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積水樹脂(4212)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

積水樹脂とは

積水樹脂は、積水化学グループに属する樹脂加工メーカーであり、防護壁や防護柵などの道路資材分野で国内トップクラスのシェアを持つインフラ関連企業である。本社は大阪府大阪市北区に置き、積水化学工業の関連会社として、みどり会に属し三和グループの一員でもある。主な取引先は官公庁や高速道路会社、自治体関連が中心で、公共投資と連動した安定的な事業構造を持つ点が大きな特徴である。

積水樹脂の中核事業は、道路・交通安全資材分野である。高速道路や一般道路に設置される防音壁、防護柵、視線誘導標、標識関連製品などを数多く手がけており、樹脂の軽量性、耐候性、耐腐食性を活かした製品開発を強みとしている。特に防音壁や防護柵では長年の実績と施工ノウハウを背景に、高い信頼を獲得しており、道路資材分野ではトップメーカーとしての地位を確立している。老朽化したインフラの更新需要や安全対策強化の流れは、同社にとって中長期的な追い風となっている。

また、外構・景観製品分野では、デザイン力と機能性を両立した製品を強みとしている。フェンス、人工芝、景観資材などは、単なる安全資材にとどまらず、都市景観や施設デザインとの調和を重視して開発されている。公園、スポーツ施設、学校、商業施設など幅広い用途で採用されており、公共空間の質を高める製品として評価されている。こうした景観・外構分野は、同社が価格競争に陥りにくい付加価値領域として位置づけている事業である。

事業構成としては、官需比率が高いことから、景気変動の影響を比較的受けにくい。一方で、公共投資の動向や政策の影響は受けやすいため、同社は景観製品や産業資材分野の拡充によって、事業ポートフォリオの分散を進めている。梱包材や物流関連資材なども手がけており、樹脂加工技術を応用した製品開発によって、インフラ以外の分野でも安定した収益確保を図っている。

近年は海外展開にも注力しており、特に欧州市場の強化を進めている。欧州では環境規制が厳しく、耐久性やリサイクル性に優れた樹脂製品への需要が高いことから、同社の技術との親和性が高い。国内で培った防護・景観資材のノウハウを活かし、欧州のインフラ更新需要や都市環境整備需要を取り込むことを中長期的な成長戦略としている。

生産・供給体制としては、大阪本社に加え、東京都港区に東京本社を置き、東日本・西日本双方をカバーする体制を整えている。製造拠点としては、茨城県の土浦つくば工場(土浦、つくば)および滋賀県蒲生郡竜王町の滋賀工場を有し、全国への安定供給を可能としている。公共工事向け製品が多いことから、品質管理や納期対応を重視した生産体制を構築している点も特徴である。

総合すると、積水樹脂は道路・交通安全資材で圧倒的な実績を持ち、外構・景観分野ではデザイン性という差別化軸を確立したインフラ関連メーカーである。官需を基盤とした安定性に加え、景観製品や欧州展開による成長余地も併せ持つ企業であり、派手な成長はないものの、公共インフラ更新という長期テーマに沿って着実に事業を拡大していく、安定成長型の企業として位置づけられる。

積水樹脂 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益 EPS(円) 一株配当(円)
連21.3 64,735 10,669 11,259 7,546 174.1 56特
連22.3 65,903 10,883 11,397 7,662 184.2 62特
連23.3 65,897 9,007 9,501 6,653 163.8 63特
連24.3 62,790 6,298 6,969 4,671 131.2 65
連25.3 74,231 5,011 5,447 3,544 112.1 70
連26.3予 79,000 6,400 6,700 4,300 141.4 72
連27.3予 80,000 6,500 6,800 4,400 144.7 73〜74

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 4,946 -3,170 -4,233
2024 1,104 -6,934 -24,409
2025 6,211 -3,397 -2,382

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 13.6% 6.0% 4.7%
2024 10.0% 4.8% 3.5%
2025 6.7% 3.7% 2.5% 13.8~19.2倍 0.68倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず利益水準を見ると、連24.3では営業利益が約62億円、経常利益が約69億円、純利益が約46億円であった。連25.3では売上が伸びたにもかかわらず、営業利益は約50億円、経常利益は約54億円、純利益は約35億円へと減少しており、収益性の低下がそのまま利益に表れている。連26.3予では営業利益が約64億円、経常利益が約67億円、純利益が約43億円と回復が見込まれているものの、過去のピーク水準に明確に戻るほどの勢いはなく、利益は回復途上か横ばい圏にとどまっている印象である。

次に収益性を見ると、営業利益率は2023年の13.6%から2024年に10.0%、2025年には6.7%まで低下しており、3年間でほぼ半減している。ROEも6.0%から4.8%、3.7%へ、ROAも4.7%から3.5%、2.5%へと連続して悪化している。これは、売上拡大に対して利益が十分に伴っていないことを示しており、価格転嫁の難しさやコスト増、採算性の低い案件比率の上昇など、事業環境の厳しさを反映している数値と考えられる。

評価面に目を向けると、2025年時点のPERは安値平均で13.8倍、高値平均で19.2倍となっている。成長力や資本効率が高い企業であれば妥当とも言える水準だが、ROEが3%台まで低下している現状を踏まえると、必ずしも割安とは言い切れない。一方でPBRは0.68倍と1倍を大きく下回っており、資産価値の観点では割安に見える。ただし、この低PBRは収益力の低下と低ROEを市場が織り込んだ結果とも言え、単純に割安材料として評価するには慎重さが必要である。

これらを総合すると、積水樹脂は売上規模を回復させつつあるものの、営業利益率、ROE、ROAが明確に低下しており、収益体質は弱含んでいる。公共インフラ関連という安定した需要基盤はあるものの、利益効率の改善が進まなければ、評価の見直しが進むとは考えにくい。一方で、PBRが0.7倍を下回る水準にあることから、資産面での下支えは強く、極端な下振れリスクは限定的とも言える。

結論としては、積水樹脂は現時点では成長期待で積極的に投資する局面ではなく、収益性の低下が底打ちし、営業利益率やROEが改善に転じる兆しを確認したい段階にある。数値だけを見る限り、投資判断は中立からやや慎重寄りであり、割安感よりもまず利益体質の立て直しが求められる局面にある企業と位置づけられる。

配当目的とかどうなの?

まず配当利回りを見ると、連26.3で3.34%、連27.3で3.38%と3%台前半から後半の水準にある。高配当株と呼べる4%超には届かないものの、東証全体の平均と比べればやや高めで、配当目的として一定の魅力はある水準である。

一方で、配当の裏付けとなる収益性には注意が必要である。営業利益率は2023年13.6%から2024年10.0%、2025年には6.7%まで低下しており、ROEも6.0%から4.8%、3.7%へと明確に悪化している。ROAも同様に低下しており、会社全体の稼ぐ力は年々弱まっている。純利益も連24.3の約46億円から連25.3で約35億円へ減少しており、利益水準は安定しているとは言いにくい。

こうした中で配当額は維持・増加傾向にあり、結果として配当性向は上昇していると考えられる。これは株主還元を重視する姿勢の表れではあるが、利益成長を伴わない配当の積み上げは、中長期的には持続性に不安が残る。特にROEが3%台まで低下している状況では、配当を増やす余地は限定的であり、今後は維持が精一杯になる可能性もある。

PBRが0.68倍と低い点は、株価下落リスクをある程度和らげる要素ではあるが、低PBRは同時に成長性や収益性への期待が低いことの裏返しでもある。配当利回り3%台後半を安定して受け取りたい投資家にとっては一定の安心感はあるものの、将来的な増配余地は大きくないと見るのが現実的である。

結論として、積水樹脂は高配当を積極的に狙う銘柄ではなく、「配当はそこそこ、安定性を重視する補完的なインカム銘柄」という位置づけになる。配当目的としては検討余地はあるが、成長や増配を期待するよりも、利益体質の改善が確認できるまでは控えめな評価が妥当であり、配当重視投資の中では中立からやや慎重寄りの判断となる。

今後の値動き予想!!(5年間)

積水樹脂は、道路防護柵や防音壁、人工芝、景観・外構製品などを主力とするインフラ関連メーカーであり、積水化学グループの一員として安定した事業基盤を持つ企業である。特に道路資材分野では高い国内シェアを有し、公共投資との結び付きが強い点が特徴である。一方で、近年は営業利益率やROE、ROAの低下が続いており、成長力よりも安定性が前面に出た企業体質となっている。現在の株価2,155円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、老朽化インフラ更新需要や防災・安全対策投資が追い風となり、道路防護柵や防音壁などの主力製品の受注が安定的に拡大する展開を想定する。加えて、デザイン性の高い外構・景観製品が公共施設や都市再開発案件で評価され、付加価値の高い案件比率が上昇することで収益性が改善する。営業利益率は一桁後半から徐々に回復し、ROEも5〜6%台まで戻ると、市場の評価はPBR0.7倍台から1倍前後へと見直される可能性がある。この場合、配当利回り3%台後半を維持しながら評価修正が進み、5年後の株価は3,000円から3,600円程度まで上昇する展開が考えられる。安定事業に評価改善が重なる強気シナリオである。

中間のシナリオでは、公共投資は大きくは増えないものの一定水準を維持し、業績は会社計画どおりに推移するケースを想定する。売上は緩やかに増加するが、価格競争やコスト負担の影響で営業利益率は6〜7%台にとどまり、ROEも4%前後で横ばいとなる。市場評価はPER13〜15倍、PBR0.7倍前後で落ち着き、配当利回りが株価の下支えとなる。この場合、5年後の株価水準は2,200円から2,600円程度となり、大きな値上がりは期待しにくいが、配当を受け取りながら安定的に保有するシナリオとなる。

悪い場合のシナリオでは、公共投資の抑制や自治体財政の引き締めにより道路・景観関連需要が低迷し、価格競争が激化する展開を想定する。営業利益率はさらに低下し、ROEやROAも3%前後まで落ち込むと、市場の評価は一段と慎重になる。PBRは0.6倍を割り込み、PERも10倍台前半まで低下する可能性がある。配当利回りは高水準となるものの、業績停滞が続けば減配懸念も意識され、5年後の株価は1,500円から1,800円程度まで下落する展開も考えられる。安定性はあるものの、評価面では守りの局面となる弱気シナリオである。

総合すると、現在株価2,155円を起点とした積水樹脂の5年間の値動きは、良い場合で3,000円から3,600円前後、中間で2,200円から2,600円、悪い場合で1,500円から1,800円といったレンジが想定される。高成長株ではないが、公共インフラという安定需要と配当利回りを背景に、インカムゲインを重視しつつ評価改善を待つ中長期向けの銘柄と位置づけられる。

この記事の最終更新日:2025年12月20日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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