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クスリのアオキホールディングス(3549)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

クスリのアオキホールディングスとは

クスリのアオキは、石川県白山市を本拠とする北陸最大手のドラッグストアチェーンで、創業は1869年という非常に長い歴史を持つ企業である。もともとは「青木二階堂薬局」として薬種商から出発し、1985年に第1号店を開いてドラッグストア事業へ本格転換した。その後は北陸を中心に強力なドミナント戦略で店舗数を急増させ、2007年に100店舗、2016年に300店舗を突破し、近年は年間100店舗ペースの出店で一気に全国規模のチェーンへ成長した。2025年時点では店舗数が1,000店に到達し、日本のドラッグストア業界でも存在感の大きい企業となっている。

事業の特徴は「ドラッグストア+調剤+食品」を一体化したビジネスモデルで、医薬品や生活用品に加えて生鮮食品まで扱う“食品強化型ドラッグストア”を展開している点が大きい。従来のドラッグストアでは難しかった日常の買い物需要を取り込み、スーパーの代替としても利用される店舗形態を確立している。近年では中堅スーパーのM&Aも積極化しており、食品部門の強化によって総合小売としての機能を高めている。また調剤薬局の併設も進み、地域の医療・健康インフラとしての役割も果たしている。

出店エリアは北陸に限らず、中部・関東・近畿・東北・四国まで広がり、群馬・栃木・茨城をはじめ、石川・富山・福井、新潟、長野、岐阜、愛知、三重、静岡などに多数の店舗を構える。京都・滋賀・奈良・大阪など関西圏にも進出しており、地方を中心に細かい商圏を押さえる戦略が功を奏している。2025年6月時点で、群馬88店、石川108店、富山99店、新潟85店など、各地に強いドミナントを築いている。

決済サービスも幅広く整備されており、WAON、Edy、iD、交通系ICカード、PayPay、楽天ペイ、au Payなど多くのキャッシュレスに対応している。また独自のプリペイド型ポイントカード「Aoca(アオカ)」を導入し、チャージ型のメンバーズカードとして買い物促進と顧客囲い込みを両立している。マイナポイント事業にも参加するなど、デジタルサービス展開も積極的である。

店内のATMはイオン銀行や北陸銀行が一部店舗に導入され、地域に密着したライフラインとしての機能も備えている。店舗の看板デザインは赤地と白地の2種類があり、建物にロゴを埋め込むタイプの店舗も存在するなど、地域・店舗ごとに一定の個性がある。

総合的に見ると、クスリのアオキは「小売+調剤+食品」の三本柱を強みに、全国へと勢力を広げている成長企業であり、特に食品強化型ドラッグストアとM&Aを組み合わせた事業モデルによって、ドラッグストアとスーパーの境界を曖昧にしながら存在感を拡大している。地域密着性が強く、日用品・食品・医療関連サービスをワンストップで提供できる点が競争優位の源泉となっている。

クスリのアオキホールディングス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(単位百万) 営業利益 経常利益 純利益 一株益(EPS) 配当
連21.5* 305,880 16,619 17,344 12,062 127.5 7.67
連22.5* 328,335 14,070 15,785 9,839 104.0 8.67
連23.5* 378,874 15,296 19,129 12,326 130.3 9.67
連24.5* 436,875 18,569 20,101 12,307 130.1 10.8
連25.5 501,470 26,601 27,513 17,786 175.4 14
連26.5予 560,000 23,000 22,700 15,500 156.0 16
連27.5予 650,000 26,600 26,300 17,900 180.2 18

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位百万) 営業CF 投資CF 財務CF
2023 31,249 -22,260 7,533
2024 26,864 -21,104 344
2025 22,167 -31,079 7,668

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(高値/安値) PBR
2023 4.0% 12.5% 4.4%
2024 4.2% 11.1% 4.0%
2025 5.3% 12.2% 5.0% 23.6倍 / 15.4倍 2.56倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

