株価
クリエイト・レストランツ・ホールディングスとは

株式会社クリエイト・レストランツ・ホールディングスは東京都品川区東五反田に本社を構える外食企業で、商業施設やショッピングモール、駅ビル、テーマパークなど多種多様な立地で飲食店を運営しており「マルチブランド・マルチロケーション戦略」を強みに全国展開してきた。特定のジャンルに偏らず、しゃぶしゃぶ、寿司、和食、洋食、中華、エスニック、ラーメン、カフェ、スイーツ、ベーカリー、フードコート、居酒屋までとにかくブランド数が多く、1社で外食市場の縮図が作れるほどのラインナップを持つ点が特徴である。
運営ブランドにはしゃぶ菜、はーべすと、デザート王国、MACCHA HOUSE 抹茶館、TANTO TANTO、雛鮨、リオグランデグリル、南翔饅頭店、AWkitchen、やさい家めい、モンテロマーノ、吉座、JEAN FRANCOIS、エビスフードホール、磯丸水産、鳥良商店、餃子製造販売店いち五郎、つけめんTETSU、江戸前煮干中華そばきみはん、レインフォレストカフェ、かごの屋、あずさ珈琲、いっちょう、萬屋、サンジェルマン、一幻などがあり、とても一度では覚えきれないほど多い。
M&Aを積極的に行い買収しながらブランドと業態を増やしてきた歴史があり、2020年には子会社イートウォークとルモンデグルメが統合しLG&EWが誕生、同年クリエイト・ダイニングが木屋フーズとクリエイト・ベイサイドを吸収し業態を拡大、2021年にはSFPホールディングスと共同でCMDを設立、2022年4月には東証プライム市場に移行し、同年12月に日本たばこ産業からサンジェルマンと北海道サンジェルマンを買収して完全子会社化しベーカリー領域を強化、2023年にはSFPホールディングス株式の一部売却を発表し資本バランスを調整、2024年にはクリエイト・ダイニングとLG&EWを統合し、さらに米国でベーカリーレストラン事業を取得し北米展開を加速、同年一幻フードカンパニーを買収し「えびそば一幻」を完全グループ入りさせるなど再編と買収が絶えず続く成長型企業である。
国内子会社はCRカテゴリーと専門ブランドカテゴリーとSFPカテゴリーという大きな括りがあり、CRにはクリエイト・レストランツ(しゃぶ菜やデザート王国)とクリエイト・ダイニング(リオグランデグリル、南翔饅頭店、雛鮨、レインフォレストカフェ、銀座木屋など多数)があり、専門カテゴリーにはLG&EW(AWkitchen、やさい家めい)、YUNARI(つけめんTETSU・きみはん)、グルメブランズカンパニー(JEAN FRANCOIS)、KRフードサービス(かごの屋・あずさ珈琲・ふうふや)、遊鶴(ごまそば遊鶴)、いっちょう(萬屋含む)、サンジェルマン、レフボン、一幻フードカンパニーなどが並ぶ。
そしてSFPカテゴリーには磯丸水産・鳥良商店・餃子製造販売店いち五郎など全国展開の居酒屋事業を持つSFPホールディングスが入り、長野地盤のクルークダイニング、熊本のジョー・スマイルなど地域密着型の運営会社も抱えている。つまり同社グループは和食から寿司、焼肉、ラーメン、パスタ、ハワイアン、野菜料理、カフェ、ベーカリー、居酒屋、フードコートまで余裕で全方位をカバーしており、ショッピングセンターのテナント一覧を見れば必ずといっていいほどどこかに同社の店舗が入っているという存在感を持ち、訪日客の増加にも合わせて多言語対応や海外展開も加速している。
近年はベーカリー事業・北米事業・専門性の高い業態の育成にも積極的で、単なる外食企業の枠を越え「食を軸とした巨大ポートフォリオ企業」として進化しており、売上の柱を複数持つことで景気の波を均しながら成長できる構造が備わっている。
直近の業績・指標
