株価
チェンジホールディングスとは

チェンジホールディングスは、地方自治体や企業のDX推進を支援することを中核としたIT・コンサルティング企業グループの持株会社である。本社は東京都港区に置き、コンサルティング事業やインターネット関連事業を展開する複数の子会社を傘下に有している。社名には「Change People, Change Business, Change Japan」という理念が込められており、人と組織、そして日本社会そのものを変革していくことを目指す姿勢が明確に打ち出されている。
同社の事業の特徴は、単なるITシステム導入にとどまらず、業務フローそのものの再構築や人材育成まで含めたトータルなDX支援を行っている点にある。AI、音声インターネット、IoT、ビッグデータ、クラウド、セキュリティ、モビリティなどの先端技術を活用し、官公庁や民間企業の業務効率化、ビジネスモデル変革を支援している。これらは「NEW-ITトランスフォーメーション事業」と位置づけられ、同社の中核事業となっている。
特に強みを持つのが地方自治体向けのDX支援である。行政手続きのデジタル化、業務プロセスの見直し、ITツールの導入支援などを通じて、慢性的な人手不足や業務の非効率といった自治体が抱える課題の解決に取り組んでいる。公共(Public)と技術(Technology)を掛け合わせた「パブテック」を掲げ、AIやディープラーニング、ブロックチェーンなどの先端技術を社会課題の解決に活用する姿勢を強めている点も特徴である。
グループ会社の中では、トラストバンクが運営するふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」が特に重要な存在となっている。ふるさと納税関連事業はチェンジホールディングスの収益の柱の一つであり、自治体との強固なネットワークを背景に、安定した収益を生み出している。また、イー・ガーディアンなどの子会社を通じて、インターネットサービスの品質向上やセキュリティ、リスク対策といった分野にも事業領域を広げている。
加えて、IT人材育成や研修事業も展開しており、DXを進めるうえで不可欠な人材面の支援にも力を入れている。技術と人材、業務改革を一体で提供することで、顧客の継続的な変革を支えるビジネスモデルを構築している点が同社の大きな特徴である。総じてチェンジホールディングスは、地方自治体や企業のDX需要を背景に成長してきた企業であり、自治体向けDX支援とふるさと納税関連事業という安定収益源を併せ持つ点に強みがある。社会課題の解決を軸に、先端技術とコンサルティングを組み合わせた事業展開を行う、日本のDX推進を象徴する企業の一つといえる。
チェンジホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(単位百万) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益(円) | 一株当たり配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 23.3 | 20,021 | 5,730 | 5,653 | 3,856 | 53.3 | 10 |
| 24.3 | 37,015 | 7,562 | 7,429 | 4,325 | 59.8 | 18.7 |
| 25.3 | 46,387 | 13,515 | 12,745 | 7,532 | 107.5 | 20.9 |
| 26.3予 | 55,000 | 14,000 | 13,200 | 7,900 | 113.5 | 23 |
| 27.3予 | 60,000 | 15,500 | 14,700 | 8,800 | 126.5 | 23〜25 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位百万) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023.3 | -1,143 | -7,882 | 1,608 |
| 2024.3 | 12,070 | -13,745 | 17,827 |
| 2025.3 | 7,836 | -14,081 | 1,324 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 28.6% | 10.5% | 7.2% | ― | ― |
| 2024 | 20.4% | 10.9% | 4.8% | ― | ― |
| 2025 | 29.1% | 18.2% | 7.1% | 18.2~36.3倍 | 1.65倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益水準の推移を見ると、2024年は営業利益75億円、経常利益74億円、純利益43億円で、地方自治体向けDXやふるさと納税関連を中心とした事業としては非常に高い収益力を示している。2025年では営業利益135億円、経常利益127億円、純利益75億円と、利益が一段と拡大しており、収益フェーズが明確に加速していることが分かる。2026年では営業利益140億円、経常利益132億円、純利益79億円と、成長ペースはやや落ち着くものの、高水準の利益を維持する前提となっている。売上規模の拡大と同時に利益額も大きく伸びており、事業モデルの収益性の高さが数字にはっきり表れている。
収益性指標を見ると、営業利益率は28.6%、20.4%、29.1%と非常に高い水準にあり、年によるブレはあるものの、3割前後の利益率を稼げるビジネスであることが分かる。ROEは10.5%、10.9%、18.2%と、直近で大きく改善しており、利益成長が自己資本効率の向上につながっている。ROAも7.2%、4.8%、7.1%と高水準で、資産を効率よく使って利益を生み出している企業といえる。
一方でバリュエーションを見ると、2025年の実績PERは高値平均36.3倍、安値平均18.2倍とレンジが広く、市場評価の振れが大きい銘柄であることが分かる。PBRは1.6倍台で、純資産に対しては明確にプレミアムが付いた評価となっている。高い利益率と成長性を織り込む一方で、期待が剥落した局面では評価が急低下しやすい構造でもある。
これらの数値を総合すると、チェンジホールディングスは営業利益率、ROE、ROAのいずれも高く、利益成長も続いており、事業の質そのものは非常に優れている。一方でPERは高めで、評価は成長期待に強く依存しており、業績が想定を下回った場合の株価変動リスクは小さくない。
結論としては、チェンジホールディングスは高収益・高成長のDX関連銘柄としての魅力が強く、業績拡大が続く限りは評価を正当化できる企業である。ただし、すでに一定の成長を織り込んだ水準で取引されやすく、ディフェンシブな安定株とは性格が異なる。値上がり益を狙う中長期投資には向く一方で、価格変動を許容できる投資家向けの銘柄、という判断になる。
配当目的とかどうなの?
