株価
アドウェイズとは

株式会社アドウェイズは、東京都新宿区に本社を置き、エージェンシー事業・アドプラットフォーム事業を中心としたインターネット広告ビジネスを展開する企業である。博報堂DYホールディングスの持分法適用関連会社でもあり、大手広告グループとの資本関係を活かしながら、国内外でデジタルマーケティング領域の事業を拡大している。
創業者の岡村陽久が2001年に「アドウェイズエージェンシー」として事業を開始し、当時まだ黎明期であったアフィリエイト広告市場にいち早く参入したことが同社成長の大きな原動力となった。高校中退後に訪問販売を経験した岡村がゼロから育てた会社で、インターネット広告の流れがPCからスマートフォンへと急速にシフトする局面をうまく捉えて事業領域を拡大してきた。
アドウェイズはアフィリエイト広告分野で国内大手の地位を確立し、成果報酬型広告を基盤に、広告主とメディアを技術で結びつけるプラットフォーム型のビジネスモデルを展開している。自社プロダクトである広告配信システム「UNICORN」は、AI分析による自動最適化を特徴としており、子会社のUNICORN株式会社は日本初の Apple Search Ads Partner に認定されるなど、広告テクノロジー企業としての存在感を強めている。
事業領域はエージェンシーだけにとどまらず、プラットフォーム開発・アフィリエイト運営・クリエイティブ制作・インフルエンサー支援など幅広い。TikTokを活用したEC支援事業では、中国法人で培ったノウハウを強みに、短尺動画広告やライブコマース領域にも注力している。また、Vtuberと企業をマッチングする広告メニューなど、新しい広告文化を取り入れながら差別化を図る姿勢も特徴的である。こうしたフルファネル・フルチャネル対応を可能にすることで、戦略立案から運用、顧客の売上成長まで一貫したマーケティング支援を提供している。
グループ会社としては、広告配信技術を担うUNICORN株式会社、アフィリエイトサービスプロバイダのADWAYS DEEE、会員制サウナ事業を展開する株式会社オールドルーキーなどがあり、広告に限らず生活領域に関連する新規事業にも積極的に挑戦している。特にADWAYS DEEEはアフィリエイト分野での独自色を強めており、成果報酬型広告の進化に寄与している。
アドウェイズは、単なる広告代理店とは異なり、プロダクト開発・テクノロジー・広告運用・参入領域の広さが組み合わさった“総合インターネット広告企業”として成長を続けている。広告の本質である「事業成長の実現」を重視し、運用力・クリエイティブ力・技術力を組み合わせた独自のマーケティングモデルを確立している点が同社の強みである。
アドウェイズ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.12 | 9,697 | 1,298 | 1,699 | 1,029 | 26.5 | 5.17 |
| 連22.12 | 13,415 | 1,671 | 1,506 | 2,536 | 63.5 | 14.1 |
| 連23.12 | 13,524 | 921 | 1,313 | 966 | 25.1 | 5.77 |
| 連24.12 | 12,684 | 166 | 503 | -473 | -12.1 | 3 |
| 連25.12予 | 12,500 | 300 | 450 | 250 | 6.4 | 6.35〜6.5 |
| 連26.12予 | 13,500 | 800 | 1,000 | 600 | 15.4 | 6.35〜6.8 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022 | 385 | 1,957 | -1,910 |
| 2023 | 592 | -95 | -2,859 |
| 2024 | 185 | 155 | -236 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 6.8% | 6.7% | 3.8% | ー | ー |
| 2024 | 1.3% | -3.6% | -2.1% | 実績PER 高値29.5倍 / 安値19.0倍 | 実績PBR 0.76倍 |