| 期 | 売上高(百万円) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益(EPS) | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 23.2* | 118,240 | 5,083 | 4,565 | 3,385 | 8.1 | 3 |
| 24.2* | 145,759 | 7,075 | 6,632 | 5,041 | 12.0 | 3.5 |
| 25.2* | 156,354 | 8,504 | 7,659 | 5,590 | 13.3 | 4 |
| 26.2*予 | 165,000 | 9,600 | 8,800 | 5,800 | 13.8 | *4.5 |
| 27.2予 | 171,000 | 11,000 | 10,000 | 6,100 | 14.5 | 4.5〜5 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位百万) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 24,593 | -2,311 | -20,131 |
| 2024 | 23,292 | -3,601 | -22,496 |
| 2025 | 25,991 | -9,199 | -16,657 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 4.2% | 11.4% | 2.5% | — | — |
| 2024 | 4.8% | 14.0% | 3.8% | — | — |
| 2025 | 5.4% | 13.9% | 4.0% | 55.5倍(高値) / 39.2倍(安値) | 7.63倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
営業利益率は2023年4.2%、2024年4.8%、2025年5.4%ときれいな右肩上がりで改善している。利益率が毎年上がっているということは、売上規模だけでなく収益効率が上がってきている状態で、価格設定・ブランド戦略・コスト管理が上手く機能している可能性が高い。ROEは11.4%→14.0%→13.9%と水準自体が高く、資本を使って利益を生む効率は優れている企業側に属し、ROAも2.5%→3.8%→4.0%と改善が続き、総資産から利益を生んでいく力も安定して強まっている。
この3つの数字だけで見ると、利益率・資本効率ともに上昇で、企業の利益体質が強化されていることが分かる。つまり今のビジネスモデルは回っており、企業の質としては良い評価ができる材料ばかり。
しかし株価の評価面を見ると、2025年の実績PERは高値平均55.5倍、安値平均でも39.2倍、PBRは7.63倍とかなり高く、市場が強い期待を織り込み済みであることが読み取れる。利益率は確実に伸びているが、それを超える期待を市場が先に価格に反映している状態で、数字だけで判断すると、企業の内容は良いのに株価は割安とは言えず、むしろ期待先行の高さが目立つ。つまり「会社は強いが株は高く評価されている」という形。
結論としては、数字だけから判断すると、業績面は年々改善しROE・ROAも高い水準で推移しており、企業としての収益力は高く成長性もある。ただ、株価バリュエーションを見るとPER・PBRともに高く、現時点で積極的に買いやすい水準とは言いにくい。今の評価額はすでに期待が乗っているため、新規で買うなら調整を待った方が安全で、すでに持っている場合は成長継続を前提に保有の合理性はあるが、割高圏であることは意識する必要がある。まとめるなら、良い企業だが安い株ではない、買うなら値段を見る、持つなら強みを信じる、それがあなたが提示した数字からの投資判断になる。
配当目的とかどうなの?
