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アステリア(3853)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

アステリアとは

アステリアは、独自開発の企業向けソフトウェアを専業とするIT企業であり、企業内外の多種多様なコンピューターやデバイス、クラウドサービス同士をつなぐことを強みとしている。東京都渋谷区に本社を置き、企業が自らの業務でノーコードに近い形で利活用できる技術を特徴としている。近年は従来のパッケージ販売型から、サブスクリプション型のビジネスモデルへの転換を進めている。

同社は1998年に、国内初のXML専業ソフトウェア会社として設立された。XML技術をベースに、異なるシステム同士のデータ連携を実現するソフトウェア開発を中核として事業を展開してきた。2018年10月には、インフォテリア株式会社からアステリア株式会社へ商号を変更し、「つなぐ」技術を軸とした企業としての方向性をより明確にしている。

主力製品は、ノーコードでデータ連携を行える「ASTERIA Warp」である。企業内の基幹システム、クラウドサービス、外部データなどをプログラミングなしで連携できる点が特徴で、IT部門だけでなく業務部門でも扱いやすい設計となっている。この製品は長年にわたり同社の中核を担っており、安定した導入実績を積み重ねてきた。また、機能を厳選し月額課金で提供する「ASTERIA Warp Core」も展開しており、継続課金型の収益拡大につなげている。

そのほかにも、企業内のマスターデータを管理する「ASTERIA MDM One」、モバイル端末向けに情報を配信・管理する「Handbook」、IoTに対応したモバイルアプリ開発基盤「Platio」、エッジコンピューティング向けのミドルウェア「Gravio」など、業務効率化やデータ活用を支援する製品・サービスを幅広く提供している。いずれも、システムやデバイス、データを柔軟につなぐことを重視した設計となっている。

また、SaaS型の軽量サービスとして、クラウド対応カレンダー「SnapCal」や、オンライン付箋サービス「lino」なども展開しており、企業向けだけでなく個人や小規模利用を想定したサービスも手がけている。これらの取り組みを通じて、ソフトウェアをサービスとして提供する形へのシフトを進めている。

全体としてアステリアは、派手な消費者向け事業を行う企業ではないが、企業の業務基盤を支える「つなぐ」技術を軸に、独自性のあるソフトウェアを提供している。ノーコード技術とサブスクリプション型モデルを組み合わせながら、企業のDXや業務自動化、データ利活用を裏側から支える存在として事業を展開している。

アステリア 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
純利益
(百万円)
一株益
(円)
一株当り配当
(円)
◇23.3 3,378 -2,578 -2,346 -1,682 -100.2 4.5
◇24.3 2,909 -3,641 -3,241 -1,811 -107.8 6.5
◇25.3 3,171 781 765 588 35.0 8
◇26.3(予) 3,500 850 800 750 45.9 8.5
◇27.3(予) 3,900 950 950 900 55.1 8.5〜9

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF
(百万円)
投資CF
(百万円)
財務CF
(百万円)
◇23.3 235 -67 -266
◇24.3 630 -427 -310
◇25.3 829 772 -517

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 -76.4% -23.6% -15.9%
2024 -125.2% -32.5% -23.9%
2025 24.6% 9.6% 7.4% 19.7倍(高) / 11.6倍(安) 2.57倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず利益の推移を見ると、24年3月期は売上が約29.1億円に対して、営業利益が約-36.4億円、経常利益が約-32.4億円、純利益が約-18.1億円と、事業規模に対して非常に大きな赤字となっている。この時点では収益構造が大きく崩れており、事業としての安定性は極めて低い状態だったといえる。

25年3月期になると、売上は約31.7億円へ回復し、営業利益は約7.8億円、経常利益は約7.6億円、純利益は約5.8億円と黒字に転換している。26年3月期予想では、売上が約35.0億円、営業利益が約8.5億円、経常利益が約8.0億円、純利益が約7.5億円まで伸びる見通しとなっており、数字上は赤字期を完全に脱し、回復局面に入っていることが分かる。

営業利益率は23年が-76.4%、24年が-125.2%と極端に悪化していたが、25年には24.6%まで急回復している。単年だけを見ると非常に高い水準だが、これは赤字期からの反動が強く出ている面もあり、この水準が今後も維持できるかは慎重に見極める必要がある。

ROEは23年-23.6%、24年-32.5%から、25年には9.6%まで回復している。ROAも同様に、23年-15.9%、24年-23.9%から、25年には7.4%へ改善している。資本効率、資産効率ともに明確な回復は見られるが、まだ高収益企業と呼べる水準ではなく、黒字定着の初期段階といった印象である。

