株価
スターティアホールディングスとは

スターティアホールディングス株式会社は、東京証券取引所プライム市場に上場する企業で、スターティアグループの持株会社として機能している。1996年に創業し、当初は通信回線取次やオフィス機器の販売といった業務が中心だったが、時代の変化に合わせて電子ブックソフトの開発やWeb関連のSaaSサービスに軸足を移し、現在ではデジタルマーケティング支援とITインフラ整備の二本柱で事業を展開している。
グループの中核となるスターティア株式会社は企業向けに通信インフラやネットワーク構築、オフィス機器の販売・レンタル、保守サポートなどを行い、特に中小企業を対象にIT環境の総合整備をワンストップで提供する存在になっている。一方、もう一つの事業の軸となるクラウドサーカス株式会社は電子ブック作成ツール「ActiBook」やWebマーケティングサービス、CMS、AR作成ツール、MAツールなどを含む「Cloud CIRCUS」というデジタルマーケティングプラットフォームを展開し、企業がWeb上で集客し、顧客を育成し、リピートにつなげるまでのプロセスを一体で支援する。
もともとはスターティア社内のインターネットメディアコンテンツグループから始まった流れで、電子ブック制作を足掛かりにWeb領域へ進出し、近年はSaaS型ビジネスモデルに完全に舵を切っている。Cloud CIRCUSの導入社数は年々増加し、単発売上ではなく継続課金で積み上がるストック収益を強化したことで、より安定した成長を目指す経営方針が見て取れる。
関連会社を見ていくと、スターティアリード株式会社、スターティアレイズ株式会社、海外拠点のStartia Asia、さらにオフィス設計のMACオフィスなど複数の会社がグループに属しており、バックオフィスDX、システム保守、電子ブック、マーケティング支援、オフィス環境設計と業務領域が広い。事業開始当初から続くネットワーク構築や回線取次などは成長速度こそ落ち着いているが、今も安定収益源のひとつとして機能し続けている一方、電子ブックやクラウド型のマーケティングソリューションは時代のニーズに合致し、積極的な事業展開で比重が高まっている。紙からデジタルへの移行が加速し、中小企業のWeb活用が標準になりつつある現在、同社は「ITインフラを整える会社」から「IT活用・DXを一気通貫で支援する会社」へと立ち位置を変えつつあるといえる。
総じて見ると、スターティアホールディングスはオフィス通信設備の構築、クラウドサービス、デジタルマーケティング支援という三つの層を重ねて企業活動を支援し、特にITに強くない中小企業でも導入しやすい環境を整え、インフラから販促まで手が届く形でビジネスを進めている。創業時からの事業を残しつつ、新たな収益モデルへ移行し、未来に向けて継続収益型の成長戦略を取っていることが特徴的で、グループ各社の役割が補完し合うことで総合IT支援企業としてのカラーがより濃くなっている。
スターティアホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(EPS) | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 20,004 | 1,724 | 1,844 | 1,212 | 135.1 | 41 |
| 連24.3 | 19,571 | 2,282 | 2,253 | 1,546 | 165.3 | 69(記念含) |
| 連25.3 | 22,211 | 2,737 | 2,784 | 1,960 | 206.3 | 114 |
| 連26.3予 | 24,100 | 3,000 | 3,000 | 2,000 | 213.9 | 125(記念含) |
| 連27.3予 | 27,000 | 3,500 | 3,500 | 2,300 | 246.0 | 117〜135 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 連23.3 | 1,661 | 0 | 135 |
| 連24.3 | 2,523 | -495 | 447 |
| 連25.3 | 1,718 | -429 | -2,087 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(2025) | PBR(2025) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 8.6% | 21.2% | 9.3% | – | – |
| 2024 | 11.6% | 22.7% | 10.5% | – | – |
| 2025 | 12.3% | 25.8% | 13.7% | 高値平均 11.6倍 / 安値平均 5.8倍 | 3.29倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
スターティアホールディングスはここ数年で業績を伸ばしており、連24.3では売上195億・営業利益22億・経常利益22億・純利益15億、EPS165円、配当69円という水準だったものが、翌連25.3では売上222億・営業利益27億・経常利益27億・純利益19億へと増え、EPSが206円まで伸びている。さらに連26.3予では売上241億・営業利益30億・経常利益30億・純利益20億まで進むと見込まれ、EPSも213円と着実に増加していく想定になっている。
利益が1年ごとに大きく落ち込んでいないどころか営業利益率は8.6%→11.6%→12.3%と改善しており、ROEも21.2%→22.7%→25.8%、ROAも9.3%→10.5%→13.7%と右肩上がりの推移を示すため、企業としての収益性が強化されてきたことが読み取れる。特にROE25%超えという数字はかなり力強く、資本を使って稼ぐ効率が非常に良いという評価に繋がる。純利益の伸びに連動してEPSが上昇していること、さらに配当も69円→114円→125円と増配傾向で推移していることから、株主還元姿勢が弱い会社ではないと判断でき、数字の面だけを見る限りは投資家にとって嬉しい方向へバランスよく伸びている。
ただし株価水準に目を移すと、2025年時点の実績PERは高値平均で11.6倍、安値平均で5.8倍と評価の幅が大きく、マーケットの温度感次第で株価が上下しやすい可能性があることもうかがえる。PBRが3.3倍というのは、資産価値に対して市場がすでにある程度成長を織り込んでいる状態で、決して割安ではなく「成長を買う投資」という性質が強い。つまり、数字は良いが株価が常に買い時であるとは言えず、押し目をうまく拾えるかどうかでリターンが変わりやすいタイプの銘柄ということになる。良い企業ほど安くは買えないが、成長が続ク限りは時間が利益を作る可能性が高く、短期勝負より長期保有で複利的に効いてくる投資が向いている、と考えられる会社だ。
総合すると、利益成長・利益率改善・ROEとROAの高さ・EPSと配当の増加という複数のポジティブ要素がそろっており、財務面からは「攻めながら勝っている会社」と評価できる。PBR3倍超という市場評価の高さは、収益拡大への期待そのものでもあり、逆に言えば期待が裏切られた場合の調整リスクでもある。とはいえ数字を見る限り現状は右肩上がりで、今後も営業利益が増え続けるならPER10倍前後でも十分に評価される可能性がある。個人的な視点でいえば、この会社は業績の勢いが止まらない限りは長期的な成長銘柄として面白く、買うなら高値を追うより下がった場面で拾って数年持つのが合理的、利益率とROEを支える本業が崩れない限りは持っていても面白いと考える。
配当目的とかどうなの?
