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ヨシムラ・フード・ホールディングス(2884)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ヨシムラ・フード・ホールディングスとは

株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングスは、中小食品メーカーを傘下に持つ日本の持株会社で、本社は東京都千代田区内幸町に所在する。2008年3月に「株式会社エルパートナーズ」として設立され、2008年8月に「株式会社レバレッジパートナーズ」、2009年8月に「株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングス」と商号変更。代表取締役 CEO は吉村元久。

同社の事業モデルの特徴は、後継者不足・資金力不足・市場縮小などにより存続が難しくなった全国の中小食品企業を M&A によって傘下に収め、グループとして再生・成長させることである。単に「売却目的の M&A」ではなく、「事業の継続と価値向上」を目的とすることを明言しており、赤字企業であってもグループ全体の価値向上につながる可能性があれば子会社化する。これにより、中小企業が抱えるリスク(後継者不在、資金繰り、販路の弱さ など)を軽減し、「中小企業支援プラットフォーム」を通じて経営支援を行う。

グループ傘下には、製麺・乾麺メーカー、冷凍食品メーカー、水産加工企業、清酒メーカー、惣菜・中華総菜食品メーカー、ゼリー・デザート・菓子メーカー、食品卸など、多種多様な食品分野の企業が含まれる。たとえば、乾麺や伝統的な「白石温麺」を製造・販売する 白石興産株式会社、中華惣菜(シウマイなど)を手がける 楽陽食品株式会社、冷凍食品製造の子会社、海産物加工・販売企業、水産関連企業、など。さらに、傘下の企業群を通じて、惣菜・中華料理、冷凍食品、麺類、製パン・製菓など、食品の「製造 → 流通・卸 → 小売/外食向け供給」というバリューチェーンを広くカバー。

同社は、M&Aによるグループ拡大と、既存事業の拡張、の2つを成長エンジンと位置づけている。HD(ホールディングス)が経理・財務、人事・総務、購買・物流、品質管理、ITシステムなどのバックオフィス機能を統括・支援し、傘下の各社は製造や商品開発、販売に集中できる体制を整えることで、個々の中小企業が持つ弱みを補いながら、効率的な運営と成長を目指す。これにより、小規模であった中小食品企業を、組織力・資金力・販路力を備えた「安定的な食品グループ企業」として再構築するという戦略である。

また、最近の動きとして、グループ内の子会社同士の統合・再編も行われている。たとえば、冷凍食品を扱う子会社同士である 株式会社オーブン と 細川食品株式会社 を 2025年に合併し、経営資源や製造力、販路の効率化を図るなど、グループの収益性と競争力の強化を進めている。

このように、複数の異なる食品分野(製麺・乾麺、水産加工、冷凍食品、中華惣菜、清酒、卸売など)をカバーする傘下企業群を通じて、多角的な食品ポートフォリオを構築。「ニッチだが光る技術・商品」を持つ中小食品企業に「第2の道」を提供し、かつグループ全体で効率性・安定性・スケールを追求する — それがヨシムラ・フード・ホールディングスの事業モデルである。

こうしたビジネスモデルと実績から、ヨシムラ・フード・ホールディングスは「中小食品企業の受け皿」「食品業界における再生・統合プラットフォーム」「多様な食品分野を横断する食品グループ企業」としてユニークな立ち位置を確立している。

ヨシムラ・フード・ホールディングス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(EPS) 一株配当
連23.2 34,937 678 1,323 613 25.8 0
連24.2 49,781 2,429 3,052 1,028 43.4 0
連25.2 58,110 4,161 4,251 1,861 78.1 0
連26.2予 63,500 3,750 3,650 1,450 60.7 0
連27.2予 67,000 4,300 4,200 1,580 66.2 0

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 79 -2,021 3,491
2024 5,764 -4,529 2,318
2025 6,630 -845 -2,978

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 1.9% 8.1% 1.9%
2024 4.8% 11.8% 1.9%
2025 7.1% 16.8% 3.3% PER 高値平均 34.3倍 / 安値平均 15.6倍 PBR 1.44倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

ヨシムラ・フードホールディングスは、M&Aによって食品企業を買収し成長してきた会社で、数字だけを見ると売上・利益ともにここ数年で拡大し、規模が着実に大きくなっていることが分かる。連24.2期の売上は497億円、連25.2期は581億円と増え、連26.2期も予想で635億円とさらに成長を見込んでいる。営業利益は24億→41億→37億予と上昇後にやや減速するものの、過去と比較すれば高い水準で推移している。経常利益も30億→42億→36億予と動きは近く、純利益も10億→18億→14億予。グループ企業の統合が進み、利益率が改善傾向にあった中で、直近26期予では一度利益調整が入る格好だが、拡大フェーズの企業としては十分に成長圧力が維持されているとも言える。

収益性を示す指標では、営業利益率が1.9%→4.8%→7.1%と大きく改善していることが良く目立つ。食品メーカー・加工業は一般に利益率が低くなりがちだが、7%超の営業利益率まで改善している点は競争力の向上または効率化の成果として評価できる。ROEは8.1%→11.8%→16.8%と資本効率が顕著に伸びており、利益創出力が会社規模の成長に追いつき、むしろ追い越し始めている印象を受ける。ROAは1.9%→1.9%→3.3%と改善が遅れていたが、2025時点でようやく上昇し始め、資産の回転効率にも改善の兆しが見え始めた。

一方で株式の評価指標を見ると、2025年のPERは高値平均34.3倍、安値平均15.6倍とブレ幅が大きく、成長期待が高い場面では割高に評価され、利益が落ち着く局面では適正に収束するような動きが想定される。PBRは1.44倍と、資産価値に対しては一定の評価を受けている水準で、極端な割安感はない。ここから考えると、投資判断としては「成長企業であるがゆえに過熱時は割高にもなりやすい」という特徴が浮かび上がり、押し目が存在するなら拾っていくスタンスが現実的だと考えられる。利益率とROE改善の勢いを見ると、本質的には評価されるべき企業であるが、今期予想で営業利益・純利益が一度ブレーキがかかる点は短期の株価変動として材料になり得る。

