株価
gumiとは

株式会社gumiは、モバイルオンラインゲームの企画・開発・運営を主力とする日本のエンターテインメント企業であり、近年はブロックチェーン領域やXR分野への投資・開発にも注力している。営業外損益については暗号資産レートの影響を大きく受けやすい点が特徴で、日本オンラインゲーム協会の正会員でもある。
同社は2007年6月、映像プロデュース会社出身の國光宏尚が独立し、「アットムービー・パイレーツ」として設立された。携帯電話向け招待制ミニブログ型SNS「gumi」の運営からスタートし、その後、mixi、GREE、Mobageといったプラットフォームのオープン化を背景に、モバイルゲーム事業へと事業軸を転換した。ブラウザゲームからネイティブアプリへの移行期において、『ブレイブ フロンティア』をヒットさせたことが成長の転機となった。
事業拡大に伴い、国内の開発体制強化に加え、海外展開にも積極的に取り組み、アジア、ヨーロッパ、北米に子会社を設立してローカライズや現地向けタイトル開発を進めた。その結果、2014年12月に東京証券取引所第1部へ直接上場するという大型IPOを実現したが、上場直後に業績予想の下方修正や資金繰り問題が明らかとなり、株価が急落するいわゆる「gumiショック」を引き起こした。この一件は、新興企業のIPOに対する市場の警戒感を高める出来事として広く知られている。
その後は、海外拠点の縮小や不採算タイトルの整理など、経営資源の選択と集中を進め、自社IPである『ファントム オブ キル』『誰ガ為のアルケミスト』、スクウェア・エニックスと共同開発した『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』関連タイトルなどを軸に事業の立て直しを図ってきた。現在は「新テクノロジーファースト」を掲げ、ゲーム事業を基盤としながら、ブロックチェーン、暗号資産、XRといった次世代技術分野への投資・開発にも取り組んでいる。
ゲーム事業では、基本プレイ無料型のスマートフォンゲームを中心に、国内外向けに多数のタイトルを展開してきたが、競争の激しい市場環境の中でサービス終了や運営移管となったタイトルも多い。近年は自社単独開発だけでなく、他社IPを活用した共同開発や、子会社・外部企業への開発委託など、柔軟な開発体制を取っている点も特徴である。
また、ブロックチェーン関連では、ゲームと暗号資産を組み合わせた取り組みや関連企業への出資を行っており、これらの事業は将来の成長ドライバーとして位置づけられている一方、暗号資産価格の変動による損益の振れが業績に影響を与えやすい構造となっている。総じてgumiは、スマートフォンゲームを中核としながら、時代の技術トレンドに合わせて事業領域を拡張してきた企業である。ヒットタイトルの有無や新技術分野の成否によって業績の振れ幅が大きくなりやすい一方、IP創出力や新領域への挑戦力を持つハイリスク・ハイリターン型の事業構造を有する企業といえる。
gumi 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株当り配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連20.4 | 19,827 | 2,225 | 2,124 | 1,757 | 58.3 | 5 |
| 連21.4 | 18,628 | 1,514 | 6,071 | 1,835 | 60.7 | 5 |
| 連22.4 | 18,942 | -2,262 | -3,890 | -6,273 | -214.1 | 0 |
| 連23.4 | 16,009 | 447 | -19 | 445 | 13.8 | 5 |
| 連24.4 | 12,066 | -5,040 | -4,514 | -5,934 | -150.0 | 0 |
| 連25.4 | 8,942 | 370 | 2,103 | 2,063 | 43.5 | 0 |
| 連26.4予 | 11,000 | 1,500 | 1,500 | 1,000 | 20.2 | 0 |
| 連27.4予 | 16,000 | 2,200 | 2,200 | 1,500 | 30.3 | 0 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023年4月期 | -171 | -2,346 | 6,711 |
| 2024年4月期 | -5,147 | 152 | -898 |
| 2025年4月期 | -881 | -1,662 | 3,773 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年4月期 | 2.7% | 2.4% | 1.6% | – | – |
| 2024年4月期 | -41.8% | -49.7% | -30.7% | – | – |
| 2025年4月期 | 4.1% | 12.3% | 8.6% | 高値平均 14.6 / 安値平均 5.4 | 1.02 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず売上高を見ると、24.4期は120億、25.4期は89億、26.4期予は110億となっており、直近で大きく縮小した後、回復を見込む形となっている。ただし、26.4期予でも24.4期の水準には完全には戻っておらず、売上規模は中長期で減少傾向にあるといえる。成長企業というよりは、底打ち後の立て直し局面にある企業と捉えるのが妥当である。
次に利益面を見ると、24.4期は営業利益-50億、経常利益-45億、純利益-59億と大幅な赤字であり、事業構造の弱さが顕著に表れている。25.4期は営業利益3億、経常利益21億、純利益20億と黒字に転じているが、営業利益は極めて小さく、経常利益と純利益は営業外要因に強く依存している構造である。26.4期予では営業利益15億、経常利益15億、純利益10億と改善を見込んでいるものの、過去の大幅赤字を考えると、利益の安定性はまだ確認段階にある。
収益性を見ると、営業利益率は2023年2.7%、2024年-41.8%、2025年4.1%である。2024年の落ち込みは致命的であり、2025年は回復しているものの、4.1%という水準はゲーム企業として決して高いとは言えない。ヒットタイトルがなければ利益が出にくい体質が続いていることが数字から読み取れる。
資本効率も同様に不安定である。ROEは2023年2.4%、2024年-49.7%、2025年12.3%と振れ幅が極端に大きい。ROAも2023年1.6%、2024年-30.7%、2025年8.6%となっており、資産を安定的に利益へ転換できているとは言い難い。2025年の数値は改善しているが、単年度で評価するには再現性に乏しい。
バリュエーションを見ると、2025年の実績PERは高値平均14.6倍、安値平均5.4倍とレンジが広く、市場評価が大きく揺れていることが分かる。PBRは1.0倍とほぼ解散価値並みであり、資産面では過度な割高感はないが、これは収益力の低さと不安定さを反映した結果といえる。
この数値だけで判断するなら、gumiは安定成長株でも割安株でもなく、ヒットや外部要因次第で業績が大きく変動する投機性の高い銘柄である。26.4期予の改善が本物であれば評価余地はあるが、過去の赤字規模を考えると、継続的な利益創出を確認するまでは慎重な姿勢が妥当である。結論として、投資判断は慎重寄りであり、中長期で安定したリターンを狙う投資には不向き、短期的な業績回復や材料を狙う局面向けのハイリスク銘柄という評価になる。
配当目的とかどうなの?
