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ソリトンシステムズ(3040)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ソリトンシステムズとは

株式会社ソリトンシステムズは、東京都新宿区に本社を置き、ITセキュリティ製品、リアルタイム映像伝送技術、組み込みシステムなどを開発・販売する独立系メーカーである。認証基盤やアクセス制御を中心としたセキュリティ対策ソフトとシステム構築が事業の柱で、映像伝送システムや人感センサー、特殊デバイス分野にも技術を広げている。開発力へ評価が高く、技術志向の企業色が強い。

ルーツは創業者・鎌田信夫氏のシリコンバレー経験にあり、東京工業大学博士課程修了後、1970年代にインテル社で働いた後、「日本の良さとアメリカのスピードを併せ持つ会社」を目指したことが出発点となった。ジャーナリストや大学教授、研究者など、11人の博士を含む37名の出資により1979年に設立され、創業初期はマイクロプロセッサ応用や組み込みシステムの開発、技術トレーニングなどを行っていた。黎明期からLAN・デバイスドライバ開発・ISDN基板の設計にも取り組み、大規模ネットワーク構築にも関わるなど、日本にネットワーク技術が普及する以前から基盤技術に携わっていた。

現在は認証基盤や端末管理、アクセス制御を中心としたITセキュリティ製品が中核にあり、携帯回線を利用した高画質リアルタイム映像伝送システムなども展開。アナログとデジタル回路を組み合わせた特殊デバイス・組み込み機器の開発も続けており、ハードとソフトの両面を持つ技術型企業として位置づけられている。製造工場を持たず開発に特化したスタイルで、海外企業との提携が多いことも特徴で、米国シリコンバレーに拠点を持つほか、2021年時点で国内主要都市のほか中国・オランダ・デンマーク・シンガポールにも展開している。

2007年ジャスダック上場、2017年東証一部(現プライム)への市場変更を経て市場からの評価を高めてきた。事業セグメントは主にITセキュリティ事業、映像コミュニケーション事業、特殊デバイス・組込みシステム事業の三本。セキュリティでは法人・官公庁向けの導入が多く、映像では放送局や現場通信用途、組み込みでは産業用途向けの需要がある。工場を持たず開発に集中するモデルで、海外展開と技術開発が成長の鍵になっている企業である。

ソリトンシステムズ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高 営業利益 経常利益 純利益 一株益(EPS) 一株配当
連20.12 16,457 1,866 1,945 1,483 78.3 12
連21.12 17,389 2,367 2,494 1,872 101.1 14
連22.12 19,757 2,036 2,203 1,587 85.7 16
連23.12 19,058 2,608 2,809 1,936 104.6 24
連24.12 18,606 2,043 2,156 1,725 93.1 52
連25.12予 19,900 2,500 2,500 2,000 107.9 52〜54
連26.12予 20,900 2,600 2,600 2,100 113.3 54〜56

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF 投資CF 財務CF
2022 2,298 -305 -252
2023 3,643 -57 -397
2024 2,035 -237 -507

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 13.6% 17.4% 8.5%
2024 10.9% 14.0% 7.4% PER 高値平均17.0倍 / 安値平均9.9倍 PBR 2.87倍
2025 13.5% 17.1% 9.0% 予想PER 18.09倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

ソリトンシステムズの業績を見ると、まず売上は190億から186億へ一度下がったものの、その後199億、209億と再び伸びていく見通しになっており、減速ではなく揺れながら前に進む形を作れている。営業利益も26億から20億へ落ち込みはあったが、翌期には25億、さらに26億へ戻る予想で、利益面でも沈んだままではなく回復の動きを示している。同じく純利益も19億、17億と減少したあとに20億、21億と増えていく流れで、EPSも104円、93円の後に107円、113円と右肩気味に戻っている。数字だけから判断すれば、悪化局面はすでに底を過ぎ、再び利益を積み上げられる状態に戻りつつある企業という印象になる。

利益率と資本効率の数字もそれを裏付ける。営業利益率は13.6%から10.9%と一度落ち、再び13.5%に戻る。ROEも17.4%→14.0%→17.1%と綺麗に回復線を描き、ROAも8.5%→7.4%→9.0%と増えている。これらは企業の力が弱まっているのではなく、揺れながらも収益率と効率を取り戻していることを意味する。単なる売上規模の上下ではなく、利益を生み出す力そのものが復元していると読める動きだ。

評価面を見ると、2024年PERは9.9〜17.0倍のレンジに収まっていて、割安とは言えないが過熱しすぎでもない。そして2025年の予想PERは18.0倍と、利益成長を前提とした少し高めの評価で見られている。PBR2.8倍という数字からも、完全な低評価株ではなく、ある程度の期待と実力がすでに織り込まれていることがわかる。成長が続けば妥当なバリュエーションだが、期待が止まれば評価もすぐに落ち着く可能性がある類の株である。

総合すると、この会社は急成長で株価を飛ばすタイプではなく、利益と効率を回復させながらじわじわ評価を取り戻していく企業に見える。すでに数字は底を抜けつつあり、営業利益率・ROEが再び高い水準へ戻っているのは強み。一方でPERは割安ではないため、ただ持つだけで勝てるほどの余白は大きくなく、今後の利益成長が止まらないことが前提条件になる。数字だけで判断するなら、中長期で静かに育てる投資が向いており、値幅よりも業績回復を信じるタイプの人が持つべき銘柄という位置づけになる。

配当目的とかどうなの?

