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ワコールホールディングス(3591)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ワコールホールディングスとは

ワコールホールディングス株式会社は、婦人下着で国内首位の企業であり、本社は京都市南区吉祥院中島町29番地に位置する。中核ブランドである「ワコール」と、量販向け廉価ブランド「ウイング」を柱に、百貨店・専門店・量販店・直営店・ECなど幅広い販売チャネルを展開する。傘下に若年層向けブランドを展開するピーチ・ジョンを持ち、SPA形式の直営店舗や大型ショッピングセンター内でのショップ運営も強い。主力事業は婦人用インナーウェアだが、スポーツウェア、ルームウェア、メンズ向けインナー、マタニティ、シニア向け商品など多様な分野に展開している。特にブラジャーでは大人向けに加えてジュニア向けブランド(フェアリーティアラ、ワコールジュニアビス、プリリなど)も展開し、成長段階に応じた下着の提案に力を入れている。

婦人下着分野では国内シェアトップであり、百貨店・量販店向けの卸売が収益の大きな軸となっている。生産は協力工場との連携のもと行われ、最終検針は新潟ワコール縫製株式会社で実施、その後全国の流通センターを通じて販売チャネルへ配送される体制が整っている。顧客層の広がりや多様性にも配慮し、2024年には性的マイノリティーに配慮した接客方針を公式に定めるなど、時代に合わせた対応も進めている。また、女性の体型変化データを蓄積し、シニア向け商品の開発にも積極的に取り組んでいる。

ブランド展開は非常に広く、レディース分野ではアツコマタノ、アンフィ、ウンナナクール、サルート、スハダ、トレフル、LASEE、PARFAGE など多数のブランドを運営するほか、スポーツ分野での「CW-X」、メンズ向けの「BROS」「WACOAL MEN」なども展開している。寝具・ルームウェア・ブライダル・ベビーなど幅広いカテゴリを持ち、多層的なブランドポートフォリオで国内外市場をカバーしている。

一方で、直近では業績改善に向けた抜本的な構造改革にも着手しており、商品ラインの見直し、販路の最適化、海外事業の再構築などを進めている。従業員の約9割が女性という特徴を持ち、企業文化としても女性視点の製品開発を強く意識している。国内事業だけでなく海外事業、ピーチ・ジョン事業など複数のセグメントで事業を展開し、百貨店からECまで幅広い市場でブランド価値を提供している。

ワコールホールディングス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
23.3 188,592 -3,490 -699 -1,776 -29.7 80
24.3 187,208 -9,503 -8,290 -8,632 -151.6 100
25.3 173,896 3,328 5,693 6,989 129.7 100
26.3予 168,600 20,700 20,500 13,500 267.5 100
27.3予 173,700 6,000 5,800 3,800 75.3 100

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 7,334 3,902 -22,541
2024 11,291 14,048 -20,211
2025 4,938 9,382 -22,925

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(高値/安値) PBR
2023 -1.9% -0.9% -0.7%
2024 -5.1% -4.1% -3.0%
2025 1.9% 3.6% 2.5% ― / ― 1.10倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず、業績の推移を見ると、24.3期は売上1872億に対して営業利益がマイナス95億、純利益もマイナス86億と大幅赤字だったが、25.3期には営業利益が33億、純利益69億まで一気に黒字転換している。さらに26.3期予想では営業利益207億、純利益135億と急速な業績回復を見込んでおり、数字だけ見れば「急回復基調」に乗っている状態である。営業利益率は24.3期でマイナス5.1%だったものが25.3期にはプラス1.9%まで回復し、ROEもマイナス4.1%からプラス3.6%へ改善している。ROAもマイナス3.0%から2.5%へ戻しており、企業の収益体質は底を打って反転しつつある段階と言える。

ただし注意点として、24.3期の赤字幅が非常に大きく、直近1〜2年の経営課題が深刻であったことも事実で、今回の黒字化は「正常化」による戻りとも言える。26.3期の予想利益は確かに大きいが、構造改革の効果が一時的なものか、それとも持続可能なのかは決算を確認しながら慎重に見極める必要がある。もし今回の黒字化が再び成長軌道への復帰を意味するなら企業価値の底上げに繋がるが、逆に一過性で利益がブレるようなら評価は伸び悩む。

PERは赤字年度があるため算出できず、25〜26年度時点でも明確な指標が出ていないため、株価の割安・割高判断はやや難しい。一方、PBRは1.1倍と資産価値に対してはほぼ適正水準で推移しており、極端に割安でも割高でもない位置にいる。利益が安定的に出るならPBR1.2〜1.5倍までは素直に評価される余地はあるが、利益が不安定な銘柄はPBRが上がりにくいため、今後の業績の“安定度”が最重要ポイントとなる。

結論として、ワコールは「赤字から急回復しているが、本格成長に復帰したかどうかはまだ判断しきれない銘柄」という位置づけになる。26.3期予想の数字が実現し続くようなら評価の見直しが入りやすく、株価上昇の土台は大きく整う。一方で、業績が再び揺らぐようなら株価は伸び悩み、横ばい〜調整が続く可能性もある。数字を見る限り、短期の急成長株として買うより、回復が本物かどうかを確認しながら中長期で慎重に見ていくタイプの銘柄と言える。利益率やROEが継続的に改善してくるなら、投資妙味は今後確実に増していく。

配当目的とかどうなの?

