株価
ステラケミファとは

ステラ ケミファ株式会社は、電子部品用フッ素系高純度薬品において世界首位級のシェアを持つ化学メーカーであり、高純度フッ素化学を中核とした技術立脚型企業である。本社は大阪府大阪市中央区に置き、半導体・電子材料分野向けの高付加価値薬品を主力事業として展開している。近年は次世代材料として注目される濃縮ホウ素関連分野の拡大も目指している。
主な事業内容は、フッ素化合物を中心とする高純度薬品の製造および販売である。特に半導体や液晶分野では極めて高いシェアを誇り、微細化・高集積化が進む先端半導体製造工程に不可欠な材料を供給している。製品には、超高純度のエッチング剤や洗浄剤、シリコンウェハに微細な回路パターンを形成する露光装置用ステッパーのレンズ原料などが含まれ、いずれも高度な精製技術と厳格な品質管理が求められる分野である。
また、半導体分野にとどまらず、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ノート型パソコン、電動アシスト自転車、ハイブリッド車などに搭載されるリチウムイオン二次電池用の電解質材料も手掛けている。このほか、ステンレスなど金属の表面処理剤、フロンガスやフッ素樹脂の原料、医薬・農業分野向けの中間原料など、用途は幅広い。
生産拠点としては、大阪府堺市の三宝工場、大阪府泉大津市の泉工場、福岡県北九州市の北九州工場を有し、国内を中心とした製造体制のもとで安全管理と環境対応を重視した操業を行っている。営業拠点としては大阪本社のほか、東京営業部・国際営業部を構え、国内外の顧客への供給体制を整えている。
連結子会社には、運輸事業および高純度薬品事業を担うブルーエキスプレス株式会社、医療分野を手掛けるステラ ファーマ株式会社、蓄光材料を扱うアライズ・コーポレート株式会社、自動車整備や保険代理業を行うブルーオートトラスト株式会社があり、化学品事業を中核としつつ周辺分野にも事業領域を広げている。
全体として、ステラ ケミファは大量生産型の化学メーカーではなく、電子部品・半導体分野向けの超高純度薬品というニッチかつ高度な分野で競争力を発揮する企業である。半導体市況の影響を受けやすい側面はあるものの、世界首位級の技術力と品質を背景に、先端産業を支える重要な素材メーカーとしての地位を確立している。
ステラ ケミファ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株配当 DPS(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 32,893 | 4,081 | 4,020 | 2,959 | 230.7 | 47 |
| 連22.3 | 37,296 | 4,583 | 5,707 | 5,364 | 423.0 | 60(特) |
| 連23.3 | 35,382 | 3,514 | 4,347 | 2,280 | 186.0 | 60 |
| 連24.3 | 30,446 | 2,722 | 3,064 | 1,845 | 153.5 | 154 |
| 連25.3 | 36,288 | 4,338 | 4,161 | 2,892 | 241.0 | 170 |
| 連26.3予 | 36,000 | 4,100 | 3,900 | 2,700 | 228.5 | 170 |
| 連27.3予 | 39,000 | 4,400 | 4,200 | 2,900 | 245.4 | 170 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 連23.3 | 5,634 | -3,281 | -3,717 |
| 連24.3 | 6,542 | -5,831 | -141 |
| 連25.3 | 7,115 | -4,324 | -2,828 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(高値/安値平均) | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 9.9% | 5.3% | 4.1% | — | — |
| 2024 | 8.9% | 4.1% | 3.1% | — | — |
| 2025 | 11.9% | 6.4% | 4.7% | 20.5倍/14.2倍 | 1.10倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の動きを見ると、売上高は2024年3月期で約304億だったものが、2025年3月期には約362億まで回復しており、半導体関連需要の戻りを背景に明確な改善が見られる。2026年3月期予想では約360億と横ばいを想定しており、急拡大というよりは回復後の安定局面に入る見通しとなっている。営業利益は2024年が約27億、2025年が約43億と大きく改善し、2026年予想でも約41億と高い水準を維持する計画である。経常利益も2024年の約30億から2025年は約41億へと伸び、2026年予想では約39億と安定的な水準に落ち着く。一方、純利益は2024年が約18億、2025年が約28億と回復が顕著だが、2026年予想では約27億とわずかに減少しており、利益成長が加速する段階ではないことが分かる。
収益性を見ると、営業利益率は2023年の9.9%から2024年に8.9%まで低下した後、2025年には11.9%まで回復している。市況悪化の影響を受けやすい半導体関連企業らしく、利益率の振れはあるものの、回復局面では2桁近い利益率を確保できている点は評価できる。ROEは2023年が5.3%、2024年が4.1%と低下した後、2025年には6.4%まで戻っている。ROAも2024年の3.1%から2025年には4.7%まで改善しており、収益力は回復しているが、資本効率そのものは高い水準とは言えない。
株価指標を見ると、2025年実績ベースのPERは高値平均で20.5倍、安値平均でも14.2倍と、回復した利益水準を前提にすでに一定の期待が織り込まれている。PBRは1.1倍と1倍をやや上回っており、資産価値から見た割安感は乏しい。業績が底から回復した段階で、株価評価も同時に持ち上がっている状態といえる。
これらを総合すると、ステラ ケミファは2024年に業績の底を打ち、2025年にかけて売上・利益・利益率ともに明確な回復局面に入った企業である。一方で、2026年は横ばいに近い見通しとなっており、成長が再加速するかどうかはまだ見えていない。ROEも6%台にとどまっていることから、資本効率の高さを理由に高い評価を正当化できる段階にはない。
提示された数値だけで判断するなら、この銘柄は業績回復は確認できるものの、株価はその回復をある程度先取りしている状態にある。今後さらに半導体市況が改善し、営業利益率が安定して高水準を維持できれば評価の正当性は高まるが、業績が横ばいにとどまればPERの調整によって株価の上値は重くなりやすい。
結論として、ステラ ケミファは強い回復基調にあるものの、現時点では割安感を理由に積極的に買い向かう局面ではなく、回復の持続性を見極めながら慎重に向き合うべき銘柄と考えられる。回復トレンドを前提にした中立からやや慎重寄りの投資判断が妥当と言える。
配当目的とかどうなの?
