株ウォッチング

すべての株の情報を表示し管理人のアドバイスも一言


群栄化学工業(4229)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

,

株価

群栄化学工業とは

群栄化学工業株式会社は、群馬県高崎市に本社を置く化学メーカーで、祖業である異性化糖をはじめとした食品事業と、フェノール樹脂を中核とする化学品事業を二本柱として事業を展開している企業である。製造拠点は群馬県高崎市および滋賀県湖南市に構えており、国内外に安定した生産体制を持つ。長年にわたり基礎素材から高機能材料まで幅広く手がけ、産業インフラを支える存在として独自のポジションを築いてきた。

同社の出発点は異性化糖であり、現在も食品事業では飲料用途を中心に、でんぷんを原料とした糖質製品や穀物を原料とした穀物エキス、各種機能性甘味料を製造・販売している。群栄化学は穀物本来の風味を残す独自の糖化技術を強みとしており、甘味付けだけでなく、保湿性や低甘味、素材の味を引き立てるといった機能性を備えた糖質素材を提供している。清涼飲料水やアルコール飲料、菓子、調味料など、幅広い食品分野で使用されており、食品メーカーにとって欠かせない原材料供給者の一社となっている。

化学品事業では、フェノール樹脂をコアとした多彩な機能性素材を展開している。フェノール樹脂は、熱を加えると硬化する熱硬化性樹脂であり、耐熱性や難燃性に優れることから、電子材料、住宅、自動車、鋳物など、さまざまな産業分野で利用されている。同社は用途ごとに最適化した樹脂設計や安定した品質管理を強みとしており、成熟市場でありながらも一定の競争力を維持している。

特に電子材料分野は、同社の化学品事業における重要な柱である。半導体や表示機器に不可欠なフォトレジスト用ノボラック樹脂など、高純度で安定した特性を持つ機能性素材を提供しており、最先端電子デバイスを支える材料メーカーとしての役割を担っている。顧客ごとの要求に応じた高度なカスタマイズ設計と、安定した生産体制を両立している点が特徴である。

また、フェノール樹脂を繊維化した高機能繊維「カイノール」も、群栄化学を代表する製品の一つである。カイノールは耐熱性が非常に高く、発煙量が少ないという特性を持ち、消防服や化学防護服、航空機や新幹線などの車両用シート、さらには宇宙ロケット関連用途など、極めて高い安全性が求められる分野で使用されている。産業・工業材料分野では、このカイノールを中心に、接着剤、建材、先端資材など幅広い用途向けの素材を提供している。

鋳物分野では、シェルモールド用のレジトップや各種硬化システムを通じて、鋳鉄やアルミ鋳物の鋳造工程を支援している。鋳型造型の安定化やガス発生の低減、良好な鋳肌の実現など、鋳造品質の向上に貢献しており、自動車や建設機械向け部品の製造現場で重要な役割を果たしている。

住宅・設備分野では、フェノール樹脂の耐熱性・難燃性を活かし、断熱材や合板などの建築資材向け素材を供給している。安全性や快適性が重視される住環境分野において、機能性素材メーカーとしての存在感を持つ。さらに、同社は食品事業の派生として、家庭向け商品も展開している。イソマルトオリゴ糖製品を使用した和風飴や、高崎市産白加賀梅を使用したシャンプー・トリートメント「tezmi(テヅミ)」など、地域性や独自素材を活かした商品を手がけている点も特徴的である。

海外展開としては、タイ、インド、米国にフェノール樹脂関連の子会社を持ち、グローバルに電子材料や鋳造用材料の供給体制を構築している。これにより、国内需要に依存しすぎない事業構造を目指している。このように群栄化学工業は、祖業である異性化糖を中心とした食品事業と、フェノール樹脂を軸とする化学品事業を両立させた独自の事業構成を持つ企業である。基礎素材から高機能材料、さらには電子材料や防護用途まで幅広くカバーし、安定性と専門性を併せ持つ化学メーカーとして事業を展開している。

