株価
スター・マイカ・ホールディングスとは

スター・マイカ・ホールディングス株式会社は東京都港区虎ノ門に本社を置き、東証プライムに上場している不動産会社グループの持株会社である。1998年創業、2019年に持株会社体制へ移行し、以降はグループ全体の経営戦略を統括しながら事業拡大を進めている。中核を担うのは100%子会社のスター・マイカ株式会社であり、そのほかスター・マイカ・アセットマネジメント株式会社、スター・マイカ・レジデンス株式会社、スター・マイカ・プロパティ株式会社などの関連会社で構成されている。これらの子会社がそれぞれ仕入れ、改修、販売、賃貸管理、投資、アドバイザリーといった役割を担うことで、不動産流通と再生の分野に特化した事業をグループ一体で運営している。
主力となるのは中古区分所有マンションを対象としたリノベーション事業で、賃貸中の物件も含めて買い取り、退去が発生するまで保有し賃貸収益を得ながら、退去後に改修を施して再販するというビジネスモデルを確立している。単に安く買って高く売るだけではなく、住まいとしての価値を高めて流通に戻すことで、中古住宅市場に新たな循環と質の向上をもたらしている点が特徴である。現代は新築住宅を大量供給し続ける時代から、ストックされた住宅を活かす時代へ移りつつあり、少子高齢化や労働人口減少、建築資材の高騰といった社会背景も相まって、既存住宅の再生はますます重要性が高まっている。スター・マイカはこの潮流をいち早く読み取り、市場の成長より先に仕組みを整えてきた先駆的企業と言える。
中古マンション市場は日本では欧米と比較して整備が遅れていると言われるが、国の政策としても流通活性化が掲げられており、今後の市場拡大余地は大きい。そこへ継続的に良質な中古マンションを供給していくことで社会全体に貢献できると同社は考えている。つまりただの不動産会社ではなく「住宅資源を活かすサイクルを回す企業」という立ち位置であり、作る社会から活かす社会へ、というメッセージを掲げて活動している。
また同社は不動産ファンド組成や事業会社への投融資といったインベストメント事業にも力を入れており、自社で保有したマンションを信託受益権として流動化させるなど、不動産の資産価値を金融面から活かす取り組みも進めている。再生した物件を販売するだけでなく、賃貸管理や仲介、コンサルティングなどアドバイザリー業務も展開することで、手数料収入を確保しつつ継続的な収益基盤を形成している。仕入れから運用、販売、管理、投資まで一気通貫で扱える点は大きな強みで、単発の売買ではなく流動化と循環によって利益を生み出し続ける仕組みを持っている。
このようにスター・マイカ・ホールディングスは中古マンションの再生と流通を軸とし、持続性ある住宅市場づくりを掲げながら、不動産資産を活かすビジネスモデルで成長している企業である。人口縮小・環境制約・新築供給のコスト上昇といった時代の課題に対し、既存住宅を活かすことが社会全体の利益につながるという理念のもと、今後も着実に市場に価値を提供し続けていくとみられる。
スター・マイカ・ホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(EPS) | 一株配当(DPS) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連20.11* | 39,568 | 3,281 | 2,496 | 1,729 | 47.4 | 16 |
| 連21.11* | 36,897 | 4,286 | 3,688 | 2,402 | 65.0 | 16.5 |
| 連22.11* | 48,211 | 6,098 | 5,418 | 3,709 | 107.2 | 19.5 |
| 連23.11 | 48,877 | 4,846 | 3,921 | 2,664 | 79.6 | 20 |
| 連24.11 | 55,849 | 5,524 | 4,607 | 3,106 | 93.0 | 23 |
| 連25.11予 | 64,500 | 6,700 | 5,400 | 3,700 | 109.0 | 30 |