配当利回りが26.2期・27.2期ともに0.58%ということは、利回り投資として見るとかなり低い水準で、配当で利益を取りに行く銘柄ではない。1%にも届かず、預金や他の高配当株、REIT、インフラファンドと比較するとリターン差は大きく、インカム狙いの投資先としての魅力は現時点では弱い。もし配当目的で保有するなら、株価上昇と事業成長による含み益を狙う「キャピタル重視の銘柄」という前提が必要になる。
企業の利益は伸びておりROEも高いため、本来であれば還元余地はあるが、配当利回りが低いということは利益を配当に回すより成長投資や拡大に資金を使っている可能性が高く、会社としては成長路線を優先している印象になる。これは悪いことではないが、配当を主目的とする投資家から見るとメリットは薄い。
提示された配当利回りの数字だけで考えると、クリレスHDは配当狙いで買う銘柄ではなく、むしろ成長に期待するのであれば保有することは理解できるが、配当を受け取ることによって利益を得るインカム目的ではなく、将来の値上がりを狙うキャピタルゲイン向けの銘柄であると言える。
年間配当で利益を求めるのであれば他の銘柄の方が効率が良く、クリレスHDは配当ではなく値動きによってリターンを狙っていく銘柄だという判断になる。もし配当を重視して投資先を選びたいなら別銘柄を探す方が合理的であり、一方でどの株価水準なら利回りが魅力的になるかという計算も可能で、その場合は取得価格を下げれば利回りの印象は変わってくるという余地もある。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在株価770円のクリエイト・レストランツHDが今後5年間どのような値動きになるかを考えると、まず外食業界の景気や消費動向、訪日客の戻り方、食材価格、人件費、円相場、M&Aの成功失敗など複数の要素が価格形成に影響し、株価は企業業績だけではなく投資家の期待と不安によって左右されやすい銘柄であることが前提になる。
まず良い未来では、外食需要が回復と拡大を続け、訪日観光客やモール集客も強く推移し、既存ブランドが大きく育つだけでなくM&Aによる買収先の利益貢献が順調に加算されることで売上と利益率がさらに改善していくパターンが想定できる。店舗数の増加、ブランド価値の強化、収益体質の定着により営業利益率は安定的に引き上がり、ROEも高水準を維持する形で企業価値が積み上がれば株価はじわじわと切り上げていき、5年後には1,200〜1,600円へ到達する可能性がある。この場合は投資家の評価が継続的に強気に傾き、株価チャートは押し目を作りながらも右肩上がりの長期上昇トレンドを描くことが想像できる。
次に中間のシナリオでは、成長は続くものの好材料と課題が拮抗し、業績は堅調ではあるが市場の期待を超えないペースで進む姿となる。店舗網拡張や新規ブランドの育ち方は悪くないもののコスト上昇や消費鈍化などの波も時折かぶさり、外食セクター全体のトレンドも影響するため、株価は急騰せずとも確実に底を固めながら時間をかけて上を目指すような形になるだろう。5年後の価格帯は900〜1,100円付近が視野で、強気でも弱気でもない穏やかな成長。チャートはレンジを取りながらも長期的には上方向で、投資家心理としては大きな不安もなければ爆発的な期待感もない、落ち着いた銘柄との向き合い方になる。
悪いシナリオでは、食材コストの高騰、人件費上昇、消費低迷、競合強化、買収企業の収益化が進まないなどの複数の要因が重なる場合が考えられる。海外展開や新規ブランド投下がリスク要因として働き、期待が剥がれるとPER・PBRが修正され株価も一緒に下がりやすくなる。市場のリスクオフ局面が重なれば、好決算を出しても株価が伸びにくい時期が訪れ、投資家の心理が守りに傾く。5年後は600〜750円程度で推移し、回復まで時間のかかる停滞期が続く可能性がある。このケースでは買い残も売り残も膠着しやすく、資金効率を優先する投資家にとっては他銘柄へ乗り換える判断も出てくるだろう。
こうして三つを比べると、良い未来は企業の成長が株価に素直に織り込まれる展開で、中間はゆっくり育てる投資、悪い未来では耐える保有か撤退を選ぶ形になる。現在の770円は中間と良い未来のちょうど中間付近とも言え、過大評価ではない一方で割安感も強くはないライン。企業側の成長ストーリーを信じるなら保有で育てる選択もあるし、値動きの強さを見て押し目で拾う戦略も現実的。ただしリスク管理をするなら、長期的に強い決算や利益率改善が続くかどうかを毎期チェックしながら進める必要がある。5年後の位置は企業努力と市場環境で大きく変わり得るため、期待とリスクを両方持ちながら向き合うことが現実的なスタンスになる。
この記事の最終更新日:2025年12月9日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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