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レスター(3156)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

レスターとは

レスターは、半導体・電子部品の卸売を中心に、技術サポート、LSI設計開発、信頼性試験といった上流工程まで関わることができるエレクトロニクス総合商社で、単に部材を流すだけでなく設計力・検証力も備えた点が特徴になっている。さらに、映像・音響・通信・計測といった領域でソリューション提供が可能で、放送設備・教育機関・医療機関・公共・工場向けFAシステム・セキュリティまで取り扱いが幅広く、設備導入から施工、保守エンジニアリングまで担える総合力を持つ。また太陽光発電を軸としたエコソリューション事業も展開しており、日本各地にメガソーラーを持ち、台湾にも進出、オンサイトPPAやソーラーシェアリングなど再エネの新しい形にも踏み込み、電力ビジネスとして継続収益化を狙うポジションにある。

2024年4月には、レスターエレクトロニクス・レスターコミュニケーションズ・バイテックエネスタを吸収合併し、社名を「株式会社レスター」に統一したことで、商流・技術・再エネの三事業を一本化し、意思決定や開発と提案のスピードを向上させる体制が整った。2019年にUKCとバイテックHDが統合し、2021年にはPALTEKも吸収した経緯を踏まえると、いまのレスターは複数の技術系商社が統合された結果として成長してきた企業であり、単なる半導体商社ではなく「デバイス+システム+エネルギー」の3領域を同時に扱える複合型商社へ進化していると言える。

デバイス事業は取扱部材の幅が広く、国内外の半導体・電子部品を扱いながらLSI設計支援や信頼性試験まで踏み込めるため、顧客の製品企画段階から関与できる強みを持つ。システムソリューション事業は映像・音響・通信・セキュリティなど設備産業向けに深く入り込める領域で、単なる商材販売に留まらず「導入・構築・保守」まで含めた請負型収益を伸ばしうる。エコソリューションはメガソーラー運営など固定収益の柱になる部分で、再エネ需要が長期的に伸びる中で安定性と継続キャッシュを期待できる。これら3つの事業は循環しやすく、電子部品→装置→電源・運用へ商流を回すことができればシナジーが生まれ、収益源が一方向に偏らないのがレスターの強みでもある。

一方で、半導体・電子部品市場は景気や需給でサイクル変動が起こるため、収益が上下しやすい面があり、売上規模が大きくても利益率が薄まりやすいリスクがある。そのため、同社が今後評価を高める鍵は、単なる商社から付加価値のある技術サービス企業へどれだけ深く移行できるか、再エネ領域の収益性をどれだけ積み上げられるか、システム&ITの収益比率を拡大できるかにかかっている。複数の企業を統合し、事業を束ねる段階を過ぎ、これからは統合後の力を業績成長として形にできるかが焦点になるタイミングと言える。

総合するとレスターは、半導体商社の枠に収まらず、技術設計・システム構築・再エネ運用まで手を広げた事業多角化型の企業であり、部材の供給からシステム導入、電源の管理まで、ものづくりとインフラの両面を支える企業へ成長しつつある。統合後の推進力が数字に出始めれば株価評価は大きく変わる余地があり、変化を掴めば面白いステージにいる企業といえる。

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直近の業績・指標

決算期(単位百万) 売上高 営業利益 経常利益 純利益 一株益(EPS) 配当(円)
連23.3 487,129 14,423 12,043 7,085 235.6 115
連24.3 512,484 15,930 9,690 7,004 233.0 115
連25.3 561,001 14,174 9,559 7,473 256.6 120
連26.3予 600,000 14,500 11,000 6,600 234.7 125
連27.3予 620,000 15,500 12,000 7,200 256.1 125〜130

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位百万) 営業CF 投資CF 財務CF
2023 -664 -5,304 3,713
2024 15,460 -7,099 -2,310
2025 20,509 59 -16,421

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 2.9% 8.7% 2.6%
2024 3.1% 8.3% 2.3%
2025 2.5% 8.7% 2.4% 8.5倍〜12.4倍 0.89倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

レスターの数字を丁寧に追うと、24期から25期、26期予想にかけて売上は5124億 → 5610億 → 6000億と着実に規模を拡大させており、商流自体は増えていることが分かる。ただ、その一方で利益の伸び方には勢いの鈍さが見えており、営業利益は159億→141億→145億と伸びず、利益率も2.9%→3.1%→2.5%とむしろ圧縮している。売上が増えても利益が比例以上に伸びないということは、半導体商社としての原価上昇・競争激化・在庫評価変動などの影響あるいは統合後の効率化が利益にまだ十分反映されていない可能性が示唆される。経常利益と純利益の推移も同様で、25期で一度持ち直すが26期は減益予想となり、EPSも233円→256円→234円と上がった後に押し戻され、利益成長の安定性には疑問が残る数字となっている。にもかかわらず配当は115円→120円→125円と増加予定で、利益が伸び続けているわけではないのに還元強化している点は、株主還元姿勢として評価できる一方で、無理のない財務範囲で続けられるかを冷静に見る必要がある。

ROEは8.7%→8.3%→8.7%とほぼ横ばいで、資本を使い利益を生む力は一定ある。ただし高効率とは言えず、ROAも2.6%→2.3%→2.4%と低水準で、資産を使いどれだけ利益を出せているかという視点ではまだ重い経営体質が数字から読み取れる。企業規模を拡大しながら利益率が改善していれば株価の再評価が期待しやすいが、この数値では「売上は伸びてるが利益が伴っていない」という評価になり、中期的な投資妙味は利益改善が見え始めたタイミングで高まりやすい。