群栄化学工業 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
純利益
(百万円)
一株益
(円)
一株配当
(円)
連21.3 25,194 2,217 2,451 1,607 242.1 80
連22.3 29,406 2,489 2,815 1,929 291.1 90(記)
連23.3 31,390 1,659 1,939 1,201 181.3 90
連24.3 30,310 2,729 3,162 2,040 307.8 100
連25.3 30,545 2,293 2,716 1,920 289.6 100
連26.3予 32,000 2,550 2,750 1,870 281.8 100〜110
連27.3予 33,000 2,650 2,850 1,940 292.3 100〜110

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業キャッシュフロー
(百万円)
投資キャッシュフロー
(百万円)
財務キャッシュフロー
(百万円)
2023.3 1,200 -2,465 -687
2024.3 3,638 -2,162 -774
2025.3 4,330 -2,806 -875

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023.3 5.2% 2.6% 2.1%
2024.3 9.0% 4.2% 3.3%
2025.3 7.5% 3.8% 3.0% 14.3倍(高) / 9.7倍(安) 0.51倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず業績の推移を見ると、群栄化学工業の2024年3月期は売上高303億円に対して営業利益27億円、経常利益31億円、純利益20億円となっている。売上規模は300億円前後と中堅規模だが、営業利益率は9.0%と比較的高く、本業の収益力はこの年は良好であった。2025年3月期は売上高305億円とほぼ横ばいで推移する一方、営業利益は22億円、経常利益は27億円、純利益は19億円とやや減少している。大幅な悪化ではないものの、利益水準はピークアウトしており、成長力というより安定性が前面に出た内容である。

2026年3月期予想では売上高320億円、営業利益25億円、経常利益27億円、純利益18億円と、売上・営業利益は回復する一方で純利益は微減を見込んでおり、高成長というよりも安定推移を前提とした計画となっている。

収益性を見ると、営業利益率は2023年が5.2%、2024年が9.0%、2025年が7.5%と、年ごとの振れはあるものの5%以上を安定して確保している点は評価できる。一方で、ROEは2.6%、4.2%、3.8%、ROAは2.1%、3.3%、3.0%と、いずれも水準としては高いとは言えず、資本効率は控えめである。収益力はあるが、資本を大きく回して成長するタイプの企業ではないことが数値から読み取れる。

株価指標を見ると、2025年の実績PERは安値平均で9.7倍、高値平均でも14.3倍と、市場平均と比べて割高感はない水準にある。PBRは0.5倍と1倍を大きく下回っており、純資産に対して市場評価はかなり慎重である。ROEが4%前後にとどまっていることを考えると、PBR0.5倍という評価は数値的には妥当からやや割安寄りといえる。

これらを総合すると、群栄化学工業は営業利益率が比較的高く、安定して利益を出せる体質を持つ一方で、ROE・ROAは低めで、成長力や資本効率の面では地味な企業である。業績は大きく崩れにくく、2026年3月期も安定した利益水準が見込まれているが、利益が大きく拡大していくイメージは持ちにくい。

結論として、提示された数値だけで判断する限り、群栄化学工業は「高成長株ではないが、安定した収益力と割安な株価指標を併せ持つ堅実型銘柄」と位置づけられる。PBR0.5倍という評価は下値余地を限定しやすく、中長期での大きな下落リスクは相対的に小さい。一方で、ROEの低さから株価が急激に再評価される可能性も高くはなく、投資判断としては配当を受け取りながら安定運用を狙う中立からやや前向き寄りが妥当と考えられる。

配当目的とかどうなの?

