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ビジョナル(4194)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ビジョナルとは

ビジョナル株式会社は、産業や社会の構造変化を背景に、デジタルトランスフォーメーションを軸とした事業を展開する企業である。人材・組織・経営といった分野にテクノロジーを掛け合わせることで、企業や個人が直面する課題の解決を目指しており、日本全体の生産性向上や持続的な成長への貢献を事業目的としている。持株会社体制を採用し、グループ全体の戦略立案、経営管理、事業支援を担いながら、各グループ会社が専門領域に特化したサービスを展開している。

中核となる事業は、即戦力人材に特化した会員制転職サービス「ビズリーチ」の運営である。ビズリーチは、ビジネスプロフェッショナル、国内外の優良・成長企業、各業界に精通したヘッドハンターを一つのプラットフォーム上で結びつける仕組みを持ち、企業が自ら求める人材に直接アプローチできるダイレクトリクルーティングモデルを採用している。これにより、従来の求人広告型や人材紹介中心の採用手法とは異なる形で、高度人材の流動化と採用効率の向上を実現している。

人材活用・人材管理分野では、HRMOS(ハーモス)ブランドのもとで複数のクラウドサービスを展開している。社内人材の可視化と活用を目的とした「社内版ビズリーチ by HRMOS」では、ビズリーチで蓄積された大量のデータを学習した生成AIを活用し、社内レジュメや社内ポジション要件の自動生成、高精度な人材検索、レコメンデーション機能を提供している。これにより、社内人材と社内ポジションの最適なマッチングを実現し、人材流出の防止や戦略的な人材配置を支援している。

また、勤怠管理システムや経費精算システムなど、人事・労務・経理業務を効率化するクラウドサービスも提供しており、バックオフィス業務のデジタル化や業務負担の軽減に寄与している。これらのサービスは、中小企業から大企業まで幅広い企業規模に対応し、日常的な業務データを経営判断に活用できる基盤づくりを支えている。

教育・キャリア支援分野では、OB・OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」を運営している。大学生と社会人をオンラインでつなぎ、実体験に基づく情報交換を可能にすることで、学生の主体的なキャリア形成を支援している。企業にとっては、将来の人材との早期接点を持つ場としても機能している。

さらに、法人限定M&Aプラットフォーム「M&Aサクシード」を通じて、譲渡企業と譲受企業をオンライン上でマッチングするサービスを提供している。後継者不足や事業承継といった日本企業が抱える構造的な課題に対応し、円滑な事業承継や成長戦略の実現を支援する役割を担っている。

このようにビジョナルグループは、採用、人材活用、キャリア形成、事業承継といった企業活動の根幹に関わる領域をテクノロジーで支える事業ポートフォリオを構築している。本社は東京都渋谷区渋谷二丁目17番1号の渋谷アクシュに所在し、HR Tech領域と経営支援領域を軸に、企業と個人の可能性を最大化するサービスの提供を続けている。

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直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益 EPS(円) 一株配当(円)
連21.7 28,698 2,368 2,274 1,420 43.4 0
連22.7 43,954 8,320 8,751 5,858 160.9 0
連23.7 56,273 13,225 14,373 9,928 256.8 0
連24.7 66,146 17,837 18,476 12,990 330.7 0
連25.7 80,161 21,442 22,715 15,950 400.8 0
連26.7予 99,200 23,100 23,500 16,100 401.1 0

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(百万円) 営業CF 投資CF 財務CF
2023 11,024 -870 -346
2024 18,369 -1,712 279
2025 19,587 -3,658 -1,247

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROA ROE PER(倍) PBR(倍)
2023 23.5% 17.1% 25.4%
2024 26.9% 17.0% 24.9%
2025 26.7% 16.7% 23.7% 35.0倍(高値平均)
20.3倍(安値平均)
5.94倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず業績規模を見ると、連24.7では売上高661億、営業利益178億、経常利益184億、純利益129億となっている。連25.7では売上高801億、営業利益214億、経常利益227億、純利益159億へと拡大しており、増収増益基調がはっきりしている。連26.7予では売上高992億、営業利益231億、経常利益235億、純利益161億と、引き続き過去最高水準を更新する計画になっているが、利益の伸びは売上の伸びに比べてやや鈍化している。

収益性を見ると、営業利益率は2023年23.5%、2024年26.9%、2025年26.7%と、24年に大きく改善した後も26%台という非常に高い水準を維持している。一方で、ROEは25.4%、24.9%、23.7%、ROAは17.1%、17.0%、16.7%と、いずれも年々わずかに低下している。これは事業拡大に伴い資本や資産が増えた影響と考えられ、高収益体質は維持しているものの、成長初期の勢いは徐々に落ち着きつつあることを示している。

市場評価を見ると、2025年時点の実績PERは高値平均35.0倍、安値平均20.3倍と幅が大きい。実績PBRは5.9倍であり、ROEが23.7%と高水準であることを考えれば理論的には許容される水準だが、一般的な水準と比べると明らかに高評価である。PER35.0倍は高成長が今後も続く前提を強く織り込んだ水準であり、PER20.3倍は成長鈍化をある程度織り込んだ水準といえる。

