株価
ビックカメラとは

株式会社ビックカメラは、今でこそ誰もが知る家電量販大手だが、始まりは1968年、群馬県高崎の小さなカメラディスカウントからだった。「安く、早く、多く売る」というスタイルで徐々に存在感を強め、1978年に池袋へ進出。池袋東口・西口の巨大な商圏を足場に一気に知名度を伸ばし、やがて家電・パソコン・ゲーム・オーディオと取り扱いカテゴリーを拡張していった。90年代には家電だけでなく酒類やブランド品、寝具、自転車、食品まで売る総合型へ進化し、単なる家電店ではなく「都市型大型総合店」という独自ポジションを確立していく。
強みは駅前大型店という立地戦略。ヨドバシのように土地を買って建物を持つのではなく、JR駅ビルなど外部施設にテナントとして入り込み、スピードと低リスクで店舗を広げてきた。アクセスの良さは集客力を生み、家電に限らず生活用品までワンストップで揃うため、都市住民から観光客まで客層が幅広い。「とりあえずビックに行けばある」という認識を作れたのは大きい。
さらに拡大路線の裏支えとなったのがM&A。2006年に中古PC・デジタル製品に強いソフマップを子会社化。さらに2012年には当時大手6位だったコジマを連結子会社化し、駅前=ビック、郊外=コジマという二枚看板を整えた。この買収により店舗網は一気に全国レベルとなり、グループ全体の売上規模は業界2位の座に並んだとされる。また中古買取のノウハウを持つソフマップの存在は利益構造に厚みを持たせ、保証が効く新品と価格訴求力の中古を同時に扱える強みとなった。
近年は空港型店舗「Air BIC CAMERA」にも展開し、旅行者・外国人需要にも対応。訪日消費の受け皿になりやすく、コロナ後のインバウンド回復局面では追い風を受けやすい業態ともいえる。またオンラインショップも強化しており、実店舗と連動する「店頭受け取り」や在庫検索など、リアルとネットを融合させたオムニチャネル戦略も進む。都市部の広い人口母数×中古再販×ECの掛け合わせは、今後も収益機会を作りやすい。
ただし競争環境は厳しい。ヨドバシは圧倒的品揃えと物流力、ヤマダは低価格と郊外店舗網が強く、値引き競争が激しい世界で利益率が伸ばしにくいリスクもある。また駅前型ゆえの家賃負担も大きく、景気後退時の来店数鈍化は経費を強く圧迫する可能性がある。一方でブランド・酒・ゲーム・中古・免税と商材が分散しているため、家電需要にだけ依存しないのは安定要素でもある。
総じてビックカメラは、カメラ専門店から始まり家電、生活雑貨、中古、酒類まで取り扱う巨大総合小売へと進化し、池袋を中心に都市型商圏で強さを持つ会社。ソフマップとコジマの傘下化で販売網が広がり、駅前〜郊外〜中古〜空港まで多層的な流通構造を持つことが最大の特徴。競争は激しいが、購買導線の強さと商品幅の広さは依然大きな武器であり、今後はECとの統合がどこまで進むかが成長力を左右するポイントとなる。
ビックカメラ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高 (百万円) | 営業利益 (百万円) | 経常利益 (百万円) | 純利益 (百万円) | 一株益(EPS) | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.8 | 792,368 | 17,863 | 20,808 | 5,765 | 33.2 | 15 |
| 連23.8 | 815,560 | 14,215 | 16,566 | 2,936 | 17.2 | 15 |
| 連24.8 | 922,572 | 24,388 | 26,674 | 13,908 | 81.3 | 33 |
| 連25.8予 | 968,000 | 31,000 | 32,000 | 18,000 | 105.1 | 40 |
| 連26.8予 | 990,000 | 31,300 | 32,300 | 17,000 | 99.3 | 40〜45 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) | 投資CF (百万円) | 財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 10,078 | -11,118 | -13,580 |
| 2024 | 41,994 | -30,073 | -23,659 |
| 2025 | 25,355 | -14,772 | -15,994 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 1.7% | 2.1% | 0.6% | – | – |
| 2024 | 2.6% | 9.1% | 2.9% | – | – |
| 2025 | 3.1% | 10.3% | 3.5% | PER 高値45.6倍 / 安値33.7倍 | PBR 1.58倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の推移を見ると、売上は8155億 → 9225億 → 9680億予 → 9900億予と緩やかに拡大している。家電量販市場は成熟しているが、その中で売上が伸びている点は評価できる。また営業利益は142億 → 243億 → 310億予 → 313億予、経常利益も165億 → 266億 → 320億予 → 323億予と増加基調だが、伸び率はやや鈍化傾向で、25年以降は利益の横ばいが見えてくる。
もっとも改善が大きいのは純利益で、29億 → 139億 → 180億予 → 170億予と大きく伸びている。一株益も17円 → 81円 → 105円 → 99円前後と上昇しており、利益体質の底上げは明らか。一方で26期予想でEPSが少し後退している点はやや不安要素でもある。
収益性の指標を見ると、営業利益率は1.7% → 2.6% → 3.1%と改善傾向だが、小売業としても高収益とは言い難い水準。ROEも2.1% → 9.1% → 10.3%まで戻してきており、資本効率は回復途上。ROAも0.6% → 2.9% → 3.5%と改善している。結論として、利益率は弱いながら改善基調にある企業といえる。
株価指標を見ると2025年の実績PERは高値45.6倍、安値33.7倍、PBR1.58倍。PER30倍超は小売としては割安とは言えず、今後の成長期待が株価にある程度織り込まれている印象。PBRは1.5倍台と妥当レンジで、資産価値比では中立。利益が伸び続ける限り株価は維持・成長可能だが、成長鈍化が出るとPER縮小のリスクが大きい銘柄でもある。
総合的に見ると、ビックカメラは売上・利益ともに回復から成長へ向かっている企業。収益性は低いが改善中で、ROEも10%付近まで回復している点は評価できる。ただしPERは高めで、過度な成長期待を織り込んだ状態にも見える。利益の伸びが続けば株価上昇余地はあるが、伸びが止まれば調整の可能性もある二面性のある銘柄と判断できる。買うなら成長継続を前提に中長期で、成長が鈍化した場合は割高感が意識される点に注意。
配当目的とかどうなの?