| 連26.11予 | 70,000 | 7,300 | 5,900 | 4,100 | 120.8 | 30〜32 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2022 | -4,593 | -309 | 4,901 |
| 2023 | -1,761 | -63 | 2,914 |
| 2024 | -5,269 | -56 | 3,030 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 9.9% | 11.4% | 2.8% | ― | ― |
| 2024 | 9.8% | 12.2% | 3.0% | PER実績 高値8.4倍 / 安値5.9倍 | 1.42倍 |
| 2025(予) | 10.9% | 17.2% | 4.2% | PER予想 9.58倍 | ― |
出典元:四季報オンライン
投資判断
スター・マイカホールディングスの業績を見ると、売上・営業利益・経常利益・純利益はいずれも直近の数年間で着実に増加しており、特に2025年と2026年にかけての伸びが強い。23年度の売上高は488億円、営業利益48億円、純利益26億円と安定した水準だったが、24年度は売上558億円、営業利益55億円、純利益31億円へと増加し、さらに25年度は売上645億円・営業利益67億円・純利益37億円予想、26年度は売上700億円まで拡大見込みと、右肩上がりの成長トレンドが続く。単なる増収ではなく営業利益率も23年度9.9%から24年度9.8%、そして25年度予想では10.9%まで改善しており、売り上げを取るだけでなく利益もしっかり確保している点は評価できる。企業によっては外部環境に左右され売上だけ伸びて利益率が落ちるケースも多いが、この企業は利益率を保ちながら売上を伸ばしており、事業構造が比較的強く収益性に優れていることがうかがえる。
収益性を象徴する指標であるROEを見ても23年11.4%、24年12.2%、25年予想17.2%と改善が続いている。特にROE17%は市場平均を大きく上回り、株主資本を効率よく回して利益を生み出している証拠であり、これだけでも投資対象として十分魅力があると言ってよい。ROAも23年2.8%、24年3.0%、25年予4.2%と改善しており、資産運用効率も向上している。ROEだけが高くROAが伸びない企業は過度なレバレッジの可能性があるが、両方が伸びているのはプラス要素と考えられる。
バリュエーション面を見ると2024年のPERは高値平均8.4倍、安値平均5.9倍と市場評価はわりと落ち着いており、PER水準としては成長企業にしては割安寄りといえる。25年度予想でもPER9.5倍程度で、利益成長と比較すると過熱感はなく、むしろ今後の収益拡大を織り込み切っていない可能性がある。PBRも2024年実績1.4倍となっており、資産価値の観点でも過度に割高とは言い難い。特に利益成長が継続しROEが高いまま維持されるならば、今のバリュエーションは魅力的で、株価が割安に放置されている可能性もある。
ただし利益は増えているものの、不動産セクターである以上、金利上昇や市況悪化の影響を受けやすく、外部環境によっては利益率や販売速度が揺らぐリスクも残る。特に中古マンション市場は国策で整備が進む一方、金融環境が締まると買い手の資金調達が難しくなるため、今後の政策・金利動向には注意が必要である。しかし数字だけで見る限り、売上と利益の伸び、利益率の改善、ROEの急伸、PBRの低さ、PERの割安性など複数のポイントがポジティブに揃っており、短期トレードよりも中長期の保有に向いた成長株として評価できる。利益が伸び続け、ROEの水準が維持できるなら、株価水準が見直される余地も十分にあると判断できる。
まとめると、この企業の現状は「売上・利益は増え続け、収益性は改善、ROEとROAは明確に上昇、PERとPBRは割高感なし」という条件が揃っており、数字だけを評価軸とした場合、投資妙味は高く買い寄りの中長期向け銘柄と判断できる。市場や金利環境が大きく崩れない限りは今後も業績成長が続く可能性が高く、株価の見直しが進む局面が来れば評価が一段引き上がる余地があるように見える。
配当目的とかどうなの?