2026年、2027年ともに予想配当利回りは2.29%と、東証全体で見れば中位程度の水準であり、高配当株と呼べるほどではない。ただし、同社は営業利益率が20〜30%近い高水準を維持し、純利益も年々拡大している成長企業であることを踏まえると、利益成長と両立した配当水準としては妥当ともいえる。
実際、純利益は2024年の43億円から2025年は75億円、2026年度予想では79億円と大きく伸びており、配当原資となる稼ぐ力は明確に強化されている。営業利益率やROEも改善しており、利益の質はむしろ良くなっている局面だ。その中で配当利回りが2%台にとどまっているのは、会社側が成長投資を優先しつつ、株主還元も一定程度行う方針を取っていることの表れといえる。
一方で、PERは18倍から36倍とレンジが広く、PBRも1.6倍台と、評価はすでに成長期待をある程度織り込んでいる。このため、配当利回りを目的に長期保有する場合、株価水準によってはインカムの魅力が相対的に薄く感じられる可能性がある。配当が株価の強い下支えになるタイプではなく、株価は業績成長や成長期待の変化に左右されやすい。
総合すると、チェンジホールディングスは高配当目的で買う銘柄ではなく、成長を軸にしながら、結果として2%台の配当も受け取れる「成長+配当のバランス型」に近い銘柄である。値上がり益を主軸にしつつ、無配や低配よりは安心感がある、という位置づけであり、純粋な配当狙いなら他に適した銘柄は多いが、成長ストーリーを信じる投資家にとっては、配当も含めて総合的に報われやすいタイプだといえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
チェンジホールディングスは、地方自治体や企業向けのDX支援を中核とするIT・コンサルティング企業である。業務フローの再構築やITツールの提供を通じて、行政や企業の業務効率化を支援しており、公共分野とテクノロジーを掛け合わせた「パブテック」を強みとしている。グループの中核であるトラストバンクが運営するふるさと納税関連事業は収益性が高く、同社の稼ぎ頭となっている。売上は急拡大しており、営業利益率も2割後半から3割前後と非常に高い水準にある。現在価格1,003.0円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。
良い場合のシナリオでは、自治体DX需要が引き続き強く、業務改革コンサルやIT導入支援が拡大するケースを想定する。ふるさと納税事業も安定成長を続け、売上・利益ともに計画どおり伸びる。営業利益率は3割前後を維持し、ROEは18%前後で定着する。成長性と高収益性が再評価され、PERは25〜30倍程度で市場に許容される。この場合現在価格1,003.0円から段階的な上昇が続き、3年程度で1,500円前後、5年後には1,900円から2,300円程度まで上昇する展開が考えられる。値上がり益を主軸とした、最も強気なシナリオである。
中間のシナリオでは、自治体向けDXやふるさと納税事業は堅調に推移するものの、成長率は徐々に落ち着き、利益成長も緩やかになるケースを想定する。営業利益率は25%前後、ROEは15%前後で安定し、高収益企業ではあるが成長株プレミアムはやや後退する。市場評価は冷静になり、PERは18〜22倍程度、PBRも1.5倍前後に収れんする。この場合、株価は上下を繰り返しながら緩やかに上昇し、5年後の水準は1,300円から1,500円程度に収まる可能性が高い。配当利回りは2%台と高くないため、トータルリターンは主に値上がり益によるものとなる。
悪い場合のシナリオでは、自治体予算の抑制や競争激化によりDX関連案件の伸びが鈍化し、成長期待が後退するケースを想定する。営業利益率やROEは依然として高水準を維持するものの、成長株としての評価が剥落し、PERは15倍前後まで低下する。この場合、株価は調整局面に入り、現在価格1,003.0円から下落し、700円前後まで下押しされる可能性がある。その後は業績の底堅さを背景に下値は固まり、5年後でも800円から1,000円程度にとどまり、現在値近辺を行き来する展開になりやすい。
総合すると、現在価格1,003.0円を起点としたチェンジホールディングスの5年間の値動きは、良い場合で1,900円から2,300円前後、中間で1,300円から1,500円、悪い場合で800円から1,000円といったレンジが想定される。配当目的にはやや弱いが、高い営業利益率とROEを背景にした成長株としての魅力は大きく、自治体DXとふるさと納税事業の成長を信じて値上がり益を狙う中長期投資家向けの銘柄だといえる。
この記事の最終更新日:2025年12月15日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す