クスリのアオキの数字だけを丁寧に見ていくと、この企業が「強い売上成長の一方で、利益面にやや波が出始めている段階」にあることがよく分かる。まず売上は、4368億 → 5014億 → 5600億と非常に力強く伸びており、ドラッグストア業界の中でも高い成長力を維持している。毎年100店舗規模で出店を続ける戦略が、しっかり数字に表れている印象だ。

しかし利益を見ると少し表情が違う。営業利益は185億 → 266億と伸びたものの、翌年の予想では230億と減少する見通しになっている。売上は伸びているのに利益が減るということは、出店コスト、人件費、原価の上昇などが圧迫している可能性が高い。とはいえ営業利益率自体は4.0% → 4.2% → 5.3% と改善しているため、事業の粗利構造が弱くなっているわけではない。むしろ効率性は少しずつ良くなっており、利益減は投資期特有の一時的な揺れとも捉えられる。

純利益を見ると123億 → 177億 → 155億と2026年予想で減る形になっており、こちらも成長が一旦落ち着く兆しが見える。ただ、ROEは12%前後で安定していて、資本効率は比較的高い。ROAも5%近くを維持しているため、資産効率も悪くない。ドラッグストア業界としては標準以上の水準だ。

バリュエーションを確認すると、PERは高値23.6倍・安値15.4倍、PBRは2.5倍前後。数字だけで見ると「割安ではないが、高成長銘柄として市場からそれなりの評価を受けている」という位置づけになる。出店で売上を伸ばすモデルは投資負担が大きいので、利益の伸びが鈍るとPERが圧縮されやすい点には注意が必要だ。

総合すると、クスリのアオキは“売上は強いが、利益は投資負担で一時的に鈍化”という過渡期にあるように見える。中長期では店舗網拡大によって売上も利益も伸びる可能性が高いが、短期では出店コストの重さが株価の上値を抑える可能性がある。ROEや営業利益率は一定の水準を維持できており、企業としての基礎体力は十分。そのため「長期の成長を信じて少しずつ積み上げる」という投資には向いているが、「短期で利益成長を求める」タイプの投資にはやや不向きかもしれない。

結局のところ、数字だけから判断すると、クスリのアオキは長期戦で評価される銘柄であり、利益の伸びが戻ってくる局面では株価が再び上向く余地がある。ただし、利益が鈍る時期は市場評価が厳しくなりやすいため、落ち着いたバリュエーションまで引き付けて買うという戦略も現実的だといえる。

配当目的とかどうなの?

クスリのアオキを配当目的で考えたとき、数字だけを見ると結論はかなりはっきりしていて、「配当狙いの投資には向いていない」という評価になる。まず配当利回りを見ると、2026年で0.43%、2027年で0.48%と、どちらも1%を大きく下回る超低水準だ。一般的に、配当を目的に投資する人が魅力を感じる利回りは3〜5%前後であり、1%以下の銘柄はそもそも配当収入を得る目的には合致しない。基本的に“成長株”のように市場から評価され、高い利回りを提供する必要がない企業がこの水準になる。

また、クスリのアオキは出店ペースが非常に速く、毎年多くの新規店舗を立ち上げて売上を拡大している。そのため資金需要が大きく、企業としても手元資金を厚く保つ必要がある。出店・設備投資・物流強化・人材確保など、成長のために再投資すべき領域が多く、利益をそのまま株主に還元するより、将来の成長のために内部留保へ回す姿勢がうかがえる。実際に配当金自体は出しているものの、利益の伸びに比べて配当の増加が控えめで、還元より成長優先のスタンスが長年続いている。

バリュエーションを見ても、PERやPBRが一定程度高い水準にあるため、株価は成長期待のプレミアムが乗っている銘柄と言える。こうした銘柄は、値上がり益を狙う投資には向いていても、配当目的の投資とは非常に相性が悪い。もし配当利回り0.4〜0.5%の銘柄を利回り狙いで買った場合、株価の上下で簡単に利回り分が吹き飛び、配当の旨味を感じにくい。

