株価
野村不動産ホールディングスとは

野村不動産ホールディングスは、東京・芝浦に本社を置き、野村不動産を中心にマンション分譲、オフィスビル事業、商業施設・物流開発、不動産仲介、マンション管理、ビルマネジメント、REIT運用まで幅広い不動産事業を手掛ける日本の総合デベロッパー。野村ホールディングスの持分法適用関連企業で、金融資本とのつながりも深く、開発から運営・資産投資までワンストップでビジネスが循環する強い収益構造を持つ。
沿革をたどると、2004年設立と同時に野村不動産を完全子会社化し、持株会社制へ移行。2006年に東証上場、2007年にREITを上場させ投資マネジメント領域へ本格参入。2013年には野村HDの持株比率が低下し持分法会社へ移行したが、独立性が高まったことで事業展開の幅がむしろ広がったとも言える。2022年には野村HDと共同で資産運用会社を設立し、オルタナティブ投資・私募リートの拡大まで視野に入れている。
事業面では、マンションブランド「PROUD」の存在感が大きく、都市型タワーマンションの開発では国内トップクラス。オフィスや商業施設、複合再開発など中長期で価値を生む事業も多く、さらにJ-REIT・私募リート運営により不動産を「開発して終わり」ではなく、「資産として回しながら稼ぐ」モデルへと進化している。グループ傘下には87社(連結子会社41社)と事業網が広く、仲介ブランド「野村の仲介+」、マンション管理・ビルマネジメントのパートナーズ、投資運用を担う投資顧問、さらにはメガロスを起点とするライフ・スポーツ事業まで含まれる。
野村不動産HDは、単なるマンション分譲会社ではなく、住宅ブランド「PROUD」の開発に加えて、ビルや商業施設の賃貸運用、マンション管理やビルマネジメント、不動産仲介、さらにREIT・私募リート運用までを一体で行う総合不動産グループ。開発して売る利益だけでなく、保有して貸すストック収益も組み合わせることで収益源が分散され、景気の波を受けにくい安定性がある。
住まいだけでなく、オフィス・商業施設・物流施設・ホテルなど都市インフラの幅広い領域を担い、「売る・貸す・運用する」をグループ内で循環させるビジネス構造を確立。ブランド力と都市再開発力は国内でもトップクラスで、継続的に収益を生みながら事業を拡大できる企業として位置づけられる。
野村不動産ホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | EPS(円) | 配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3* | 654,735 | 99,598 | 94,121 | 64,520 | 73.1 | 24 |
| 連24.3* | 734,715 | 112,114 | 98,248 | 68,164 | 78.5 | 28 |
| 連25.3* | 757,638 | 118,958 | 106,740 | 74,835 | 86.8 | 34 |
| 連26.3予 | 940,000 | 122,000 | 108,000 | 75,000 | 87.1 | 36 |
| 連27.3予 | 995,000 | 135,000 | 121,000 | 84,700 | 98.4 | 36〜39 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | -42,809 | -62,896 | 65,675 |
| 2024 | 70,878 | -83,638 | 39,921 |
| 2025 | -133,793 | -203,364 | 318,459 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 15.2% | 9.8% | 3.0% | – | – |
| 2024 | 15.2% | 9.8% | 3.0% | – | – |
| 2025 | 15.7% | 9.9% | 2.7% | 7.4〜10.6倍 | 1.05倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
野村不動産HDは、売上が毎年積み上がっており、24.3期7,347億 → 25.3期7,576億 → 26.3期予9,400億と増加基調が続いている。特に26年は大規模案件の計上が見込まれ、売上は一段階跳ね上がる形になっている。利益面でも営業利益は1,121億 → 1,189億 → 1,220億と安定しており、急成長とは言わないが堅調に伸ばしている。純利益も681億 → 748億 → 750億で底堅く、減速も見られない。配当も28円 → 34円 → 36円と増配傾向で、株主還元の姿勢が読み取れる。
利益率を見ると営業利益率は15.2% → 15.7%へと改善しており、ディベロッパーとしては高水準。ROEも9.8% → 9.9%で10%弱のラインに張り付いており、資本効率は良好。ROAは3.0% → 2.7%と重い資産を抱える業態らしく伸びは弱いが、急低下はしていないため許容範囲と見られる。指標面はPER7.4〜10.6倍、PBR1.05倍と割安圏にあり、資産価値と利益水準を考えると「買われ過ぎ」という状況ではない。むしろ、強い悪材料がなければ下値は固く、株価が大きく崩れにくいタイプと推測できる。
総合すると、業績は堅実で利益率も高く、ROE水準も悪くないため、ディフェンシブ寄り・安定収益重視の銘柄として見やすい。事業の性質上、爆発的な成長よりストック収益と開発利益の積み上げでじわじわ進むモデルで、長期で保有するなら評価はしやすい。株価が大きく跳ねるには利益の更なる拡大やリート運営強化などの材料が必要だが、現時点でも「高すぎず安定して利益が出ている会社」という評価が成り立ちやすい。
野村不動産HDは、売上も利益も大きく崩れずに伸びており、営業利益率やROEも水準以上と安定した収益体質を持っている。株価指標は割安寄りで、過度に買われている印象はなく、下値も固い構造に見える。一方で爆発的な成長を狙うタイプではなく、着実に利益を積み上げていく企業であり、保有するなら長期・安定志向の投資に向いている。急騰というよりじわじわ伸びる銘柄という性質で、中期〜長期で落ち着いて持てるタイプと言える。
配当目的とかどうなの?
