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なとり(2922)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

なとりとは

なとりはチータラやさきいかに代表されるおつまみ珍味の分野で国内最大級の存在感を持つ企業であり、スーパーの乾物コーナーに必ずあるといっていいほどブランドが生活に根付いている会社である。お酒のおとも、夜の軽食、小腹満たし、アウトドアや車移動中の間食といったさまざまなシーンで消費されるため、インスタント麺や米菓と似て季節に左右されにくい強みがある。またチータラの原料チーズは世界中から調達しており、珍味よりもスナックに近いポジションを確立して市場を広げてきた。魚介・肉・梅系・昆布・ナッツまで多品種展開をしているため、一つの商品が落ち込んでも全体で吸収でき、商品ラインUPが多いことが安定感につながっている。

戦略面では昔ながらの珍味食品に見えて実はマーケティングが柔軟で、SNS投票で味の方向性やパッケージを消費者が選ぶ仕組みを使ったり、期間限定フレーバーで若年層の参加を促したり、おつまみの枠を少し超えて「推される商品」を作ろうとする姿勢が見える。夏場に需要が伸びた電解質系『甘ずっぱいカリカリ梅』のように、熱中症・塩分補給ニーズと結びつく商品も展開しており、昔ながらの珍味だけでなく時代に寄り添ったヒット狙いも可能な企業である。チータラやカルパス系が定番収益源として土台を支える一方、季節商品やSNS企画商品でバズれば売上が跳ねることもあり、安定と変化の両方を持つビジネスモデルといえる。

市場全体で見ると、おつまみ分野は嗜好性が強く景気後退でも消費が落ちにくく、また高齢化でアルコール量自体が減っても「軽くつまむ文化」は消えにくい。そのため米やパンのような生活必需の分野ではないものの、一定の需要ベースを持つ半インフラ食品といえるポジションを取っている。コンビニの棚に置かれ続けるブランド力は強く、JUSTPACKなど小さいサイズの商品は一人暮らしや女性層にも浸透している。家飲みが浸透し外食代替が進んだコロナ期に改めて需要が確認され、ポストコロナでも需要が落ちなかったのは象徴的である。

まとめると、なとりは「地味だが強い」タイプの食品メーカーであり、ヒットに依存しすぎず長年積み上げた商品ブランドで売れる企業であり、一方でSNS企画や季節需要で攻めもできる会社である。乾き物市場は縮みにくく、定番品の存在が中長期の売上を支えている。派手な拡大はしないかもしれないが、安定と継続が期待でき、少しの工夫やヒットで伸びる余地を持つ企業という印象が強い。

なとり 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益 経常利益 純利益 一株益(EPS) 配当(円)
連23.3 45,093 622 650 407 32.4 22
連24.3 47,578 2,125 2,162 1,400 111.3 23
連25.3 48,892 1,968 2,025 1,352 107.5 24
連26.3予 50,000 1,800 1,830 1,270 100.9 26(記念)
連27.3予 51,500 2,000 2,050 1,400 111.3 26〜28

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位百万) 営業CF 投資CF 財務CF
2023 -1,330 -710 -834
2024 6,480 -891 -1,513
2025 342 20 -1,933

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 1.3% 1.7% 1.0%
2024 4.4% 5.5% 3.2%
2025 4.0% 5.1% 3.2% 31.7倍〜35.6倍 0.90倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

なとりは売上自体は475億から488億、500億と緩やかに伸びていて市場が縮んでいる気配はなく、定番のチータラや乾き物おつまみという生活に染みついた商材を扱うだけあって需要は安定しているが、その一方で利益は21億から19億、18億へと減少しており、伸びる売上に対して利益がついてこない状態が続いているため、攻めの成長というよりは守りが強い成熟フード企業という印象に近い。

営業利益率も1.3%→4.4%と大きく改善したにもかかわらず翌期は4.0%へやや後退しており、高付加価値化に成功したというよりは仕入れ価格、原料、物流、人件費など外部変動要因に左右されやすく、利益率が安定的に上向いていくとはまだ言い切れない。ROEとROAも同じ傾向で、1.7%→5.5%へ改善したものの予想値では再び5.1%に留まるなど、資本効率は改善しきったとは言えない微妙なラインにいる。つまり数字だけを見れば、企業としては売上を伸ばす体力はあるが利益を押し上げる牽引力が現状は強くなく、今後の成長は利益率をどう安定させていくかにかかっていると読める。

ただし面白いのは株価指標で、2025のPERが31.7〜35.6倍とそこそこの評価を受けているのに対し、PBRは0.9倍と純資産水準付近で取引されていること。成長期待で買われている銘柄ならPERが高くてもPBRが1倍以上で水準が合いやすいが、なとりの場合は「業績の安定さやブランド価値は認めるが、爆発的成長は期待しすぎてはいけない」という市場評価がそのまま数字に表れているとも言える。つまり割高とは言えないが割安放置でもなく、成長が明確になれば再評価される余地があり、逆に利益が伸びなければ株価も横ばいに落ち着く可能性が高い。食品系は大きく下がりにくい代わりに急騰もしにくい銘柄で、なとりもその例外ではなく、強い期待で大きな値幅を狙うというよりゆっくり育てる株という性質に近い。

総合的には、安定した需要を背景に売上が崩れにくい一方で利益成長が鈍く、株価も上下に振れづらい特性があり、大化け株というより「そこそこ安心して静かに持てる銘柄」。攻める投資家よりも堅実にじわじわ伸びる企業を長く保有したい人と相性が良く、数値だけを見る限り派手さはないが消えない需要とブランド力が支えとなるタイプだと感じられる。

配当目的とかどうなの?

