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積水化学工業(4204)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

積水化学工業とは

積水化学工業は、高機能樹脂、住宅、環境・ライフラインを3本柱とする日本の大手樹脂加工メーカーである。本社は大阪市北区および東京都港区に所在し、住宅、管工機材、建材用化成品、高機能プラスチックなどを中心に事業を展開している。液晶・自動車分野に強みを持ち、近年は医薬・メディカル関連事業の育成にも注力している。

同社は戦前の日窒コンツェルンを源流とし、戦後の財閥解体を経て1947年に積水産業として創業、1948年に積水化学工業へと社名を変更した。創業当初からプラスチックを中核に据え、1950年のセロハンテープ、1952年のエスロンパイプ、1957年のポリバケツなど、生活必需製品を次々に生み出し、日本におけるプラスチック製品の普及を牽引してきた。

1970年にはユニット工法住宅「セキスイハイム」を開発し、1982年には「セキスイツーユーホーム」を投入するなど、住宅事業を本格化させた。太陽光発電住宅では国内トップの実績を持ち、1997年から2012年までに建設したソーラー住宅の累計棟数は12万棟超に達し、ギネス世界記録にも認定されている。現在も戸建住宅は主力事業であり、住宅カンパニーは売上の大きな比率を占める。一方で、建築基準法改正や原材料高騰の影響を受けた経験から、近年はリフォームや太陽光発電住宅など利益率の高い分野に軸足を移している。

高機能プラスチックス分野では、ディスプレイ、半導体、通信機器、自動車、航空機、建築・インフラ向けの材料を幅広く手がけている。特に自動車用合わせガラス中間膜では世界シェア約4割を持ち、液晶用シール材や導電性微粒子などでも高い世界シェアを誇る。欧州、米国、インドなど海外展開も積極的で、成長分野を担う事業として位置づけられている。

環境・ライフライン分野では、塩化ビニル管を中心とした管材、合成まくらぎ、管路更生材料などを展開し、国内外の社会インフラ整備や更新需要を取り込んでいる。公共インフラ向けという性格から、景気変動に左右されにくい安定事業となっている。メディカル事業では、臨床検査薬、真空採血管、分析装置、医薬品原薬中間体、医薬用アミノ酸の受託製造、創薬支援事業などをグローバルに展開しており、将来の成長分野として育成が進められている。このほか、農業資材、梱包材、日用品なども小規模ながら手がけている。

経営体制は住宅、高機能プラスチックス、環境・ライフライン、メディカルの4カンパニー制を採用しており、それぞれにプレジデントを置く分権型経営を行っている。旧三和銀行系の三和グループに属し、三水会、水曜会、みどり会の会員企業でもある。近年はESG経営にも注力しており、世界で最も持続可能な企業100社「Global100」に複数回選出されている。

総じて積水化学工業は、住宅・インフラという安定事業と、高機能樹脂・医療といった成長事業を併せ持つバランス型の企業であり、生活基盤から先端分野まで幅広く社会を支える総合樹脂加工メーカーとして位置づけられる。

積水化学工業 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益 EPS(円) 一株配当(円)
連21.3 1,056,560 67,300 62,649 41,544 91.9 47
連22.3 1,157,945 88,879 97,001 37,067 83.2 49
連23.3 1,242,521 91,666 104,241 69,263 159.2 59
連24.3 1,256,538 94,399 105,921 77,930 183.5 74
連25.3 1,297,754 107,951 110,958 81,925 195.9 79
連26.3予 1,323,200 110,000 112,000 72,000 175.7 80
連27.3予 1,400,000 117,000 118,000 83,000 202.5 82〜84

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(百万円) 営業CF 投資CF 財務CF
2023 71,543 -59,430 -62,906
2024 106,632 -18,515 -53,023
2025 119,231 -61,508 -61,200

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROA ROE PER(倍) PBR(倍)
2023 7.3% 5.6% 9.8%
2024 7.5% 5.8% 9.8%
2025 8.3% 6.1% 10.1% 13.2倍(高値平均)
9.8倍(安値平均)
1.30倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず業績規模を見ると、連24.3の売上高は約1兆2,565億円、営業利益は943億円、経常利益は1,059億円、純利益は779億円である。連25.3では売上高が約1兆2,977億円まで拡大し、営業利益は1,079億円、経常利益は1,109億円、純利益は819億円となっている。連26.3予では売上高は約1兆3,232億円、営業利益は1,100億円、経常利益は1,120億円と引き続き増加が見込まれている一方、純利益は720億円とやや減少する想定である。売上高は1兆円を大きく超える規模で安定的に成長しており、営業利益・経常利益も増加基調にあることから、本業の収益力は非常に安定しているといえる。一方で純利益はやや振れがあり、利益成長は緩やかなものにとどまっている。

次に収益性と効率性を見ると、営業利益率は2023年7.3%、2024年7.5%、2025年8.3%と、年々緩やかに改善している。総合化学メーカーとしては突出した水準ではないが、規模を考えると堅実であり、利益体質が徐々に強化されていることが読み取れる。ROEは9.8%、9.8%、10.1%と10%前後で推移しており、資本効率は安定している。ROAも5.6%、5.8%、6.1%と着実に上昇しており、資産を使って利益を生み出す力は改善傾向にある。高収益・高効率企業とまでは言えないが、大型企業としては健全でバランスの取れた水準である。

市場評価を見ると、2025年の実績PERは高値平均13.2倍、安値平均9.8倍となっている。実績PBRは1.3倍である。ROEが10.1%であることを踏まえると、PBR1.3倍は妥当な評価水準であり、割高感は強くない。PERも9倍から13倍のレンジで推移しており、成長期待と安定性をほどよく織り込んだ水準といえる。明確な割安でもなければ、過度な割高でもない中間的な評価である。

