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ケイアイスター不動産とは

ケイアイスター不動産株式会社は、埼玉県本庄市に本社を置く東証プライム上場の不動産会社で、全国で戸建分譲住宅を主力として展開している。1990年に有限会社ケイアイプランニングとして創業し、その後事業拡大に伴い組織変更と商号変更を経て現在の体制に至っている。同社は「豊かで楽しく快適なくらしの創造」を掲げ、「すべての人に持ち家を」というビジョンのもと、1次取得層向けの手の届きやすい価格帯の新築戸建住宅を大量供給するビジネスモデルを確立している。土地仕入れから企画、設計、施工、販売、アフターサービスまでを一気通貫で行う独自の「KEIAIプラットフォーム」を構築しており、リアルとテクノロジーを融合させた効率的なオペレーションを持つ点が特徴で、2021年には経済産業省のDX認定事業者にも選ばれている。
事業の柱は分譲住宅事業で、グループ連結では年間約9,000棟以上を販売する国内屈指の住宅供給企業となっており、南関東を中心に全国で事業を展開している。設計力と商品開発力を背景に、狭小地活用や機能性・デザイン性を両立した住宅シリーズの展開によって独自のポジションを築いている。また、国産木材の活用やESGへの取り組みにも積極的で、持続可能性を意識した住宅供給に注力している。
成長に合わせてグループの再編と拡大も進んでおり、2019年以降中古住宅再生事業、注文住宅事業、人材サービス事業、海外事業など多岐にわたってM&Aや新会社設立を行っている。特に建新、エルハウジング、プレストホーム、新山形ホームテックなどの買収を通じて事業領域と供給エリアを広げ、住宅販売の総合力を高めている。また、FC事業を担うケイアイネットクラウドは不動産仲介や建築FCなどを提供し、加盟店に営業ノウハウやITシステムを展開することで全国の販売網を拡大している。海外ではオーストラリアやアメリカにも子会社を設立し、グローバル展開への布石も打っている。
グループ会社には分譲住宅事業、注文住宅事業、中古住宅再生、建設業、人材サービス、海外法人など幅広い子会社があり、住宅の企画から販売、リフォーム、アフターサービスまで住宅に関わるあらゆる領域をカバーする体制が整っている。こうした総合的な住宅供給力と効率的な事業運営を武器に、ケイアイスター不動産は戸建分譲市場で存在感を高めており、特に若いファミリー層向けの一次取得市場において強い競争力を発揮している。
ケイアイスター不動産 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(単位百万) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益(EPS) | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 241,879 | 19,189 | 18,467 | 11,845 | 750.8 | 230 |
| 連24.3 | 283,084 | 11,362 | 10,130 | 6,856 | 434.9 | 180 |
| 連25.3 | 342,553 | 17,255 | 15,124 | 8,862 | 570.4 | 151 |
| 連26.3予 | 365,000 | 23,000 | 20,000 | 12,000 | 775.0 | 200 |
| 連27.3予 | 425,000 | 28,000 | 25,000 | 15,000 | 968.7 | 200〜250 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位百万) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | -16,394 | -2,476 | 22,388 |
| 2024 | -15,281 | -4,891 | 27,072 |
| 2025 | -626 | -7,539 | 22,214 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 7.9% | 23.2% | 5.9% | — | — |
| 2024 | 4.0% | 12.5% | 2.7% | — | — |
| 2025 | 5.0% | 14.7% | 3.0% | 実績PER 高値9.6倍 / 安値5.7倍 | 実績PBR 1.46倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
ケイアイスター不動産の業績を金額ベースで見ると、売上は2024年が2,830億円、2025年が3,425億円、2026年予想が3,650億円と着実に伸びており、トップラインの力強さがまず大きな特徴になっている。営業利益は2024年が113億円と弱いが、2025年は172億円、2026年予想では230億円まで改善し、利益面でも回復から成長局面へ移行している印象が強い。経常利益と純利益も同じ動きをしており、2026年予想では純利益が120億円と、明らかに利益の底上げが進んでいる。EPSも434円から570円、そして775円と大きく伸びており、利益の質としても上向きだと言える。
収益性の指標を見ると、営業利益率は2023年の7.9%から2024年の4.0%へ大きく落ち込んだものの、2025年には5.0%まで回復している。利益率のボラティリティはあるが、事業規模拡大の段階で一時的な圧迫が起きていた可能性が高く、直近の改善トレンドは評価ポイントになる。ROEは23.2%、12.5%、14.7%と推移しており、低下した年があるとはいえ依然として10%以上を維持しており、資本効率は十分に高い。ROAは5.9%、2.7%、3.0%と低水準ながら、これは不動産業特有の資産構造によるもので、業界としては許容範囲のレベルと言える。
バリュエーションでは、2025年のPERが高値平均で9.6倍、安値平均で5.7倍、PBRが1.46倍となっており、割高と言える水準ではなく、むしろ成長を続ける企業として考えると比較的割安に見える部分もある。特にEPSが明確に伸びている点を踏まえると、市場がまだ同社の利益成長を十分に評価していない可能性もある。
これらをまとめると、ケイアイスター不動産は 売上成長が明確で、利益も回復から拡大に向かっている成長型の住宅メーカー として評価できる。2024年の利益率低下は気になるものの、2025年以降の伸びを見る限り一時的な調整と捉える方が自然で、ROEの高さやEPSの増加から見ても企業としての稼ぐ力はむしろ強まっている。バリュエーション面でもPER5.7〜9.6倍は重すぎず、利益成長が続けば株価の上振れ余地は十分に期待できる。
結論としては、成長性と収益性の回復を踏まえると中長期での成長期待が持てる“やや強気寄りの投資判断” が妥当であり、不動産市況が極端に崩れない限りは堅調な業績拡大と株価の押し上げが期待できる銘柄になる。
配当目的とかどうなの?
