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東洋水産(2875)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

東洋水産とは

東洋水産株式会社(Toyo Suisan)は「マルちゃん」のブランドで知られる日本の大手食品メーカー。現在の本社は東京都港区港南(品川駅前)。もともとは水産物の取引や魚肉ソーセージ・魚肉ハムなどの加工食品製造が中心だったが、1962年にインスタントラーメン事業へ参入し、これが後の大躍進に繋がった。即席麺の国内シェアでは日清食品に次ぐ業界2位。商品は「赤いきつね」「緑のたぬき」「マルちゃん正麺」など家庭に深く浸透しており、日本の即席麺文化を象徴する企業のひとつといえる。

地理的な特性として、西日本では支配力が弱いが東日本と特に北日本(北海道・東北・新潟)で圧倒的な販売力を持つ。販売戦略の地域差は明確で、味付けの境界線は岐阜県関ヶ原とされるほど。こうした東西の嗜好の違いを理解し商品をローカライズしていることは大きな特徴となっている。

海外展開でも成果は大きい。1972年に米国法人Maruchan Inc.を設立し、1977年に北米向け生産を開始すると、日清食品と市場トップシェアを争うまでに成長。メキシコ参入も早く、競合が撤退する中でも販売を続けた結果、現地ではシェア約85%を獲得。「マルちゃん」が即席麺の代名詞となり、日常会話で動詞として用いられるほどブランドが浸透している。これは日本の食品メーカーとして極めて稀なレベルの文化浸透度であり、海外ブランド力は企業価値の大きな柱になっている。

冷蔵倉庫・物流事業も併営しており、約36万トンの設備を保有し業界5位。水産物調達から加工・販売、即席麺製造、冷凍食品、スープ・だし・レトルト食品、パックご飯、冷凍麺、冷蔵流通まで食品サプライチェーンの広い領域に関与している。チルド・冷凍・レトルト・麺類・魚介加工・缶詰など商品カテゴリは膨大で、家庭用から業務用までカバー。即席麺が看板だが、水産・惣菜・冷食まで横に事業を伸ばしている総合食品企業である。

2011年発売の「マルちゃん正麺」はSNSで味が評価され300億円超の売上を記録し、袋麺市場に革新を起こしたヒット例として語られる。伝統ブランドの維持だけでなく、新商品開発力も強い。

東洋水産 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) EPS(円) 配当(円)
連23.3 435,786 40,330 43,724 33,126 324.4 100(記念)
連24.3 489,013 66,696 74,889 55,653 545.0 170
連25.3 507,600 75,488 83,919 62,867 626.4 200
連26.3予 545,000 76,000 84,000 62,000 625.4 200〜220
連27.3予 560,000 80,000 90,000 68,000 686.0 200〜220

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF 投資CF 財務CF
2023 42,031 -25,204 -9,619
2024 70,497 -53,739 -12,714
2025 78,779 -40,057 -43,536

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 9.2% 8.4% 6.6%
2024 13.6% 12.0% 9.7%
2025 14.8% 13.0% 10.5% 11.6〜18.6倍 2.11倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

東洋水産の数字を見ると、まず目を引くのは売上と利益がきれいに積み上がっている点だ。24.3期は売上4,890億円、利益667億円、純利益557億円という水準から始まり、翌25.3で売上5,076億・営業利益755億・純利益628億とバランス良く伸びている。予想の26.3でも売上5,450億と成長は続き、営業利益・経常利益も横ばい〜微増で維持される見通し。伸び方は急角度ではないが、崩れない成長を積み重ねるタイプであることが数字から伝わる。

そして最も注目すべきは利益率の改善。営業利益率は9.2% → 13.6% → 14.8%と右肩に跳ねており、食品メーカーで10%超えはすでに優良と呼べるライン、それをさらに越え14%近くまで乗せているという事実は強い。原料高でも価格転嫁が効いた・製造コストを吸収できた・海外事業の収益が伸びたなど、裏に複数の改善要素が働いていると推測できる。さらにROEは8.4% → 12.0% → 13.0%と着実に上昇し、ROAも6.6% → 9.7% → 10.5%。資本効率と総資産効率が同時に改善しているのは非常に良い兆候で、「規模が大きくなりながら利益率も上がる」という理想的な成長構造に近づいている。

一方でバリュエーションを見ると、PERは11.6〜18.6倍、PBR2.11倍と明確な割安とは言えないが、過熱というほど高くもない。つまり市場はこの企業の強さを理解しつつも、過剰に期待して買い上げているわけではないということ。簡単に言えば、評価は適正圏で、ここからの株価上昇は数字がさらにもう一段成長するかどうかにかかっている。今の株価は「堅実に伸びてきた結果としての価格」であり、投資家が過剰な夢を乗せていない分、冷静さがある。

この銘柄は派手な急騰を狙う株ではない。むしろ真価は「崩れにくさ」と「成長の持続性」。営業利益率とROEがここまで綺麗に伸びている企業は食品セクターでも多くなく、安定の中にも確かな強さがある。水産・冷凍・即席麺・海外展開と収益源が複数あるため単一リスクにも強い。悪材料で揺れる場面はあるにせよ、業績が一気に崩壊する未来は想像しにくく、それが長期保有との相性の良さにつながる。

結論として、東洋水産は「成長+安定の中間点にある優良企業」。価格は割高でも割安でもなく、内容に対して妥当な評価。大きく勝つ銘柄ではないが、崩れにくさと伸びの両立でポートフォリオの中核候補になり得る。5年・10年と時間をかけて育てる投資に向く銘柄だと判断できる。

配当目的とかどうなの?

