株価
オープンドアとは

オープンドアは、格安旅行商品をはじめとする各種旅行サービスを横断的に比較できる旅行メタサーチサイト「トラベルコ」を中核とするインターネット企業である。東京都港区に本社を置き、価格重視のユーザーを中心に高い認知度を持ち、特に若い女性層の利用が多い点が特徴とされている。
主力サービスである「トラベルコ」は、1,500以上の旅行サイトを一括で検索できる旅行比較サイトで、国内外のパッケージツアー、航空券、ホテル、ダイナミックパッケージに加え、レンタカー、高速バス、海外Wi-Fiレンタルなど、旅行に関わる幅広い商品を比較できる点を強みとしている。最安値検索だけでなく、旅行先の基本情報や定番観光スポット、話題の店舗、注意すべきエリアなどの情報も充実しており、旅行商品の検索と同時に情報収集もできる構成となっている。
海外向けには、多言語対応の旅行比較サイト「Travelko」を展開している。英語、簡体字中国語、繁体字中国語、韓国語に対応し、日本を含む世界各地の航空券やホテル宿泊プランを検索・比較できるサービスで、訪日外国人や海外ユーザーの取り込みを目的としている。
旅行関連事業に加え、同社は日本文化の発信にも取り組んでいる。「GALLERY JAPAN」や「KOGEI JAPAN」は、日本の伝統工芸作品を国内外に紹介するサイトであり、人間国宝をはじめとする工芸作家の作品を、陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、ガラス、七宝などの分野ごとに紹介している。作品そのものだけでなく、作家の経歴や技法、制作背景なども詳しく掲載し、日本の伝統美を世界に向けて発信する役割を担っている。
オープンドアは1997年に設立され、旅行比較サービスの提供を開始した。その後、携帯向けコンテンツ事業なども展開したが、現在は旅行メタサーチを中核とする事業構造に回帰している。2015年に株式上場を果たし、以降は海外向けサービスの拡充や周辺コンテンツの強化を進めてきた。2020年には体験型ツアーを手がけるベルトラと資本提携を行い、旅行関連分野での連携強化も図っている。
事業モデルは、旅行会社やオンライン予約サイトへの送客によって収益を得る成果報酬型が中心で、在庫を持たず固定費を抑えた軽量な構造となっている。そのため、旅行需要の回復や拡大が業績に直結しやすい一方、価格比較という立ち位置から、景気変動下でも一定の需要を取り込みやすい側面もある。全体としてオープンドアは、旅行分野に特化した比較・検索プラットフォームとして独自のポジションを築いている企業といえる。
オープンドア 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益(EPS) | 一株当り配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.3 | 1,201 | -653 | -541 | -544 | -17.6 | 0 |
| 連23.3 | 2,055 | -52 | -1 | -44 | -1.4 | 0 |
| 連24.3 | 2,561 | -181 | -164 | -170 | -5.5 | 0 |
| 連25.3 | 2,405 | -102 | -101 | -120 | -3.9 | 0 |
| 連26.3 予 | 2,700 | 140 | 140 | 100 | 3.2 | 0 |
| 連27.3 予 | 3,200 | 250 | 250 | 200 | 6.4 | 0 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 (百万円) |
営業キャッシュフロー | 投資キャッシュフロー | 財務キャッシュフロー |
|---|---|---|---|
| 2023.3 | -7 | -23 | 0 |
| 2024.3 | -312 | -48 | 0 |
| 2025.3 | -4 | -413 | 0 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023.3 | -2.6% | -0.8% | -0.7% | — | — |
| 2024.3 | -7.1% | -3.4% | -3.1% | — | — |
| 2025.3 | -4.3% | -2.8% | -2.5% | — | 2.45倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績を見ると、連24.3は売上高25.6億円、営業利益は-1.8億円、経常利益は-1.6億円、純利益は-1.7億円となっている。連25.3は売上高24.0億円、営業利益は-1.0億円、経常利益は-1.0億円、純利益は-1.2億円で、赤字幅はやや縮小したものの依然として赤字が続いている。連26.3予では売上高27.0億円、営業利益1.4億円、経常利益1.4億円、純利益1.0億円と黒字転換が見込まれているが、利益額はまだ小さく、回復初期段階であることが分かる。
収益性を見ると、営業利益率は2023年-2.6%、2024年-7.1%、2025年-4.3%と、直近3年間は一貫してマイナスで推移している。ROEは-0.8%、-3.4%、-2.8%、ROAも-0.7%、-3.1%、-2.5%となっており、資本効率・資産効率ともに明確にマイナス圏にある。収益構造としてはまだ赤字体質から脱しきれていない段階だと言える。
PERとPBRについては、提示数値上はいずれも0.0となっており、利益ベースでの評価が実質的に行えない状態である。つまり現時点の株価評価は、収益実績ではなく、将来の業績回復を前提とした期待値に依存していると解釈せざるを得ない。
以上の数値だけで判断すると、オープンドアは売上水準は回復傾向にあるものの、直近3年間は営業利益率、ROE、ROAがすべてマイナスで、事業の収益力や資本効率は弱い。26年予想で黒字転換が示されている点はポジティブだが、利益規模は小さく、黒字が安定的に定着するかどうかはまだ不透明である。
結論として、オープンドアは現時点では安定収益企業とは言えず、投資判断は明確に回復期待先行型となる。数値だけを見る限り、配当や安定性を重視する投資には不向きであり、旅行需要の回復によって黒字が定着するシナリオを信じられるかどうかが判断の分かれ目になる。守りの投資ではなく、業績回復局面を狙うリスク許容型の投資対象、という位置づけになる。
配当目的とかどうなの?
