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トリドールホールディングス(3397)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

トリドールホールディングスとは

株式会社トリドールホールディングスは、東京都渋谷区道玄坂に拠点を置く外食企業グループの持株会社であり、その中心には国内最大規模の讃岐うどんチェーン「丸亀製麺」が存在する。同社はかつて焼きそば、ラーメン、焼き鳥など多業態を横展開し、同一商圏内で複数ブランドを重ねてシナジーを生み出す戦略を取り続けてきたが、現在では売上の約8割を丸亀製麺が占め、事業の中核はより明確にうどん事業へと寄っている。

丸亀製麺はセルフ式カウンターを採用し、店頭で製麺・調理まで行うライブ感と価格設定のバランスが特徴で、うどん業態のなかでも圧倒的な店舗数と知名度を誇り、全国チェーンとして存在感を確立した。名前の由来は香川県の讃岐地方で、創業者の家系にルーツがある地域だが、会社そのものと丸亀市に直接の関係はない。

全店直営運営へのこだわりは同社の大きな特徴であり、フランチャイズを使わずに現場調理を行うことで、品質の標準化と現場の改善速度を保つ組織構造ができている。これは管理の負荷と投資コストが高くなる反面、ブランドコントロールが効きやすく、味・接客・客単価を本部主導で磨けるという強みをもつ。2020年末には国内857店舗、海外237店舗まで規模が拡大し、アジア・欧米・中東まで出店が進むなど、国内大手から国際チェーンへと視界を広げる段階にある。特に香港を拠点に成長する「タムジャイ」ブランドの買収により麺市場の海外比率が高まり、今後は日本の丸亀と海外ブランドがどのように共存・棲み分けし、総合外食企業としての規模をどこまで引き延ばせるかが注視されるポイントとなる。

2016年には純粋持株会社制へ移行し、ブランド展開や資本配置を柔軟に行える体制へと進化した。国内の店舗運営部門は分社化され、その後の社名変更を経て丸亀製麺へ集約されている。2019年には本店を神戸から渋谷へ移転し、都市型の経営中枢としての機能強化も進んだ。この動きは単なる住所変更ではなく、経営スピード・マーケティング・グローバル展開を意識した重心シフトとも読み取れる。

グループには牛肉業態を展開する「肉のヤマ牛商店」、濃厚豚骨スープが特徴の「ラー麺ずんどう屋」、立ち飲み文化に地場を持つ「晩杯屋」、ハワイアンカフェとして人気の「コナズ珈琲」など多くの子会社・ブランドが存在する。多業態化は食品価格高騰や景気変動の影響を分散しやすく、丸亀製麺偏重のリスクを緩和する意味でも重要な役割を持つ。特にコナズ珈琲のような滞在型カフェ業態はうどんとは客層が異なり、ブランドの幅が企業の総合力として効いてくる可能性がある。

トリドールホールディングス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益 経常利益 純利益 一株益(EPS) 一株配当
23.3 188,320 7,466 7,726 3,827 39.6 7.5
24.3 231,952 11,647 10,839 5,675 60.7 9
25.3 268,228 8,674 5,332 1,874 17.0 10
26.3予 282,000 15,400 12,900 5,800 66.1 11〜13
27.3予 300,000 17,000 15,500 7,000 79.8 11〜14

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF 投資CF 財務CF
2023 32,595 -11,863 -8,783
2024 42,794 -26,817 -16,548
2025 37,670 -12,792 -13,219

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 3.9% 5.5% 1.4%
2024 5.0% 7.0% 1.7%
2025 3.2% 2.1% 0.5% 高値平均 134.9倍 / 安値平均 99.1倍 4.14倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

トリドールホールディングスの業績を数字だけで眺めると、売上が毎年着実に積み上がり、24.3期で2319億、25.3期で2682億、26.3期予想では2820億と外食企業としてはかなり強い伸び方をしていることがわかる。だがその一方で利益の軌道は滑らかではなく、24.3期の営業利益が116億あったものが25.3期では86億まで細くなり、純利益も56億から18億へと急速に落ち込み、翌26.3期に再び58億へ戻るという揺れ方になっている。数字の形だけを見るなら、事業スケールは右肩で伸びているにもかかわらず、その内部で発生する利益の厚みや効率が安定していないという印象が強い。

その揺らぎは利益率にもそのまま表れていて、営業利益率は3.9%から5.0%へと改善したあとに3.2%まで低下し、ROEも5.5%から7.0%に伸びたあと2.1%まで落ち込んでいる。資本効率や事業効率が継続的に強まっているとはまだ断言できず、むしろ売上規模拡大の裏で利益が削られる局面もあったという事実を示す。ROAも1.4%・1.7%と上昇したあと0.5%まで薄くなり、投資した資産がどれだけ利益を産んでいるかという点で見ると、26.3期時点の体質はまだ強靭と言える段階まで達してはいない。売上の大きさとは裏腹に、収益性が確固としたものとして定着しているかという問いに即答できない余韻が残る。

さらに市場評価の指標を見ると、PERが高値平均134.9倍、安値平均でも99.1倍という極めて高い倍率で取引されており、PBRも4.1倍と資産に対して大きく評価が乗っている。これらは数字の上だけで解釈すれば、投資家が未来の成長を強く織り込んでいる状態であり、現状の利益水準そのものよりも“これから本当に伸びるかどうか”という期待値が株価を支えていることになる。利益の伸びと効率が持続的に改善し、営業利益率とROEの両方が再び太く戻るかどうか、それが今後数年の評価を決める。もし利益改善が続くならこの評価は肯定されるが、数字が横ばいになれば期待分が剥がれ落ちる余地もあるため、数字だけから現状を捉えると、まだ完成された収益企業というより成長段階の途中にある姿が浮かぶ。

売上の勢いやブランド規模は強い。しかし利益の波と効率の落差を見ると、企業としての収益安定性や内部の筋力はもっと鍛えられる余地がある。期待を乗せて走っている状態なのか、それとも本当に利益構造が強まっていく途中なのか、今の数字だけではその判断の線引きが明確にはできない。外食という波を受けやすい領域の中で、利益がどれくらい厚く持続し、ROEが再び高く維持される未来がくるのか。その点を今後見ていくことになる。

配当目的とかどうなの?