スター・マイカホールディングスを配当面で眺めると、予想配当利回りは2025年・2026年ともに3.04%で横ばいの水準となっており、日本株の平均利回りと比較すれば明らかに高めで、配当目的としても一応成立するラインにはある。高配当株と強く言い切れるほどではないが、決して低くはなく、むしろ利益の伸びと合わせて考えるとバランスが良い利回りといえる。
売上・利益・EPSが右肩上がりで成長している中でこの3%台が維持されていることは、ただ利回りが高いだけの成熟株や、無理に配当を出している企業とは違い、事業の成長に裏付けられた配当であるという点で安心感につながる。配当を出す余力があり、なおかつ利益が伸びている会社は、将来的に配当が増えていく可能性も自然と高まる。
ただし配当利回りそのものだけを目的にするのであれば、より高い利回りを持つ銘柄は他にもある。3.04%は充分魅力的ではあるが、5%前後の利回りを出す高配当銘柄と比較すると「配当収入を最優先で求める場合のトップ候補」とまでは言い難い。だがこの銘柄の本質はそこではない。業績は伸びている、EPSも伸びている、ROEは17%に迫る勢いで改善している、PERは8〜9倍台で割高感は薄く、PBR1.4倍で資産バリュー的にも極端に高くない。
こうした数字は、ただ配当を受け取るためだけで持つ株ではなく、成長と値上がり益、そして中長期的な配当の伸びまで期待しながら持つ株であることを示している。今の利回りだけを見ると「まあ悪くない」レベルだが、利益成長とROE改善が続くなら、配当が将来的に引き上げられるシナリオは十分現実的で、今後の株価見直しのタイミングと重なればキャピタルゲインも狙えるタイプだと思う。
つまり配当だけを目的に買う株というより、配当を受け取りながら企業の成長と株価上昇を一緒に楽しむ銘柄という位置づけがしっくりくる。年率3%台の利回りで手堅い受け取りをしつつ、数年先の増配や株価の評価見直しまで見ていられるなら、長期的な配当再投資にも向く。”配当が欲しいから買う”ではなく “成長と配当の両取りを期待して持つ” 銘柄。もしあなたが短期で利回り重視なら物足りないが、中長期で育てる投資を選ぶなら非常に良い候補になると思う。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在値は1,214円。もし今後5年間、会社の利益成長が続き、ROEが高い状態で維持されるなら、株価は市場評価の見直しが入る可能性がある。PERが今の水準で推移するか、または成長力に応じて見直されるかで方向性は変わるが、事業が安定して伸びていく会社は、時間と共にEPSや配当額が増え、それに株価が追随していくケースが比較的多い。逆に不動産市況悪化や金利上昇が重なれば利益成長が鈍り、株価が低位で停滞、もしくは下振れるリスクもある。そこで5年後の値動きを3つの姿で整理すると次のようなイメージになる。
良いシナリオでは、売上と利益が順調に伸び続け、EPSも配当も増加し、市場が成長力を評価し始めるケース。PERが今より高めに評価され、仮に12〜14倍程度まで見直されると、5年後の株価はおおむね1,800円〜2,300円前後という未来も十分あり得る。増配が進めばさらに再評価され、2,500円台に届く可能性すらある。これは業績の一貫した増加とROEの維持、そして不動産市場の活況や低金利環境が続いた場合に近い。
中間のシナリオでは、利益は伸び続けるが劇的な拡大ではなく、PERは今と大きくは変わらず、株価は業績の伸びに比例してゆっくりと上方向を目指すパターン。EPSの成長に合わせ株価が年率数%ずつ上昇していけば、5年後には1,400円〜1,650円程度に収まる可能性が高い。増配余地も多少あるため、配当を受け取りつつ長く持つ投資としては悪くない成果になる。
悪いシナリオでは、不動産市場が冷え込み、販売が鈍化し、金利負担や外部要因によって利益率が低下するケース。この場合、EPSが伸びずPERも上がらず、むしろ5〜8倍台で評価され続ける可能性もある。その時は株価は停滞、場合によっては調整し、5年後でも1,000円前後、下手をすると900円台のまま動かないパターンも否定できない。業績の伸びが止まれば市場評価も止まり、株価が長期間横ばいになる典型的なシナリオだ。
まとめると、今の1,214円から5年後の姿は、成長が続けば2,000円越えも見えるし、普通に伸びるなら1,400〜1,600円台、逆風なら1,000円割れのリスクもある。評価の鍵は「利益が延びるか」「市場がその価値を認めるか」の二つだけで、EPSとROEが維持できるなら中長期の保有は報われやすい銘柄だと考えられる。
この記事の最終更新日:2025年12月6日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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