これらの数値を総合すると、ビジョナルは営業利益率、ROE、ROAのいずれも非常に高く、収益力と事業の質は極めて優秀である。一方で、利益成長率や資本効率はすでにピークを打ち、緩やかな低下局面に入っている可能性がある。そのため、今後は成長率そのものよりも、高水準の収益性をどこまで維持できるかが株価評価の鍵になる。

以上から、この数値だけで判断するなら、株価が高値圏でPER35.0倍前後にある局面では割高感が強く、積極的に買い増す局面ではない。一方で、評価が調整され、PER20.3倍程度まで下がる場面があれば、高収益企業として中長期投資の妙味が出てくる。結論としての投資判断は、現時点では中立からやや慎重、押し目待ちが妥当であり、すでに保有している場合は高い収益力を評価して保有継続、新規投資は評価水準を見極めながら判断するスタンスが適切と考える。

配当目的とかどうなの?

結論から言うと、配当目的には全く向かない銘柄である。連26.7、連27.7ともに予想配当利回りは0.0%であり、現時点で株主に対する現金還元は行われていない。数値上、将来的な増配や配当開始を示唆する材料も提示されていないため、配当を目的とした投資対象として評価できる要素はない。

利益水準自体は非常に高い。連26.7予では純利益161億と、利益創出力は十分にあるにもかかわらず配当を行っていない点から、会社の資本政策は明確に内部成長優先であると読み取れる。営業利益率は26%台、ROEは23%台と極めて高水準であり、稼いだ利益を事業拡大や人材、システム、M&Aなどに再投資する方針を取っていると考えるのが自然である。

ROEが高水準で維持されている間は、利益を内部に留保して再投資した方が株主価値を高めやすく、配当を出さない判断自体は合理的とも言える。ただし、これはあくまでキャピタルゲイン狙いの投資家にとっての話であり、インカムゲインを期待する投資家にとっては評価できない。

また、PBRは5.9倍と高く、市場はすでに将来成長を織り込んだ評価を与えている。この状況で無配が続く場合、成長が鈍化した際には株価の調整圧力が強くなりやすい。配当がない分、下値を支える要因が乏しい点も、配当目的投資としては大きなマイナスとなる。

以上から、この数値だけを前提にすると、ビジョナルは配当目的の投資には不適格である。配当を狙うなら、最初から配当利回りが安定している銘柄や、配当性向や還元方針が明確な企業を選ぶ方が合理的である。ビジョナルはあくまで成長株として、株価上昇によるリターンを狙う投資家向けの銘柄と位置づけるのが妥当である。

今後の値動き予想!!(5年間)

ビジョナルは、即戦力人材向け会員制転職サービス「ビズリーチ」を中核に、人材管理プラットフォーム「HRMOS」、新卒・学生向けのキャリア支援、M&Aプラットフォームなどを展開するHR Tech企業である。高付加価値人材に特化したビジネスモデルにより、営業利益率は25%超、ROEも20%超と国内上場企業の中でも極めて高い水準を維持している。一方で、配当は実施しておらず、株主還元はキャピタルゲイン重視の成長型である点が特徴となっている。現在の株価10,770円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、日本の労働市場における人材流動化がさらに進み、即戦力人材の需要が中長期的に拡大する展開を想定する。ビズリーチの価格決定力が維持され、HRMOSなど周辺サービスの拡張により収益基盤が広がる。営業利益率は25%前後を安定的に維持し、純利益は年率5〜8%程度の成長が続く。ROEも20%前後で高止まりし、市場からは引き続き成長株として評価される。この場合、PERは30〜35倍水準が許容され、5年後のEPSが500円前後まで伸びるとすると、株価は15,000円から18,000円程度まで上昇する可能性がある。高収益体質が再評価される強気シナリオである。

中間のシナリオでは、人材市場は拡大を続けるものの成長率は徐々に鈍化し、ビジョナルは高成長期から成熟期への移行段階に入る。営業利益率は24〜26%程度で横ばい、ROEは20%前後まで低下しつつも依然として高水準を維持する。利益は増加するが伸びは限定的となり、市場評価は落ち着く。PERは25倍前後に収れんし、5年後のEPSが450円前後と仮定すると、株価は11,000円から12,000円程度にとどまる。この場合、現在値付近での長期ボックス相場となり、値上がり益は限定的だが、事業の安定性は高い状態が続く。

悪い場合のシナリオでは、人材市場の成長が想定以上に鈍化し、採用需要の調整局面が長期化する展開を想定する。営業利益率は23%前後まで低下し、ROE・ROAも緩やかな低下が続く。無配であることから下値の支えが弱く、市場の評価は慎重になる。この場合、PERは20倍前後まで切り下がり、EPSが430円前後にとどまるとすると、株価は8,000円から9,000円程度まで下落する可能性がある。高収益ではあるが、成長株としての期待が後退する弱気シナリオである。

総合すると、現在株価10,770円を起点としたビジョナルの5年間の値動きは、良い場合で15,000円から18,000円前後、中間で11,000円から12,000円、悪い場合で8,000円から9,000円程度のレンジが想定される。配当は期待できないためインカム目的には不向きだが、高い利益率と資本効率を背景に、成長と評価変化を許容できる投資家向けの中長期成長株として位置づけられる。

この記事の最終更新日:2025年12月20日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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