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力の源ホールディングス(3561)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

力の源ホールディングスとは

株式会社力の源ホールディングスは、福岡県福岡市を本拠地とし、ラーメンブランド「博多一風堂」を世界規模で展開する外食グループの持株会社である。創業以来、一風堂の味とブランドを軸に、国内外で積極的に出店を重ね、アジア、北米、欧州など幅広い地域に店舗網を拡大してきた。単なる国内チェーンに留まらず、グローバルブランドとしての地位を築きつつある点が大きな特徴となっている。

一風堂は博多ラーメンをベースにしながらも、国や地域によって麺やスープを最適化するなど柔軟な商品開発を行っており、海外での評価も高い。日本でも都市部から地方まで幅広く展開し、店舗形態は通常のラーメン店だけにとどまらず、フードコート型、ラーメンダイニング型、酒類を提供するバルスタイルなど、立地や客層に合わせた多様なフォーマットを開発している。こうした業態開発の積極性は、外食市場の変化に対応しながらブランドを拡張する大きな強みである。

また、グループはラーメン事業以外への広がりも見せている。農業法人「くしふるの大地」を通じて大分県で農業・研修事業を行い、生産から外食までの食のバリューチェーンを自社グループ内で一部完結させる仕組みづくりにも挑戦している。食材の安定確保、食品教育、人材育成など、単なる飲食店運営に留まらない長期的な取り組みが進められている。

さらに、創業から70年以上続く福岡の老舗うどん店「因幡うどん」を事業継承し、地元の食文化を守りながら新たな息吹を吹き込んでいる。後継者不足による閉店の危機にあったブランドを引き継ぐことで、地域文化の継続と自社の事業多角化を両立している点が特徴的である。

全体として、力の源ホールディングスは「博多ラーメンの世界展開」という明確な軸を持ちながら、業態開発、海外戦略、農業との連携、地域ブランドの保護といった複数の方向性で事業を広げている企業である。外食業界は景気変動や食材高騰の影響を受けやすいものの、一風堂という強力なブランド力と海外展開力、多面的な事業運営により、同社は独自のポジションを築いていると言える。

力の源ホールディングス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
連23.3 26,116 2,281 2,321 1,628 57.1 15特
連24.3 31,776 3,296 3,489 2,186 72.9 20特
連25.3 34,166 2,809 2,841 1,758 58.4 18
連26.3予 37,300 3,170 3,260 2,460 81.8 20
連27.3予 41,000 3,350 3,450 2,280 75.8 20〜22

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(百万円) 営業CF 投資CF 財務CF
2023 2,852 -967 -71
2024 3,934 -2,406 -3,561
2025 3,083 -1,588 -828

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROA ROE PER PBR
2023 8.7% 9.3% 21.3%
2024 10.3% 12.6% 23.5%
2025 8.2% 9.4% 16.4% 30.6倍 / 14.4倍 3.53倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

力の源ホールディングスが「売上成長は堅調だが、利益の波がやや大きい成長途上の外食企業」であることがよく分かる。まず売上は317億 → 341億 → 373億と安定して伸び続けており、事業規模は着実に拡大している。国内外で店舗を広げつつブランド力を維持していることが、数字にそのまま現れている。

一方、利益面はやや凸凹している。営業利益は32億 → 28億 → 31億と推移し、一度落ち込んだあと回復しているが、利益率は8.7% → 10.3% → 8.2%と再び低下している。外食企業として8%前後は十分高い水準だが、直近の落ち込みは食材価格や人件費の影響、あるいは投資負担が利益を押し下げた可能性を示している。ただし黒字は確保し続けており、利益体質が崩れているわけではない。

純利益を見ると22億 → 17億 → 24億と増減はあるものの、直近でしっかり回復しており、企業としての底力は見せている。これを裏付けるようにROEは21.3% → 23.5% → 16.4%と高水準を維持しており、株主資本を効率よく利益に変える力は依然として強い。ROAも9〜12%と高く、資産効率の良いビジネスであることが分かる。つまり、多少利益が波打っても、本質的には強い収益エンジンを持っている会社だといえる。

市場評価の面を見ると、PERが14.4倍〜30.6倍と振れ幅が大きく、市場の期待と心理に左右されやすい銘柄であることが分かる。高値側の30倍は明らかに強気に評価されている局面で、成長期待をかなり織り込んだ水準といえる。一方、安値側の14倍は利益成長が続くなら妥当、もしくはやや割安寄りの評価だと言える。PBRも3.5倍と高いため、ブランド価値や成長性を考慮したプレミアム評価が定着している。

総合すると、この企業は「成長力はあるが利益に波があるため、評価が上下しやすいタイプ」。ROEやROAは優秀で、長期的な成長余力も感じられるが、利益率の変動が激しいため市場心理の影響を受けやすい。買うなら割安圏(PER15倍前後)のタイミングが望ましく、割高圏で勢い任せに買うと調整を食らいやすい。一方で、成長が続くかぎり中長期では十分報われる可能性を持つ銘柄でもある。

つまり、安定配当を狙うようなタイプではなく、「成長を信じて適正価格で拾う銘柄」。数字だけを見ると、短期よりも中長期でじっくり育てる投資スタイルが向いている企業だと言える。

配当目的とかどうなの?

