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ザ・パック(3950)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ザ・パックとは

ザ・パックは、百貨店や専門店向けの紙袋で国内最大手の地位を確立している総合パッケージメーカーである。紙袋分野では国内シェア首位を誇り、商業包装用紙を中心に、流通・小売の現場を長年にわたって支えてきた企業だ。主力の紙袋に加え、紙器、段ボール、さらに紙おむつやナプキン向けの包装袋といった化成品分野まで手がけており、特定分野に依存しすぎない事業構造を持っている点が特徴である。

本社は大阪市東成区と東京都渋谷区にあり、全国に支社・営業所を展開している。北海道から九州まで営業拠点を持ち、地域ごとの需要や顧客ニーズにきめ細かく対応できる体制を構築している。総合商社の双日とは旧ニチメン時代から関係が深く、みどり会の会員企業として三和グループに属している点も、同社の企業背景として押さえておきたいポイントである。

事業の中心となる紙加工品事業では、紙袋、紙器、段ボールといった包装資材を幅広く取り扱っている。紙袋事業では、百貨店、専門店、アパレル、量販店、飲食店などで使われる手提げ紙袋を中心に、顧客のブランドイメージや用途に合わせたオーダーメイドの製品を提供している。単なる袋の供給ではなく、デザインや印刷、加工までを一貫して担い、店舗のブランディングや販売促進を支える役割を果たしている。

紙器事業では、菓子や食品、日用品、ギフト用途などの箱やパッケージを製造・販売しており、段ボール事業では物流や宅配向けの包装資材を提供している。これらを組み合わせたトータルパッケージングの提案力はザ・パックの強みであり、外装から内装まで一体で設計できる点が評価されている。さらに化成品事業では、紙おむつやナプキン向けの包装袋、フィルム製品なども扱い、衛生用品分野の需要にも対応している。

ザ・パックの大きな特徴は、企画から製造、物流までを一貫してカバーできるトータルプロデュース力にある。国内4工場を中心とした生産体制に加え、グループ会社や物流拠点との連携により、安定供給と品質管理を両立している。また、アジアを中心とした海外工場とのネットワークも活用し、自社製品に限らない幅広いパッケージ提案を行っている。海外工場においても国内と同等の品質基準を守り、コストと品質のバランスを取った供給体制を構築している。

人材面では、営業担当者が約250名、デザイナーや設計担当などのクリエイターが約75名在籍しており、パッケージづくりのプロ集団として高い提案力を持っている。食品、アパレル、日用品、企業向け、学校向け、宅配用途など、多様な業界のパッケージを手がけてきた経験が蓄積されており、業界を問わず最適なソリューションを提示できる点が競争力の源泉となっている。

また、環境対応への取り組みも重要な要素である。リサイクル素材の活用、プラスチック使用量の削減、環境配慮型パッケージの提案などを通じて、顧客のSDGs対応を支援している。環境負荷への関心が高まる中で、紙製包装を中心とした事業構成は時代の流れとも合致しており、総合パッケージメーカーとしての存在感をさらに高めている。総じてザ・パックは、紙袋国内最大手という確固たる地位を軸に、紙器、段ボール、化成品までを幅広く手がける安定感のある企業である。全国ネットワークと高い企画・提案力、環境対応力を武器に、流通・小売を中心とした商業包装分野を長期的に支え続ける企業だといえる。

ザ・パック 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(単位百万) 営業利益 経常利益 純利益 一株益(円) 一株当たり配当
20.12* 78,445 3,275 3,606 2,392 42.0 20
21.12* 80,177 4,144 4,422 2,824 49.6 16.7
22.12* 89,060 5,972 6,353 4,058 71.2 21.7
23.12* 97,714 7,743 8,063 5,652 99.0 30
24.12* 101,461 8,009 8,285 6,316 111.2 39.3
25.12予 103,000 7,300 7,600 6,100 108.2 41.3
26.12予 105,000 7,600 7,900 6,250 110.8 42〜46

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位百万) 営業CF 投資CF 財務CF
2022 5,380 -3,762 -1,124
2023 4,443 -3,962 -1,407
2024 7,101 -5,436 -3,041

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 7.9% 7.9% 5.7%
2024 7.8% 8.4% 6.1% 9.1~12.4倍 0.94倍
2025 7.0% 8.1% 5.9% 12.4倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

ザ・パックについて、提示された数値だけを材料にして、単位は億円換算、条件どおり数値を処理したうえで、文章の流れを切らずに投資判断をつらつら書く。

まず利益水準の推移を見ると、連23.12は営業利益77億円、経常利益80億円、純利益56億円で、紙袋・紙器を主力とする包装メーカーとしては高水準の利益を確保している。連24.12では営業利益80億円、経常利益82億円、純利益63億円と増益が続き、事業の安定性と収益力の底堅さが確認できる。一方で連25.12予では営業利益73億円、経常利益76億円、純利益61億円とやや減益予想となっているが、連26.12予では営業利益76億円、経常利益79億円、純利益62億円と再び持ち直す前提であり、利益水準そのものが大きく崩れる想定ではない。全体として見ると、急成長ではないものの、60億円前後の純利益を安定的に稼ぐ体力を持つ企業であることが分かる。

収益性指標を見ると、営業利益率は7.9%、7.8%、7.0%とわずかに低下傾向にあるものの、包装・紙加工業界としては依然として高い水準にある。ROEは7.9%、8.4%、8.1%、ROAは5.7%、6.1%、5.9%で、いずれも大きなブレはなく、資本効率は安定している。高収益企業とまでは言えないが、成熟企業としては十分に優良な水準を維持していると評価できる。