総合的には、売上拡大と利益率改善、ROEの急伸を踏まえると、中長期的には収益構造の強化が進む企業と評価できる。一方、バリュエーションは状況により割高にも割安にも触れやすく、特にPERが高値の場合は期待先行のリスクがあるため、業績動向と評価倍率のバランスを見ながらタイミングを図る必要がある。安値PER15倍前後の局面で拾えれば魅力が高まり、長期的な業績成長が継続すれば十分に報われる可能性がある数字だと言える。

配当目的とかどうなの?

ヨシムラ・フードホールディングスは配当利回りを見る限り、今期・来期ともに0.00%予想で、インカムゲインを求める投資家にとっては魅力があるとは言えない。企業としては利益を株主に還元するフェーズではなく、内部留保を使いながらM&Aと再編でグループ規模を拡大し、成長のステップを踏んでいる段階にあると考えられる。現金を配当として配るより、次の買収の原資とし、企業価値を高めていくという判断が経営として自然なのだろう。利益率やROEが改善していることを見ても、会社としては資本を回しながら成長させる方がリターンが大きいと判断している可能性が高い。

配当で毎年の収益を期待するタイプの投資家にとっては、現状ほぼメリットはない。一方で、企業としての方向性を見ると、売上は着実に伸び、ROEは3年で大きく改善し、財務効率も高まってきている。その意味では、配当を出すより成長のために資金を回したいという姿勢が見え、これは成長株としては理解できる戦略とも言える。たとえば、今は無配でも業績が伸び続け、利益体質がより盤石になって、キャッシュフローに余裕が出てきた時点で将来配当が始まるという可能性もゼロではない。実際、企業成長フェーズの企業は無配の期間を経て、成熟期に入ってから配当を始める例は珍しくない。

ただし、今この銘柄を「配当目的で買うか?」と問われれば、答えは現状では明確にNOだ。利回りが0%である以上、インカム狙いの投資判断としては成立しない。あくまでこの銘柄の魅力は、収益改善とROEの上昇、営業利益率の伸びといった企業価値の増加に期待し、成長に賭けるスタイルが前提になる。配当が欲しい投資家にとっては他銘柄を選ぶ方が合理的で、逆に将来の拡大余地と株価成長を取る投資家にとっては視野に入るタイプの銘柄といえる。

まとめると、ヨシムラ・フードHDは配当を狙う銘柄ではなく、成長と評価上昇、そしてタイミングを見たキャピタルゲインに向いた銘柄である。今は配当を期待せず、企業としての成長が次の一段の利益拡大につながるかを追うほうが投資として理にかなっている。それでももし将来、利益とキャッシュフローがさらに積み上がり、配当を出すフェーズに入るとしたら、その頃には今見ている評価水準とはまた違う景色が見えているかもしれない。

今後の値動き予想!!(5年間)

ヨシムラ・フード・ホールディングスの株価が現在696円だと仮定し、今後5年間の値動きについて良好な場合、ほどほどの場合、停滞・悪化シナリオの3つに分けて考えると、まずベースとなるのは売上が伸び続けていることと営業利益率が改善してきた実績であり、ROEも16%近い数字が出ていることから、企業の成長余力がまだ残っている点は強みになる。ただし配当が0%で株主還元を目的とした銘柄ではなく、株価は業績成長と市場評価に強く左右されるため、今後の値動きは外部環境やM&Aの成功度合いによって振れ幅が大きくなる可能性もある。

良い場合の5年シナリオでは、M&Aが引き続き順調に進み、利益率改善が継続、ROEが高い水準で維持されれば企業価値は伸び、PERが現在の水準から再評価される可能性がある。EPSが今後も増加基調なら、株価が5年で倍近くまで評価される余地も残されており、仮に成長継続と市場の好評価が重なれば、株価は1,200~1,600円程度のレンジまで到達する可能性があるという見方も成立する。これは強気評価による上値想定であり、成功パターンとしての読みになる。

中間シナリオでは、売上は伸びるが利益は波があり、M&Aの統合作業にコストがかかる期間も挟む形で進めば、株価は上がっても急騰せず、市場評価はPERも極端に変動しない可能性がある。成長はするが過熱はしない、そんな状態が続いた場合には、5年後の株価は800~1,050円程度の範囲で推移し、緩やかに右肩上がりまたは横ばいに近い線を描く可能性がある。買いのタイミング次第では利益も狙えるが大きな爆発力は期待しにくいレンジ感になる。

悪い場合のシナリオでは、M&Aの成果が十分に出ず、利益率が再び低下したり、景気悪化や消費鈍化で食品需要が伸び悩むケースが考えられる。ROEやROAが後退すると市場評価が縮小し、PERが安値寄りで固定されると株価は現在値から下方に推移する可能性があり、5年後に500~650円のゾーンに位置する未来も否定できない。無配の状況が続けば株価の下支え要素も乏しく、悪材料が続く局面では一段安への警戒も必要になる。

結論として、今の696円という株価は成長期待と利益率改善の途中に位置する水準で、上も下も見える位置にある銘柄と言える。将来のリターンは配当ではなく株価上昇に依存する形となるため、期待して買うなら中長期の成長ストーリーに乗れるか、見極めながら入る必要がある。逆に安定的なインカムを求める投資家には向かない分、成長が続けばリワードも大きく、中身次第で評価が大きく変わる5年後になるだろう。

この記事の最終更新日:2025年12月5日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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