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グンゼ(3002)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

グンゼとは

グンゼ株式会社は、1896年(明治29年)8月10日、京都府何鹿郡(現・京都府綾部市)において「郡是製絲株式会社」として設立されたのが起源である。創業当初は絹糸の製造・販売を主業務とし、生糸の輸出などを手がけていた。その後時代の流れとともに事業領域を拡大し、肌着・インナーウェア、ストッキング、レッグウェア、ハウスカジュアルといった衣料品の製造・販売を行うようになり、日本国内における下着およびストッキング分野の代表的なメーカーとなった。

さらに、繊維製品メーカーの枠を超えて、機能素材・素材加工分野への進出を図るようになり、プラスチックフィルムやエンジニアリングプラスチックス、メカトロニクス等を含む「機能ソリューション事業」を展開。この機能ソリューションのひとつであるプラスチックフィルム事業では、飲料ボトルのラベル用シュリンクフィルムや食品包装用のフィルム、防曇フィルムなど、日用品や食品の包装用途に使われるフィルムを製造・販売し、日本国内において高い市場シェアを持つ。

また、近年では医療分野への展開も強めており、「メディカル事業」として、生体吸収性縫合糸、骨接合材、人工真皮や人工硬膜、吸収性組織補強材などの医療材料を製造・販売。グループ子会社であるグンゼメディカル株式会社が医療機器の販売や医療材料の流通を担っており、外科手術用の器材や医療材料を国内外に提供している。さらに、同社は「ライフクリエイト事業」も手がけており、商業施設の開発・運営、スポーツクラブの運営、造園・緑化、太陽光発電、不動産関連事業など、多岐にわたるサービスおよび生活関連事業に取り組んでいる。企業の基本情報として、グンゼの資本金は約 261億円で、2025年3月末時点の連結従業員数は4,339名(単独 1,401名)である。

グンゼは、「衣料品メーカー」としてスタートしたが、長年の歴史を通じて技術開発・素材開発・加工技術を蓄積し、それを活かして機能性フィルム・プラスチック・医療材料などの製造に進出。さらにサービス業、不動産、施設運営なども取り込むことで、「単なるアパレル企業」の枠を越えて、多様なビジネスモデルをもつ多角企業へと進化してきた。まとめると、グンゼは「繊維 → 衣料 → 素材・機能 → 医療・生活サービス」という長い歴史と事業拡大の過程を経て、今や衣料も医療材料も、包装資材も、不動産や施設運営も手がける“多角ソリューション企業”となっており、時代や社会の変化、顧客の多様化に合わせて柔軟に進化を続けている企業である。

グンゼ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株当り配当(円)
連23.3* 136,030 5,812 6,021 4,501 130.7 73.5
連24.3* 132,885 6,777 6,774 5,109 150.6 76.5
連25.3* 137,117 7,921 8,180 6,279 189.7 195特
連26.3予 140,000 8,500 8,300 2,800 86.2 216特
連27.3予 140,000 9,500 9,000 7,000 215.5 216特

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位百万) 営業CF 投資CF 財務CF
2023 1,794 -5,920 1,007
2024 10,409 -190 -11,347
2025 11,572 -7,485 -5,184

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 4.2% 3.8% 2.7%
2024 5.0% 4.3% 3.1%
2025 5.7% 5.2% 3.9% 高値平均 17.6倍 / 安値平均 13.6倍 1.20倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

グンゼの業績を数字だけ見ていくと、まず売上は1328億 → 1371億 → 1400億と非常に緩やかだが確実に増えている。急成長ではないが安定して底割れしにくいタイプの数字で、成熟企業らしい動き。営業利益は67億 → 79億 → 85億と増加しており、利益率も4.2% → 5.0% → 5.7%と改善している。大きな飛躍は無いが利益率の改善は企業努力の成果と読めるので評価ポイント。固定費削減や収益性の高い事業比率が上がっている可能性が高い。

ただし気になるのは純利益で、51億 → 62億と伸びていたのに予想では28億と半減している点。営業利益と経常利益は増えているのに最終利益だけ落ちているのは、特損・為替・減損・税効果など最終段で大きな費用が発生している可能性がある。一時的理由か構造的悪化かで判断は180度変わるため、本来ならその背景を掘らないと確定的な投資判断は危険。ただし数字だけ見るならここは短期的なダウンリスクとみなすべき。

ROEは3.8% → 4.3% → 5.2%、ROAは2.7% → 3.1% → 3.9%とやや改善傾向。まだ魅力的とは言いにくく、10%以上を狙える企業と比べると資本効率は低い。資本が重い体質とも読めるが、それでも毎年改善しているという点は前向き。もし今後ROEが6~7%台に乗るなら市場評価も変わる余地がある。

株価バリュエーションを見るとPERは13.6~17.6倍、PBR1.2倍。割高感はなく、かといって飛びつきたくなる割安水準でもない。そのため決め手は利益成長が続くかどうか。営業利益率が改善している以上、本来なら利益も伸びて株価も評価されていくシナリオが描けるが、26.3予で純利益が減るため市場は慎重な目線で評価してくるだろう。株価が下押しすればPERも低下し、一時的割安局面が来る可能性がある。

一方で配当は76.5円 → 195特 → 216特と急伸しており、株主還元姿勢は相当に強い。最終利益が落ち込んでも増配姿勢を維持できているなら、株主還元を軸に評価される可能性はある。成熟企業の典型的な投資テーマとして「高配当・安定利益・成長は緩やか」という形に近づきつつあると考えられる。

まとめると、営業利益・利益率・ROE・ROAは改善、株主還元も強い。一方で最終利益が落ちる予想は明確な不安材料。純利益が戻るなら買い、戻らないなら慎重、という二面性がある。よって判断としては「成長期待で攻める銘柄ではなく、押し目で拾い中長期で配当と緩やかな成長を狙うタイプ」。リスクを承知で安く買い、利益回復が見えたら評価が伸びる余地を狙うのが現実的な戦略といえる。

配当目的とかどうなの?