配当目的という観点でステラ ケミファを見ると、ここはかなり評価が分かれるポイントになる。まず数字だけを見ると、連26年3月期、連27年3月期ともに予想配当利回りは4.02%とされており、東証全体の平均と比べても高く、一般的な高配当株の基準にも届く水準にある。単純な利回りだけで見れば、配当目的として十分に魅力がある水準だと言える。
業績とのバランスを見ると、営業利益は2025年にかけて大きく回復し、2026年予想でも40億円前後を維持する見通しとなっている。営業キャッシュフローも安定して黒字で推移しており、配当原資が不足している状況ではない。利益水準とキャッシュフローの両面から見て、現在の配当が明らかに無理をして出されている印象はなく、短期的な配当維持力は高いと考えられる。
一方で注意すべき点もある。ステラ ケミファは半導体関連色の強い企業であり、業績は市況の影響を受けやすい。実際に過去を見ると、売上高や利益は大きく上下しており、安定成長型の企業ではない。そのため、今の4%超の利回りが将来にわたって常に維持されると考えるのはやや楽観的で、市況悪化局面では配当方針が見直されるリスクもある。
また、PBRは1.1倍とすでに1倍を超えており、株価水準自体は割安とは言えない。配当利回りが高い理由は、株価が低迷しているというよりも、会社側が積極的な株主還元姿勢を取っていることによる面が大きい。このため、配当を主目的にする場合でも、値下がりリスクを完全に無視できる銘柄ではない。
以上を踏まえると、ステラ ケミファは高配当利回りという点では配当目的に十分適した銘柄である。ただし業績の変動が大きく、配当の安定性は高圧ガス工業などのインフラ型企業より劣るという評価になる。配当を主目的にするなら、市況が比較的良い局面で利回りを取りに行くこと、そして業績悪化時には配当継続性を注意深く見るといった付き合い方が向いている。結論として、ステラ ケミファは「安定配当株」ではないが、「景気循環を理解した上で持つ高配当株」という位置づけが最もしっくりくる。
今後の値動き予想!!(5年間)
ステラ ケミファの株価について、現在値4,220円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。前提として、同社は半導体・電子材料向け高純度薬品を主力とし、2025年にかけて業績が回復基調にある一方で、市況変動の影響を受けやすい特性を持つ。配当利回りは4%前後と高配当株の一面を持つが、利益・株価は市況の影響を受けやすい。
良い場合のシナリオでは、世界的な半導体需要が安定的に拡大し、微細化・高集積化の進展に伴う高純度薬品の需要が長期的に強く推移する展開を想定する。需要増により売上・利益が持続的に拡大し、営業利益率は12%以上の高水準を維持、ROEも改善基調を続ける。これによりPERは市場評価が高まり15倍前後、PBRも1.3倍以上で推移する。この場合、配当維持を前提に評価倍率の引き上げが進み、株価は5年後に5,500円から6,800円程度まで上昇する可能性がある。高配当と成長期待の両方が評価される強気シナリオである。
中間のシナリオでは、半導体・電子材料需要は緩やかな成長にとどまり、売上・利益は大きな増加こそないものの現状水準を概ね維持するケースを想定する。営業利益率は10〜12%程度、ROEは5〜7%台で安定し、PERは10〜13倍、PBRは1倍前後で推移する。この場合、株価は4,220円を中心に上下し、5年後の水準は3,800円から4,800円程度のレンジとなる可能性が高い。業績の安定性と配当利回りの高さに支えられつつ、大きな評価変動は起きにくい中庸な展開である。
悪い場合のシナリオでは、世界的な景気後退や半導体需要の長期的な低迷が続き、高純度薬品の需要が鈍化する展開を想定する。業績が再び低迷し、営業利益率が10%を下回る状況が続くと、ROEやROAも低下し市場評価が慎重になる。PERは7〜9倍、PBRは0.8倍前後まで低下し、株価は4,220円から下方修正される流れとなる。この場合、株価は5年後に2,800円から3,400円程度まで下落する可能性があり、配当利回りは相対的に高く見えるものの、株価の下落リスクが意識される局面となる。
総合すると、現在株価4,220円を起点としたステラ ケミファの5年間の値動きは、良い場合で5,500円から6,800円前後、中間で3,800円から4,800円、悪い場合で2,800円から3,400円といったレンジが想定される。高配当利回りという魅力はあるものの、市況依存性が高いため、値上がり期待は市況動向と評価倍率の変動に大きく左右される銘柄である。
この記事の最終更新日:2025年12月19日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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