株価
ファーマフーズとは

ファーマフーズは京都に本社を持つ健康食品・医薬系素材メーカーであり、「食品」と「医療」の間に位置するユニークな企業だといえる。主力はギャバや卵黄由来成分といった機能性食品素材の開発・販売で、これらは大手食品メーカーの商品に配合されるほか、自社ブランドのサプリメントとして通販でも販売されている。特にファーマギャバ(GABA)は市場認知が高く、機能性表示食品制度の拡大とともに採用例が増えたことで事業規模が拡張し、素材供給ビジネスとしての継続収益に繋がっている。また自社のEC・テレビ通販・ラジオ販促を組み合わせた直販モデルも強く、育毛剤・美容サプリ・卵黄ペプチドなどを自ら企画し広告投下して成長させる「素材メーカー+メーカー直販」という二重構造の動き方をする珍しい企業でもある。
ラジオ番組を複数持ち、関西を中心に広範囲で放送されている点も特徴で、ぴよぴよラジオを筆頭に「ヒヨコで踊るラジオ」「ピヨピヨすぎるラジオ」など、番組名からして親しみやすく一般向けの柔らかいブランディングが徹底している。この手法はPRでありショッピング番組でもあり、宣伝と販売が同時進行するラインで、製薬企業とも食品メーカーとも違う広がり方をしている。裏側ではバイオメディカル領域で抗体研究や医薬技術の開発や、外部企業の評価試験受託LSIを扱うなど、研究開発志向の強い企業基盤があり、素材メーカーとしての研究力と消費市場への直行ルートを両立している点は同業他社ではあまり見ない構造と言える。
つまりファーマフーズは「ただの健康食品会社」でも「ただのバイオベンチャー」でもなく、原料・研究・製品・販売・宣伝の回路を1社で閉じて持つことで、高付加価値素材から一般消費まで一気通貫で展開できるのが最大の強みである。もちろんリスクもあり、広告依存度が高い分、販促コストが利益を圧迫する可能性があることや、素材トレンドが変化すると需要が急速に入れ替わる恐れがある。また育毛・美容などの消費者領域は競争が激しく、実力より宣伝力で売上が変わりやすい市場という難しさもある。しかし裏を返せば、機能性素材ブームが再加速すれば業績が大きく跳ねる可能性も残されており、研究開発パイプラインが当たれば食品以上の成長率も狙える点は魅力と言える。
総じてファーマフーズは、素材開発力と販促力という異なる要素を併せ持つ企業であり、BtoB(素材提供)とBtoC(通販販売)の両側面で収益化が可能な柔軟な収益基盤がある。食品の安定性とバイオの成長性を抱えた、少し癖があるが面白い銘柄。長期視点では研究成果・新素材の普及・通信販売の伸びが株価変動の鍵となる企業と言える。
ファーマフーズ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益(EPS) | 一株配当 |
| 連22.7 | 60,185 | 1,080 | 1,264 | -374 | -12.9 | 20 |
| 連23.7 | 68,572 | 3,610 | 3,540 | 3,081 | 106.7 | 22 |
| 連24.7 | 62,147 | 5,113 | 5,249 | 3,205 | 112.7 | 25 |
| 連25.7予 | 65,000 | 2,000 | 2,300 | 1,600 | 55.4 | 25 |
| 連26.7予 | 69,000 | 3,000 | 3,300 | 2,300 | 79.7 | 25〜26 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位百万) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
| 2023 | 6,125 | -1,013 | 2,341 |
| 2024 | 5,486 | -1,390 | -4,842 |
| 2025 | -1,092 | -950 | -4,467 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
| 2023 | 5.2% | 31.9% | 8.5% | – | – |
| 2024 | 8.2% | 27.6% | 8.7% | – | – |
| 2025(予) | 3.6% | 3.1% | 1.1% | 8.8倍〜18.9倍 | 1.87倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
ファーマフーズは、業績に波がある企業という印象が数字から読み取れる。売上は685億から621億へ一度落ちたものの、その後は650億、690億と少しずつ戻りながら成長している。一方で利益は23.7期で36億、24.7期で51億まで伸びたものの、25.7期には20億と大きく減少し、その翌期予想で30億まで戻るとされている。つまり売上の流れは穏やかだが、利益に関しては上下の振れ幅がはっきりしている。
収益性の指標を見ると、営業利益率は5.2%から8.2%に改善した後、3.6%へ低下している。ROEは31.9%から27.6%と高水準を保ったあと、3.1%まで落ち込み、ROAも8%台から1%水準へ下がっている。この数字の動きは、企業としての利益体質がまだ安定していないことを示している。特にROEの大きな低下は、資本効率が一時的に悪化している状態を表すため、前期の好調が継続できるのか、今後の伸びが再現できるのかが焦点になる。
しかし、指標そのものは興味深い位置にある。PERは8.8倍から18.9倍のレンジ、PBRは1.87倍で、割安とも割高とも言い切れない中間にある。市場はこの銘柄に強い期待を織り込んでもいないが、失望しているわけでもないように見える。次の決算で利益が再び伸び始めれば評価が上方に動きやすい一方、伸びなければ株価は横ばいから下方向に素直に反応する可能性がある。上にも下にも動ける余地があるという位置付けになる。
まとめると、売上の伸びは緩やかで収益は不安定、指標は中間というバランスで、成長を見に行くか慎重に様子を見るかで投資判断が分かれる銘柄のように見える。安定配当を軸に長期保有するタイプとは少し異なり、利益が回復していく局面を拾って乗ることで効果が出やすい中期型の投資対象と考えられる。今後の決算が改善基調を続けられるかどうかが、投資をする上での一番のポイントになる。
配当目的とかどうなの?
