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カネカ(4118)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

カネカとは

カネカは、塩化ビニル樹脂やソーダ工業を出発点として成長してきた、日本を代表する総合化学メーカーである。本社は大阪市北区と東京都港区に置き、素材系から食品、医薬、医療機器、電子材料まで幅広い事業を展開している点が大きな特徴となっている。

事業の柱は一つに偏っておらず、化成品や機能性樹脂、発泡樹脂といった素材分野に加え、合成繊維、エレクトロニクス材料、さらには食品やライフサイエンス分野まで多岐にわたる。建材や自動車、産業用途向けの合成樹脂や発泡樹脂は安定した需要があり、電子材料分野ではエレクトロニクス向けの高機能素材を成長分野として育成している。

食品・ライフサイエンス分野では、食用油脂類や機能性食品素材を手がけており、特にコエンザイムQ10の原料製造では世界的に高いシェアを持つ。資生堂薬品や小林製薬、DHCといった大手企業に原料を供給しており、健康や美容関連市場を支える存在となっている。医薬品や医療機器分野では、血液浄化システムや血管内治療機器などを展開し、化学メーカーの枠を超えた事業展開を行っている。

カネカの社名は、前身企業である鐘淵紡績の創業地、東京都墨田区鐘ヶ淵に由来している。創業期から1961年頃までは化粧品や医薬品の製造も行っており、現在の多角化経営につながる基盤がこの時代に築かれた。一方で、1960年代に発生したカネミ油症事件という重い歴史も持ち、以降は安全性や品質管理、コンプライアンスを重視する経営姿勢を強めてきた。

生産・研究拠点は全国に分散しており、兵庫県高砂市の高砂工業所が主力拠点として塩ビモノマーや食品、医薬品を生産している。大阪工場では発泡樹脂や医療機器、滋賀工場ではエレクトロニクス素材、鹿島工場では合成樹脂製品を手がけるなど、各拠点が専門分野を担う体制となっている。

グループとしては子会社が100社を超え、国内外に広い事業ネットワークを持つ。三井グループに属しつつ、大輪会にも加盟しており、金融面や取引関係においても安定した基盤を持つ企業である。

全体としてカネカは、景気の影響を受けやすい素材事業と、比較的安定した食品・医療関連事業を併せ持つことで、事業リスクを分散した経営を行っている。派手な成長を狙う企業ではないが、多角化された事業構造と長年培ってきた技術力を背景に、安定感のある総合化学メーカーとして位置づけられる。

カネカ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益 EPS(円) 一株配当 DPS(円)
連21.3 577,426 27,544 22,066 15,831 242.7 100
連22.3 691,530 43,562 40,816 26,487 406.0 110
連23.3 755,821 35,087 32,411 23,008 349.6 110
連24.3 762,302 32,579 29,222 23,220 357.9 110
連25.3 807,200 40,050 32,863 25,309 400.9 130
連26.3予 800,000 36,500 31,000 32,800 537.2 160
連27.3予 820,000 39,000 35,000 30,000 491.4 160

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
連23.3 28,710 -41,970 12,352
連24.3 61,911 -58,771 -1,519
連25.3 41,252 -55,038 14,453

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

営業利益率 ROE ROA PER(高値/安値平均) PBR
2023 4.6% 5.5% 2.9%
2024 4.2% 5.1% 2.6%
2025 4.9% 5.3% 2.7% 11.5倍/8.9倍 0.56倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず業績の推移を見ると、売上高は2024年3月期で約7,623億、2025年3月期で約8,072億と拡大しており、2026年3月期予想では約8,000億とやや横ばいになる見通しである。大手総合化学メーカーとしては、景気変動の中でも売上規模を維持・拡大できており、事業の裾野の広さと安定性が表れている。

営業利益は2024年が約325億、2025年が約400億と増加した後、2026年予想では約365億とやや減少する見通しである。経常利益も2024年の約292億から2025年は約328億へ増加し、2026年予想では約310億と一服する。純利益は2024年が約232億、2025年が約253億と着実に増え、2026年予想では約328億と大きく伸びる見通しとなっており、利益構造自体は堅調である。

収益性の指標を見ると、営業利益率は2023年が4.6%、2024年が4.2%、2025年が4.9%と、4〜5%台で安定して推移している。高収益体質とまでは言えないが、大型で多角化された企業としては安定した水準を維持している。ROEは5.5%、5.1%、5.3%と5%前後で横ばい、ROAも2.9%、2.6%、2.7%と低めながら安定しており、資本効率は高くないが大きな悪化も見られない。

株価指標については、2025年実績ベースでPERは高値平均11.5倍、安値平均8.9倍と低めの水準にあり、成熟した大手化学メーカーとしては割安感がある。一方、PBRは0.5倍台と1倍を大きく下回っており、資産価値に対して市場評価はかなり慎重であることが分かる。

これらを総合すると、カネカは売上・利益ともに大きく崩れず、景気循環の中でも一定の収益力を維持できる安定型の総合化学メーカーである。一方で、営業利益率やROE、ROAはいずれも高水準ではなく、資本効率の面で市場から高く評価されているとは言えない。その結果として、PBR0.5倍台、PER8〜11倍という低い評価水準にとどまっている。

提示された数値だけで判断する限り、カネカは急成長を狙う銘柄ではなく、業績の安定性と割安な評価を前提に保有する銘柄と位置づけられる。短期的な値上がり益を強く期待する局面ではないが、事業規模の大きさと利益の底堅さを背景に、割安修正や安定収益を意識した中長期保有には妥当な投資対象といえる。

配当目的とかどうなの?

