株価
ハニーズホールディングスとは

ハニーズホールディングスは、福島県いわき市に本社を置くアパレル小売グループで、婦人服および服飾雑貨の企画・製造・販売を行っている。1978年に有限会社エジリとして設立され、その後1986年に株式会社ハニーズに改組。2017年に持株会社体制に移行し、現在の社名となっている。
「高感度・高品質・リーズナブルプライス」を基本コンセプトとし、若年〜中高年まで幅広い女性顧客向けに、トレンドを意識したカジュアル婦人服を提供。ブランド構成としては、メインのHoneysに加え、「CINEMA CLUB」「GLACIER」「COLZA(コルザ)」「シネマクラブ」「クロスオーバー」など複数ラインを展開し、ライフステージや趣味・年齢によって選びやすい幅広さを持つ。
同社のビジネスモデルの肝は、企画から製造、販売までを一括管理するSPA(製造小売)方式。流行の服を都市部で社員が直接リサーチし、数週間でデザイン・発注・生産(主に海外、中国や東南アジア、さらに自社工場をミャンマーに持つ子会社を含む)を行い、国内店舗に素早く商品を投入する。これにより、季節の最初だけでなく「流行後追い」のニーズにも応えられ、かつ少量多回転で在庫リスクを抑えて薄利多売を成立させている。
店舗展開も広範囲だ。2025年5月時点で国内に約872店舗を展開、全国47都道府県をカバーしている。出店は主に郊外の大規模ショッピングセンター(SC)やイオングループ、セブン&アイ・ホールディングス系列、ユニー系、JR系駅ビル、パルコなど。テナント型インショップ方式がメインで、顧客の買いやすさとコスト効率の両立を図っている。
さらに近年、同社は実店舗だけでなく自社ECサイト(オンラインショップ)による通販も展開。リアル店舗とオンライン販売を組み合わせることで、顧客接点を広げ、消費者の多様な購買行動にも対応しようとしている。
こうしたビジネスモデルと展開戦略を背景に、ハニーズは「低価格 × トレンド × スピード対応 × 全国店舗網 × ブランドバリエーションの豊富さ」という、アパレル量販としての典型かつ強みを持つ構造を作り上げてきた。ファストファッションとは異なり、価格は低めだが、ある程度品質感を保ちつつ、女性のライフステージに応じた品揃えを行うことで、安定した固定客やファンもつきやすい。
ただし、アパレル業界の特徴として「流行の変動」「在庫リスク」「為替や原材料コストの変動」「季節変動」など外部要因に業績が左右されやすい。また、SPAであるがゆえに生産拠点の海外依存、物流コスト、在庫管理・回転のプレッシャーなど、コスト管理の重要性が高く、景気や消費者の購買感情の変化にはどう対応するかが継続的な課題となる。近年は国内でも物価高、衣料品の節約志向の強まりなどを背景に、需要の読み違いや売れ筋商品のズレがリスクとなりやすい。
総じて、ハニーズは「量販アパレルの成功型モデル」を比較的安定的に維持してきた企業だと感じられる。流行に敏感、かつリーズナブル価格。多店舗展開。自社企画・生産。国内全域にリーチ。こうした要素を押さえており、安定したビジネス基盤と規模感を持つ。一方で、アパレルの宿命である「流行の波」と「在庫・コストの管理」という構造的な揺らぎも存在し、今後も市場の変化に対応し続ける柔軟性と経営判断力が求められると思う。
ハニーズホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(EPS) | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.5 | 45,368 | 3,767 | 3,971 | 2,403 | 86.3 | 30 |
| 連22.5 | 47,695 | 4,993 | 5,057 | 3,255 | 116.8 | 35 |
| 連23.5 | 54,888 | 7,670 | 8,021 | 5,336 | 191.5 | 50 |
| 連24.5 | 56,571 | 6,970 | 7,281 | 4,876 | 175.0 | 55 |
| 連25.5 | 57,701 | 5,906 | 5,989 | 3,732 | 133.9 | 55 |
| 連26.5予 | 59,000 | 6,200 | 6,200 | 4,000 | 143.5 | 55 |
| 連27.5予 | 60,000 | 6,500 | 6,500 | 4,200 | 150.7 | 55〜60 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 6,805 | -1,783 | -1,117 |
| 2024 | 2,133 | -4,203 | -1,533 |
| 2025 | 4,918 | -2,264 | -1,532 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 13.9% | 13.0% | 10.6% | — | — |
| 2024 | 12.3% | 10.8% | 9.2% | — | — |
| 2025 | 10.2% | 8.3% | 7.0% | PER 高値平均 11.0倍 / 安値平均 8.0倍 | PBR 0.92倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
ハニーズホールディングスのここ数期の数字を見ると、売上は565億 → 577億 → 590億と、緩やかだが増加を続けている。利益は営業が69億 → 59億 → 62億、経常が72億 → 59億 → 62億、純利益は48億 → 37億 → 40億。売上は伸びている一方で、利益は24.5期をピークに一度落ち込み、26.5期でわずかに戻しつつある形だ。数字だけ見ると「成長しているが収益は少し目減りしたあと横ばいへ戻している」という状態に近い。
営業利益率は13.9% → 12.3% → 10.2%と3年連続で低下。まだ10%台で悪い値ではないものの、角度としてはやや下向き。ROEは13.0% → 10.8% → 8.3%、ROAは10.6% → 9.2% → 7.0%と、資本効率・総資産効率も同じく下り基調。利益率の高い状態を維持しきれていないのは気になる点で、過去に比べて「稼ぐ力が鈍っている」サインとして受け取れる。
バリュエーションを見ると2025年のPERは8.0〜11.0倍、PBRは0.9倍。市場評価は低めで、割安寄りの水準。利益が下がってきているためPERが低い可能性もあるが、PBRが1倍を割っていることは市場の期待値が強くないとも読める。裏返せば、業績が持ち直せばPBR1.2〜1.5倍程度まで評価が戻る余地はある。
この数字だけで投資を判断すると、今のハニーズは「売上は伸びているが利益効率が弱まり、評価も低めに抑えられている状態」といえる。過去ほどの強い収益力が戻れば株価の見直しは起きやすく、反対に利益率の改善が見られなければ低評価のまま燻る可能性もある。短期で跳ねる銘柄ではなく、利益が回復するかどうかを見ながら拾うタイプ。数字を見る限り、攻めて買う銘柄というより、改善が見えたらじっくり仕込む銘柄という距離感が近い。
ハニーズは売上が伸びている点は評価できるものの、利益率が徐々に低下しているところは慎重に見たい。それでもPERやPBRが低めで推移しているため割安さは感じられ、業績が回復する兆しが見えれば株価の見直し余地は十分ある。今のところは急いで飛びつくより、利益面の改善を確認してから買いに入るほうが現実的で、様子を見つつタイミングを計るという投資判断がしっくりくるといえる。
配当目的とかどうなの?