gumiの予想配当利回りは26.4期、27.4期ともに0.00%であり、現時点では無配を前提とした企業である。インカムゲインを目的とする投資においては、配当による下支えや安定収入は一切期待できない水準である。業績面を見ると、24.4期は純利益-59億の大幅赤字であり、25.4期に純利益20億の黒字へ転じ、26.4期予でも10億の黒字を見込んでいるものの、利益の変動幅は極めて大きい。営業キャッシュフローも直近まで安定してプラスを確保できておらず、配当を安定的に支払える財務余力があるとは言い難い。
また、営業利益率、ROE、ROAはいずれも年ごとの振れが激しく、2025年の改善も単年度の回復にとどまっている。利益水準そのものがまだ不安定な段階であり、企業としてはまず事業の立て直しと財務の安定を優先すべき局面にあると考えられる。こうした状況では、株主還元としての配当を再開・継続する合理性は低い。
以上を総合すると、gumiは配当目的で保有する銘柄ではない。予想配当利回り0.00%が示す通り、インカム狙いの投資には完全に不向きであり、配当を期待して投資する合理性はない。投資スタンスとしては、配当ではなく業績回復や新規タイトル、ブロックチェーン関連などの材料による株価変動を狙う性格の銘柄と位置づけるべきである。結論として、配当目的という観点では、gumiは選択肢から外れる銘柄であり、インカム投資には不適、キャピタルゲイン前提の高リスク銘柄という評価になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
gumiはスマホゲーム事業を主力としつつ、近年はブロックチェーンやXRといった新領域にも積極的に取り組んでいる企業である。ゲーム業界の中では比較的早い段階から新技術への投資を行ってきた一方で、業績はヒットタイトルの有無や外部環境の影響を強く受けやすく、売上・利益ともに年ごとの振れが非常に大きいという特徴がある。営業利益率、ROE、ROAはいずれも安定せず、赤字と黒字を繰り返している点から、事業の収益基盤はまだ脆弱といえる。加えて、配当はゼロであり、株主還元は一切行われていないため、配当目的ではなく、株価上昇によるキャピタルゲインを狙う前提のハイリスク投資となる。
良い場合のシナリオでは、新規スマホゲームタイトルが市場でヒットし、安定的な課金収入を確保できる状態が続くケースを想定する。これにより売上が会社計画を上回って推移し、固定費負担が相対的に軽くなることで営業利益率が改善する。営業利益が継続的に黒字化し、ROEやROAも二桁水準を維持できるようになれば、これまでの不安定なイメージが徐々に払拭され、投資家の評価は大きく改善しやすい。ブロックチェーン関連やXR領域でも収益化が進めば、将来成長への期待が再び高まり、PER評価も切り上がる可能性がある。この場合、株価は段階的に見直され、現在値376.0円を起点として、5年後には800円から1,000円程度まで上昇する展開が考えられる。過去の高値水準までは戻らないものの、業績回復を評価した中長期的な上昇シナリオである。
中間のシナリオでは、新作タイトルは一定の成果を上げるものの、過去の主力級ヒットには至らず、売上・利益は緩やかな回復にとどまるケースを想定する。営業利益は黒字を維持するが水準は低く、収益性は依然として高くない状態が続く。ブロックチェーンやXRといった新規事業も投資先行で、明確な利益貢献には時間がかかる。市場からの評価は限定的となり、PERは10倍から15倍前後で落ち着きやすい。この場合、株価は大きく跳ねることはなく、現在値を中心に緩やかな上昇にとどまり、5年後の水準は450円から550円程度が現実的な到達点となる。大きな損失は出にくいが、リターンも限定的なシナリオである。
悪い場合のシナリオでは、主力タイトルが想定ほど伸びず、新作もヒットに恵まれない状態が続くケースを想定する。売上は伸び悩み、固定費負担が重くなり、営業利益は再び赤字に転落する可能性がある。営業キャッシュフローもマイナスが続き、財務キャッシュフローに依存した資金繰りが常態化すれば、将来への不安が一段と強まる。ブロックチェーン関連投資も収益化できず、投資負担だけが残る場合、市場評価はさらに冷え込み、PERは低水準に抑えられる。この場合、株価は大きく調整し、短期的には200円から300円台半ばまで下落する可能性があり、5年後でも250円から350円程度にとどまる展開が考えられる。
総合すると、現在値376.0円を起点としたgumiの今後5年間の値動きは、良い場合で800円から1,000円前後、中間で450円から550円、悪い場合で250円から350円といったレンジが想定される。業績の不安定さと無配という点から、安定投資や配当投資には向かず、あくまで業績回復や新規事業の成功といった材料を前提にしたハイリスク・ハイリターン型の投資対象として位置づけるのが妥当である。
この記事の最終更新日:2025年12月14日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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