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Ubicomホールディングスとは

Ubicomホールディングスは、オフショアによるシステム開発事業と医療関連ソフトウェア事業を柱とするIT企業グループである。東京都千代田区一番町に本社を置く持株会社で、フィリピンに開発拠点を構え、現地でのエンジニア採用と育成を積極的に行っている点が大きな特徴となっている。人件費を抑えつつも安定した技術力を確保できる体制を築いており、日本企業向けのIT需要を着実に取り込んでいる。
同社は2005年にWCLグループの一員として設立され、その後独立。2013年にAWSホールディングスへ社名変更し、2016年に東証マザーズへ上場、2017年にはUbicomホールディングスへ社名を変更するとともに東証一部へ市場変更を行った。現在はグローバル事業、メディカル事業、Win-Winインベストモデル事業の三つを軸に事業を展開している。
グローバル事業では、フィリピンの開発拠点を活用したオフショア開発を中心に、組込みソフトウェアや業務アプリケーションの開発、テスト・品質保証サービスを提供している。また、AI、データ分析、業務自動化、RPAなどを含む3A技術にも対応しており、日本企業のDX需要に幅広く応えている。長期雇用を前提とした現地エンジニアの育成により、品質とコストのバランスを取った開発体制を構築している。
メディカル事業では、医療機関向けにレセプト点検、医療安全支援、医療データ分析、クラウドサービス、システム開発支援、コンサルティングなどを提供している。医療分野に特化したITノウハウを生かし、病院や医療機関の業務効率化やデータ活用、DX推進を支援することを主な役割としている。社会性の高い医療分野を対象としている点も、事業の安定性につながっている。
Win-Winインベストモデル事業では、リーディングカンパニーや成長企業との協業や戦略的提携を通じて新規事業への投資を行っている。単なる投資にとどまらず、グループが持つIT技術や人材を活用し、協業先と相互に成長する関係を築くことを目指している。全体としてUbicomホールディングスは、フィリピンを中心としたオフショア開発力と、医療分野に特化したITサービスという二つの強みを組み合わせることで、安定した収益基盤と中長期的な成長余地を併せ持つ企業だといえる。
Ubicomホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益(EPS) | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 5,246 | 1,011 | 1,004 | 573 | 48.7 | 11 |
| 連24.3 | 5,942 | 1,072 | 935 | 526 | 44.7 | 13 |
| 連25.3 | 6,340 | 1,315 | 1,341 | 858 | 71.1 | 40 |
| 連26.3予 | 6,570 | 1,350 | 1,370 | 950 | 78.4 | 40〜45 |
| 連27.3予 | 7,200 | 1,600 | 1,600 | 1,100 | 90.7 | 40〜45 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 820 | -110 | -447 |
| 2024 | 726 | -272 | -155 |
| 2025 | 930 | 18 | -126 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 19.2% | 14.0% | 9.8% | ― | ― |
| 2024 | 18.0% | 11.2% | 7.6% | ― | ― |
| 2025 | 20.7% | 15.4% | 10.9% | 24.2〜45.3倍 | 2.39倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績を億円ベースで整理する。Ubicomホールディングスの連24.3は売上高59.4億円、営業利益10.7億円、経常利益9.3億円、純利益5.2億円となっている。連25.3は売上高63.4億円、営業利益13.1億円、経常利益13.4億円、純利益8.5億円。連26.3予は売上高65.7億円、営業利益13.5億円、経常利益13.7億円、純利益9.5億円と、売上は緩やかながら着実に拡大し、それ以上のペースで利益が伸びている。利益体質が年々強化されている点は明確だ。
収益性を見ると、営業利益率は2023年19.2%、2024年18.0%、2025年20.7%と高水準で安定している。20%前後の営業利益率はIT・ソフトウェア系としてもかなり優秀で、事業の付加価値が高いことを示している。ROEは14.0%、11.2%、15.4%、ROAは9.8%、7.6%、10.9%となっており、一時的に低下した年はあるものの、直近では再び改善している。資本効率、資産効率ともに良好な水準にあると評価できる。
一方で評価面を見ると、2025年実績PERは安値平均でも24.2倍、高値平均では45.3倍とかなり高い。PBRも2.4倍と、純資産に対して明確なプレミアムが付いた水準だ。これは営業利益率20%前後、ROE15%前後という高い収益性を市場が評価している結果だが、裏を返せば成長が鈍化した場合の調整リスクも小さくない水準である。
以上の数値だけで判断すると、Ubicomホールディングスは事業の質、収益性、資本効率はいずれも非常に良好で、業績面だけを見れば優良企業といえる。ただしPER・PBRはすでに高水準で、株価には成長期待がかなり織り込まれている。今後も売上・利益が着実に伸び続けるなら評価は正当化されるが、成長が鈍れば割高感が意識されやすい。
結論として、Ubicomホールディングスは業績の安定性と高収益性を重視する投資家にとって魅力は大きい一方、割安株ではない。投資判断としては「業績は強いが株価は安くない」という位置づけになり、成長の持続性を信じて中長期で保有できるかどうかが判断の分かれ目となる銘柄だといえる。
配当目的とかどうなの?