配当目的という観点で群栄化学工業を見ると、予想配当利回りは2026年3月期、2027年3月期ともに2.49%と、配当株としては中程度の水準にとどまっている。まず利回り水準そのものを見ると、2.5%弱という数字は極端に低いわけではないが、高配当株と呼べる水準でもない。インカムゲインを主目的に投資する場合、一般的には3%前後以上を一つの目安とすることが多く、その基準から見るとやや物足りない印象は否めない。

一方で、配当の安定性という点では一定の評価ができる。群栄化学工業は直近数年にわたり大きな赤字を出しておらず、営業利益率も5%以上を確保している。キャッシュフローも安定しており、配当原資となる稼ぐ力は比較的しっかりしている。今回の2.49%という利回りも、無理をして配当を出している水準ではなく、業績とバランスの取れた配当といえる。

ただし、ROEが4%前後にとどまっている点を踏まえると、今後大幅な増配が期待できるかというと、その可能性は高くない。成長投資よりも安定運用を重視する企業体質であり、配当も急激に引き上げるより、現行水準を維持する姿勢が基本になると考えられる。

総合すると、群栄化学工業は「高配当を狙って積極的に買う銘柄」ではないが、「配当の安定性を重視しつつ、値崩れしにくい銘柄を保有したい投資家」には一定の適性がある。配当はあくまで補助的な位置づけで、主目的は安定収益と割安な株価水準を背景にした中長期保有と考えるのが妥当であり、配当目的としては中立評価が適切といえる。

今後の値動き予想!!(5年間)

群栄化学工業は、フェノール樹脂を中核とする化学品事業と、異性化糖を中心とした食品事業を二本柱とする化学メーカーである。フェノール樹脂は電子材料、鋳物、建材、自動車関連など幅広い産業分野で使用されており、特にフォトレジスト用ノボラック樹脂など電子材料用途は同社の重要な収益源となっている。一方、食品事業では飲料向けを中心とした澱粉糖類が安定収益を支えている。事業構造は比較的安定しているものの、半導体市況や原材料価格の影響を受けやすく、高成長というよりは堅実型の企業体質である。現在の株価4,005円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、電子材料分野を中心に需要が堅調に推移し、半導体関連の調整局面を抜けて緩やかな回復基調に入る展開を想定する。フェノール樹脂の高付加価値品比率が高まり、食品事業も安定的に利益を確保することで、全社としての収益力が底上げされる。営業利益率は7〜8%台で安定し、ROEも5%前後まで改善すると、市場からは「地味だが安定して稼げる企業」として評価されやすくなる。この場合、現在0.5倍前後にあるPBRが0.7〜0.8倍程度まで見直され、5年後の株価は5,500円から6,500円程度まで上昇する展開が考えられる。高成長ではないものの、割安修正が進む強気寄りのシナリオである。

中間のシナリオでは、電子材料や化学品分野は大きな成長も失速もなく推移し、食品事業が引き続き業績の下支えとなるケースを想定する。営業利益率は6〜7%台で安定し、ROEは4%前後にとどまる。市場評価はPER10〜12倍、PBR0.5倍前後で落ち着き、配当が株価の下支え要因となる。この場合、株価は大きく動かず、5年後の株価水準は4,000円~4,800円程度と、現在値近辺での推移が想定される。値上がり益よりも安定性を重視する中立的なシナリオである。

悪い場合のシナリオでは、電子材料分野の需要が想定以上に弱含み、フェノール樹脂の採算が低下する展開を想定する。食品事業は一定の安定性を保つものの、全社の利益水準は徐々に低下し、営業利益率は5%前後まで落ち込む。ROEも3%台にとどまり、市場の評価は一段と慎重になる。この場合、PBRは0.4倍台まで低下し、配当は維持されるものの株価の下支え効果は限定的となる。5年後の株価は3,200円から3,600円程度まで下落する展開も考えられる。安定企業としての評価は残るが、冴えない値動きが続く弱気シナリオである。

総合すると、現在株価4,005円を起点とした群栄化学工業の5年間の値動きは、良い場合で5,500円から6,500円前後、中間で4,000円から4,800円、悪い場合で3,200円から3,600円といったレンジが想定される。高成長株ではないものの、フェノール樹脂と食品という異なる収益源を持つ安定した事業基盤を背景に、大きな下振れリスクは比較的限定されやすい銘柄であり、配当を受け取りながら中長期で保有することを前提とした企業と位置づけられる。

この記事の最終更新日:2025年12月20日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP