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日本ゼオン(4205)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

日本ゼオンとは

日本ゼオンは、古河グループに属する合成ゴム大手であり、日本初の合成ゴム・合成ラテックス製造メーカーとして知られる化学メーカーである。本社は東京都千代田区丸の内に所在し、合成ゴムを中核に、合成ラテックスや高機能材料など幅広い分野で事業を展開している。

日本ゼオンは、古河グループ各社と米国B.F.グッドリッチ・ケミカル社との資本・技術提携を背景に設立され、当初は塩化ビニル樹脂メーカーとして事業を開始した。その後、日本で初めて合成ゴム・合成ラテックスの国産化に成功し、現在では合成ゴムおよび高機能樹脂を主力とする素材メーカーへと発展している。社名の「ゼオン」は、グッドリッチ社の塩化ビニル樹脂の商標「Geon」に由来し、ギリシャ語の「大地」を意味する「Geo」と「永遠」を意味する「Eon」を組み合わせたもので、「大地から原料を得て永遠に栄える」という意味が込められている。

主力事業である合成ゴム分野では、自動車用タイヤ向けを中心に、高い耐摩耗性や燃費性能に優れた製品を展開しており、世界的にも高い評価を受けている。また、合成ラテックスは紙加工、接着剤、建材、医療用途など幅広い分野で使用されており、安定した需要を持つ事業となっている。

用途別には、輸送用途として自動車用タイヤや自動車部品、船舶向け材料を展開しているほか、電子・電気用途では記録媒体、半導体、ディスプレイ、エネルギー、通信分野向けの材料を手がけている。さらに、土木・建築・住宅用途として道路資材、土木・公園資材、包装物流資材、住宅・建設材料を供給し、生活環境用途では食品包装、医療・医薬品、日用品、印刷・出版、光学機器、スポーツ・レジャー分野向けの素材も展開している。このほか、改質剤や工業薬品、各種産業資材といった特殊用途向け製品も取り扱っている。

研究開発拠点としては神奈川県川崎市に総合開発センターを置き、国内工場として富山県高岡市の高岡工場、神奈川県川崎市の川崎工場などを有している。グループ全体では多数の国内外子会社・関連会社を擁し、ゼオン化成、東京材料、トウペ、RIMTECなどの国内グループ企業とともに事業を展開している。

総じて日本ゼオンは、合成ゴムという基盤事業で安定した収益を確保しつつ、合成ラテックスや高機能材料、電子・エネルギー分野向け素材へと事業領域を拡大している企業である。汎用品に偏らず、用途特化型・高付加価値製品を強みとすることで、市況変動の影響を受けやすい素材産業の中でも、安定性と成長性の両立を目指す企業として位置づけられる。

日本ゼオン 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益 EPS(円) 一株配当(円)
連21.3 301,961 33,408 38,668 27,716 126.7 22
連22.3 361,730 44,432 49,468 33,413 153.2 28
連23.3 388,614 27,179 31,393 10,569 49.9 36
連24.3 382,279 20,500 26,906 31,101 147.2 45
連25.3 420,647 29,321 33,051 26,199 127.4 70
連26.3予 415,000 30,500 30,000 28,000 146.3 72
連27.3予 430,000 33,500 33,000 26,000 135.9 74

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(百万円) 営業CF 投資CF 財務CF
2023 14,358 -28,899 -2,820
2024 47,413 -5,428 -30,085
2025 20,781 -22,026 -17,123

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROA ROE PER(倍) PBR(倍)
2023 6.9% 2.0% 3.1%
2024 5.3% 5.8% 8.5%
2025 6.9% 4.9% 7.3% 21.2倍(高値平均)
16.1倍(安値平均)
0.96倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず業績規模を見ると、連24.3の売上高は約3,822億円、営業利益は205億円、経常利益は269億円、純利益は311億円である。連25.3では売上高が約4,206億円に増加し、営業利益293億円、経常利益330億円、純利益261億円となっている。連26.3予では売上高は約4,150億円とやや横ばいだが、営業利益305億円、経常利益300億円、純利益280億円と、利益水準は比較的高いところを維持する想定である。売上規模は4,000億円前後で安定しており、営業利益・経常利益は回復基調にある一方、純利益は年度ごとの振れが大きく、安定感には欠ける印象がある。

次に収益性を見ると、営業利益率は2023年6.9%、2024年5.3%、2025年6.9%となっており、5〜7%台で推移している。素材メーカーとしては決して高い水準ではなく、収益体質はまだ強いとは言えない。ただし2024年の落ち込みから2025年にかけて回復しており、底は打ったと見ることはできる。ROEは3.1%、8.5%、7.3%、ROAは2.0%、5.8%、4.9%と、いずれも2023年は低水準だったものの、その後は改善している。ただ、ROE7%台、ROA5%前後という水準は、資本効率が高い企業とは言えず、改善途上という評価にとどまる。

市場評価を見ると、2025年の実績PERは高値平均21.2倍、安値平均16.1倍であり、利益水準に対してはやや高めの評価となっている。一方でPBRは0.9倍と1倍を下回っており、資産価値面では一定の下支えがある。この点から、株価は資産的には割高ではないが、利益成長をある程度先取りした評価になっているといえる。

これらを総合すると、日本ゼオンは合成ゴム・高機能材料という市況影響を受けやすい事業構造の中で、業績は回復局面にあるものの、利益率や資本効率はまだ高い水準には達していない。営業利益や経常利益は改善しているが、純利益の安定性は十分とは言えず、業績のブレやすさが残っている。一方でPBR1倍割れという評価は下値のクッションになりやすく、大きく割高な状態とも言えない。

結論として、この数値だけで判断するなら、日本ゼオンは高収益・高成長銘柄ではなく、回復途上にある中立的な位置づけの銘柄である。評価はやや先行している一方、資産面での下支えはあり、強気にも弱気にも振り切れない。投資判断としては中立が妥当で、今後、営業利益率やROEが持続的に改善していくかどうかを確認してから評価を引き上げたい局面だと言える。

配当目的とかどうなの?