スターティアホールディングスを配当目的で見る場合、予想配当利回りが連26.3で4.71%、連27.3でも4.71%という水準はかなり高く、単純に利回りだけ見ればインカム狙いとしても成立するラインにある。4%を超える水準は高配当に分類していいレベルで、しかもこの会社はEPSが165円→206円→213円と利益が伸びているトレンドの中で配当も69円→114円→125円と増えているので、無理をして配っているというより、利益成長に合わせて配当が自然に増えている形に近い。これは配当だけ欲しい人にも悪くない条件で、配当金が業績に裏付けられている場合は持続性が高いし、今後も減配リスクが急に来るタイプではなさそうだと読み取れる。
ただ、配当銘柄として見るときのポイントは、利回りが高いから安心というわけではなく、元本(株価)が下がれば利回りの数字だけ良くても評価は崩れる可能性があるという点。この会社はPBR3倍超という指標から市場期待が織り込まれている可能性があり、もし期待に失速があれば株価の調整が起きれば利回りは良くてもトータルではマイナスになる可能性は残る。逆に言えば、押し目で買えたなら利回りが高いまま保有できるので、インカム面では有利に働く。
結論としては、増配傾向+高利回り+業績成長が同時に揃っているため、配当目的としても十分に魅力がある部類。ただし値動きリスクを考えると、今買って保有し続けるより、株価が落ちたタイミングで拾うほうが安全度は高い。長期で配当を貰い続けるなら悪くない銘柄で、利回り4.7%を維持できるうちは持っていて楽しめるタイプだと思う。
今後の値動き予想!!(5年間)
企業の現在の価格(2,650.0円)から今後5年間を考えると、利益の伸びと配当が続き、営業利益率とROEの改善が維持されるなら、投資家の評価が強気に傾きやすくなる可能性がある。業績面の成長が安定して積み上がるほど、市場が期待を織り込みやすくなり、収益性の高さが継続して確認できる場合には、割安と見なされにくくなる。その結果としてPERが上振れる形で評価される展開も想定でき、業績と利益率が崩れないことが今後の大きなポイントになる。
良い場合のシナリオでは、SaaSとインフラ事業の双方が伸び、利益率がさらに高まりROE25%超の水準を維持、配当も増配傾向を継続すると仮定すると、市場評価は強気化しPERが12〜15倍に近づき、株価はおよそ3,600〜4,500円程度まで向かう余地があると考えられる。増益基調+増配+評価見直しという3点が揃えば4,000円台は十分狙える未来で、株式市場がリスクオンであればさらに高い水準に触れる可能性もある。
中間シナリオでは、成長は続くがスピードは緩やかになり、EPSと利益は伸びても評価は大きく変わらず、PERは現状と大きく変動せず8〜11倍の中で推移すると考える。その場合株価は2,600〜3,200円前後をゆっくり上向きに動く可能性が高く、配当を受け取りながら横ばいから緩やかな資産増となるイメージになる。成長と株価評価の釣り合いが崩れなければ堅い中期成長株として扱われ、急騰より着実な上昇を期待するタイプになる。
悪いシナリオでは、利益成長が鈍化しEPSの伸びが止まり営業利益率が低下、SaaSやデジタル領域の競争激化によりグロース評価が剥落し、PERが6〜8倍あたりまで冷える可能性がある。この場合の株価は1,800〜2,200円程度まで下落するリスクがあり、配当維持をしても株価調整でトータル損益はマイナスになる恐れがある。ただし企業体質が崩れなければ下値は配当利回りが支えになり、買い場として機能する可能性も残る。
最終的には、成長が継続すれば上へ、成長が鈍れば横ばいへ、そして失速すれば下方向へという分かりやすい結果に分岐する構造になっており、いまの水準はそのどれにも振れていない、やや真ん中を歩いている状態といえる。そのため、もし長期で考えるのであれば、一度に大きく買うというよりも、時間を分散しながら少しずつ拾い、業績と利益率の推移、特に営業利益率が維持されるか、ROEが高い水準を保てるかといった数字の動きを確認しながら保有量を調整していく方が結果としてリスクを抑えやすい。
決算のたびに数字が積み上がっていくなら期待は自然と高まるし、逆に伸びが鈍ればそれを早い段階で察知できるため、出口判断も取りやすくなる。つまり急いで結論を出す必要はなく、数字の積み重なりそのものが未来の答えを示してくれるため、その変化を追いながらゆっくり付き合っていく投資が最も現実的で合理的だと考える。
この記事の最終更新日:2025年12月10日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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