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オエノンホールディングス(2533)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

オエノンホールディングスとは

オエノンホールディングス株式会社は、焼酎・清酒・チューハイなど幅広い酒類事業で知られる合同酒精株式会社を母体として設立された持株会社で、東京証券取引所プライム市場に上場している。オエノングループは、神谷傳兵衛を創業者として位置づけており、彼が東京・浅草で経営した酒場(現・神谷バー)から始まり、1900年には北海道旭川で日本酒精製造株式会社を創業、さらに1903年には茨城県牛久に「シャトーカミヤ」(現・牛久シャトー)を開設し、ワイン生産に着手した。

1924年には、神谷の会社を含む北海道の焼酎製造会社4社が合同し、合同酒精株式会社が誕生した。戦後は多くの酒類メーカーを傘下に収めることで事業を拡大し、ブランドや製造拠点も全国的に広がっていった。2003年には持株会社制へ移行し、旧・合同酒精がオエノンホールディングスに社名変更。事業部門は分社化され、新・合同酒精が酒類製造・販売の中核を担っている。「オエノン」という社名は、ギリシャ神話で“あらゆるものを酒に変える力”を象徴する酒の女神「オエノ」に由来し、バイオ技術と多角化(オン)の意味を掛け合わせたネーミングとなっている。

同社は本格焼酎ブームが起きた2000年代前半に、北海道発祥の紫蘇焼酎「鍛高譚(たんたかたん)」が全国的ヒット商品となり、地焼酎の代表ブランドとして高い知名度を獲得した。また、地域限定商品や地元原料を活かした商品の開発にも積極的で、北海道、青森、静岡などの生産拠点を中心に、地域と結びついた商品展開を行っている。九州大学との共同研究による芋焼酎「いも九」など、産学連携を取り入れた開発も特徴的である。

合同酒精の主要商品は多岐にわたり、清酒では「富貴」「大雪乃蔵」「北の誉」といったブランドがあり、合成清酒として「花の友」「力正宗」「元禄美人」などを展開。焼酎では甲類焼酎「ゴードー」「ビッグマン」、乙類焼酎「きたのゆめ」「おつな麦」などの幅広いラインアップがある。さらに甲類乙類混和焼酎の「鍛高譚」「すごむぎ」も人気商品である。チューハイ「直球勝負」「瓶チュー」、甘味果実酒「ハチブドー酒」「香竄葡萄酒」、ウイスキー「香薫」「無銘」、リキュール「電気ブラン」、梅酒「鶯宿梅」、製菓用洋酒「ネプチューン」、食品系では本みりん「富貴」など、多様なジャンルにわたる商品群がそろっている。

オエノンホールディングスは、酒類を中心としながら食品・発酵技術・バイオ分野など多岐にわたる事業を展開しており、「発酵・醸造」という伝統技術を軸にしつつ、新しい商品開発と地域特性を活かしたブランド戦略で独自の地位を築いている。

オエノンホールディングス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益 経常利益 純利益 一株益(EPS) 一株配当
連23.12 84,947 3,585 3,702 3,393 58.3 8
連24.12 84,104 3,448 3,629 2,729 47.4 10記
連25.12予 86,500 3,800 3,850 2,900 51.5 10
連26.12予 89,000 4,000 4,050 2,950 52.4 10〜12

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF 投資CF 財務CF
2022 -860 -4,040 4,809
2023 4,606 11 -4,688
2024 4,280 -1,304 -2,917

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 4.2% 15.8% 6.1%
2024 4.0% 11.5% 4.8% 高値8.6倍 / 安値5.5倍 1.17倍
2025(予) 4.3% 12.2% 5.2% 11.92倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

オエノンHDの業績を見ると、売上は840〜890億円規模でゆるやかに増加しており、売上そのものは安定している。一方で営業利益・純利益は大きく伸びているわけではなく、3年ならして見ると「横ばいから微増」といった堅実な収益構造が特徴になっている。

利益率を見ると、営業利益率は4%前後と食品・酒類業界としては標準的な水準で、高収益とは言えないものの、急激に悪化する兆候もない。ROEは11〜15%の範囲で推移しており、自己資本効率は比較的高めで、この点は評価できる。ROAも5%前後と一定の水準で推移しており、資産に対して安定的に利益を生み出している企業と言える。

PERについては2025年予想で約11〜12倍と食品・酒類メーカーとしては割高感のない妥当な水準にある。PBRも1倍前後で、資産価値と株価が大きく乖離している状況ではないため、バリュエーション面では「中立〜やや割安」の評価ができる。

事業面では、本格焼酎「鍛高譚」などのブランド力が引き続き強く、地域商品・焼酎・清酒など多角的な商品展開が大きな強みになっている。また、酒類は景気敏感度が比較的低く、安定した需要があるため、業績が大きく崩れにくい点も中長期投資では安心材料となる。

反面、大幅な成長は見込みづらく、利益率・成長率の面では派手さがない。純利益が30億円に届くかどうかのレンジで推移しているため、株価に大きなプレミアムがつきにくい構造である。また、競争の激しい酒類市場に加えて原材料コストの変動リスクも常に存在している。

総合すると、オエノンHDは「安定性・資産価値・株主還元のバランスが良い堅実株」であり、急成長を期待する銘柄ではないものの、大きな下落リスクも限定されやすい。配当を受け取りながら中長期でホールドするスタイルに向いた企業で、ディフェンシブ寄りのポートフォリオを組みたい投資家には相性が良い。一方で株価の大幅な上昇を期待する成長投資家にとっては物足りない可能性がある。

配当目的とかどうなの?