ソリトンシステムズの配当利回りは25.12期で2.7%、26.12期は2.9%予想と、ほぼ3%に届くかどうかという水準。高配当株と呼べるほどではないが、悪くもない。特に直近で配当が24円 → 52円と一気に増えている点から、企業として株主還元意識が以前より強まっていることは数字が示している。業績が回復傾向にある中で配当を維持・引き上げようとしている姿勢は、今後も安定した分配が期待できるという安心材料にはなる。

ただ、利回り2.7〜2.9%というラインは「配当を主目的に保有するほどのインパクトは弱い」というのも正直な評価。保有してじっと待つだけで大きなリターンが積み上がるような利率ではなく、あくまで成長と株価上昇が主役で、配当は補助的に受け取るものという位置付けになる。つまり配当だけを目当てに買うにはやや物足りないが、成長期待で持ちながら利払いが運ばれてくるなら悪くはない、という中間的な立ち位置の銘柄。

ポイントは配当が増配傾向の途中にあるかどうか。もしEPSが113円→さらに上へ乗っていき、配当性向も維持されるなら利回りは自然と3%台に見えてくる。そうなれば配当投資としての魅力が一段増す。ただし業績が鈍れば増配ペースは止まり、利回りも魅力に欠けてくるため、結局は利益成長が前提で成り立つ配当だと言える。安定的に利益を伸ばせるなら中期保有で配当を積み上げる戦略は成立する。

総合して言うなら、ソリトンシステムズは配当主体で買う銘柄ではないが、成長に賭けながら配当も拾えるタイプ。増配が継続すれば将来は配当株に近づく可能性はあるが、現時点では「配当で食っていく銘柄」ではなく「成長+おまけの利回り」として捉えるのが自然。数字だけ見るなら、配当は魅力の一部であって主軸にはなりにくいという判断になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

ソリトンシステムズの現在値は1,925円。今後5年を考えると、この株は成長が続けば素直に評価が上がっていくが、利益が頭打ちになれば株価はそのまま動きにくく、逆に収益性が落ちれば評価が縮む可能性もある。業績は底を抜けて再び伸びようとしており、EPSも107円→113円予想と回復基調、ROEも17%台へ戻りつつあるため、今はちょうど悪化から回復へ向かう途中の局面にいる株に見える。ここから未来は三つに分かれる。

良い場合は、売上と利益が予定通り増え続け、営業利益率が13%前後で安定、ROEも17%台を維持し、毎年少しずつEPSが伸びていくパターン。この状態なら市場の評価も落ちず、PER15〜20倍あたりで推移しやすい。EPSが120〜140円規模まで進めば、株価は2,400〜2,800円、順調なら3,000円台到達も視野に入る。じわじわと力強く伸びるイメージで、5年で30〜60%ほどの株価上昇が現実的な未来。

中間の場合は、売上は伸びるが利益率は横ばい、EPSも増えるがペースはやや鈍く、ROEが15%前後で落ち着くパターン。市場は成長期待を大きくは織り込まず、PER12〜16倍程度で評価されやすくなる。この場合株価は2,000〜2,300円あたりを中心に推移し、劇的ではないが値崩れもない。配当を受け取りつつ小幅な値上がりで保有リターンを積み上げる展開で、可もなく不可もなくの5年になる。

悪い場合は、利益率が再び低下し、ROEが10%を割るような展開。売上は伸びても利益が出なければ市場の評価は下がり、PERは8〜12倍へ縮小する。EPSが伸び悩めば株価は1,500〜1,700円まで押し戻され、悪条件が重なれば1,400円台もあり得る。成長期待が剥がれると配当利回りでは支えきれず、値戻りが重くなる未来。

この株は大きく跳ねるタイプではなく、利益の伸びと効率の維持が続いた時に評価を取る銘柄。今はちょうど回復の途中にあり、良い未来と中庸の未来どちらへ寄るかが分岐点。伸びれば報われるが、止まれば重い。買うなら「じわじわ成長し続けるなら強い」という前提で見るのが自然で、派手なギャンブルというより、数字と歩幅を揃えてゆっくり上を目指す投資向きの企業という位置づけになる。

この記事の最終更新日:2025年12月6日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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