ハニーズは今と来期の予想配当利回りがどちらも3.65%で、単純に利回りだけ見れば日本株としては十分に高い部類に入る。3%台中盤あれば、配当収入を目的にポートフォリオへ組み込む選択肢として現実味がある。銀行預金や国債利回りと比較しても上回り、インカム重視の投資スタイルには適性がある数字といえる。
一方で利益は近年やや減速傾向が見られ、営業利益率・ROE・ROAも低下しているため、この利回りを今後も継続できるかは業績次第という前提が付く。現状維持で配当を維持しているとも言えて、成長して増配を続ける“配当成長株”とはまだ言い切れない。ただ、利回りそのものは魅力的で、配当でのリターンを得たい投資家にとっては一定の存在感を持つ。
結論としては、ハニーズは配当目的で見ると「持つ理由はある」。利回りが3.6%台なら配当収入を得る銘柄として成立しているし、株価が下がって利回りがさらに上がる場面があればむしろ拾いやすい。業績改善が見えればキャピタル面も期待でき、配当と値上がりの両方を狙う中間タイプとして扱うのが自然だろう。安定して高配当を出す守りの銘柄というほどではないが、配当で回収を積みたいなら十分検討に値する位置にいる。
今後の値動き予想!!(5年間)
ハニーズホールディングスの株価は現在1,504円。この株価を基準に5年先を考えるなら、カギになるのは「利益率が戻るかどうか」「低評価が修正されるか」の二つだと思う。足元のハニーズは売上自体は伸び続けており、会社としての規模拡大・店舗展開の継続性は見えるが、利益の伸び方はやや鈍りつつある。営業利益・経常利益ともに一度ピークをつけてから下降し、そのあと緩やかに回復している形で、営業利益率やROE・ROAも同様に右肩下がり方向。数字が示すのは「事業は大きくなっているが収益効率は落ちている」という状態であり、ここをどう評価するかで未来の株価は大きく分岐していく。
ただし市場はこの状況をある程度織り込んでおり、PERはおおよそ8〜11倍と低位、PBRは1倍を割るほどで、すでに割安圏にいるとも言える。つまり利益率が回復すれば再評価が入りやすい価格帯にある。一方で改善が見えなければ低空飛行が続く可能性もある。ここがハニーズの今の面白さでもあり難しさでもある部分だ。
良いシナリオでは、販売効率の改善や在庫回転スピードの向上などにより利益率が徐々に戻り、ROEが9〜10%近くまで回復すると、市場からの評価は一段階見直されるだろう。PERが10〜13倍あたりにまで切り上がれば、株価は1,800〜2,200円を目指す可能性がある。配当利回りが3%半ばで維持されるなら、保有し続ける間もインカムが入り、株価上昇と配当の二段構えで5年間を戦える。
中間シナリオでは、売上は増えるが利益は横ばいか小幅改善で、PERは今と同じ8〜10倍前後で評価され続ける。株価は1,500〜1,700円あたりを行き来しそうで、大きく跳ねるわけではなく、かといって崩れもしない。配当をもらい続けながらじっくり保有するような穏やかな投資になる。
悪いシナリオは、収益力の回復が見られず市場が期待を持てない状態が続くケース。PERは7倍前後まで圧縮され、株価は1,200〜1,350円へ沈む可能性がある。ただし利回り3%台というインカムが下支えになるため、暴落というよりはジワ下げの形が現実的だろう。
ただこの銘柄の面白いところは、数字に弱さがある一方で、配当利回りが3.6%台と高めであるため「持ち続ける理由が消えない銘柄」である点だ。成長株のような爆発力はなくても、底値圏では拾われやすく、値下がりしても利回り上昇で買われやすい。つまり上値の伸びは利益回復次第、下値は配当が支えという構造になりやすく、結果として中長期保有の戦略を組み立てやすい。
すぐ決断する銘柄ではなく、利益率が改善に転じるタイミングを見ながら入るのが賢いやり方だと思う。数字だけを見るなら、急いで追うよりも「良い兆しが出たら買う」「弱気で売られた時に拾う」そういう向き合い方が自然に浮かぶ銘柄と言える。株価が上方向へ大きく動くには利益率の改善 や ROEが再度10%台へ回復といった変化が必要になる。つまり上値を押し上げる燃料が今は十分ではなく、「伸びる余地はあるが、勝手には上がらない」という状態に近い。配当利回りが高くて買い支えはあるものの、上昇圧力という意味では強い追い風が見えないため、自然放置で2,000円や2,500円を狙うような展開にはなりにくい。
この記事の最終更新日:2025年12月4日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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