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アドソル日進(3837)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

アドソル日進とは

アドソル日進は、電力やガスといった社会インフラ分野のシステム開発に強みを持つ中堅の独立系システムインテグレーターである。特定のメーカー系列に属さず、長年にわたり培ってきた技術力を背景に、インフラ関連を中心としたシステム開発やITソリューションを提供している。近年はDX関連案件の比率が高まっており、海外企業との協業なども含め、事業領域の拡張を進めている。

同社は1976年に、情報システム産業で大きな存在感を持っていたCSKからスピンアウトした技術者を中心に創業された。東京と大阪の2拠点体制でスタートし、ITコンサルティング、システムインテグレーション、ソフトウェア開発を主な事業として展開してきた。社名の「Ad-Sol Nissin」は、advanced solutionという言葉と、旧社名である日進ソフトウエアに由来している。

創業当初は通信制御系システムの開発に強みを持っていたが、通信制御分野の開発フォーマットが標準化・汎用化していく中で、携帯端末などを含む組み込み系開発分野や、金融・ビジネス分野のシステム開発へと事業の軸足を徐々に移してきた。こうした変化に対応しながら、特定分野に依存しすぎない事業構成を築いている。

研究開発にも取り組んでおり、XMLコンソーシアムではIBMなどとともに、サービスの商用化研究に関わる主要なプレイヤーの一社として活動してきた。また、技術者のスキル水準の高さも特徴の一つで、Sun JavaやIBM DB2、XML関連資格の保有率は、主要ITベンダーの中でも高い水準にあるとされている。

帳票分野では、国内シェア首位のウイングアーク1stに対する実質的な独占開発パートナーという立場を持ち、帳票やデータ連携に関するシステム開発でも実績を積み重ねている。こうした特定分野での強みが、長期的な取引関係につながっている。上場については、2007年にジャスダックへ上場し、その後2016年に東証二部へ市場変更、同年に東証一部へ指定替えとなった。現在は、電力やガスといった社会インフラ分野で培ってきた安定した基盤を土台に、DX関連分野や新たな技術領域への取り組みを進めながら、事業の継続的な拡大を目指している。

アドソル日進 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
純利益
(百万円)
一株益
(円)
一株当り配当
(円)
連23.3 12,842 1,210 1,244 841 45.2 19
連24.3 14,078 1,437 1,485 979 52.5 21.5
連25.3 15,463 1,710 1,766 1,209 65.8 30
連26.3(予) 16,400 1,900 1,950 1,260 72.1 37
連27.3(予) 17,000 2,050 2,100 1,350 77.3 37〜40

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF
(百万円)
投資CF
(百万円)
財務CF
(百万円)
連23.3 1,020 -99 -336
連24.3 804 -71 -364
連25.3 1,027 -202 -1,697

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 9.4% 12.8% 9.0%
2024 10.2% 13.6% 9.5%
2025 11.0% 17.5% 12.2% 18.2倍(高) / 13.0倍(安) 3.66倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

営業利益と経常利益は、24年3月期で約14億円、25年3月期で約17億円、26年3月期予想で約19億円と、毎年着実に伸びている。成長率は急激ではないものの、減速やブレはなく、事業としてはかなり安定した拡大局面にあるといえる。純利益も9億円から12億円へと増えており、利益がきちんと最終利益まで残っている点は安心材料になる。

営業利益率は23年の9.4%から、24年10.2%、25年11.0%へと改善が続いている。売上を伸ばしながら利益率も上げているため、単なる規模拡大型ではなく、効率が良くなっている成長だと読み取れる。この流れが続く限り、利益の伸びが売上以上になる可能性もある。ROEは12.8%から13.6%、さらに17.5%まで上昇しており、25年時点ではかなり高い水準に入っている。ROAも9.0%から12.2%まで改善しており、資本全体を使ってしっかり利益を生み出せている。利益率の改善とROE・ROAの上昇が同時に起きているため、一時的な要因ではなく、事業構造そのものが良くなっている可能性が高い。

一方でバリュエーションを見ると、25年のPERは高値平均で18.2倍、安値平均で13.0倍となっている。成長性とROE水準を考えると、18倍は決して割高ではないが、積極的に安いとも言えない水準で、将来の成長をある程度織り込んだ価格帯だと感じる。13倍付近まで下がる局面があれば、利益成長と収益性を考慮すると、かなり投資妙味は高くなる。PBRは3.6倍と高めに見えるが、ROEが17%台まで来ていることを踏まえると、極端な割高感はない。むしろ、ROEがこの水準を維持できるかどうかが、今後の株価評価を左右するポイントになる。

総合すると、この銘柄は短期で割安を狙うタイプではなく、収益性が改善しながら着実に成長する企業を中長期で持つタイプの投資に向いている。株価がPERの高値圏にある間は過度な期待は禁物だが、安値圏に近づく場面があれば、数字だけを見ても十分に前向きに検討できる銘柄、という判断になる。

配当目的とかどうなの?

