株価
ニーズウェルとは

ニーズウェルは、金融系システム開発を中核とする独立系システムインテグレータであり、東京都千代田区に本社を置くITサービス企業である。長年にわたって金融分野のシステム開発に携わってきた実績を持ち、銀行、証券、保険などの業務に精通したノウハウを強みとしている。特定のメーカーや資本系列に属さない独立系であることから、顧客の立場に立った柔軟な提案が可能で、売上高の約6割をエンドユーザーとの直接取引が占めている点も特徴の一つである。
事業は大きく、業務系システム開発、基盤構築、組込系開発、ソリューション・商品の4つの領域で構成されている。業務系システム開発では、金融分野を中心に、通信、流通、サービスなど幅広い業界向けにシステムの設計、開発、保守を行っている。特に金融系では、業務の複雑さや高い信頼性が求められる分野で実績を積み重ねており、安定した受注基盤を形成している。
基盤構築の分野では、ITシステムの土台となるサーバやネットワークなどのインフラ環境について、設計から構築、導入、運用までを一貫して支援している。サーバ仮想化や仮想デスクトップといった仮想化ソリューションにも注力しており、テレワーク需要やBCP対策の高まりを背景に、セキュリティや可用性、運用効率の向上、コスト削減といったニーズに応えている。
組込系開発では、映像機器、医療機器、車載機器などに組み込まれるアプリケーションの開発を手掛けている。高い信頼性やリアルタイム性が求められる分野での開発経験を有しており、ハードウェアと密接に連携したソフトウェア開発が可能な点も同社の技術的な強みである。
ソリューション分野では、受託開発に加えて付加価値の高いサービスを強化している。情報セキュリティ分野では、デジタル化の進展とともに重要性が高まるセキュリティ対策を支援し、安全なIT環境の構築をサポートしている。業務効率化の分野では、働き方改革や人手不足といった社会的課題を背景に、業務プロセスの改善や自動化を支援している。
具体的なサービスとしては、物流現場の業務をペーパーレス化し、生産性の見える化を実現するSmartWMS倉庫管理システムを提供しているほか、金融分野向けにはクラウド型コンタクトセンタープラットフォームであるCXoneを通じて、場所に縛られない柔軟なコンタクトセンター運営を可能にしている。さらに、AI分野ではWork AIサービスを展開し、従来のシステム開発力にAIやRPA技術を組み合わせることで、業務のAI化やDX推進を支援している。
開発効率の向上にも力を入れており、WebPerformerといったローコード開発プラットフォームを活用することで、短期間でのシステム構築や品質の均一化を実現し、顧客のビジネス環境の変化にも柔軟に対応している。全体としてニーズウェルは、金融系システム開発で培った安定した技術基盤を軸に、インフラ、組込、セキュリティ、AI、業務効率化といった分野へ事業領域を広げている。受託開発による安定性と、ソリューション事業の付加価値を組み合わせることで、堅実かつ持続的な成長を目指すITサービス企業だと言える。
ニーズウェル 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(単位百万) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益EPS(円) | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 単22.9 | 6,730 | 690 | 724 | 499 | 12.5 | 5 |
| 連23.9 | 8,761 | 1,100 | 1,135 | 837 | 21.3 | 6.75 |
| 連24.9 | 9,549 | 1,185 | 1,208 | 809 | 21.2 | 9 |
| 連25.9予 | 10,600 | 1,400 | 1,400 | 1,040 | 27.5 | 12 |
| 連26.9予 | 11,500 | 1,600 | 1,600 | 1,050 | 27.7 | 12〜14 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位百万) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 978 | -352 | -720 |
| 2024 | 447 | -294 | -477 |
| 2025 | 795 | 217 | -349 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 12.5% | 22.5% | 14.0% | — | — |
| 2024 | 12.4% | 19.1% | 14.3% | — | — |
| 2025 | 11.5% | 18.6% | 13.6% | 高値平均21.9倍 / 安値平均10.0倍 | 4.11倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず売上の推移を見ると、2023年が約87億円、2024年が約95億円、2025年予想で約106億円、2026年予想で約115億円と、毎年着実に増えている。派手な成長ではないが、金融系を中心としたシステム開発会社としては安定感のある伸び方で、受注基盤がしっかりしていることが数字から読み取れる。
利益面を見ると、営業利益は2023年約11億円、2024年約11億円、2025年予想で約14億円、2026年予想で約16億円となっており、売上拡大に合わせて徐々に増えている。経常利益もほぼ同じ水準で推移しており、本業の稼ぎに大きなブレはない。純利益は2023年約8億円、2024年約8億円、2025年予想で約10億円、2026年予想でも約10億円と、増益ペースは緩やかだが安定している。
収益性を見ると、営業利益率は2023年12.5%、2024年12.4%、2025年予想11.5%と、わずかに低下している。SaaS企業のような高利益率ではないが、SIや受託開発中心の企業としては比較的良好な水準で、大きく悪化している印象はない。一方で、この水準から急激に改善するイメージも持ちにくく、今後の評価上昇にはソリューション比率の拡大などが必要になりそうだ。
ROEは2023年22.5%、2024年19.1%、2025年予想18.6%と低下傾向ではあるものの、依然として高い。ROAも2023年14.0%、2024年14.3%、2025年予想13.6%と安定しており、利益率がそれほど高くなくても、資本と資産を効率よく回して利益を出している会社だと言える。
評価面を見ると、2025年の実績PERは高値平均で21.9倍、安値平均で10.0倍と幅が大きい。業績が順調で相場環境が良い時には20倍前後まで買われる一方、地合いが悪くなると10倍近辺まで評価が下がりやすい銘柄だと分かる。実績PBRは4.1倍で、ROEの高さを織り込んだ水準だが、割安感があるとは言いにくい。
全体をまとめると、ニーズウェルは急成長株ではないものの、売上と利益を着実に積み上げ、高ROEを維持する堅実なITサービス企業である。事業の安定性は高く、大きく崩れるリスクは小さい一方で、営業利益率が頭打ち気味なことから、株価が大きく跳ねるためには新たな成長ドライバーや利益率改善が必要になる。結論としては、割安株を狙う銘柄というより、業績の安定性と増益・増配を評価して中長期で保有するタイプの銘柄であり、短期的な値幅取りよりも、時間をかけて企業価値の積み上がりを待つ投資に向いた銘柄だと言える。
配当目的とかどうなの?
