株価
ホギメディカルとは

ホギメディカル株式会社は、医療用不織布製品で国内トップシェアを誇る医療材料メーカーであり、手術現場で必要となる消耗品を一括提供する「プレミアムキット」が主力事業となっている。医療現場の効率化と安全性向上に重点を置き、手術に必要なガウン・ドレープ・器材などをセット化したキット製品は全国の病院で採用されており、手術室の業務負担軽減に大きく貢献している。ホギメディカルは四半期配当を行う数少ない医療関連企業でもあり、安定的な株主還元にも取り組んでいる。
主要製品は医療用不織布、滅菌用包装袋(メッキンバッグ)、手術用キット、不織布手術用品、再製造単回使用医療機器(R-SUD)などで、いずれも医療機関向けの必需品として高いシェアを持つ。同社のプレミアムキット®は、医療従事者の作業時間短縮と安全性向上を同時に実現する製品として評価されている。生産拠点は茨城県内に集約されており、筑波工場および美浦工場(第一・第二)が主要工場となっている。海外ではインドネシアに子会社と孫会社を展開し、アジア地域での生産・販売体制も整えている。
また、ホギメディカルは医療現場のデジタル化・業務支援にも積極的で、手術管理システム「オペラマスター®」を中心に、手術室の業務情報を可視化し効率化を支援するソリューションを提供している。OPERA-Note(OPENO)では手術手順書や動画をクラウドで共有でき、スマートフォンやタブレットからのアクセスも可能。OPERA-Compass(ME機器稼働管理システム)は、院内にある医療機器の位置や稼働状況をリアルタイムに把握できる仕組みで、手術室マネジメントサービスとの連携によって機器分析や保守管理にも活用されている。
同社は「医療現場の安全と効率を支える総合基盤企業」として、消耗品からデジタル管理システムまで幅広い領域をカバーし、病院運営の合理化と医療従事者の負担軽減に貢献する製品・サービスを提供している。
ホギメディカル 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 38,981 | 6,634 | 6,653 | 4,316 | 178.0 | 71 |
| 連24.3 | 39,100 | 4,169 | 4,245 | 2,804 | 115.6 | 80 |
| 連25.3 | 39,138 | 3,810 | 3,645 | 1,520 | 68.0 | 80 |
| 連26.3予 | 41,800 | 4,300 | 4,430 | 3,000 | 139.1 | 95 |
| 連27.3予 | 45,000 | 5,300 | 5,400 | 3,700 | 171.6 | 95〜110 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 9,176 | -1,951 | -3,142 |
| 2024 | 7,117 | -3,262 | -3,892 |
| 2025 | 11,555 | -3,917 | -5,455 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(高値平均/安値平均) | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 17.0% | 5.1% | 4.2% | ― | ― |
| 2024 | 10.6% | 3.2% | 2.8% | ― | ― |
| 2025 | 9.7% | 2.0% | 1.5% | 43.3倍 / 30.7倍 | 1.66倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず、業績推移を見ると、24.3期の売上391億に対して営業利益41億、純利益28億と高い利益率を維持していたものの、25.3期は営業利益38億、純利益15億へ大幅に減少しており、利益水準は明確に下がっている。売上自体はほぼ横ばいであるため、収益性の低下が数字に表れている。26.3期予想では営業利益43億、純利益30億と回復を見込んでいるが、過去のピークに戻るほどの力強さはなく、緩やかな持ち直しといった印象に留まる。
営業利益率は23年17.0% → 24年10.6% → 25年9.7%と年々低下しており、収益性の圧縮は無視できない。ROEも5.1% → 3.2% → 2.0%と低水準へ沈み、ROAも4.2% → 2.8% → 1.5%と同様に悪化している。これは企業の稼ぐ力が弱まり続けていることを示し、成長株というより「安定した医療消耗品メーカー」らしい控えめな収益性に戻りつつある状況である。利益率の高さがホギの特徴だっただけに、この減速傾向はやや重い材料となる。
一方で2025年のPER(高値平均43.3倍、安値平均30.7倍)は、同業と比較してもかなり高く、利益成長が鈍い企業としては割高感が強い。PBR1.6倍という水準も、ROE2%前後しか出せていない企業としては高めで、株価が“安全性とブランド力に支えられたプレミアム評価”を受けていることがわかる。高PBRと低ROEの組み合わせは、長期投資ではリターンが伸びづらい典型であり、株価の上値は重くなりやすい。
総合的に見ると、ホギメディカルは「安定感はあるが成長性に乏しく、割安とは言いにくい銘柄」という位置づけになる。業績は極端に悪化しているわけではないものの、利益率の低下・ROEの縮小が続いており、稼ぐ力の弱まりが数字に鮮明に出ている。2026年の回復予想はプラス材料ではあるが、PERやPBRの高さを正当化するほどの強い成長シナリオには見えない。
結論として、ホギメディカルは「大きくは下がりにくいが、大きくも伸びにくい」タイプの典型であり、今の株価が割高寄りである点を踏まえると、強気で買いに行く魅力はやや乏しい。中長期では安定配当を受け取りながらゆるやかに様子を見る銘柄であり、成長株としての上昇を期待するより、収益の底打ちと再加速が確認できてからのほうが投資妙味は高いと言える。
配当目的とかどうなの?