予想配当利回り(2026・2027年度)が5.23%という数字を見ると、今のグンゼは配当株として十分に成立する水準にいると言える。4%台なら普通、5%を超えると高配当として意識され始める。しかも連26.3、連27.3どちらも同水準の5.23%予想で、単年だけでなく翌期も同じ利回りを掲げているというのは、企業側が配当を一時的なボーナスではなく、継続的な株主リターンとして位置付けているように映る。市場に対し「私は配当で返す会社です」と宣言しているような状態とも言える。

ただ配当目的で考えると、利回りが高いこと自体はプラスだが、それが本業の利益成長に支えられたものか、特別な事情で跳ねているだけなのかによって意味が変わる。もし利益の成長とともに増配しているなら長期で安心して持てる。でも利益が伸びていない、あるいは下がる局面で配当水準が維持されているなら、それは「今がピークで後から調整される可能性」もゼロではない。グンゼは連26.3の純利益が落ちる予想になっているので、そこが少し引っかかる点になる。利回りは良いのに最終利益が縮むという構図は、長期で見た時に減配リスクが頭をよぎるのも当然で、この5%超がずっと続くと期待して買いに行くのは慎重になった方がいい。

ただ逆に言えば、成熟企業が配当利回り5%台で推移しているというのは、配当を目的とした投資家にとっては魅力的な入り口になる。株価が大きく伸びるとは期待せず、資産を置いておき配当を受け取り続けるという運用なら相性は良い。急成長株で含み損やボラティリティに耐えるより、こうした企業を安くなったときに拾って静かに持ち続けるという方法は現実的な選択肢だと思う。特に定期収入としての配当を重視する投資スタイルなら、検討対象には十分なる。

つまり、グンゼは「今後テンバガーになる夢を買う銘柄」ではなく、「落ち着いて配当を取る銘柄」。その代わり、入口の株価次第でリターンは大きく変わる。利回りだけ見れば悪くないが、本当に配当を目的に買うなら、できるだけ安く手に入れて利回り6%近くで握れる位置が理想に近い。PERや利益の動きに注意しつつ、弱いタイミングで淡々と拾い、数年保有して配当を受け取る。そういう静かな投資に向いている会社だと思う。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在値4,125円という位置から5年後を想像すると、グンゼの未来は株価が一気に倍を狙うような高成長銘柄というより、成熟した企業としてゆっくり伸びていくか、大きく動かず横に流れながら配当を受け取る形でリターンが積み上がるか、あるいは業績次第で下へ沈む可能性も残るという、落ち着いた企業特有の三つの道が考えられる。営業利益率は4.2%から5.7%まで改善しており、ROE・ROAも底を切り上げているため、決して衰退企業ではなく、数字を見る限りはじわじわと力を付けている会社という印象だ。ただし成長速度は派手ではなく、手触りのある改善が積み重なっているタイプの企業だと感じる。

もし良い未来を描くなら、利益が再び伸び、純利益も回復することで市場評価が戻り、PERが17〜18倍近くまで許容される流れになる。営業利益率がさらに上がり、配当も維持または微増で続くなら資金は戻りやすい。5年後、株価が4,800〜5,500円の範囲に収まり、さらに配当利回り5%台の複利が効いて資産が緩やかに増える。華やかではないが気づけば成果が積み重なっている、そういう静かな幸福を感じる投資になる可能性がある。

もっと現実的な中間の未来では、利益が伸びたり停滞したりを繰り返しながら推移し、ROEは5〜6%程度、PERは13〜15倍あたりで揺れながら株価は4,000円前後で長く動きづらい状態になるかもしれない。それでも配当利回りが5%前後で維持されているなら、株価が横ばいでも毎年の現金収入を積み上げることで総合収益はプラスになりやすい。刺激は少ないが安定して資産が増えるタイプで、静かに積もる雪のように利益が厚みを増していく。こういう銘柄は短期で売買するより、落ち着いて保有し続ける投資家に向く。

一方で悪い未来も考える必要がある。純利益の低下が一時的でなく続く場合、配当余力が痩せ、現在の水準を維持できない可能性がある。市場はそうした企業を容赦なく割安に扱うため、PERは12〜13倍へと評価が沈み、株価は3,000〜3,500円帯までもぐり込む場面があっても不思議ではない。ここで配当維持ができればまだ救いがあるが、減配が続けば高配当銘柄としての魅力は薄れる。配当狙いの投資家が手放しに動けば、下落に拍車がかかる可能性さえある。

この三つの未来をまとめて眺めると、グンゼは「買う価格がほぼすべて」を物語っている。利回り5%は魅力だが、高いところで買えばリスク優位ではない。逆に調整局面で拾えれば利回り6%近くも狙え、配当が積みあがる速度が変わる。成長株のように夢を追うのではなく、堅実な配当キャッシュフローを受け取りながら持ち続ける投資の方が向いているタイプだと感じる。

つまりグンゼとは、静かな雪が積もっていくように、ゆっくりと資産が厚みを増す投資になる可能性が高い銘柄だ。5年後に劇的な株価変動は期待しない代わりに、配当がじわりと利益を作り出す。良い未来なら株価も緩やかに増え、中間なら横ばいでも配当で報われ、悪い場合は配当が支えになる可能性も残る。どの未来でも入口価格で景色は変わるが、落ち着いて長く向き合うなら悪い選択ではない。

この記事の最終更新日:2025年12月6日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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