まず予想配当利回りを見ると、2026年9月期で2.31%、2027年9月期でも2.31%となっている。この水準は高配当株と呼ばれる3~4%台には届かないが、ITサービス系企業としては平均的からやや良い部類に入る。極端に低いわけではなく、無配や1%前後の企業と比べれば、配当を意識した水準ではある。
配当の推移を見ると、過去は5円、6.75円、9円と増配が続き、2025年予想で12円、2026年以降も12~14円と増配基調が維持されている。業績の成長ペースに合わせて着実に配当を引き上げており、減配リスクは数字上それほど高くない。営業利益や純利益が安定して伸びていることを考えると、配当の継続性という点では安心感がある。
キャッシュフローを見ると、営業CFは年による振れはあるもののプラスを維持しており、本業で現金を生み出せている。一方で財務CFはマイナスが続いており、配当や借入返済など、株主還元を含む資金流出が継続していると考えられる。無理に配当を出している構造ではなく、利益とキャッシュフローの範囲内で配当を行っている印象だ。
ただし、利回り2.31%という数字を見る限り、配当を最優先に狙う銘柄とは言いにくい。電力株や通信株、成熟企業のように、配当そのものを主な投資リターンとするタイプではない。あくまで、安定成長の中で配当も少しずつ積み上げていく位置づけになる。総合すると、ニーズウェルは配当目的「だけ」で買う銘柄ではないが、配当を軽視している企業でもない。値上がり益と配当を組み合わせたトータルリターン型で、中長期に保有する投資家には向いている。一方で、高配当狙いの投資家にとっては、やや物足りない水準であり、配当はあくまでサブ要素と考えるのが妥当だと言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
ニーズウェルは、金融系システム開発に強みを持つ独立系システムインテグレータであり、業務系システム開発、ITインフラ構築、組込系開発、各種ソリューション提供を通じて、金融・通信・流通など幅広い業界を支えている企業である。特に金融分野では長年の実績と業務知識を蓄積しており、銀行や証券、保険など信頼性が重視される分野で安定した受注基盤を築いている。売上の約6割がエンドユーザーとの直接取引であり、下請け色が比較的薄い点も特徴だ。営業利益率は12%前後とSI企業としては比較的高水準を維持しており、ROE、ROAも二桁水準で、資本効率の良さが際立っている。現在の株価518.0円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。
良い場合のシナリオでは、金融系を中心としたIT投資が底堅く推移し、既存顧客からの継続受注に加えて、ソリューション事業や業務効率化、AI関連サービスの拡大が進むケースを想定する。売上は年率で安定的に成長し、営業利益も計画どおり増加する。営業利益率は12%前後を維持し、ROEも18〜20%近辺で安定する。派手さはないものの、堅実な高ROE企業としての評価が定着し、PERは15〜18倍程度で市場に受け入れられる。この場合、現在価格518.0円から株価は緩やかな上昇基調となり、3年後に700円前後、5年後には850円から1,000円程度まで上昇する展開が考えられる。値上がり益に加え、増配によるインカムも期待できる比較的強気なシナリオである。
中間のシナリオでは、IT投資環境は大きく崩れないものの、成長ペースは緩やかにとどまり、売上・利益は計画線に近い水準で推移するケースを想定する。営業利益率は11〜12%前後で横ばいとなり、ROEやROAはやや低下するが依然として良好な水準を維持する。市場の評価は落ち着き、PERは12〜15倍程度に収れんする。この場合、株価は大きく跳ねることはなく、上下を繰り返しながら推移し、5年後の水準は600円から700円程度に収まる可能性が高い。配当を受け取りながら、緩やかな値上がりを待つ展開となる。
悪い場合のシナリオでは、金融機関や企業のIT投資が抑制され、受注の伸びが鈍化するケースを想定する。売上成長が止まり、営業利益率もやや低下することで、成長企業としての評価が後退する。PERは10倍前後まで切り下がり、株価は調整局面に入る。この場合、現在価格518.0円から400円前後まで下落する可能性がある。その後は業績の安定性と配当を背景に下値は固まるものの、5年後でも450円から520円程度にとどまり、現在値近辺を行き来する展開になりやすい。
総合すると、現在価格518.0円を起点としたニーズウェルの5年間の値動きは、良い場合で850円から1,000円前後、中間で600円から700円、悪い場合で450円から520円といったレンジが想定される。高成長株ではないが、安定した業績と高ROE、継続的な増配を背景に、値上がり益と配当をバランスよく狙う中長期投資家向けの銘柄だといえる。
この記事の最終更新日:2025年12月16日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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