力の源ホールディングスの配当を「配当目的で買う価値があるか」という視点だけで丁寧に見ていくと、この企業はやはり“配当を主目的に選ぶタイプではない”という結論になる。まず、配当利回りは1.5%前後と低く、日本株全体の平均利回りよりも下回っている。利回り3〜4%台を出す成熟企業と比べると、配当収入を目的とする投資ではどうしても見劣りしてしまう。

また、この企業は店舗拡大や海外展開を続ける成長フェーズにあり、利益を積極的に再投資する経営姿勢が強い。そのため、利益が出ても配当に大きく回すというより、事業拡大へ資金を振り向ける傾向がみられる。実際、過去の配当水準を見ても大きく増えるわけではなく、毎年ほぼ横ばいで安定させているだけに近い。つまり、「配当で株主を魅了する会社」というより、「成長で株主価値を高める会社」。

利益の動きが一定ではなく、営業利益・純利益ともに年度で変動が大きい点も、配当目的の投資としては不安材料になる。安定配当株に求められる“利益の積み上がり”や“長期的な配当成長のシナリオ”はまだ十分に整っていない。一方で、大きく減配したりするリスクは比較的低く、黒字が続く限り配当を維持しようとする傾向は読み取れるため、安定性がゼロというわけではない。

総合すると、この企業を配当で買うのはおすすめしづらく、あくまで“成長に期待して保有する銘柄”であり、配当はおまけとして受け取るものだと考えるのが現実的。利回りで魅力を感じる銘柄ではなく、未来の成長力や海外展開による収益拡大を期待して長期で見守るタイプの投資先だといえる。配当を重視するなら、もっと利回りが高く、利益の積み上がりが安定している企業を選ぶほうが合理的だ。

今後の値動き予想!!(5年間)

力の源HDの現在株価1,332円から今後5年間を見据えると、この銘柄の株価を決める最大の焦点は「成長投資を続けながら、利益率をどこまで安定させられるか」という一点に尽きる。売上は確実に増えているものの、外食特有のコスト環境や海外展開の波によって利益が上下しやすい構造を持っており、この“利益の揺れ”が市場評価を大きく左右してきた。特に営業利益率とROEのトレンドが安定方向に向かうかどうかは、投資家心理に直接影響する。利益率が改善し、高いROEに戻っていくのか、それとも波が続くのか。この分岐が5年後の株価水準を決める軸になる。

【良いシナリオ】
国内外での一風堂ブランド強化が進み、海外店舗の収益性が安定するケースを想定する。店舗オペレーション効率の改善が進み、営業利益率が再び9〜10%台に戻り、ROEも20%前後の高水準まで引き上がれば、投資家の評価は一気に強気へ傾き、市場はこの企業を“外食の成長株”として再評価し始める。PERが25〜30倍程度に切り上がれば、株価は1,800〜2,200円程度まで上昇余地が生まれ、長期的に見れば2,300円超えも視野に入る。海外展開が順調に加速すれば、ブランド価値への期待が株価を押し上げる展開もあり得る。

【中間シナリオ】
売上は伸びるが利益率が大きく改善するわけではなく、営業利益率は8%前後で安定するケース。海外展開も堅調だが利益貢献は限定的で、国内のコスト増が相殺してしまう。市場評価としては強気にも弱気にも傾かず、PERは16〜20倍の範囲で推移すると見られる。この場合、株価は1,350〜1,600円前後で落ち着きやすく、配当を受け取りつつ長期で保有するには無難な展開になる。ただし、大きく上昇する材料も乏しく、じわじわとした値動きが中心となる。

【悪いシナリオ】
原材料費や人件費の上昇が利益を圧迫し、営業利益率が再び低下するケース。もしROEが10%を割り込み、利益の伸び悩みが続くと、市場は成長期待を剥落させ、PERは10〜13倍程度の低評価にとどまる可能性が高い。この場合、株価は1,050〜1,250円程度に下落する余地があり、業績に失速感が出れば1,000円割れの場面が来ることも想定される。ただし、事業が破綻するようなリスクは小さく、外食企業としてのブランド力もあるため、悲観の底では押し目買いが入りやすい構造も残る。

【まとめ】
力の源HDの株価は、外食産業ならではのコスト環境の影響を受けやすい一方で、ブランド力と海外成長のポテンシャルもあり、大きく伸びる可能性も秘めている。現在の1,332円という株価は、良くも悪くも“どちらにも振れる中間地点”にあり、強気にも弱気にも判断しづらい水準に位置している。だからこそ、決算のたびに営業利益率とROEの推移を注視し、数字の改善や悪化に応じて投資判断を柔軟に変えていくことが重要となる。株価は最後は業績の積み重ねが決める。短期の値動きに振り回されず、利益率・効率性・ブランド力の3点を冷静に見続けることで、最適な投資判断ができる銘柄だと言える。

この記事の最終更新日:2025年12月11日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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