オエノンHDの予想配当利回りは連25.12・連26.12ともに1.89%で、食品・酒類メーカーの平均利回りである2〜3%と比較すると低めの水準に位置している。同社は鍛高譚をはじめとする焼酎や清酒などの安定した商品ラインを持ち、売上自体も毎年安定して推移している。しかし利益の伸びは限定的で、純利益は30億円前後の横ばいが続いており、大幅な増配をするほどの余力は見えにくい。配当政策も慎重で、株主還元よりも事業安定を優先する姿勢が読み取れる。

一方、同社の事業基盤は景気変動の影響を受けにくい酒類・調味料分野にあり、下落耐性は高い。収益やキャッシュフローも極端に乱れるタイプではなく、長期保有において大きな不安を感じさせないディフェンシブな性格が強い。そのため、安定を重視する投資家には向いているものの、配当収益を積極的に狙う投資戦略にはあまり適していない。配当利回りが低く、今後の高配当化の期待も限定的であるため、純粋な配当目的の銘柄としては魅力に欠ける。

総じて言えば、利回りの面からは配当狙いの銘柄とは言えないが、事業の安定性が高く長期的に安心して保有しやすい特徴があり、大幅な株価上昇や増配は期待しづらいものの、堅実な資産保全を志向する投資家にとっては選択肢となりうる企業である。

今後の値動き予想!!(5年間)

オエノンHDの現在値527円を基準に今後5年間の株価を予想すると、事業特性・市場環境・利益成長力の3点を考慮する必要がある。同社は焼酎「鍛高譚」や清酒などの安定したブランドを持ち、酒類メーカーとしては守りの強い収益構造を維持しているが、全体としては急成長を狙うタイプではなく、緩やかな増収と限定的な増益が続く企業だ。そのため株価の大きな上昇余地はそこまで大きくない一方、食品・酒類メーカー特有のディフェンシブ性から、大幅な下落リスクも限定的で、比較的値動きの振れ幅が小さいのが特徴になる。

良い場合のシナリオでは、外食需要が想定以上に回復し、焼酎やチューハイ類の販売が伸び、営業利益が40億円台後半まで改善するケースが考えられる。コスト構造の見直しが進むほか、原料価格が落ち着けば純利益も安定して増加し、投資家からの評価が少しずつ高まる可能性がある。この場合、市場がPER12〜15倍を許容し、株価は650〜750円程度まで上昇することが想定される。急上昇は難しいが、じわじわと右肩上がりのトレンドを形成するのが特徴で、安定成長型のシナリオに近い。

中間シナリオでは、現在の業績がほぼ横ばいで推移し、営業利益は35〜40億円の範囲に収まり続けるという最も現実的なケースである。日本国内の酒類市場は成熟しており、特に急拡大が見込める領域ではないため、企業努力で売上が微増しても利益成長は限定的になる。PERは10〜12倍程度にとどまり、株価は550〜620円程度のレンジが中心となる。投資家にとっては値動きの大きい銘柄ではなく、長期間横ばいが続く「安定株」としての性質が強く表れる。

悪い場合のシナリオでは、原材料コストの高止まりや物流費の上昇、酒類メーカー間の競争激化によって利益率が低下し、営業利益が30億円を割り込むようなケースが想定される。食品・酒類メーカーは価格転嫁が進みにくいこともあり、収益が圧迫されるとPERも下がりやすく、7〜9倍程度の評価まで落ち込む可能性がある。この場合、株価は450〜520円程度の下落がありえる。しかし、事業基盤が強固で倒産リスクが極めて低いため、暴落するような展開にはなりにくく、下値は比較的限定的になる。

こうしたシナリオを総合すると、オエノンHDは「大きく勝つ銘柄ではないが、大きく負ける確率も低い」という典型的なディフェンシブ株である。5年後に株価が倍以上になるような急成長は想定しづらい一方で、酒類メーカーとしての安定収益、ブランド力、景気変動に対する強さを考慮すれば、長期的に資産を守るという観点での投資対象としては悪くない。値動きは総じて穏やかで、急落した場面で拾えばリスクを抑えつつ中程度のリターンが期待できる。

この記事の最終更新日:2025年12月2日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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