これらの数値を総合すると、積水化学工業は売上高1兆円超という大きな事業規模を背景に、安定的に利益を積み上げている企業である。営業利益率、ROE、ROAはいずれも緩やかな改善傾向にあり、収益性や効率性は徐々に高まっている。一方で、純利益の伸びはやや頭打ち感があり、急成長を期待する局面ではない。

以上から、この数値だけで判断するなら、積水化学工業は高成長株ではなく、安定した事業基盤と着実な改善を特徴とする安定成長型銘柄と位置づけられる。PER・PBRは妥当水準で、積極的に割安とは言えないものの、業績の安定性と改善傾向を考えると、中長期で安心して保有しやすい銘柄である。投資判断としては、中立からやや前向きで、値上がり益よりも安定性を重視する投資家に向いた銘柄と評価できる。

配当目的とかどうなの?

結論から言うと、積水化学工業は配当目的として十分に検討に値する銘柄である。連26.3の予想配当利回りは3.06%、連27.3でも3.14%と、安定企業としては標準よりやや高めの水準にあり、インカムゲインを意識した投資に適している。

利益規模を見ると、連26.3予でも純利益は720億円と大きく、売上高は1兆3千億円規模、営業利益・経常利益も1,100億円前後を確保している。利益水準に対して配当額は無理のない範囲に収まっており、減配リスクは相対的に低いと判断できる。営業CFも1,000億円超と非常に強く、配当の原資となるキャッシュ創出力には余裕がある。

収益性を見ると、営業利益率は8%台へ改善し、ROEは10%前後、ROAは6%前後まで上昇している。高収益企業ではないが、大型企業としては十分に安定した水準であり、配当を継続するための体力は整っている。特にROEが10%を超えている点は、配当を出しながらも資本効率を大きく損なっていないことを示している。

市場評価の面では、PERは9.8倍から13.2倍、PBRは1.3倍と、極端な割安でも割高でもない位置にある。このため、配当利回り3%台は株価水準に対して自然なものであり、無理に利回りを引き上げている印象はない。株価が大きく下落しにくい評価帯にある点も、配当目的投資では安心材料となる。

以上の数値だけを総合すると、積水化学工業は高配当株とまでは言えないものの、業績の安定性とキャッシュフローの強さを背景に、3%前後の配当を安定的に受け取ることを狙える銘柄と位置づけられる。大きな値上がり益を狙うタイプではないが、配当を受け取りながら中長期で保有するインカム寄りの投資には向いている。配当目的としては、十分に合格点を付けられる銘柄である。

今後の値動き予想!!(5年間)

積水化学工業は、高機能樹脂、住宅、環境・ライフラインを3本柱とする大手樹脂加工メーカーであり、売上高1兆円超の安定した事業規模を持つ企業である。住宅やインフラといったディフェンシブな事業を土台に、液晶・自動車向けの高機能プラスチックス、さらに医療・メディカル分野の育成を進めることで、安定性と成長性を併せ持つ事業構造を形成している。営業利益率やROE、ROAは緩やかな改善傾向にあり、配当利回りも3%前後と比較的高水準であることから、性格としては安定成長・インカム重視型の色合いが強い。現在の株価2,609円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、住宅・環境インフラ事業が安定的に推移する中で、高機能プラスチックス分野が自動車の電動化や電子部材需要の拡大を取り込み、メディカル事業も徐々に収益貢献を高める展開を想定する。営業利益率は8%台後半まで改善し、ROEは10%台前半で安定する。こうした収益性の改善と事業の安定性が市場から評価され、PERは現在の9〜10倍水準から12〜14倍程度まで切り上がる可能性がある。この場合、配当を受け取りながら評価修正が進み、5年後の株価は4,000円から4,800円程度まで上昇する展開が考えられる。大きな成長ではないが、安定業績と評価見直しが重なる強気シナリオである。

中間のシナリオでは、住宅やインフラ向け需要は概ね横ばい、高機能材料やメディカル事業も緩やかな成長にとどまり、業績は会社計画どおりに推移するケースを想定する。営業利益率は7〜8%台、ROEは10%前後で安定し、配当も3%前後の水準を維持する。市場評価はPER10倍前後、PBR1.3倍前後で落ち着き、株価は大きくは動かず、緩やかに切り上がるにとどまる。この場合、5年後の株価水準は2,800円から3,200円程度となり、値上がり益は限定的だが、配当を受け取りながら保有する安定型のシナリオとなる。

悪い場合のシナリオでは、住宅市場の低迷や世界的な景気減速の影響で、高機能プラスチックス分野の需要が鈍化し、利益成長が止まる展開を想定する。営業利益率は7%を下回り、ROEも9%前後まで低下する。この場合、市場の評価は慎重になり、PERは8倍前後、PBRも1倍近辺まで低下する可能性がある。配当利回りは一定の下支えとなるものの、株価の下押し圧力は避けられず、5年後の株価は2,000円から2,400円程度まで下落する展開も考えられる。安定事業はあるものの、評価面では守りに入る弱気シナリオである。

総合すると、現在株価2,609円を起点とした積水化学工業の5年間の値動きは、良い場合で4,000円から4,800円前後、中間で2,800円から3,200円、悪い場合で2,000円から2,400円といったレンジが想定される。高成長株ではないものの、住宅・インフラという安定基盤と高機能材料の競争力、3%前後の配当水準を背景に、インカムゲインを重視しつつ緩やかな評価修正を狙う中長期投資向けの銘柄と位置づけられる。

この記事の最終更新日:2025年12月20日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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