配当目的という観点で見ると、オープンドアは明確に不向きな銘柄と言える。予想配当利回りは連26.3で0.00%、連27.3でも0.00%となっており、今後も配当を出す前提での投資は想定しにくい。少なくとも提示されている数値上は、配当によるインカムゲインは一切期待できない。
これまで見てきた通り、直近数年間は営業利益、経常利益、純利益が赤字で推移しており、26年予想でようやく黒字転換が見込まれている段階である。利益水準もまだ小さく、まずは黒字の定着と財務体質の改善を優先するフェーズにあると考えられる。そのため、稼いだ利益を株主に還元する余裕はなく、配当を出す経営段階には達していない。
また、営業利益率、ROE、ROAが直近3年間すべてマイナスであることを踏まえると、配当原資となる安定的なキャッシュ創出力も弱い。仮に一時的に黒字化しても、配当を継続的に支払えるだけの収益構造が整うまでには時間がかかる可能性が高い。
結論として、オープンドアは配当目的では完全に対象外の銘柄である。インカムゲインを重視する投資スタイルとは相性が悪く、配当を期待して保有する理由は見当たらない。あくまで旅行需要回復による業績改善と株価上昇を狙うキャピタルゲイン目的、しかもリスクを許容できる投資家向けの銘柄、という位置づけになる。
今後の値動き予想!!(5年間)
オープンドアは、格安旅行商品をはじめとする各種旅行サービスを横断的に比較できる旅行メタサーチサイト「トラベルコ」を中核とするインターネット企業である。航空券、ホテル、パッケージツアー、レンタカー、高速バスなどを一括で比較できる点を強みとし、価格重視のユーザーを中心に一定の認知度を持つ。固定費を抑えたメディア型・送客型のビジネスモデルであり、旅行需要の水準が業績に直結しやすい構造が特徴だ。
直近数年間はコロナ禍の影響を強く受け、売上規模は回復傾向にあるものの、営業利益、経常利益、純利益はいずれも赤字が続いてきた。営業利益率、ROE、ROAもマイナス圏で推移しており、収益力や資本効率の面では弱さが目立つ。一方で、26.3期予想では営業利益、経常利益、純利益ともに黒字転換が見込まれており、業績は回復初期段階に入る可能性がある。ただし利益額はまだ小さく、安定収益企業と評価できる段階には至っていない。配当は無配が続いており、株主還元は当面期待しにくい。現在値は316.0円であり、ここから今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合に分けて考える。
良い場合のシナリオでは、国内外の旅行需要が本格的に回復し、「トラベルコ」の利用者数と送客数が安定して増加するケースを想定する。26.3期の黒字転換が一過性に終わらず、その後も営業利益、経常利益、純利益が積み上がり、営業利益率もプラス圏で定着する。固定費の低い事業構造のため、売上の伸びがそのまま利益改善につながりやすく、ROE、ROAも改善に向かう。赤字脱却が明確になれば市場の評価も変わり、回復銘柄としてPERによる評価が可能になる。この場合、現在値316.0円を起点として、5年後の株価は600円から800円程度まで上昇する展開が考えられる。業績回復が素直に株価に反映される強気のシナリオだ。
中間のシナリオでは、旅行需要は回復するものの、競争激化や広告宣伝費の増加により、利益の伸びは緩やかにとどまるケースを想定する。26.3期で黒字転換は達成するが、利益水準は低く、営業利益率も小幅なプラスにとどまる。市場の評価は慎重で、成長株としてのプレミアムは付きにくい。この場合、株価は現在値316.0円を中心に上下しながら推移し、5年後の水準は350円から450円程度が現実的な到達点となる。回復期待はあるが、値動きは限定的な展開だ。
悪い場合のシナリオでは、旅行需要の回復が鈍化する、あるいは競争激化により送客数が伸び悩むケースを想定する。26.3期の黒字転換が達成できない、もしくは一時的な黒字にとどまり、その後再び赤字基調に戻る展開となる。営業利益率、ROE、ROAはマイナス圏にとどまり、回復期待が後退する。この場合、配当による下支えもないため株価は調整しやすく、現在値316.0円から下落して、5年後の株価は200円から250円程度にとどまる可能性がある。
総合すると、現在値316.0円を起点としたオープンドアの今後5年間の値動きは、良い場合で600円から800円前後、中間で350円から450円、悪い場合で200円から250円といったレンジが想定される。高配当や安定収益を期待する銘柄ではなく、旅行需要の回復と黒字定着を前提とした回復局面狙いの投資向きであり、リスクを許容できる投資家がキャピタルゲインを狙う銘柄、という位置づけになる。
この記事の最終更新日:2025年12月15日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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