| 2025予 | 2.4% | 1.8% | 1.0% | 予想PER 43.0倍 | ー |
出典元:四季報オンライン
投資判断
アドウェイズの直近3年の利益推移を見ると、業績の変動が極めて大きく、安定した収益モデルがまだ確立されていないことがわかる。2023年12月期は売上135.2億、営業利益9.2億、経常利益13.1億、純利益9.6億と堅調だったが、2024年12月期には営業利益1.6億、経常利益5.0億、純利益は-4.7億と急激な悪化を見せた。広告市場全体の逆風に加え、同社のアドプラットフォーム事業の競争激化、海外案件の採算低下、TikTok広告領域の運用コスト増など複合的な要因が収益を圧迫した。営業利益率は6.8%→1.3%へ急低下し、ROEも6.7%→-3.6%と資本効率が大幅に悪化している。
2025年12月期の会社予想は売上125億、営業利益3.0億、経常利益4.5億、純利益2.5億と黒字回復を見込むものの、改善幅は小さく、以前の利益水準には遠い。営業利益率も2%台と低く、プラットフォーム事業の利益体質が本格的に立ち直るにはもう時間がかかると見られる。さらに、予想PERは約43倍とかなり割高で、収益の弱さを考えると株価はすでに「改善期待」をある程度織り込んでいる状態といえる。PBRが低いことは一見割安に見えるが、業績ブレの大きさを考えると“バリュー株”というより“評価が伸びにくいリスク株”の側面が強い。
特に、アドウェイズは「広告市況の変動に直撃するビジネスモデル」であるため、景気後退や企業の広告費削減局面では利益が急減しやすい。2024年の赤字転落は象徴的な例で、構造的に利益が安定しづらい点は投資判断の大きなリスクとなる。一方で、広告配信システム「UNICORN」、アフィリエイト領域での国内大手としての地位、TikTokEC支援、中国法人の運用ノウハウといった強みもあり、これらがうまく成長軌道に乗れば反転も十分あり得る。VTuber広告やCreator Economyとの連携など新領域への取り組みも将来性はある。
しかし現状の数値を見る限り、「成長ストーリーよりも回復ストーリーが主軸」であり、安定した利益成長を期待する投資には向かない。市場回復や新規事業が軌道に乗るまでの不透明感が強く、業績の底打ちを確認するにはもう1〜2期の決算チェックが必要だといえる。短期的には割安感よりリスクが勝りやすく、慎重姿勢が求められる銘柄である。
反面、リスク許容度が高く、広告市況の回復やUNICORNの成長を“反発の材料”として狙う投資家にとっては、将来的な値上がり余地も残されている。特に広告テック分野の競争環境が改善したり、短尺動画広告の市場が再拡大した場合には業績が大きく持ち直す可能性もあるため、「反転狙い」の中期投資としては一定の妙味がある。
配当目的とかどうなの?
アドウェイズを配当目的で考える場合、現状では正直なところ向いている銘柄とは言いにくい。まず予想配当利回りは連25.12で2.46%、連26.12でも2.46%と、東証プライム上場企業としては平均的、むしろ低い部類に入る。3〜4%台の高配当株が多数存在する中、あえて安定しない広告テック企業で2%台後半の利回りを狙う投資妙味はそこまで大きくない。
さらに問題となるのが「利益の安定性」である。2024年には純利益が-4.7億の赤字に転落しており、配当の源泉となる利益がそもそも安定していない。会社は2025年から黒字回復を見込んでいるものの、まだ業績が大きくブレるリスクが残っているため、配当継続の信頼度が高いとは評価しづらい。広告市場に左右される事業構造である以上、景気後退期には再度業績が悪化する可能性もある。
また、アドウェイズは成長投資を継続している企業であり、広告配信システム「UNICORN」や新規事業、海外展開に費用を投じているため、高配当を重視する企業体質ではない。どちらかといえば「利益が出たら出す」「出なければ縮小」という柔軟型の配当政策で、長期安定配当を求める投資家とは相性が良いとは言えない。
総合すると、アドウェイズの配当は“おまけ程度”と考えるべきで、配当目的で買う銘柄ではない。利回りは低く、業績は不安定で、安定配当株ほどの安心感がない。配当狙いなら、金融・通信・インフラ・高配当バリュー株など、より利回りが高く業績が安定した銘柄の方が適している。