バリュエーション面では、25年の実績PERは高値平均で19.7倍、安値平均で11.6倍となっている。黒字転換直後の企業としては妥当なレンジであり、11倍台まで評価が下がる局面であれば割安感が出やすい。一方、20倍近い水準では、今後の成長と利益定着をかなり織り込んだ評価になっていると感じる。PBRは2.6倍で、ROEがまだ1桁台であることを考えると、現時点で明確な割安とは言いにくい。

総合すると、この銘柄は大幅赤字から黒字へ転換し、利益回復のスタートラインに立った段階である。営業利益率やROE、ROAは急改善しているが、まだ安定性を評価するには時間が必要で、今後1~2年の業績継続が重要になる。結論としては、安定成長株や配当目的の投資には向かず、黒字定着と利益拡大を前提にした回復期待型の投資向けの銘柄である。PERが安値圏に近い水準であれば検討余地はあるが、高値圏では業績の持続性を慎重に確認する必要がある、という投資判断になる。

配当目的とかどうなの?

26年3月期、27年3月期ともに予想配当利回りは0.84%となっている。この水準は日本株全体で見てもかなり低く、配当を主目的とした投資には明確に向かない利回りである。インカム収入を重視する投資家にとっては、他により魅力的な選択肢が多い。

これまでの利益推移を見ると、24年3月期まで大幅な赤字が続き、25年3月期にようやく黒字転換している段階であり、配当を安定的に増やしていくフェーズにはまだ入っていないと考えられる。会社としても、回復初期の局面では配当より事業の立て直しや成長投資を優先する姿勢が続きやすい。

そのため、配当は今後も象徴的・抑制的な水準にとどまる可能性が高く、短期的に利回りが大きく改善する期待は持ちにくい。仮に利益が拡大しても、まずは財務の安定や事業基盤の強化が優先されると見るのが自然である。結論として、この銘柄は配当目的には不向きであり、配当はあくまでおまけ程度と考えるべきである。投資する場合は、配当収入ではなく、黒字定着と業績回復が株価にどう反映されるかを狙う回復期待型の投資が前提になる、という評価になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在の株価1,004.0円を起点に今後5年間を見ると、アステリアは大幅赤字から黒字へ転換した直後の回復局面にある企業であり、株価は安定配当や業績の積み上がりよりも、黒字定着と成長の持続性に対する期待によって動きやすい銘柄といえる。ノーコード・データ連携という独自分野を持つ一方で、業績の振れが大きく、評価も変動しやすい性格を持っている。

良い場合のシナリオでは、25年3月期に実現した黒字が一過性に終わらず、26年3月期以降も営業利益が8億円前後で安定し、営業利益率が20%前後の水準を維持できる展開を想定する。ROEも10%前後まで改善が進めば、市場からは「回復から成長フェーズに入ったソフトウェア企業」として評価されやすくなる。この場合、PERは15〜20倍程度が許容され、利益の定着とともに株価も段階的に切り上がる。2〜3年で1,400円前後、5年後には1,700円〜2,000円程度まで上昇する展開が考えられる。

中間のシナリオでは、黒字は維持されるものの、利益の伸びは緩やかで、営業利益率やROEも現在の回復水準から大きくは伸びないケースを想定する。この場合、市場の評価は落ち着き、PERは10〜13倍程度に収れんしやすい。株価は1,000円前後を中心に上下しながら、時間をかけて水準を切り上げ、5年後の到達点は1,200円〜1,400円程度が現実的なレンジとなる。値動きは穏やかだが、大きな上昇も期待しにくい展開になる。

悪い場合のシナリオでは、黒字化後の利益が安定せず、再び収益性が悪化するケースを想定する。営業利益率が一桁台に低下し、ROEも伸び悩めば、市場は回復期待を剥落させ、PERは8倍前後まで切り下がりやすい。配当利回りも1%未満と低いため下支えは弱く、株価は1,004.0円から700円〜850円程度まで下落する可能性がある。その後も評価の回復には時間がかかり、5年後でも900円前後にとどまる展開が考えられる。

総合すると、現在値1,004.0円を起点としたアステリアの今後5年間の値動きは、良い場合で1,700円〜2,000円前後、中間で1,200円〜1,400円、悪い場合で700円〜900円といったレンジが想定される。配当目的や安定成長を狙う銘柄ではなく、黒字定着と事業回復がどこまで持続するかを見極めながら、中長期で値幅を狙う回復期待型の投資と相性の良い銘柄と言える。

この記事の最終更新日:2025年12月14日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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