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日本調剤(3341)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

日本調剤とは

日本調剤株式会社は東京都港区に本社を置く保険調剤薬局チェーン企業で、全国47都道府県すべてに調剤薬局を展開している日本最大級の薬局グループである。1980年に創業し、北海道札幌市の1号店から事業をスタート、その後本社を東京に移しながら出店を加速し、現在では700店舗を超える規模に成長している。薬局の約6割は大病院の門前に構えた門前薬局で、そのほかに地域密着型の面薬局や医療モール型店舗、病院敷地内に設けるタイプなど、医療の提供形態に合わせて多様な店舗モデルを運営している。

調剤専門の薬局として処方せん調剤を中心に事業を展開し、患者一人ひとりに向き合う医薬分業の推進を企業理念とし、「すべての人の生きるに向き合う」というグループメッセージを掲げている。

薬剤師教育にも非常に力を入れる企業として知られており、JPラーニングというeラーニングシステムを通じて、全国どこでも薬剤師が専門知識を学べる環境を整え、他社勤務の薬剤師にも開放している。また、学術大会を2016年から毎年全国規模で開催し、2019年には専門薬剤師の資格取得に応じて手当を支給する制度を導入するなど、人材育成と薬剤師の専門性向上を継続的に行っている。教育投資を惜しまない姿勢は業界でも評価が高く、薬剤師が成長できる企業として定評がある。

ITやデジタルの活用にも積極的で、2014年にはスマートフォンアプリ「お薬手帳プラス」を自社開発してリリースした。服薬情報を記録するだけでなく、飲み忘れ防止の通知や処方せんの事前送信機能、家族の服薬データをまとめて管理できる機能、薬局とチャットのようにやり取りできるコミュニケーション機能など、利便性の高い仕組みを備えたアプリとして成長し、2022年に会員100万人を突破し、2024年には200万人を超える利用者を持つまでに拡大した。

さらにオンライン服薬指導にも早期から取り組み、2018年に認可を取得し、2020年にはオンライン指導システム「NiCOMS」を提供し全国の日本調剤薬局で活用している。薬局に行かずに指導を受けられる環境を整え、デジタル医療の進展に対応してきた企業といえる。

事業としては調剤薬局事業が中心だが、それにとどまらず後発医薬品の製造販売も手掛ける。2005年には子会社の日本ジェネリック株式会社を設立し、ジェネリック医薬品の普及を推進してきた。ジェネリック使用率は90%近くに達しており、コストを抑えた医療提供にも貢献している。そのほか薬剤師専門の人材サービス会社メディカルリソース、医療情報提供・研究・コンサルティングを担う日本医薬総合研究所などもグループに抱え、薬局運営だけではなく医療産業全体を支える事業ポートフォリオを形成している。

日本調剤 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株当り配当(円)
連23.3 313,318 7,586 7,682 4,458 148.9 25
連24.3 340,310 9,142 9,439 2,553 85.4 25
連25.3 360,512 6,239 6,915 1,391 46.5 25
連26.3予 376,800 9,400 8,300 4,200 140.6 0
連27.3予 390,000 9,700 9,900 5,000 167.4 0

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位百万) 営業キャッシュフロー 投資キャッシュフロー 財務キャッシュフロー
2023/3期 7,532 -10,018 713
2024/3期 20,421 -13,726 -4,430
2025/3期 8,824 -9,921 2,526

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 2.4% 7.8% 2.4%
2024 2.6% 4.3% 1.3%
2025 1.7% 2.3% 0.7% PER高値平均 21.4倍 / 安値平均 14.6倍 1.95倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

日本調剤の数値を見る限り、売上は連24.3が3403億、連25.3で3605億、連26.3予が3768億と徐々に増加しており、事業規模そのものは拡大を続けている。ただし利益面では同じ流れが見られず、営業利益は24期の91億から25期の62億に落ち込み、26期には94億予想まで戻るとはいえ、売上成長と利益成長が連動しているとは言いにくい。経常利益も24期94億から25期69億へ縮小し、26期見通しは83億と数値上は回復傾向だが、売上の増加幅と比較すると勢いに差があり、利益率を押し上げる構造が十分に機能しているかは読み切れない。純利益は24期25億から25期13億まで落ち込み、26期42億予想と持ち直す見込みではあるものの、25期の悪化が一時的なのか、競争・コスト構造・制度変化・人件費などの要素が影響して長期的に収益力を押し下げているのか判断には慎重さが必要になる。

営業利益率を見ると、2023年2.4%、2024年2.6%で推移したあと2025年には1.7%まで低下しており、売上が伸びても利益確保が難しい体制になっている可能性がある。同様にROEは23年7.8%→24年4.3%→25年2.3%、ROAは23年2.4%→24年1.3%→25年0.7%と悪化が続いており、資本効率・資産効率のいずれも低下している。特にROEは企業が株主資本をどれだけ利益に変えたかを示すため、これが落ち続けている現状では市場評価に上値余地が出にくいという見方も妥当になる。売上成長にもかかわらず資本収益性が下がるということは、規模拡大の割に利益を回収し切れていないか、費用増や利益率の低下要因が構造化している可能性が高い。

2025年時点の指標を見ると、実績PERは安値平均14.6倍、高値平均21.4倍、PBR1.95倍という水準で、収益水準が低下しているわりに株価はまだ比較的評価されている。ROE2.3%という利益効率でPBRがほぼ2倍というのは、利益改善の期待が先行しているか、もしくは過去の評価が株価に残っている状態とも解釈できる。PERが割高と断定する数値ではないにしても、利益成長が伴えば割安に転じるが、伴わなければ逆に割高と見えるという判断の分岐点に近い。

