株価
Sun Asteriskとは

株式会社Sun Asteriskは、企業の新規事業開発やデジタルトランスフォーメーションを、デジタル技術とビジネス設計の両面から継続的に支援するデジタルクリエイティブスタジオである。東京都千代田区に本社を置き、英文社名はSun* Inc.とする。
同社は2012年にフランジアとして創業され、創業当初はベトナムを中心としたアジア地域でITエンジニアを採用し、モバイルアプリケーションやWebサービスのオフショア開発を主軸に事業を展開してきた。その後、日本企業の新規事業開発やDX需要の高まりを背景に、単なる開発受託ではなく、事業構想やビジネス設計の上流工程から関与するビジネスモデルへと進化している。2020年には東京証券取引所マザーズ市場に上場し、現在はグロース市場に上場している。
Sun Asteriskの特徴は、テクノロジー、デザイン、ビジネスの専門人材を組み合わせたチーム体制により、新規事業やプロダクト開発を一気通貫で支援できる点にある。アイデア創出、事業コンセプト設計、UX・UIデザイン、プロトタイプ開発、本開発、サービス立ち上げ後のグロース支援までを包括的に担い、事業成功そのものを目的とした伴走型支援を行っている。これまでに1000件を超える新規事業およびDXプロジェクトに関与しており、その実績を通じて価値創造に特化した独自のプロセスや手法を蓄積してきた。
事業は大きく分けて、クリエイティブ & エンジニアリングとタレントプラットフォームの2つのサービスラインで構成されている。
クリエイティブ & エンジニアリングでは、エンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャー、ビジネス人材などの専門チームが連携し、新規事業開発やDX、プロダクト開発を支援する。テック面での開発力だけでなく、ビジネスモデル設計やユーザー体験設計まで踏み込む点が特徴であり、顧客企業の事業パートナーとして長期的に関与するケースも多い。日本側での企画・設計と、ベトナムやフィリピン、カンボジアなどの海外開発拠点を組み合わせることで、高品質とコスト競争力を両立した開発体制を構築している。
タレントプラットフォームでは、新規事業やDX推進に必要となる人材・チームの採用や育成を支援している。新規事業やDXは、立ち上げ期と成長期で求められる人材やスキルが異なるため、各フェーズに応じた最適な採用戦略の立案から、採用活動の実行、育成支援までを包括的に提供する。単発的な人材紹介にとどまらず、PDCAを回し続ける採用活動のエグゼキューション支援を行い、顧客企業が自走できる強い社内チームを構築することを目的としている。
同社は、新規事業開発やDXは立ち上げ自体がゴールではなく、ビジネスと開発の両面で継続的に改善を重ね、成長させ続けることが重要であるという考え方を持つ。そのため、事業立ち上げ後のグロースフェーズにおいても、KPI設計、改善提案、プロダクトの進化などを通じて支援を継続する体制を整えている。また、アジアを中心としたIT人材ネットワークを活用し、日本企業が直面するIT人材不足という構造的課題の解決にも取り組んでいる。グローバルな人材活用と上流工程からの支援を組み合わせることで、新規事業・DXをサステナブルに推進できる点がSun Asteriskの競争優位性となっている。
Sun Asterisk 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年数 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株当たり配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.12期 | 10,745 | 902 | 1,144 | 823 | 21.8 | 0 |
| 連23.12期 | 12,516 | 1,775 | 2,279 | 1,569 | 41.3 | 0 |
| 連24.12期 | 13,568 | 1,444 | 1,454 | 1,023 | 26.9 | 0 |
| 連25.12期予 | 15,000 | 1,010 | 1,080 | 840 | 22.1 | 0 |
| 連26.12期予 | 17,000 | 1,700 | 1,750 | 1,090 | 28.6 | 0 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022年12月期 | 807 | -1,287 | -62 |
| 2023年12月期 | 1,883 | -326 | -224 |
| 2024年12月期 | 1,010 | -260 | 720 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年 | 14.1 | 16.5 | 13.2 | ― | ― |
| 2024年 | 10.6 | 9.9 | 7.3 |
高値平均 58.9 安値平均 25.3 |
1.74 |
| 2025年(予) | 6.7 | 8.1 | 6.0 | 21.81 | ― |
出典元:四季報オンライン
投資判断
Sun Asteriskの売上高は、2023年に125億円、2024年に135億円、2025年予想で150億円、2026年予想で170億円と一貫して拡大しており、事業規模そのものは成長トレンドにあることが分かる。売上面だけを見ると、受注や事業機会自体は引き続き拡大している企業と評価できる。
一方で利益面を見ると、2023年は営業利益17億円、経常利益22億円、純利益15億円と高水準であったが、2024年には営業利益14億円、経常利益14億円、純利益10億円へと減少している。さらに2025年予想では営業利益10億円、経常利益10億円、純利益8億円まで低下する見通しとなっており、2023年をピークに利益水準は大きく落ち込んでいる。2026年予想では営業利益17億円、経常利益17億円、純利益10億円と回復計画が示されているものの、現時点では「回復予定」の段階にとどまっている。
収益性を見ると、営業利益率は2023年14.1%、2024年10.6%、2025年予想6.7%と明確な低下トレンドにある。売上が伸びているにもかかわらず利益率が急速に悪化している点は、コスト増や投資負担が収益を圧迫していることを示している。ROEも2023年16.5%から2024年9.9%、2025年予想8.1%へ低下し、ROAも13.2%から7.3%、6.0%へと下がっており、資本効率・資産効率の両面で悪化が続いている。
株価バリュエーションを見ると、2024年の実績PERは高値平均58.9倍、安値平均25.3倍と振れ幅が非常に大きく、市場が成長期待と利益悪化の間で評価を揺らしている状況が読み取れる。PBRは1.7倍で、かつての高成長局面と比べると評価はすでに切り下がっている。2025年予想PERは21.8倍まで低下しており、利益成長鈍化を前提とした水準に調整されている。
以上の数値を総合すると、Sun Asteriskは売上成長は継続しているものの、営業利益率、ROE、ROAが同時に低下しており、成長株としての勢いは明確に後退している局面にある。短期的には利益下振れリスクを抱えた状態であり、積極的に買い向かう判断はしづらい。一方で、2026年の利益回復が実際に実現するのであれば、PERはすでに過去の高水準から大きく調整されているため、中長期視点では再評価の余地も残されている。
結論として、提示された数値だけで判断する限り、短期投資では見送りが妥当であり、中長期では営業利益率やROEの下げ止まりと回復が数値として確認できることを条件とした中立から慎重寄りの投資判断となる。
配当目的とかどうなの?