こうした点を総合して考えると、クスリのアオキは“配当を受け取りたい人が選ぶ銘柄ではない”。むしろ「出店による売上拡大」や「業界再編における存在感の強さ」といった成長シナリオに期待して、中長期で企業価値そのものの上昇に乗りたい投資家向けの銘柄だと言える。配当金はおまけ程度に受け取る感覚で、利回り目当てで選ぶタイプではない、というのが数字から読み取れる結論になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

企業の現在、株価3,701円から今後5年間を見据えると、売上の積み上がりが継続し、営業利益率が改善基調を保ち、ROEも再び上向きに入るなら、市場は徐々に強気に傾きやすくなる。クスリのアオキは過去数年にわたり、出店攻勢を背景に売上を一貫して伸ばしてきた企業であり、利益率も低いながら改善の兆しを見せている。もしこの流れが継続し、利益の伸びが再加速する局面に入れば、現在の評価が見直される可能性は十分にある。市場は“売上だけ伸びて利益が追いつかない局面”に慎重になりがちだが、利益率が安定的に上昇することで、再びバリュエーションが切り上がる展開に入りやすい。結局のところ、数字が綺麗に積み上がり続けるかどうかが、今後5年間の株価を決定づける軸となる。

良いシナリオでは、出店費用や人件費の増加を吸収し、営業利益率が5%台を維持しつつROEが12%以上を定着させることを前提とする。この場合、市場は成長鈍化懸念からの脱却を評価し、企業の安定性と収益改善を素直に織り込み始めるだろう。PERは15〜18倍レンジに切り上がりやすく、業績の拡大と市場評価の正常化が同時に進めば、株価は4,800〜5,500円近辺に到達する余地がある。5年スパンで見れば、6,000円台に触れる場面があっても不思議ではなく、業績・利益率・市場評価が噛み合えば、株価は段階を踏んで上方向へ伸びやすい構造となる。

中間シナリオでは、売上は伸び続けるものの、利益の伸びは緩やかで、営業利益率も5%前後で横ばいとなる未来を想定する。市場はクスリのアオキを過度に評価することもなく、過小評価することもなく、PERは12〜15倍程度で推移すると考えられる。株価は3,701円から4,100〜4,500円の範囲でじわじわ上向き、派手な上昇は見込みづらいが、安定した売上成長を背景に“静かに資産が増える銘柄”として位置付けられる。配当より成長を重視する投資家にとっては、悪くない中庸の展開となりやすい。

悪いシナリオでは、急速な出店に伴う人件費・原価・物流費の上昇を吸収できず、利益成長が頭打ちになり営業利益率が再び低下する局面を想定する。ROEも一桁台へ沈み、利益率改善の兆しが消えると、収益構造に対する信頼が後退し、市場は割安方向へバリュエーションを圧縮する。PERが10倍を割り込む展開となれば、株価は2,400〜3,000円への調整が現実的となり、出店過多による投資負担が意識されると、2,000円台前半も視野に入る。ただし、ドラッグストアとしての事業基盤は強く、完全に崩れる事業モデルではないため、悲観的な局面では“逆張りの買い場”として機能する可能性も高い。

最終的には、売上拡大が続くだけでは株価は力強く伸びず、利益が伸び続けるかどうかが決定的なポイントとなる。成長が進むほど株価は評価され、成長が鈍れば株価は膠着し、失速すれば市場は厳しく反応する。現在の3,701円という株価は、三つの方向にいずれも進み得る中間地点にあり、特別に割安でも割高でもない。このため、時間を分散して買い増しし、決算ごとに営業利益率とROEの推移を確認しながら慎重にポジションを調整していく方法が、リスクを抑えつつ長期で向き合える現実的な戦略になる。数字が着実に積み上がるなら株価は自然に上向くし、違和感が出たら早めに引く判断もできる。結論を急ぐ必要はなく、成長の積み重ねそのものを確認しながら付き合う銘柄だと言える。

この記事の最終更新日:2025年12月11日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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