向け銘柄という位置づけが最も適切だと言える。

この記事の最終更新日:2025年12月2日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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