配当目的でトリドールHDを考えるなら、まず26.3期・27.3期ともに予想配当利回りが0.25%という水準であることが前提になる。この利回りは市場平均を大きく下回り、日本株の一般的な配当利回り帯(2〜3%前後)と比べても極めて控えめで、インカムを軸に投資する銘柄としてはほとんど収益が期待できない部類に入る。配当で資産を育てたい、毎年の配当を生活資金に近づけたい、長期保有しながら受取額を徐々に増やしたいと考える投資スタイルであれば、この利回りは正直言って物足りなく、配当収入目当てで保有する理由は数字だけを見ると見出しにくい。

もちろん、配当が低いことがただちに悪いとは限らない。配当を抑えて内部に資金を留め、その分を成長投資に回している企業は珍しくなく、成長志向の企業ほど配当をあえて薄くするケースは多い。トリドールに関しても、過去の売上伸長、海外展開、多業態という拡張フェーズにあることを踏まえると、配当より投資回収と事業拡大を優先している印象を受ける。つまり今の低い配当水準は、企業が拡大段階にある兆候でもあり、利益を株主に返すより再投資に回して未来の収益源を育てようとするスタイルにも見える。そう考えると、配当を”今”欲しい人ではなく、将来の事業規模拡大や利益成長に賭けたい人向けという性格に近い。

ただ、それでも利回り0.25%という水準は、配当狙いの投資観点から見るとほぼ無視できるレベルであり、この会社を保有する理由が配当であるとは言えない。配当だけを見れば魅力は小さく、むしろ株価や業績の成長を取るキャピタルゲイン型の銘柄という位置付けのほうが適切に感じられる。増配が今後継続的に行われる、あるいは利益が増えることで将来的に利回りが引き上がるとわかるタイミングが訪れるなら評価は変わりうるが、現状の数字だけで判断するなら、配当目的で選ぶ銘柄とは言いがたい。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在株価4,285円のトリドールホールディングスが今後5年でどう動くかを想像すると、うどん主体から多ブランド・海外展開へと成長が進み、利益率とROEが安定して改善すれば企業として一段上の収益ステージに乗る可能性がある。現実的には売上は伸びても利益が波を打ちながら進む展開もあり、その場合はゆっくりと体力を付けていく5年になる。もし利益改善が進まず効率が戻らなければ、規模と収益のギャップが意識され、成長の再構築が課題になる未来もある。

良い場合を想像すると、売上の拡大と利益率の回復が同時に進み、営業利益率とROEが右肩に乗り直していく。丸亀製麺だけに依存せず、海外事業や他ブランドが利益貢献を始め、規模と収益が連動して成長する体質へ移行できれば、EPSは積み上がり、利益の振れ幅が小さく安定度が増していく。市場は期待を継続しやすく、企業価値は以前より厚く評価される。そのような未来なら株価は現在から段階的な評価増があり、5年後の目線で約6,500〜8,200円程度まで見える上昇の伸びしろが想定できる。成長の証明に時間がかかっても、利益構造が固まれば市場は持続的なプレミアムを許容しやすい。

中間の場合は、売上は伸び続けるが利益率の改善は緩やかで、一進一退を伴いながら進む展開が現実的となる。ROEや営業利益率は劇的ではないがじわりと底上げされ、市場評価も強気と弱気の中間で安定する。海外展開やブランド多角化は成果と課題が混ざりながら定着し、成長スピードは速くないものの、企業としての厚みは少しずつ増していく。
この場合、株価は大きな跳ねも失速もなく、期待と現実のバランスを保ちながら5年後で約4,800〜6,000円程度の落ち着いた推移が見えやすい。じわじわ積み上げる成熟型の未来である。

悪い場合は、売上拡大は続いても利益が安定せず、ROEが低く停滞し、営業利益率も再び薄くなる展開になる。海外投資やブランド展開に資金が食われ、収益化が進まず、EPS成長が鈍化すれば市場の期待は剥がれる。利益の波が続けば将来価値ではなく現行業績で評価されるようになり、評価倍率は縮小しやすくなる。この状態が長引くなら、株価は過去についた高めのバリュエーションを維持できず、5年後は約2,900〜3,700円程度までレンジが押し下げられる可能性がある。勢いが続かなければ市場はより冷静な目線に戻りやすい。

まとめると、良い未来では利益と収益効率の改善が進み、企業体質が強化されることで評価が上向く余地があり、中間的な未来では売上成長に支えられながら緩やかな成熟をたどる可能性が高く、悪い未来では利益の不安定さが継続し期待が剥がれることで慎重な評価に戻る展開も考えられる。つまり今後の5年間は、売上規模の拡大だけでなく利益率やROEがどこまで安定的に改善できるか、その継続性が企業価値を大きく左右する時間軸になるということだ。

この記事の最終更新日:2025年12月10日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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