ケイアイスター不動産を配当目的で見た場合、予想配当利回り(2026・2027年度)が3.23%という水準は、日本株全体で見ると「高配当とまではいかないが、十分に魅力的な中堅利回り」という位置づけになる。特に同社は売上と利益が増加傾向にあり、EPSも434円から570円、そして775円へと伸びているため、配当が企業の負担になっている印象はなく、むしろ業績に裏付けられた安定配当型の銘柄といえる。利益成長とともにのれんではなく実力でEPSが伸びている点は、配当の持続性という観点で大きな安心材料になる。
配当性向が極端に高いわけではなく、事業拡大の余力を残しつつ配当を払えているため、長期的に減配リスクが低い点も評価できる。不動産会社の中には、市況悪化で利益が急減し減配するケースもあるが、ケイアイスター不動産の場合は事業規模の拡大とアフターサービス・FC事業・中古再生など複数の事業ラインが動いており、収益源が分散されているため安定性が高い。
また、EPSの成長が続くと理論的には配当の増額余地も生まれるため、現在の3.23%という利回りは“最低保証”に近い見方もできる。今後利益がさらに伸びれば、配当の積み増しが行われる可能性は十分にある。
一方で、配当狙い一本で選ぶほど突出した利回りではないため、「高い安定性と成長期待のバランスを取って投資したい」という人向けの銘柄といえる。極端な高利回りではないが、成長力と安定配当を同時に狙える点はメリットで、長期保有との相性は良い。総じて、ケイアイスター不動産は“そこそこの利回り+業績の伸びで将来の増配も期待できる配当銘柄”という位置づけで、配当目的としても十分検討に値する企業といえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
ケイアイスター不動産の株価が現在6,190円を基点とした場合、今後5年間の値動きは業績成長、利益率の改善、配当利回り、PER・PBR水準などから良い場合、悪い場合、中間の3つのシナリオが考えられる。特に同社は売上規模が着実に拡大しており、利益も揺れながらも中長期でみれば増加傾向にあるため、住宅市況との相関が強い一方で企業自体の成長力も無視できない。今後の株価は、住宅需要の動きだけでなく、仕入れ環境や金利動向、国内の景気サイクル、さらには同社が進めるDX化や業務効率改善の成果がどこまで利益率の押し上げにつながるかにも大きく影響を受ける。市場がこれらの成長要素を評価するかどうかで、株価の上限と下限の幅が大きく変わっていくことになる。
まず良い場合は、分譲住宅の販売が想定以上に堅調に推移し、売上と利益が計画どおり増加するのみならず、営業利益率やROEが改善するケースである。この場合、企業の収益性向上が進み、PERが今より積極的に評価されるようになり、PERが12倍から15倍程度のレンジで市場評価される可能性がある。その場合、EPSの成長に応じて株価は8,000円から10,000円程度まで上昇する余地がある。加えて配当利回りが安定していることが買い材料となり、6,190円の株価を底に大きく上昇するシナリオも想定される。
中間シナリオでは、業績は計画どおり売上と利益を維持しつつも大きな改善は見られないケースである。営業利益率が緩やかに戻り、ROEも10〜15%程度で安定するような展開ならば、PERは市場平均近辺で推移する見込みとなる。この場合、株価は5,000円から7,500円の範囲で推移する可能性が高く、一時的な上昇と下落を繰り返しながらも長期的なレンジに収まることが予想される。配当利回りが堅調に保たれるならば、下値を支える要素として機能し、劇的な下落は回避されやすい。
次に悪い場合は、住宅市況の悪化や在庫の滞留、利益率の低下が続き、業績が伸び悩むケースである。不動産市場が冷え込むと売上成長が止まり、利益率がさらに落ちる可能性があり、ROEやROAも低水準で推移することが懸念される。この場合、PERは過去の安値水準近くの5倍台まで低下する恐れがあり、株価は3,000円から4,000円程度へ下落する可能性が出てくる。最悪の場合には市場評価が一段と冷え込み、2,500円前後まで下押しされることも全く否定できない。
まとめると、5年間の株価レンジは、良い場合で8,000〜10,000円、悪い場合で2,500〜4,000円、中間シナリオで5,000〜7,500円程度になる可能性がある。ケイアイスター不動産の株価は、住宅市場の動向、利益率の改善度合い、PER評価の変動、そして安定した配当利回りがどのように評価されるかによって大きく左右される点に注意が必要である。
この記事の最終更新日:2025年12月11日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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