野村不動産HDの予想配当利回りは連26.3で3.90%、連27.3でも3.90% と見込まれており、安定して同水準が続く予想になっている。利回りだけで見ても市場平均を上回るラインで、さらに増配も継続してきた実績を踏まえると、配当を目的とした保有とも相性は良い。
利益が大きく伸びなくても不動産のストック収益が下支えし、景気局面次第で分譲や再開発案件が利益に反映されるため、配当源泉は極端に不安定とは言いにくい。REIT運用など資産収益の比率もあり、配当の持続性は比較的高い部類と判断できる。
ただし、利回りは高すぎるゾーンではないため、配当だけを目当てにするよりは「配当+安定成長でじわじわ増える銘柄」として持つ形が自然。減配リスクも低めだが、急騰型ではないため値動きを期待しすぎない方が現実的。
野村不動産HDの配当利回りは3.9%で、市場平均を上回る水準。増配が続いていることもあって安定性は高く、いきなり減配リスクを警戒する必要も大きくはない。どちらかといえば値上がり益を狙う銘柄ではなく、配当を受け取りながら長期で保有していくタイプで、インカム狙いの投資と相性が良い。業績がしっかり積み上がれば株価もゆっくりとついてくる形が期待でき、無理に攻めずとも持っている間に資産が育つイメージに近い。配当を軸にしつつ、成長が乗れば株価もじわりと伸びるような安定と持続性を重視する投資スタイルに向いた銘柄と言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在株価 922.2円の野村不動産HDは、国内大手でも珍しい「分譲+賃貸+管理+仲介+REIT運用」の収益循環型モデルを持つ企業。開発利益(売切り型)と賃貸収入・管理収入(ストック型)が併存することで、景気変動を受けても収益がゼロになるリスクが小さく、営業利益率15%台、ROE10%前後という業界でも比較的高い収益効率を維持している。配当利回り3.9%は東証プライムでも上位層に入り、配当狙いの中・長期保有とも相性が良い。
ただし、上昇のカギは開発サイクルと市況環境。再開発案件が予定通り進行し販売が成功すれば利益は加速するが、逆に金利上昇・住宅需要鈍化が重なると利益の伸びは鈍化し市場評価も縮みやすい。不動産株全体は海外金利・都心オフィス需給・建築コストの変動に強く影響を受けるため、順風なら伸びるが逆風では上げにくいという構造を持っている。
良い場合は、大型再開発や賃貸ビル・物流物件の稼働が堅調に進み、REITや仲介の収益も伸びてROEが10〜11%台に乗るパターンです。市場が業績成長を評価し直すことでバリュエーションが改善し、株価は5年後に1,350〜1,700円を目指す展開が想定されます。急上昇というより、配当を受け取りつつ利益拡大に合わせて株価が段階的に切り上がっていくイメージです。
中間シナリオでは、売上成長は続くものの利益の伸びは控えめで、横ばい〜やや上昇に留まります。この場合、PBRは1倍前後、PERも現在の水準で安定し、大きな評価変動は起きません。株価は1,050〜1,300円のレンジで推移しやすく、最も現実的なメインシナリオと考えられます。大きく動きにくい一方で、下値の不安も比較的少ない状態です。
悪い場合は、市況悪化や金利上昇、建設コスト高などが重なり、販売が鈍化して利益率が低下するケースです。ROAも伸びず市場評価が切り下がると、PERも縮小し、株価は800〜950円まで調整する可能性があります。ただし事業が分散されているため暴落とはなりにくく、右肩下がりでゆっくり値を削るシナリオが現実的です。
総括すると、現在の株価922.2円は「中間〜弱気レンジのちょうど真ん中」に位置している。今後上に伸ばすには利益成長と再開発案件の進捗が欠かせず、これが順調なら株価はじわじわと上方向に向かう。一方で、市況悪化やコスト増が出ると株価は横ばい〜やや下方向へ流れる可能性もある。ただし配当利回りの高さ、事業の分散性、収益の基盤の厚さを踏まえると、急落しにくく持ちながら回収できるタイプの銘柄といえる。
要するに、落ちにくく、大きく跳ばない代わりにじわじわ伸びる可能性を持ち、配当で精神的な耐久力を持てる銘柄。短期で値幅を狙うより、長期で保有しながら市況改善や利益積み上げを待つスタンスに向いている。
この記事の最終更新日:2025年12月9日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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