26年3月期、27年3月期ともに予想配当利回りは2.61%となっている。この水準は、日本株全体で見れば低すぎるわけではないが、明確な高配当株とも言えない中間的な位置づけになる。配当だけで生活費や安定収入を狙うタイプの投資先としては、やや物足りない数字だと感じる。一方で、これまでの利益推移を見ると、営業利益や純利益は毎年増えており、営業利益率やROEも改善している。配当の原資となる利益がしっかり伸びているため、配当の安全性という点では不安は小さい。減配リスクは比較的低く、少なくとも現行水準の配当は維持されやすいと考えられる。

配当利回りが2.61%で横ばいという点からは、会社が配当を急激に引き上げるよりも、利益成長や事業拡大とのバランスを重視している姿勢がうかがえる。配当性向を無理に高めている印象はなく、内部留保や成長投資との両立を優先しているタイプだ。

そのため、この銘柄は純粋な配当目的、いわゆる高配当株投資には向きにくい。ただし、利益成長に伴って将来的に配当がじわじわ増える可能性はあり、値上がり益と配当の両取りを狙う投資とは相性がいい。配当をもらいながら中長期で保有し、結果として利回りが後から効いてくるタイプと言える。結論として、配当を最優先に考えるなら他にもっと利回りの高い選択肢はあるが、成長と安定配当を同時に求めるなら、サブ的な配当銘柄としては十分検討に値する、という評価になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在の株価1,566.0円を起点に今後5年間を見据えると、アドソル日進は業績の伸びが比較的安定しており、株価も業績に素直に反応しやすいタイプの銘柄といえる。営業利益・経常利益は毎年着実に増加しており、営業利益率、ROE、ROAといった収益性・資本効率の指標も右肩上がりで改善している。一方で、配当利回りは2%台前半にとどまり、高配当を目的とした投資よりも、業績成長と評価の積み上がりを狙う性格が強い。

良い場合のシナリオでは、営業利益率が11%台からさらに改善し、12%前後まで上昇する展開を想定する。ROEも17%前後の高水準を維持できれば、市場からは収益性の高い成長企業として評価されやすくなる。利益成長が毎年着実に積み上がる中で、PERは15~18倍程度が許容されやすく、評価の切り下がりは起きにくい。この場合、1~2年で2,000円前後、3年目には2,300円前後まで株価が切り上がり、5年後には2,600~2,800円程度を目指す展開が考えられる。派手さはないが、業績に沿って株価がじわじわ上昇する形になる。

中間のシナリオでは、業績は拡大を続けるものの、利益率やROEの改善は一服し、現在の水準で横ばいに近い推移となるケースを想定する。この場合、市場の評価は落ち着き、PERは13~15倍程度に収れんしやすい。株価は1,600円台から徐々に切り上がり、5年後で2,000~2,200円程度が現実的な水準になる。配当利回り2%台を受け取りながら、緩やかな値上がりを期待する、インカムとキャピタルのバランス型の値動きとなる。

悪い場合のシナリオでは、利益成長が鈍化し、営業利益率やROEが頭打ちになるケースを想定する。成長性への期待が後退すると、市場は評価を引き下げ、PERは10~12倍程度まで低下しやすい。この場合、株価は一時的に1,300円前後まで調整し、その後も回復には時間がかかる。5年後の水準は1,400~1,600円程度にとどまり、配当は維持されるものの、値上がり益は限定的な展開になる。

総合すると、現在値1,566.0円を起点としたアドソル日進の今後5年間の値動きは、良い場合で2,600~2,800円前後、中間で2,000~2,200円、悪い場合で1,400~1,600円といったレンジが想定される。高配当株としての魅力は強くないが、収益性と業績成長が続く限り、下値は比較的限定されやすい。短期の急騰を狙う銘柄ではなく、業績の積み上がりを確認しながら中長期で向き合う投資家向けの銘柄といえる。

この記事の最終更新日:2025年12月14日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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