これらの数字だけで投資判断を行う場合、日本調剤は売上拡大局面にありながら利益率が低下し、ROE・ROAも縮小している点が最も注意を要する。成長性は見えるものの収益回収力が伴っていない段階では、投資タイミングを早める合理性は低い。投資に踏み込む判断材料としては、営業利益率が3%前後、ROEが4〜5%程度まで回復するか、利益率の反転が明確に確認できる局面が望ましい。また、26期予想の回復が継続的な改善につながるのか、あるいは一時的な反発に留まるのかは今後の最重要チェックポイントになる。

まとめると現状の日本調剤は、売上成長と利益効率の乖離が残ることから投資妙味は「確認後に検討」が自然で、積極的な買いよりは利益回復の明確化を待って拾う方がリスクを抑えやすいという結論になる。

配当目的とかどうなの?

日本調剤を配当目当てで保有するという視点で考えると、現状はかなり厳しいと言わざるを得ない。予想配当利回りが連26.3で未定、連27.3に至っては0.00%という数値が出ており、現時点で配当収益が期待できる状態ではない。配当を狙う投資は、持っているだけでリターンが積み上がるという安心感や、長期保有に耐える余裕がある企業に向くが、日本調剤は今その条件から外れてしまっている。

ROEやROAが年々低下し、営業利益率も1%台まで落ちている状況では、株主還元よりもまず利益回復や財務健全性の改善にリソースを振り向ける可能性の方が高い。利益が細り効率も落ちている企業が、強気に還元余力を確保することは現実的ではなく、むしろ利益が戻るまでは無配または控えめな配当が続くと考える方が自然だろう。

配当利回りが0%というのは、配当株投資としてはほぼ評価するポイントがないということを意味している。他銘柄と比較すれば、利回り2〜4%台の企業も珍しくなく、同じ資金を使うのであれば、現時点の日本調剤を選ぶ理由は乏しい。仮に将来、利益が急回復し高い営業利益率やROEが再び確保されれば話は変わるが、現時点ではその確証も数字の裏付けもまだ十分ではない。今この企業を買うなら、配当を得るためではなく、むしろ業績改善や収益力回復を期待して値上がり益を狙う投資という方向性に寄せる必要がある。

つまり、日本調剤は配当狙いで積極的に手を伸ばす銘柄ではなく、収益指標の改善を確認しながらゆっくり判断するべき段階にある。配当を受け取りながら長期保有するという投資スタイルには現状適していないし、配当が戻る可能性を考えるにしても、それが数字として形になり始めてからでも遅くはない。今のフェーズは、まず利益率が戻るのか、それとも下げ止まらず推移するのかを見極める期間であり、安定配当株というより経営改善待ちの銘柄という立ち位置にあると言える。

今後の値動き予想!!(5年間)

日本調剤の現在値を3,910円として今後5年間の株価を考える場合、最も明るい展開・現実味の高い中間的展開・そして悪い方向に進んだ場合という三つのシナリオに分けて想像すると、未来の振れ幅がより立体的に見えてくる。

まずもし良い方向に進むなら、売上が連24.3の3403億から連25.3の3605億、連26.3予の3768億と伸びている現在の傾向がさらに続き、営業利益率が3%台へ回復し、ROEも3〜5%台へ戻ってくるような姿だ。ジェネリック供給強化やオンライン服薬指導の普及が追い風になり、DX投資の成果が利益率改善につながり始めれば、市場の評価が再び高まり、株価は5年で4,800〜6,200円へ向けて上昇する可能性がある。調剤報酬の制度改定がプラス方向に働くなら、利益と期待が同時に押し上げられ、投資家が再び買いに戻る局面もあり得る。

次に現実的な中間シナリオとして、売上の拡大ペースは維持されつつも利益率の改善が緩やかで、営業利益率が2.5〜3%前後、ROEが3〜4%程度で落ち着く未来がある。この場合、劇的な上昇こそないものの、事業が大崩れするわけでもなく、オンライン指導や後発医薬品の収益寄与が徐々に効き始めることで、株価は4,200〜4,800円付近を中心にじりじりと値を切り上げるイメージとなる。投資家にとっては大きな期待よりも安定成長への忍耐が鍵となり、評価が少しずつ戻るタイプの経過だと捉えられる。

逆に悪い方向に転んだ場合は、営業利益率が1〜2%台で停滞し、ROE・ROAも低水準のまま定着するパターンだ。人件費や原価上昇、ジェネリック調達コスト、調剤報酬の改定が逆風になると、売上増加が利益に反映されず、評価は徐々に縮小していく。利益が伸びない状況が続き、配当も戻らなければ長期保有の魅力も薄れ、株価は3,200〜2,600円あたりまで調整を余儀なくされる可能性がある。この展開は事業構造の改善が進まなかった場合の避けたい未来で、制度次第では予想以上に早いスピードで評価が下方向に振れるリスクもある。

三つをまとめると、良い未来は利益率の反転、中間は緩やかな改善、悪い未来は利益率の停滞で方向性が見えてくる。つまり鍵は利益率とROEの復元であり、日本調剤の株価の5年後はそこに強く依存している。現在の株価3,910円はその分岐点に位置しており、改善シグナルが見えれば買いに繋がりやすく、明確な改善が見えないなら慎重姿勢が望ましいというスタンスになる。

この記事の最終更新日:2025年12月9日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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