結論から言うと、日本ゼオンは配当目的としてはかなり魅力が出てきている水準にある。連26.3の予想配当利回りは4.02%、連27.3では4.13%と、化学・素材系企業の中では明確に高配当ゾーンに入っている。インカムゲインを重視する投資家にとっては、数字だけを見る限り十分に検討対象となる。利益規模を見ると、連26.3予でも純利益は約280億円を確保しており、配当水準に対して極端に無理をしている印象はない。営業利益・経常利益も300億円前後を維持しており、本業が赤字に転落するような状況ではない。市況の影響を受けやすい企業ではあるものの、少なくとも現状の利益水準であれば配当を賄う体力はある。

キャッシュフローを見ると、営業CFは年によって振れがあるものの、黒字を確保している。一方で財務CFは一貫してマイナスであり、これは配当や株主還元を優先している結果と読み取れる。安定配当というよりは、市況回復局面で還元を厚くする姿勢が見えており、株主還元意識は比較的強い部類に入る。

収益性の面では、営業利益率は5〜7%台、ROEは7%前後と高水準ではない。これは重要なポイントで、配当は高いが、収益力そのものは決して強くないという構造になっている。ROE7%台で配当利回り4%超ということは、内部留保による成長余力は限定的で、将来に向けて大きな増配余地が広がっているとは言いにくい。評価面では、PBRが0.9倍と1倍を下回っており、資産価値に対して株価は抑えられている。このため、配当利回り4%超は「株価が下がりすぎた結果の高配当」という側面もある。ただし、PERは16〜21倍とやや高めで、利益成長が伴わなければ評価が切り下がるリスクもある。この点は、純粋な高配当株よりはやや注意が必要である。

以上を踏まえると、日本ゼオンは安定的に何十年も配当を出し続けるディフェンシブ高配当株というよりは、業績回復局面における高利回りインカム株という位置づけになる。市況が悪化すれば減配の可能性はゼロではないが、現時点の数値だけで見る限り、4%前後の利回りを狙う配当目的投資としては十分に魅力がある。結論として、短期的な業績ブレを許容でき、配当利回りを重視する投資家にとっては、日本ゼオンは配当目的で「買い候補に入る」水準にある。一方で、長期での安定配当や増配を最優先する投資家にとっては、収益性の低さと市況依存の強さを意識しつつ、慎重に付き合うべき銘柄だと言える。

今後の値動き予想!!(5年間)

日本ゼオンは、古河グループに属する合成ゴム大手であり、日本初の合成ゴム・合成ラテックスメーカーとして発展してきた企業である。現在は自動車用タイヤ向け合成ゴムを中核に、合成ラテックス、高機能樹脂、電子・エネルギー分野向け材料などを展開している。市況変動の影響を受けやすい事業構造ではあるが、用途特化型・高付加価値製品を強みとし、近年は株主還元姿勢も強めていることから、回復局面では高配当型の性格が目立つ。現在の株価1,790円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、自動車生産の回復やタイヤ需要の持ち直しに加え、電子材料や高機能材料分野が堅調に推移する展開を想定する。営業利益率は5%台後半から6%台後半で安定し、純利益は280億円前後を継続的に確保する。ROEも7〜8%台で定着し、これまで低評価だった収益性に対する市場の見方が改善する。PBRが現在の1倍割れ水準から1.1〜1.3倍程度へ見直され、PERも安値平均16倍前後から18〜20倍程度まで許容されるようになると、高配当と業績回復の両面が評価される。この場合、配当を受け取りながら評価修正が進み、5年後の株価は2,500円から3,000円程度まで上昇する展開が考えられる。業績回復と高配当が同時に評価される強気シナリオである。

中間のシナリオでは、タイヤ向け需要や化学品市況は概ね横ばいで推移し、業績は会社計画どおりに安定するが、大きな成長ドライバーは生まれないケースを想定する。営業利益率は5〜6%台、ROEは6〜7%台で推移し、利益は一定の水準を維持する。市場評価はPER15倍前後、PBR1倍前後で落ち着き、配当利回り4%前後が株価の下支えとなる。この場合、株価は大きくは上昇せず、5年後の水準は1,900円から2,300円程度となり、値上がり益は限定的だが、配当を受け取りながら保有するインカム重視の安定型シナリオとなる。

悪い場合のシナリオでは、世界的な景気減速や自動車産業の低迷により、タイヤ向け合成ゴム需要が鈍化し、収益が再び不安定になる展開を想定する。営業利益率は5%を下回り、ROEも5%前後まで低下する。この場合、市場の評価は慎重になり、PERは10倍台前半、PBRも0.8倍前後まで低下する可能性がある。配当利回りは高水準となるものの、減益リスクが意識され、株価の下押し圧力は避けられない。この場合、5年後の株価は1,200円から1,500円程度まで下落する展開も考えられる。高配当ではあるが、評価面では守りに入る弱気シナリオである。

総合すると、現在株価1,790円を起点とした日本ゼオンの5年間の値動きは、良い場合で2,500円から3,000円前後、中間で1,900円から2,300円、悪い場合で1,200円から1,500円といったレンジが想定される。高成長株ではないものの、合成ゴムという基盤事業と高機能材料の組み合わせ、そして4%前後の高い配当利回りを背景に、インカムゲインを重視しつつ業績回復局面を狙う中長期投資向けの銘柄と位置づけられる。

この記事の最終更新日:2025年12月20日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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