カネカを配当目的で見ると、結論から言えば「突出して高配当ではないが、安定性を重視するなら十分に検討できる銘柄」という評価になる。まず利回り水準を見ると、予想配当利回りは2026年3月期、2027年3月期ともに約3.66%と、市場平均を上回る水準にある。5%を超える高配当株と比べればインパクトは弱いが、大型株としては決して低くなく、安定的なインカムゲインを狙うには現実的な水準である。

業績との関係を見ると、売上規模は8,000億円前後、営業利益は300〜400億円規模を維持しており、事業ポートフォリオが多角化されているため、特定分野の不振が全体を大きく揺るがすリスクは相対的に小さい。営業利益率やROE、ROAはいずれも高くはないものの安定しており、配当原資となる利益の見通しは立てやすい。

一方で、注意点としては、カネカはインフラ型企業のように「毎年ほぼ一定の配当を保証する」タイプではなく、業績や投資計画を見ながら段階的に配当を決める傾向がある点が挙げられる。急激な減配リスクは低いものの、景気後退局面では増配が止まる、もしくは横ばいになる可能性はある。

そのため、配当目的としての位置づけを整理すると、カネカは「超高配当株」ではなく、「安定配当寄りの中配当株」と言える。電力・ガスや通信株のような安定性を最重視する投資よりは、事業の幅広さと財務の余力を評価しながら、着実に配当を受け取るスタンスが向いている。

結論として、カネカは配当利回りの水準、業績の安定性、多角化された事業構造を踏まえると、配当目的の投資として十分に検討価値がある銘柄である。高配当一本で狙うよりも、安定収益とほどよい利回りを長期で受け取る投資先として位置づけるのが最もしっくりくる。

今後の値動き予想!!(5年間)

カネカの株価について、現在値4,360円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。カネカは塩ビ・合成樹脂から出発し、多角化した事業ポートフォリオを持つ総合化学メーカーであり、売上規模は8,000億円前後、営業利益率は4〜5%台、ROEは5%前後、PBRは0.5倍台と評価は低めであるが、安定した収益力と高めの配当利回り(約3.6%)を背景に投資家の関心を集める銘柄である。

良い場合のシナリオでは、世界的な化学・素材需要が堅調に推移し、特に高機能材料・エレクトロニクス材料やライフサイエンス関連事業が伸びる展開を想定する。既存事業の安定収益に加え、成長分野が利益に寄与することで、営業利益率は5%台後半、ROEも改善傾向となる。市場評価が見直されPERが12〜14倍、PBRが0.7倍〜0.9倍程度まで上昇する。この結果、割安感の解消が進み、株価は5年後に5,500円から6,500円程度に上昇する可能性がある。安定配当と評価倍率の改善が両立する強気シナリオである。

中間のシナリオでは、素材・化学品市況は緩やかに横ばい〜緩やか成長で推移し、売上・利益は大きな増勢はないものの堅調を維持するケースを想定する。営業利益率は4%台後半、ROEは5%台前半で安定、PERは9〜11倍、PBRは0.5〜0.7倍で推移する。この場合、株価は現在値4,360円を中心に上下し、5年後の水準は3,800円から5,000円程度に収まる可能性が高い。高配当利回りが下支えとなり、大幅な下落は回避されるが、評価倍率の上昇は限定的な中庸な展開となる。

悪い場合のシナリオでは、世界的な景気後退や産業需要の低迷が長期化し、素材・化学品需要が弱含む展開となる。営業利益率が4%を割り込むなど収益性が低下し、ROE・ROAも低迷する。市場評価が慎重になることでPERは7〜9倍、PBRは0.4倍台前半まで縮小する。この場合、株価は調整色を強め、5年後には2,800円から3,600円程度まで下落する可能性がある。配当利回りは相対的に高く見えるが、株価下落リスクが意識される局面となる。

総合すると、現在株価4,360円を起点としたカネカの5年間の値動きは、良い場合で5,500円から6,500円前後、中間で3,800円から5,000円、悪い場合で2,800円から3,600円といったレンジが想定される。高配当利回りという魅力はあるものの、評価倍率の動きと事業の景気循環性が株価の方向性を大きく左右する銘柄である。

この記事の最終更新日:2025年12月19日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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