つまり現状のレスターは、業容拡大フェーズにいるものの利益体質の強化が追いついていない企業像が明確に出ており、現時点では「成長に資金を使いながら収益化を進めている途中」という位置づけが妥当。重要なのは今後この売上成長が利益率改善につながるかどうかで、もし粗利や販管費効率が改善し始めるなら株価評価の切り上げが起こり得る。

逆に利益率が改善しないまま売上拡大だけが続くと、商社型ビジネスの薄利構造が固定化され、株価の上昇伸び代は限定的になるリスクがある。今買うなら「利益構造転換に賭ける投資」であり、数字だけを見る限りは現状の事業拡大→収益化までの道筋が完全には描き切れていないため、強気に攻めるよりも推移を注視しながら押し目や配当利回りが高まるタイミングを狙う戦略が合理的だと判断できる。

配当目的とかどうなの?

レスターの予想配当利回り(2026・2027年度)は4.51%と高めで、インカム狙いの投資としては十分視野に入る数字になっている。株価が大きく伸びなくても配当だけである程度の回収が見込める水準で、価格が動かない局面でも保有に耐えられるという意味ではメリットがある。一方でこの利回りは利益が順調に伸びた結果というより、利益が伸び悩んでいる中でも配当を維持していること、

そして市場評価が割安寄りで推移していることの組み合わせで成立しているため、「高利回りだから成長している企業」と誤認しないことが大切だと思う。実際、売上は増えているのに営業利益率は下がり、純利益は予想でやや鈍化、EPSも増えたり戻ったりしていて、業績面での安定成長というよりは調整の途中という印象が強い。

つまりレスターを配当目的で持つ場合、それは成長によって配当が増大していく銘柄を狙うというより、現行利回りを受け取りながら企業の収益体質の改善を待つ保有スタイルに近い。安定して利益が増えているわけではないため増配余地は未知数で、むしろ利益が伸び悩む期間が続けば減配に転じるリスクさえゼロではない。

それでも4%台後半の利回りは十分に魅力があり、キャピタルゲインよりもインカムを重視する投資家にとっては、配当を毎年確保しながら腰を据えて持つ選択も現実的だと思う。強気に攻める銘柄というよりは、防御的なスタンスで着実に配当を回収しつつ、業績改善や利益率上昇の転換点が来れば株価評価の上昇も同時に拾えるという、いわば「低速で回転数を上げるまで待つタイプの車」のような銘柄だと解釈できる。

配当を目的とするなら、今はすでに利回りが高いが、より安全に狙うなら株価がさらに押したとき、利回りが5%に近づく場面は特に妙味が強まるポイントになる。焦って追いかける必要がある銘柄ではなく、じっくり眺めながら拾うタイミングを探し、配当を軸に静かに保有するという投資方針がよく合う。現状の数字だけでいえば、派手さより堅さ、期待より現実、爆発より回収という性質が強い銘柄で、手堅いインカムを求める投資家には相性が良いと思う。

今後の値動き予想!!(5年間)

レスターの現在値は2,771円。今後5年間での株価の動きは、利益率の改善が進むか、売上拡大と収益性がリンクするかが鍵になる。売上は伸びているのに利益とEPSは横ばい気味という現状が続くなら株価は大きくは跳ねづらい。一方で利益率が戻り、EPSの再加速やROE改善が数字に出始めれば評価が切り上がる余地もある。配当利回り4%台後半という高さは株価下支え要因でもあり、大幅崩れは起こりにくい構造を持っている。

良い場合の5年後は、営業利益率が3.5〜4%台まで改善し、EPSが安定して成長できる状態に戻った時。売上拡大が利益に乗り始め、ROEが10%台に乗るなら、株価は3,800〜4,500円まで視野に入り、中期的には株価上昇と配当リターンの両方を得られる可能性がある。特に半導体需給が再拡大し商社の粗利改善、再エネ事業の収益が寄与してくればプラスの流れを作りやすい。

中間パターンは、売上は増え続けるが利益が横ばい〜緩やか成長に留まるケース。利益率が現状の2.5〜3%レンジで推移したままなら、株価は2,900〜3,300円の範囲で緩やかに推移する可能性が高く、大きな値上がりよりも配当込みで年5〜7%のリターンを積む構造になる。高くも安くもなりにくいが、保有しながら配当で回収していく投資スタイルと相性が良い未来像になる。

悪い場合は、利益率が低迷しROEが低下、EPSが伸びずむしろ減少する方向になったとき。売上拡大が利益につながらず、薄利体質が続くなら株価は2,200〜2,500円まで調整が起こる可能性がある。その場合は配当利回りは5〜6%台まで上昇して魅力は高まるが、減益が続けば減配リスクも生まれるため、利回りの数字だけで判断するのは危険になる。

要するに現在のレスターは、急騰を狙う銘柄というより、利益体質改善が現れれば株価評価が上昇する余地があり、改善の遅れが続けば相場は横ばいに収まりやすい。配当利回りの高さは強い反面、利益成長が条件になるため、強気の評価には「利益率が持ち直す」という前提が不可欠となる。5年というスパンで見るなら、最も現実的なのは大きくも下げず、少しずつ配当を受け取りながら緩やかに値を探る中間シナリオで、業績が跳ねたときだけ株価にも反応が出る、そんな展開が自然な未来線だと考えられる。

この記事の最終更新日:2025年12月8日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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