Sun Asteriskを配当目的で見ると、結論は明確で、現時点では配当投資には全く向かない銘柄と言える。まず数値面では、2025年12月期予想の配当利回りは0.00%、2026年12月期予想も0.00%となっており、少なくとも中期見通しの中で配当を出す前提は置かれていない。実際、これまでの実績を見ても無配が続いており、株主還元よりも事業成長や投資を優先する経営スタンスが明確である。
利益の状況を踏まえても、配当余力は高いとは言えない。2023年をピークに営業利益、経常利益、純利益はいずれも減少し、2025年予想では純利益8億円まで落ち込む見通しとなっている。営業利益率やROE、ROAも低下基調にあり、まず優先されるのは収益性の立て直しであって、株主への現金還元ではないと考えるのが自然である。
また、仮に将来配当を開始するとしても、事業特性上、高配当を安定的に出すモデルにはなりにくい。Sun Asteriskは人材・開発力への投資が競争力の源泉であり、成長フェーズでは内部留保を厚くし、再投資を回す経営が合理的である。そのため、配当開始は相当先、もしくはあっても低配当からのスタートになる可能性が高い。
以上を踏まえると、Sun Asteriskは配当目的、インカムゲイン狙いの投資には不適格であり、0.00%という予想配当利回りはそのまま「配当を期待して保有する銘柄ではない」ことを示している。もしこの銘柄に投資するのであれば、配当ではなく、将来の利益回復や成長再評価によるキャピタルゲイン狙いに限定すべきであり、安定配当を重視する投資スタイルとは明確に相性が悪い。結論として、配当目的という観点では見送り一択であり、配当を重視するなら他銘柄を選ぶべきである。
今後の値動き予想!!(5年間)
Sun Asteriskは、企業の新規事業開発やデジタルトランスフォーメーションを、デジタル技術とビジネス設計の両面から支援するITサービス企業である。テクノロジー、デザイン、ビジネスの専門人材を組み合わせた体制を強みとし、アイデア創出からプロダクト開発、グロース支援までを一気通貫で提供している。ベトナムを中心とした海外開発拠点を活用し、日本企業のIT人材不足を補完するモデルを構築してきた点が特徴である。現在の株価は469円前後で、この水準を起点に今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。
良い場合のシナリオでは、2026年に示されている利益回復計画が実現し、営業利益率が再び8%前後まで回復する展開を想定する。新規事業開発支援やDX需要が底堅く推移し、コスト増が一巡することで収益性が改善する。ROEも一桁後半から10%前後まで戻り、市場の成長期待が再燃する。この場合、PERは25~30倍程度まで見直され、株価は段階的に評価を回復し、5年後には800円から1,000円程度まで上昇する可能性がある。成長再評価が進んだ場合の強気シナリオである。
中間のシナリオでは、売上成長は続くものの、利益率の回復は緩やかにとどまるケースを想定する。営業利益は10~15億円程度で推移し、営業利益率は6~7%台、ROEは8%前後にとどまる。市場評価は現在水準を大きく変えず、PERは20倍前後で安定する。この場合、株価は現在値469円を中心に上下しながら推移し、5年後の水準は600円から750円程度に収まる可能性が高い。成長期待と慎重姿勢が拮抗する現実的なシナリオといえる。
悪い場合のシナリオでは、利益率の低下が長期化し、売上成長があっても利益が伴わない状況が続くケースを想定する。営業利益は一桁億円台に低迷し、営業利益率は5%前後にとどまる。ROE、ROAも低水準が続き、市場は成長ストーリーの後退を強く意識する。この場合、PERは15倍前後まで切り下がり、株価は調整色を強める。現在値469円から下落し、5年後には300円から400円程度まで下げる展開も想定される。
総合すると、現在株価469円を起点としたSun Asteriskの5年間の値動きは、良い場合で800円から1,000円前後、中間で600円から750円、悪い場合で300円から400円といったレンジが想定される。高配当や安定収益を狙う銘柄ではなく、業績回復と成長再評価を前提としたキャピタルゲイン型の中長期投資向け銘柄と位置づけられる。
この記事の最終更新日:2025年12月18日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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