配当目的という観点で見ると、Ubicomホールディングスは「そこそこ魅力はあるが、完全な高配当株ではない」という位置づけになる。予想配当利回りは連26.3、連27.3ともに3.65%と、日本株全体の平均と比べるとやや高めの水準にある。銀行株や資源株のような突出した高配当ではないものの、IT・ソフトウェア系企業としては比較的高い利回りであり、無配や低配が多い同業と比べると評価できる水準だ。
これまで見てきた通り、Ubicomホールディングスは営業利益率が20%前後、ROEも15%前後と収益性が高く、営業CFも安定してプラスを確保している。その中で配当利回り3%台後半を維持している点から、無理な配当ではなく、利益水準に見合った株主還元が行われていると判断できる。配当の安定性という意味では一定の安心感がある。
一方で、PERは24倍〜45倍と高水準で、株価には成長期待が強く織り込まれている。そのため、配当利回り3.65%が株価の下支えとして強力かというと、そこまでではない。株価が調整局面に入った場合、配当だけで下落を吸収できるタイプの銘柄ではない点には注意が必要だ。
結論として、Ubicomホールディングスは配当目的「だけ」で選ぶ銘柄ではないが、成長性と配当を両立させたい投資家にとっては十分に検討対象になる。高配当株の代替ではなく、「業績の伸び+年3%台後半の配当」を受け取りながら中長期で保有する、準インカム型の銘柄という位置づけが妥当だといえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
Ubicomホールディングスは、オフショアによるシステム開発事業と医療関連ソフトウェア事業を柱とするIT企業である。フィリピンに大規模な開発拠点を持ち、現地採用を積極的に行うことで、安定したエンジニア供給とコスト競争力を確保している点が特徴だ。グローバル事業では、組込みソフトウェアや業務アプリケーション開発、テスト・品質保証、AIやデータ分析、自動化といった分野を手掛け、メディカル事業では医療機関向けのレセプト点検、医療安全支援、医療データ分析、クラウドサービスなどを提供している。
社会性の高い医療分野と、安定需要のあるオフショア開発を組み合わせた事業構造により、比較的ブレの小さい収益基盤を築いている。売上は緩やかに拡大し、営業利益、経常利益、純利益はいずれも二桁億円規模を安定的に確保している。営業利益率は20%前後と高く、ROE、ROAも二桁水準にあり、IT企業としては収益性と資本効率のバランスが良い。また配当利回りは3%台後半と、成長企業としては比較的高く、株主還元も一定程度意識されている。現在価格1,094円から今後5年間の値動きを、良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考えていく。
良い場合のシナリオでは、フィリピン拠点を活用したオフショア開発が引き続き拡大し、加えて医療関連IT需要の増加を背景にメディカル事業が安定成長を続けるケースを想定する。売上は年率数%のペースで増加し、営業利益率は20%前後を維持、ROE、ROAも高水準で安定する。高収益体質と3%台後半の配当利回りが評価され、PERは20倍前後、PBRも2倍前後で許容される。この場合、現在価格1,094.0円を起点として、5年後の株価は1,700円から2,100円程度まで上昇する展開が考えられる。値上がり益と配当を合わせたトータルリターンが期待できるシナリオだ。
中間のシナリオでは、オフショア開発とメディカル事業は堅調に推移するものの、大きな成長加速はなく、売上・利益は緩やかな増加にとどまるケースを想定する。営業利益率は18〜20%程度、ROE、ROAも現状水準を概ね維持する。市場評価は落ち着き、PERは15〜18倍、PBRは1.5〜2倍程度に収れんする。この場合、株価は現在価格1,094.0円を中心に推移し、5年後の水準は1,200円から1,450円程度となり、配当を受け取りながらの保有が前提となる。
悪い場合のシナリオでは、IT投資抑制や医療関連案件の伸び悩みにより、成長が鈍化するケースを想定する。営業利益率は15%前後まで低下し、ROE、ROAも低下することで、高収益企業としての評価がやや後退する。配当は維持される可能性が高いものの、市場の警戒感からPERは10〜12倍程度まで切り下げられる余地がある。この場合、現在価格1,094.0円から株価は調整局面に入り、5年後の株価は750円から950円程度にとどまる可能性がある。ただし配当利回りは上昇するため、下値は比較的限定的になりやすい。
総合すると、現在価格1,094.0円を起点としたUbicomホールディングスの今後5年間の値動きは、良い場合で1,700円から2,100円前後、中間で1,200円から1,450円、悪い場合で750円から950円といったレンジが想定される。高成長株ではないものの、高い収益性と3%台後半の配当を併せ持ち、配当を軸にしつつ中長期で安定したリターンを狙う投資家にとって位置づけしやすい銘柄だといえる。
この記事の最終更新日:2025年12月15日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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