ワコールの予想配当利回りは26.3期・27.3期ともに2.24%で、これは東証プライム全体の平均(2%前後)と比べればやや高めだが、高配当株と呼べるほどの強い魅力がある数値ではない。配当だけを目的とするなら、年利3〜4%が一般的な「高配当枠」になるため、ワコールはその一歩手前という印象にとどまる。ただし、ワコールの場合は直近で赤字から黒字へ急回復している企業でありながら、減配せずに安定して100円配当を維持している点は評価できる。経営が厳しい局面でも配当を切らなかったことは株主還元の姿勢としては比較的強いほうで、この安定性はインカム狙いの投資家には悪くない材料になる。

とはいえ、配当利回り2.24%という数値は「配当狙いだけで積極的に買うほどの利回りではない」のも事実で、ワコールを配当目的で選ぶ場合は“安定配当+業績回復のオプション”をセットで考える必要がある。もし26.3期以降も利益が継続して改善し、経常利益20億〜30億規模を安定的に稼げるようになるなら、配当維持だけでなく増配余地も生まれ、利回りの実質的魅力は高まる。逆に、利益がブレてまた赤字に戻るようなら、100円配当が維持される保証はなく、利回りの魅力はすぐに薄れてしまう。

配当目的の投資として見た場合、ワコールは「安定して配当を出す姿勢はあるが、利回り自体は普通で、魅力の中心は業績回復が継続するかどうか」という位置付けになる。2.24%の配当利回りは悪くはないが、単純なインカム投資としてはインパクトが弱い。一方で、業績回復が本物なら株価の上昇と配当の両方を狙えるため、総合的に考えれば“配当+業績改善の両取りを狙う中期投資”には向いている。まとめると、ワコールは「配当目的だけで強く買う銘柄ではないが、安定配当と業績改善の組み合わせで長期的に見れば悪くない選択肢」と言える立ち位置になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在の株価4,445円から今後5年間を見据えると、ワコールは赤字からの急回復局面にあり、業績が本当に復活軌道へ乗るかどうかが株価の大きな分岐点になる。26.3期は営業利益207億、純利益135億と強い予想になっており、この流れが持続するなら評価が見直されやすい。一方で、直近の赤字幅も大きかったため、利益が安定するかどうかはまだ確定的ではなく、市場の見方も割れる状況にある。配当利回りは2.24%と極端に高くはないため、株価は業績次第で上にも下にも触れやすいタイプの銘柄と言える。

【良いシナリオ】
構造改革が本格的に成果を出し、海外事業・EC・主力ブランドの採算が改善し、営業利益率が継続して3〜5%台まで伸びていくケースを想定する。ROEも5〜7%台へ安定的に回復し、収益体質が強化されると、市場は“再成長企業”として再評価を始める。この場合、PERは15〜18倍に戻りやすく、EPSが現在の改善ペースを維持できれば株価は5,200〜6,000円台に到達する可能性がある。5年という時間軸で見れば、経営再建が完全に軌道に乗り、ブランド価値が再び強く評価される流れが続けば、6,500円を試す局面もあり得る。大きく跳ねる銘柄ではないが、安定成長+評価上昇が重なることでじわじわと株価が上向く展開となる。

【中間シナリオ】
業績は改善するものの伸びは限定的で、営業利益率は2〜3%台で推移し、ROEも3〜5%あたりで落ち着く未来を想定する。構造改革の効果は一定出るが、利益成長が大きくスピードアップするわけではなく、評価も“普通の消費関連株”として扱われる。PERは10〜13倍程度で推移すると考えられ、株価は4,445円から4,600〜5,000円の範囲でゆっくりと動くレンジになる。劇的な上昇は起こりにくいが、急落しにくい底堅さもあり、「配当を受け取りながらゆっくり回復を待つ」タイプの投資として安定した展開となりやすい。

【悪いシナリオ】
26.3期予想の利益が一時的で、再びコスト増や売上不振が重なり、営業利益率が低下して1%前後に鈍化するケースを想定する。ROEも再び低迷し、一桁前半〜マイナス方向へぶれると、市場は“再建が不十分”と判断し、割安方向にバリュエーションを圧縮する。PERは10倍以下で推移し、株価は3,200〜3,800円程度まで調整する可能性がある。さらに、もし海外事業の不振や国内販売の低迷が重なれば、3,000円台前半という場面もあり得る。赤字の再発が意識される局面では投資家の慎重姿勢が強まり、株価は長期停滞しやすい。

【総合的な見方】
ワコールの株価は、業績の「安定度」がすべてを決める銘柄で、今回の大幅回復が本物かどうかが最も重要なポイントになる。数字が綺麗に積み上がれば上方シナリオへ、鈍化すれば中間シナリオへ、再び不調なら悪いシナリオへ進むという分岐になり、現状の4,445円はそのど真ん中に位置している。時間分散で買い進めながら、四半期ごとに利益率とROEの推移を確認するのが現実的な戦略で、成長が本物であれば株価は自然と評価されていく。

この記事の最終更新日:2025年12月11日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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