東洋水産の配当利回りは、連26.3と連27.3でどちらも1.88%という見通し。数値だけを見ると高配当株とは言い難く、いわゆる利回り狙いで買うタイプの銘柄ではない。年間で約2%に届く程度なので、配当だけで投資メリットを強く感じたい人には物足りないし、インカム収益で資産が膨らむイメージは弱い。

しかし、ここで重要なのは「低利回り=弱い銘柄」ではないという点。東洋水産は直近のEPSが324円 → 545円 → 626円と伸びており、利益体質は年々強くなってきている。配当も100円 → 170円 → 200円と増えており、配当の伸び方は利回りの小ささとは裏腹に力強い。利回りは低めでも、EPSが増え続ける限り、企業としては増配余力を十分に持っているということになる。つまりこの銘柄は「最初から高配当でもらう銘柄」ではなく「利益成長→増配の恩恵を長期で育てる銘柄」。

保有期間が長くなるほど配当が上昇する可能性があり、もしEPSが毎年積み上がっていけば、配当も数年後には今より大きくなっている未来は十分現実的だ。利回りだけを見れば見劣るが「配当の成長性」を見れば魅力はある。今は1.88%でも、10年保有して配当が倍以上に成長すれば、当初の取得価格ベース利回りは4~5%を超える可能性もある。

さらに東洋水産は事業が安定しており、利益のブレが小さい食品メーカーという点もプラス材料。水産・即席麺・海外展開の3本柱があり、単一リスクによる減配リスクは低め。景気悪化でも人は食をやめない。つまり「配当が途切れにくい企業」であることは利回り以上に重要な価値だ。短期の配当利回りは高くなくても、安心して配当を受け取り続けられる銘柄というのは、それだけで長期投資の選択肢になる。

東洋水産の配当利回りは1.88%と高くはなく、配当だけで利益を取りにいくタイプではない。しかしEPSと配当は共に右肩上がりで増えており、長く持つほど受け取れる配当が育っていく可能性がある。事業の中身は食品で需要が消えにくく、減配リスクも低い。配当が太く一気に入る銘柄ではないが、細く長く続き、じわじわ伸びていくタイプの配当といえる。短期の利回りを期待するより、安心して保有しながら増配を見守るような投資に向いている銘柄だ。

今後の値動き予想!!(5年間)

東洋水産の現在値は10,595円。業績と利益率の推移は安定感が強く、営業利益率は9.2% → 13.6% → 14.8%へと改善、ROEも13%に近づいており収益体質は明らかに強化されている。売上・利益・EPSが揃って伸びている点から見ても、企業の基礎体力が底上げされているのは明白で、短命な業績上昇ではなく継続性のある成長の形を取っている。しかし配当利回りは1.88%程度と高くはなく、株価評価の中心は配当より利益成長とブランド力、食品セクターでの競争力に置かれる銘柄と考えるのが自然だ。

良い未来を描くなら、このまま利益率が高水準で維持され、EPSが年々積み上がり、海外展開もさらに拡大していくケース。北米・メキシコでのブランド力は強く、即席麺市場での存在感は揺るぎにくい。原料価格や物流コストが安定し、価格転嫁が継続できる環境が続くなら、EPSはさらに伸び、PERも現状維持〜やや上振れして評価が高まる可能性がある。この場合5年後の株価は13,500円〜16,000円が現実的な上値レンジになる。急騰するタイプではないが、利益成長の重ね合わせで株価が一段階上へ移動していくイメージだ。

中間シナリオでは、利益率は高いまま推移するものの成長スピードは緩やかになり、売上も緩やかに増えるが突出せず、EPS成長も横〜右肩の中間程度に落ち着く未来。食品市場の成長余地は劇的ではないため、このパターンは現実性が高い。市場の評価も極端に膨らまず、PERは妥当な水準で安定し、株価は緩やかな上昇トレンドを描く。この未来では5年後の株価は11,500円〜13,200円が中心ライン。刺激的ではないが、落ち着いて保有し続けるには十分な成長と安定の範囲だと考えられる。

悪い未来では、原材料コスト上昇や世界的な物流コストの高止まり、円安の反動、競争激化などが重なり利益率が圧迫されるパターン。EPSが伸びなくなれば市場評価も徐々に下がり、PERの縮小と利益の鈍化が重なって株価はじわじわと押し戻される。食品という安定領域のため暴落は考えにくいが、停滞や弱含みは十分あり得る。この場合の5年後株価レンジは9,000円〜10,500円程度が妥当。底は固いが、伸ばせない展開になると株価は重く感じやすい。

総合すると東洋水産は、爆発的な値動きよりも「伸びれば確実に積み上がる、中長期の安定成長型」。今後の株価を決める軸はEPS成長が持続するかどうかであり、そこに陰りがなければ上方向へ素直に評価が付いてくる。短期間で倍狙いの銘柄ではないが、成長が続くなら5年で確かな価格帯の押し上げが期待できるタイプといえる。

この記事の最終更新日:2025年12月5日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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