ホギメディカルの予想配当利回りは 26.3期・27.3期ともに 1.68%で、これは東証プライム平均(およそ 2%前後)を下回る水準となる。つまり、配当目的だけで見ると特段魅力的な利回りではなく、「高配当株」とは言いにくい。むしろ医療関連株の中でもかなり控えめな部類であり、インカムゲインを重視する投資家にとっては物足りない数字になる。
ただしホギメディカルは四半期配当を実施しているため、「定期的に配当が入る」という点では安定志向の投資家にとってメリットがある。業績が乱高下しにくい医療消耗品メーカーであることから、配当の持続性には比較的安心感があるが、利回り自体は低いため、配当狙いとして強く惹かれる構造ではない。また、ROEが2%台、営業利益率が下降傾向、PERが高いといった収益性とバリュエーションのアンバランスさを考えると、「安定しているが旨味は薄い」というのが現状の配当評価といえる。
総合すると、ホギメディカルを配当目的で買うのは正直なところ魅力は弱い。利回り1.68%は銀行預金よりは良いが、株式投資としては積極的に選ぶ理由には乏しい。配当収入を目的にするなら他の高配当株のほうが効率が良く、ホギを選ぶ理由は「安全性と安定性を重視し、四半期ごとの細かなインカムを求める人向け」という位置づけになる。配当狙いというよりは、業績改善や収益性の戻りが見えてきたタイミングでキャピタルゲインと組み合わせて狙う方が適している銘柄といえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価5,650円から今後5年間を見据えると、ホギメディカルは医療用不織布と手術用キットで安定した国内トップシェアを持つ企業であり、大きな成長株というよりは、堅実な医療需要に支えられて長期的にゆるやかに価値を積み上げていくタイプの銘柄である。売上はほぼ横ばいながらも着実に維持されており、営業利益率は過去の17%台からは低下しているものの、医療消耗品という安定性の高い分野に属するため、事業基盤はしっかりしている。ROEやROAは年々低下傾向にあるものの、企業としての安全性は高く、手術キットの需要は構造的に減りにくい。
PERが30〜40倍と高めで推移している点は市場の評価が高いことを示す一方で、収益改善がなければ上値の重さにつながる。配当利回りは1%台後半と決して高くないが、四半期配当という特殊な魅力を持ち、非常に安定したキャッシュフローを背景としている。
良いシナリオでは、プレミアムキット事業や感染対策製品が再び伸び、医療機関の業務効率化需要に支えられて営業利益率が10〜12%台へ再び改善するケースを想定する。コスト構造の見直しや物流効率化が進めば利益率の底上げが可能で、これにより市場の評価が維持され、PERも30倍台を維持しやすくなる。EPSが着実に積み上がる展開が続くなら、株価は5,650円から6,500〜7,200円程度へ緩やかに上昇する余地がある。5年スパンでみれば、医療消耗品分野の安定成長と企業体質の改善が重なることで、7,500円台に軽く触れる場面があっても不思議ではない。爆発力のある銘柄ではないが、安定成長 × 市場評価の維持 によってじわじわと株価が切りあがるイメージとなる。
中間シナリオでは、売上は堅調に推移するものの利益率の改善は限定的で、営業利益率は9〜10%台で横ばい、ROEは2〜3%台で落ち着く未来を想定する。事業は安定している一方、利益成長の勢いが弱く、PERも30倍程度で張り付いたまま評価が変わりにくい。この場合、株価は5,650円から5,800〜6,100円の間でレンジを形成しやすく、力強い上昇は期待しづらいが底堅さがある。配当利回りは高くないものの、安定的な四半期配当はポートフォリオの中で“ディフェンシブな調整役”として機能しやすく、長期保有にはある程度の安心感がある。
悪いシナリオでは、コスト増や価格競争の強まりによって利益率がさらに低下し、営業利益率が8%台、ROEが1%台へ下がるようなケースを想定する。利益性の悪化が続けば市場の高いPER評価は維持できず、バリュエーションがPER20〜25倍程度へ縮小する可能性がある。この場合、株価は5,650円から4,600〜5,000円台に調整する余地があり、さらに市場環境が弱い局面では4,200円前後まで下押しされるリスクもある。ただし医療不織布という“生活に不可欠な領域”を扱う企業であるため、事業の安定性は揺らぎにくく、悪材料が出た局面ではむしろ逆張りの買い場として注目されることも多い。
結局のところ、ホギメディカルの株価は「安定はするが大きくは跳ねにくい」タイプであり、株価を動かす最大の軸は“利益率が底打ちして再び上向くかどうか”に尽きる。良い場合は6,500〜7,200円、中間は5,800〜6,100円、悪い場合は4,200〜5,000円といった5年間の値動きレンジが想定される。投資スタンスとしては、焦って結論を出すよりも、四半期ごとの利益率の改善・維持を確認しながらゆっくり付き合う銘柄であり、業績が綺麗に積み上がれば株価は自然と上向いていく。反対に鈍化が見られれば早めにポジション調整する判断も取りやすく、長期で静かに向き合うのに向いた医療ディフェンシブ株と言える。
この記事の最終更新日:2025年12月11日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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