株価
ユーグレナとは

ユーグレナは、食品メーカーでも化粧品会社でもなく、まして燃料会社だけでもないというかなり独特な立ち位置の企業で、ミドリムシという微細藻類をコアに事業を多方面へ伸ばしている点が最大の特徴。59種類の栄養素を持つミドリムシを食品・サプリ・飲料へ応用しつつ、その一方でミドリムシ由来のバイオ燃料を航空機や車両で実証まで進めているという会社は、世界的に見ても例が少ない。研究開発型のベンチャーとして始まり、現在は一般消費者向けの商品も多く、市場に存在感が広がってきたフェーズにある。
とくに注目されるのは、バイオ燃料「SUSTEO(サステオ)」による社会実装。いすゞ工場バスでの運用から民間機HondaJet、政府専用機まで使用が拡大しており、実験段階から実用段階へ移行しているのが分かる。燃料の原料の90%が使用済み食油、10%以下がミドリムシ油脂という点は、廃油リサイクルと生物由来エネルギーを掛け合わせた循環型モデルで、国が掲げる脱炭素政策とも相性が非常に良い。今後 400倍規模での商用プラント建設という構想が現実化すれば、同社の事業規模は大きく跳ねる可能性がある。
一方で、食品・サプリ市場では「からだにユーグレナ」「B.C.A.D.」「パラミロン580」など、継続性を意識したブランド展開を行い、健康志向の高い層を取り込んでいる。加えてキューサイを傘下に持つことで青汁など中高年層向け販路も手に入れ、研究型企業から“事業を稼ぐフェーズ”へと軸足を移しつつある。つまり今のユーグレナは、食品・化粧品で土台を作りながら、バイオ燃料が未来の第二成長エンジンになるかどうかを試している最中とも言える。
競争面では他社も藻類燃料に参入しているが、同社は培養技術と実証段階の積み重ねで先行優位を持っていると見られている。ただし燃料が本当にビジネスとして成立するには、「量産・価格競争・政策支援」の3つが揃う必要があり、成長の加速には時間がかかる可能性もある。数字に表れる収益化はこれからの勝負で、投資家としては“研究成果が事業に落ちる瞬間を掴む”ことが一つの視点になる。
総じてユーグレナは、今は過渡期であり挑戦段階にある会社。安全で安定した成熟企業ではなく、将来の伸びしろが読める分だけリスクも伴う。だがもしバイオ燃料が商用化まで走りきれば、ただの食品メーカーでは終わらない。健康×バイオ×エネルギーという3つの未来市場を一度に握りにいく企業であり、その可能性の大きさこそ、この会社が注目される理由だと思う。
ユーグレナ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(EPS) | 一株配当 |
| 連20.9 | 13,317 | -1,807 | -1,457 | -1,486 | -16.0 | 0 |
| 連21.12変 | 34,420 | -6,565 | -6,354 | -5,038 | -49.1 | 0 |
| 連22.12 | 44,392 | -3,455 | -2,489 | -2,672 | -23.8 | 0 |
| 連23.12 | 46,482 | -1,464 | -1,419 | -2,652 | -22.8 | 0 |
| 連24.12 | 47,618 | 300 | 431 | -650 | -4.9 | 0 |
| 連25.12予 | 50,000 | 2,800 | 2,200 | -700 | -5.1 | 0 |
| 連26.12予 | 51,500 | 3,200 | 2,800 | 300 | 2.2 | 0 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位百万) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
| 2022 | 924 | 1,233 | -2,993 |
| 2023 | 658 | -646 | 5,828 |
| 2024 | 2,645 | -7,990 | -485 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
| 2023 | -3.2% | -13.2% | -4.5% | ― | ― |
| 2024 | 0.6% | -2.1% | -0.9% | ― | 1.75倍 |
| 2025予 | 6.8% | -1.3% | -0.6% | ― | ― |
出典元:四季報オンライン
投資判断
ユーグレナは、数字だけを見るとまだ本格的な収益フェーズに入れていない企業だと分かる。売上は464億 → 476億 → 500億 → 515億と緩やかに増加しており、市場からの需要や事業規模が縮んでいる気配はない。ただ、その売上の伸びに対して利益が追いついておらず、23.12は営業利益 -14.6億、24.12でようやく3.0億と黒字転換はしたものの純利益は依然赤字。その後25.12予では営業利益28億を見込んでいるが純利益は -7.0億予想と改善にブレーキがかかり、26.12でようやく3.0億黒字見通しという流れになっている。つまり、まだ利益が安定して積み上がる段階には達しておらず、「回復途中」という言葉が最も正確な表現になる。
利益率もその状況を示している。営業利益率は -3.2% → 0.6% → 6.8%と推移し、収益化体制が整いつつあるように見える一方、ROEは -13.2% → -2.1% → -1.3%と依然マイナス圏が続いており、株主資本を効率的に回せていない。ROAも -4.5% → -0.9% → -0.6%と改善幅が小さく、企業全体として利益が薄い構造のまま。つまり売上が伸びてきた一方で、利益を生み出す体質がまだ十分に作られていないということになる。投資判断としては、黒字が定着していない以上「強気で買える状態ではないが、将来に賭ける余地は残っている」という結論に落ち着きやすい。
ただ、ユーグレナという企業の面白さは、数字の裏側にある事業の独自性にある。ミドリムシという極めて特徴的な素材を扱い、食品や化粧品という日常消費領域から、バイオジェット燃料という未来産業まで視界に入れている企業は他にほとんど存在しない。「数字は弱いが夢は大きい」という典型的な研究開発型ベンチャーの形で、短期利益よりも先にある巨大市場を見て動いている。投資家にとっては、すぐ配当を生む資産株ではなく、成功すれば大きく跳ねる可能性を秘めた長期テーマ株という位置づけだろう。安定を求める人には向かないが、将来の事業確立と利益化に賭ける人には一考の価値がある。
数字から言えるのは、まだ結果が出ていないという現実と、改善の兆しがわずかに見え始めているということ。未来に期待して買うのか、安定性を重視して見送るのかをユーグレナはその選択が投資家のスタイルを問う銘柄だと感じられる。短期の利益より、未来への可能性に重きを置くかどうかが判断の分岐点になる。今はまだ「伸びるかもしれない途中段階」にいる企業である。
配当目的とかどうなの?