一方で、アドウェイズに投資するのであれば、狙うべきは「広告市場回復時の株価反発」「UNICORN成長による再評価」といったキャピタルゲインであり、配当を目的とする投資戦略ではメリットは小さい。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価258円を起点に、アドウェイズが今後5年間でどのように動くかを考えるうえでポイントとなるのは、同社の業績が広告市況の影響を強く受けること、また自社の広告プラットフォーム事業がまだ安定成長フェーズに乗り切れていないという構造的な問題である。これまでも好調期には利益が急伸し、その反動で翌年に大幅減益になったり赤字転落したりと、業績のブレ幅が非常に大きい企業であることが、株価がなかなか評価されない主要因となっている。また、2024年には純利益が赤字になり、利益体質の脆さが改めて浮き彫りになった。とはいえ、アドウェイズにはUNICORNによる広告自動最適化技術やTikTok ECの支援領域など、成長余地を持つ分野も多く、ここが軌道に乗れば株価反転の可能性は十分に残っている。
良い場合のシナリオでは、広告市場全体が回復し、企業の広告費が増加に転じることでアドウェイズの主力領域であるスマホ広告・SNS広告が再び追い風を受ける。特にTikTok広告とライブコマース市場が拡大すると、同社が持つ中国法人の運用ノウハウが差別化となり、案件増加と単価上昇によって収益が改善する可能性がある。また、UNICORNが継続的に機能改善し、成果報酬型広告の運用効率が高まれば、利益率も徐々に改善していく。このケースでは株価が5年で400〜480円程度へと上昇する見通しがあり、完全復活というほどではないにしろ、一定の再評価が進むシナリオが想定できる。
中間シナリオでは、広告市場が大きく悪化せず横ばいで推移し、同社の業績もある程度の安定を保つが、劇的な成長は起こらないケースが該当する。売上は120〜140億のレンジ、利益率も低水準ながら黒字を維持する形になるため、株価は258円を中心に280〜330円付近で推移するのが自然だろう。安定配当株ではなく利益の振れ幅が大きい以上、株価が急上昇しにくい一方で、事業基盤が大きく崩れない限り下落余地もそれほど深くならない。投資家からの評価としても“期待も失望も低め”という中立的な位置付けになりやすい。
悪い場合のシナリオでは、広告市況の低迷が続き、特に成果報酬型広告の単価下落や広告主の出稿削減が長期化することで収益が再び圧迫される可能性がある。アドウェイズのように市況に連動しやすいビジネスでは、広告単価の数%の変動が利益を大きく揺らすため、景気後退期には再赤字化のリスクが十分ある。もしUNICORNや新規事業が十分に利益貢献せず、既存事業の競争激化が続くようであれば、株価は180〜220円のゾーンまで下落し、長期停滞に陥る可能性もある。特にPR・広告業界全体が縮小局面になると、アドウェイズは影響を強く受けやすい構造のため、下振れシナリオのリスクは一定存在している。
総合的に見ると、現在の258円という株価は“成長期待が薄いことを織り込んだ低位株水準”であり、割安だから買われるというより、“不安定さが理由で割安なまま放置されている”タイプの株価水準と言える。安定配当銘柄としての魅力は乏しく、投資するのであれば「反転期待」または「広告市況の回復を見越した中長期勝負」というスタンスになる。しかし、業績が安定し利益率が改善する兆しが見えれば、低PBR・低評価からの見直し買いが入りやすい銘柄でもあるため、タイミング次第では妙味がある。
結局のところ、アドウェイズは成長期待よりも“反発狙いの中期テーマ株”として捉える方が現実的であり、将来の株価は広告トレンドの転換点、UNICORNの成長性、そしてTikTok領域の収益化速度によって大きく左右される。リスクは高いが、当たれば伸びる余地も残る、典型的な「波の大きいデジタル広告銘柄」といえる。
この記事の最終更新日:2025年12月2日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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