次にバリュエーションを見ると、2024年の実績PERは高値平均12.4倍、安値平均9.1倍で、2025年予想PERは12.4倍となっている。PBRは0.9倍台で、ほぼ1倍近辺に位置している。極端な割安感はないものの、収益の安定性を考えると割高感もなく、妥当からやや保守的な評価水準にあるといえる。

これらの数値を総合すると、ザ・パックは営業利益率、ROE、ROAが安定しており、利益も60億円前後を継続的に確保できる事業基盤を持つ。一方で、成長率は高くなく、今後も大幅な利益拡大を前提とした評価にはなりにくい。そのためPERは10倍台前半、PBRは1倍前後に落ち着く構造になりやすい。結論としては、ザ・パックは高成長株ではなく、業績の派手さもないが、収益の安定性と事業の分かりやすさを備えた堅実な企業である。現状の評価水準は割安とも割高とも言い切れないが、安定した利益と配当を前提に中長期で保有するには適した銘柄であり、値上がり益よりも安定性とインカムを重視する投資スタンスに向いた銘柄、という判断になる。

配当目的とかどうなの?

配当目的という視点で見ると、ザ・パックは「かなり分かりやすく合格点」の銘柄だ。派手さはないけど、ちゃんと仕事をするタイプ。株主としては一番付き合いやすい部類でもある。連25.12の予想配当利回りは3.25%、連26.12では3.30%と、3%台を安定して確保できる水準にある。高配当株ランキングの常連というほどではないが、事業の安定性を考えると十分に実用的な利回りだ。しかも配当は利益が急減する前提ではなく、営業利益70億円台、純利益60億円前後を維持しながら出される水準であり、無理に背伸びした還元ではない。

実際、営業CFは安定してプラスで推移しており、投資CFや財務CFを差し引いても配当原資はきちんと本業から生み出せている。紙袋・紙器という事業特性上、需要が急に消えることは考えにくく、利益の振れ幅も比較的小さい。このため、減配リスクは低めで、少なくとも現行水準の配当を中期的に受け取り続ける前提は置きやすい。

一方で、注意点もはっきりしている。ザ・パックは成長企業ではないため、毎年大幅な増配が続くタイプではない。利回りは3%前後で安定しやすく、4%超を恒常的に狙う銘柄ではない。値上がり益も限定的になりやすく、キャピタルゲインを主目的にすると物足りなさは残る。

総合すると、ザ・パックは「高配当株」ではなく、「安定配当株」に分類するのが正確だ。3%台の利回りをベースに、業績の大崩れが起きにくい企業で配当を積み上げていく用途には向いている。大きな夢は見られないが、静かに現金を落としてくれる銘柄をポートフォリオに一つ入れておきたい人には、ちょうどいい存在だ。

今後の値動き予想!!(5年間)

ザ・パックは、百貨店や専門店向け紙袋で国内最大手の地位を持つ総合パッケージメーカーである。紙袋を中核に、紙器、段ボール、さらに紙おむつ・ナプキン用包装袋などの化成品分野まで幅広く展開しており、商業包装分野を中心とした安定した事業基盤を持つ。営業利益率は7%前後と紙加工業界では比較的高く、ROE、ROAも安定して推移している。成長性は緩やかだが、利益水準は60億円規模を安定的に確保しており、配当も増配基調にある点が特徴だ。現在価格1,271.0円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、百貨店・専門店向け紙袋需要が底堅く推移し、紙器や段ボール、化成品事業も安定成長を続けるケースを想定する。営業利益は70〜80億円規模を維持し、営業利益率は7%前後、ROEも8%前後で安定する。安定した利益と増配姿勢が評価され、市場ではディフェンシブな高配当株としての位置づけが強まる。PERは12〜14倍程度まで許容され、PBRも1倍近辺まで見直される可能性がある。この場合、現在価格1,271.0円から緩やかな株価上昇が続き、5年後の株価は1,600円から1,900円程度まで上昇する展開が考えられる。値上がり益に加え、3%台の配当を積み上げる、バランスの取れたシナリオである。

中間のシナリオでは、紙袋・紙器需要は安定するものの、大きな成長はなく、業績は横ばいから緩やかな推移にとどまるケースを想定する。営業利益は60〜70億円規模、営業利益率は7%前後、ROEも8%前後で推移し、収益構造に大きな変化は起きない。市場評価も落ち着き、PERは10〜12倍、PBRは0.9倍前後で安定する。この場合、株価は現在値1,271.0円を中心に上下しながら推移し、5年後の水準は1,300円から1,500円程度に収まる可能性が高い。値上がり益は限定的だが、配当利回り3%台を受け取りながら保有するインカム重視の展開となる。

悪い場合のシナリオでは、消費動向の変化や原材料価格の影響により利益率がやや低下し、営業利益は50億円台まで縮小するケースを想定する。営業利益率は6%台、ROEも7%前後まで低下し、市場の評価はより保守的になる。PERは8〜9倍程度まで切り下がり、PBRも0.7倍台に低下する可能性がある。この場合、株価は調整局面に入り、現在価格1,271.0円から下落し、5年後の株価は900円から1,100円程度にとどまる可能性がある。ただし利益が大きく崩れない前提では配当は維持されやすく、利回り上昇が下値を一定程度支える展開になりやすい。

総合すると、現在価格1,271.0円を起点としたザ・パックの5年間の値動きは、良い場合で1,600円から1,900円前後、中間で1,300円から1,500円、悪い場合で900円から1,100円といったレンジが想定される。高成長株ではないが、安定した収益力と3%台の配当利回りを背景に、値上がり益とインカムの両方を緩やかに狙う中長期投資家向けの銘柄だといえる。

この記事の最終更新日:2025年12月15日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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