配当だけを軸にビックカメラを見た場合、率直に言うと“そこそこもらえるけれど、配当目的一本で飛びつく銘柄ではない”という立ち位置になる。予想利回りは連26.8で2.63%、翌期も2.63%と横並びで、平均よりは少し上だが高配当とは言えない。利回り3.5〜4%台の銘柄がゴロッとあるなかで、配当で資産を増やすという観点では優先順位は中位クラスに落ち着く。
ただし、数字の裏側を見ると印象は少し変わる。純利益は29億から139億へ、さらに180億予想まで伸び、企業の稼ぐ力は回復どころかひと段上のフェーズに入っている。配当も15円→33円→40円と増配基調で、利益が伴ったうえでの増配なら安心感がある。利回りそのものは派手でないが、「減配しにくい体質になりつつある配当」という見方をすれば、安定配当銘柄としての魅力はある程度評価できる。無理に利回りだけで戦っていないぶん、業績とのバランスが取れている。
とはいえ、収益力はまだ十分とは言えず営業利益率は3%前後。小売・量販という競争が激しい業界で価格競争が続いたり、消費マインドが冷え込めば利益は簡単に削られ、配当余力も影響を受ける。つまり「今の利回りが低いのではなく、利益率がもう一段伸びないと利回りが高まらない」という構造がある。3%台後半まで利回りが上がってくるなら、配当株としての存在感はぐっと増すが、現状ではキャピタルと合わせてトータルで狙うタイプになる。
まとめると、ビックカメラは配当で生活を支える銘柄ではないが、業績回復が継続するなら今後の増配や利回り上昇の余地がある“成長と安定のちょうど中間”に位置する銘柄。長期で持ち、業績が積み上がるのを一緒に待つスタイルとは相性が良く、短期で配当目当てに買うほどの爆発力はない。ゆっくり育つ木のような銘柄、といったイメージが一番近い。
今後の値動き予想!!(5年間)
ビックカメラの現在値1,557円から5年先を想像すると、未来は大きく3方向に枝分かれしていく。すでに業績は回復軌道にあり、家電・玩具・スマホ・日用品まで扱う総合小売としての幅広さ、そしてソフマップ・コジマによる販売網の補完力が土台として存在している。その基礎が今後どれほど強く積み上がるかで、株価の未来はまったく違う形になる。
まず良い未来では、業績の伸びが継続し、営業利益率がさらに改善して3%台半ば〜4%に近づき、ROEも10%台を維持できれば、株価は企業価値の回復とともに再評価される。インバウンド需要の押し上げ、ECとの相互連携強化、ソフマップ・コジマとの統合効果が伸び続ける場合、5年後には株価は2,400円〜3,200円程度となり、最大で約2倍の水準に到達する可能性がある。配当も増え続けるなら、ホールドの旨味が出てくる未来だ。
次に最も現実味のある中間の未来では、利益は伸びるものの成長スピードは落ち着き、PERも現在ほど高い評価を維持しないケースだ。営業利益率とROEは改善しても横ばい寄りで推移し、増配はあっても緩やか。そうなると株価は緩やかに上がり、5年後の株価は1,800円〜2,300円程度に収まり、プラスだが大きく跳ねない。長期保有でじわじわ評価を待つような動きであり、現状から見て最も可能性の高いシナリオと言っていい。
そして悪い場合、利益率の改善が止まり、価格競争や消費低迷で利益が圧迫されると市場評価は縮小する。ROE・ROAが伸びず、インバウンドも鈍化、EC競争が激化すればPERは下落し、1,200円〜1,500円あたりで停滞、場合によっては1,100円台まで沈む可能性がある。増配余力が弱まり、利回りだけでは買いの材料として弱くなる未来だ。数字が伸びなければ株価は素直に反応するタイプでもある。
まとめると、ビックカメラは利益が伸びれば報われるし、止まれば伸びない非常にわかりやすい銘柄だと言える。成長が続くなら倍化の絵もあり、中間は堅調に値上がり、悪い場合は現状近辺〜1割安程度で横ばいという形になる。買うなら「伸びを信じるかどうか」、疑うなら無理に追う必要はないタイプだ。
この記事の最終更新日:2025年12月6日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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