ファーマフーズを配当という視点だけで捉えると、予想配当利回り(2026・2027年度)はおよそ3.33%が想定されており、食品株の中ではそこまで低くも高くもない中間層という位置付けになる。3%台前半なら、銀行株や高配当インフラ株の4〜6%と比較すると「配当狙いで最優先に買う候補」とまでは言いづらいが、一方で2%未満しか出ない銘柄も多い食品セクターの中ではそれなりの水準で、配当を受け取りながら保有する選択は可能なレンジに入っている。
ただ重要なのは、過去の利益推移とEPSの動きだ。利益は増減の波があり、来期予想ではEPSが55→79へ戻る見通しとはいえ、安定して配当原資を確保できるほど盤石とは言い切れない。つまり利回り自体は見劣りしないが、将来も確実に保てるかどうかは業績の上下に影響を受けやすく、手堅い配当株というより「継続できるかは業績次第の配当」と捉える必要がある。とはいえ無理な増配をせず、利益と歩調を合わせるように配当もじわりと引き上げている点を見ると、配当を守る意識は比較的強い印象がある。
まとめれば、配当で積極的に攻める銘柄ではないが、じっくり持って毎年受け取るスタイルが成立する水準にはある。高配当株で生活を支えるような投資ではなく、成長と回復の波とセットで楽しみながら、配当はあくまで「保有の副産物」と考えるタイプに向いている。利回りは小さくないが、大きな期待をかけるより、企業の調子を見ながら長く付き合うような持ち方が合う銘柄に見える。
今後の値動き予想!!(5年間)
ファーマフーズの株価749円は、過去の利益ピーク時と比べて評価が落ち着いた位置にあるため、ここからの5年は「再び評価されるか」「低迷のままか」の分かれ目になる。業績が波打つ企業なので、株価も同じように上下していく可能性が高く、一本調子で伸びるタイプではなく、業績と市場評価のバランスの中でジグザグに進むイメージが近い。
良い未来をたどるなら、育毛剤・機能性素材・サプリメントが再び伸び、利益が24.7期水準に戻るケースが考えられる。EPSが100円台に安定し、ROEが二桁に乗るような状態が続けば、市場は成長ストーリーを再び評価しやすくなり、PERも高値帯の18倍前後が意識される。そうなると株価は5年で1,300〜1,700円台まで見直される可能性があり、倍近い水準に戻る展開もシナリオとしては成立する。
一方で、中間の現実的なケースでは、利益は回復と調整を繰り返しながらも一定レンジに収まり、成長も失速も決定打にならず静かに推移する。EPSが50〜90円の間で行ったり来たりし、PERも10〜14倍程度の範囲で評価されるなら株価は800〜1,100円あたりが居心地の良い帯となり、上にも下にも振れるが大きくは崩れない。5年間保有してもその間に戻り売りや買い増しのタイミングを取れればリターンは拾えるタイプで、価格が動いた瞬間に対応できる投資家に向いている。
悪い場合は、利益の戻りが弱いままか、競争や広告費高騰で利益率が再度沈むケースで、EPSが一桁〜数十円の年が続くとPERは市場の最低水準に近づき、700円台は維持できず、450〜650円で長期的に漂う可能性がある。上ではなく底値に張り付くと株価は動かなくなり、資金効率としては魅力が薄れる。この場合は成長期待で買った投資家が徐々に市場から離れ、回復を信じて長く握る層だけが残る形になる。
まとめると、ファーマフーズの未来は「リスクも余地もどちらも持つ株」で、今はその中間地点にいる。成長に再び火がつけば株価は倍近くまで戻る可能性があるが、火がつかなければ横ばいや低空飛行も十分あり得る。5年という時間軸で考えるなら、成長に賭けるなら面白く、安定を求めるだけなら必ずしも優先候補とは言えない。数字は弱くないが、安定とはまだ言い切れず、これからの決算が方向を決める鍵になる。
この記事の最終更新日:2025年12月5日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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