なとりを配当で見た場合、予想配当利回り(2026・2027年度)1.35%という利回りは決して高配当とは言えず、配当狙いで“積極的に買う理由”にはなりにくいが、一方で事業は乾き物・おつまみという安定需要の食品ジャンルで大きな景気循環にも振られにくく、売上は少しずつ伸びているため急な減配リスクも小さく、配当が細って消えるような不安は比較的少ない銘柄と言える。

つまり多くは望めないが堅さはあるタイプで、配当が右肩に伸びていくような成長株ではないものの、静かに置いておいて毎年小さく受け取るというスタイルには馴染みやすい。ただし現状の利回りだと配当だけで投資を正当化するのは難しく、配当を主目的にするなら3〜4%を狙える食品株や高配当銘柄に優位性がある一方、なとりには「絶対に落ちない守り」と「優待やブランド愛着」という他の魅力が存在するので、配当をもらいながら長く持てる安心感を重視する人や、おつまみ文化そのものに価値を感じ応援したい投資家のほうが向いていると思われる。

配当金で儲ける株というより、配当はあくまでおまけで、企業の安定性や愛着を感じながらホールドするタイプの銘柄という立ち位置がしっくり来る。さらに付け加えるなら、なとりは配当こそ低いが優待品として自社製品詰め合わせを受け取れるため、実質的なリターンは数値以上になる可能性がある。配当だけ見ると1.35%だが、「現物でもらえる価値」「実際に自分で食べて楽しめる還元」という定量化しにくい魅力が存在し、投資対象が自分の生活と直結することで心理的な満足度は大きくなる。

また、生活必需品ではなく嗜好品であるわりに需要が安定しており、チータラやカルパスといった定番商品は小売棚から消えにくい。嗜好消費は景気が厳しくても完全に止まらず、むしろ「家飲み需要」や「小さな贅沢」という文脈で消費され続けるため、長期保有に向く底堅さもある。

市場から見れば、なとりは爆発的成長を期待されていない代わりに深い不安も抱えられていない、穏やかなラインを歩く企業である。配当利回りは低くても、株価の下値耐性が強い銘柄を求める投資家にはちょうど良い距離感で、値上がり益より着実な保有を重視する場合にはポートフォリオの土台にもなり得る。一言で言えば「増える配当は期待しにくいが、切られにくい配当は持っている株」。配当を享受しつつゆっくり育てる、そんな関係性が似合う。

今後の値動き予想!!(5年間)

なとりの現在株価1,913円から今後5年間を考えると、この銘柄は一気に跳ねるというより、売上の成長と利益率の調整をじわじわと株価が追いかけていく未来が描かれやすく、良い場合と悪い場合で最終地点が大きく変わるというより「速度が違う」「評価タイミングが違う」と捉えるほうが近い。

良い未来では、利益率が4%台で安定し、ヒット商品が周期的に生まれブランド認知が再評価され、健康スナックや減塩・高タンパクなどの新しい需要波に上手く乗ることができ、売上と利益の両方が揃って評価される展開。SNS企画やパッケージ刷新が消費者の体験価値につながり、既存品依存から「新しさを感じる老舗」へと印象が変化すれば、市場の期待は上方に動きやすく、株価は2,400〜2,800円、場合によっては3,000円台に踏み込む未来も現実的になる。食品株は急騰が珍しい分類だが、見直し買いという形でじわじわ評価されるタイプである。

中間シナリオでは、売上は伸びても利益がそれに比例せず、営業利益率は3〜4%の狭い帯で推移し、投資家は強気にも弱気にもなれない状態が続く。おつまみ市場は不況や少子化でも極端に落ち込む傾向は弱く、家庭内需要や家飲みカルチャーは一定して存在するため、下支えの強いビジネスではあるが、原材料価格や物流費が改善しなければ利益は限られ、株価は1,800〜2,200円でゆったりと揺れ続ける可能性が高い。買っても売っても大きな利益が出ない退屈な期間が続くが、その退屈さこそ堅実な食品株らしさでもあり、優待と小さな配当を受け取りながら保有する穏やかな時間が流れるタイプになる。

悪い未来は、コストが高止まりし利益が圧迫されるケースで、売上が伸びても営業利益がついてこず、採算に対して市場評価が冷たい状態が続く。ブランドは強くても利益が弱ければ株価も弱く、PBR1倍割れのまま放置されれば、株価は1,500〜1,700円台に沈み込みながら動きの乏しい数年が訪れる。暴落するというより「ゆっくり価値を削る下落」になりやすく、長期保有は心理的に重くなる展開だが、逆に言えばそこで拾う投資家は報われる余地も残る。

総括すると、なとりは急激な爆発力より安定性に寄った銘柄で、強く上がる未来より穏やかに育つ未来が似合う株と言える。家飲み文化・小腹需要・夜のつまみの市場は細く長く続き、会社の土台は揺らぎにくい。伸びるときはゆっくり、下がるときもゆっくり。それがこの企業の値動きに自然に一致している。5年という時間を丁寧に待てる人には向き、短期利益を狙う投資家には刺激が足りないタイプだろう。

この記事の最終更新日:2025年12月5日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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