ユーグレナを配当目的で見ると、現状では評価はかなりシンプルで、配当利回りは連25.12と連26.12ともに0.00%であり、株主に利益を還元するフェーズにはまだ入っていない。利益が安定しない年が続き、黒字化が見えてきたのは本当に最近で、研究開発・燃料実証・設備投資などに資金が必要なステージの企業という印象が強い。
つまり、利益が出てもそれを配当に回す余裕があるかと言われるとまだ疑問で、むしろ内部留保や技術投資に使われる可能性のほうが高い。配当収益を期待して買うなら不向きで、そもそも「配当で稼ぐ銘柄」ではなく「未来への研究成果に賭ける銘柄」と考えるほうが自然。
ただ、配当がないということは悪い意味だけではなく、企業がまだ成長を求めて動いている証とも言える。バイオ燃料やミドリムシ由来素材のマス実用化が本当に進めば、将来復配や業績の大きなジャンプが起こる可能性もゼロではない。
つまり、今の段階は投資家に還元するよりまず未来を作るフェーズで、配当目的というよりは夢・技術・可能性を信じて長く持つタイプの企業。安定配当で毎年現金がほしい投資家には向かないが、挑戦の先にある成功を狙って時間を味方にできる人には十分候補になり得る。配当は期待せず、将来値上がりのストーリーを描けるかどうかで判断する銘柄。
今後の値動き予想!!(5年間)
ユーグレナの株価は現在397円。5年後を見据える場合、この銘柄は「安定配当株」「低PBR資産株」とは真逆で、研究開発と夢への期待値で買われるタイプであることを理解しておいた方がいい。売上は右肩に伸びているとはいえ利益はまだ安定しておらず、黒字化もようやく視界に入ってきた段階。つまり今の株価は、実績よりも未来への可能性をどれだけ信じられるかで評価が変わる銘柄と言える。だからこそ5年スパンでは上下のレンジが非常に広くなる。
良い場合は、バイオ燃料や藻類技術が環境政策と噛み合い、サステオブランドが社会実装まで進めば株価は700〜1,200円まで大きく見直しの余地がある。特にESG資金が再び流れ込む局面や、航空燃料の規制強化とタイミングが重なったときは投機的な買いが集まりやすく、テーマ株として一気に評価が跳ねる可能性すらある。ユーグレナは夢が現実に変わる瞬間が来れば跳ねる銘柄で、そこに5年という期間の妙味がある。
中間のシナリオでは、燃料事業は進展しつつも黒字貢献が本格化しないまま、化粧品・健康食品のEC軸で売上を積む流れ。少数アイテム集中型のモデルのため一度伸びると強いが、逆に伸び悩むと鈍いという特徴がある。この場合は株価は400〜650円のレンジでゆっくり波を描くように推移するだろう。期待で買う投資家が多い分、数字が平凡だと市場はすぐ冷める。それでも売上が維持される限り致命的な崩れは起きづらい。
悪い場合はシンプルで、黒字転換が遅れるか再赤字化したとき。研究開発費の負担が重すぎる、燃料商用化の時期が遠のく、競合が先を行くなどが起きると、期待が剥がれ株価は200〜310円台へダラ下がりになる可能性がある。特に再増資リスクが意識され始めた瞬間の下落は速く、投資家心理が一度壊れると戻りに時間がかかるタイプ。つまり「夢が続くこと」自体が株価維持の燃料になっている構造。
総じてこの株は、配当を貰いながらのんびり持つタイプではなく、ストーリーが動くタイミングを待つ投資。燃料が商用ベースに乗り始めたとき、機関投資家は一斉に買い戻すし、そうなると個人が飛び乗る余地も出る。逆に、忍耐が必要で、途中でストーリーが止まると退屈な時間が長い。5年保有できる人にとっては、宝箱にも鉄くずにもなり得る銘柄。こういう株は「買う・待つ・信じる」ができる人向けとも言える。
この記事の最終更新日:2025年12月5日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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