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恵和(4251)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

恵和とは

恵和は、液晶ディスプレー用の高機能フィルムを中核とする素材メーカーであり、光学分野と産業資材分野の両方を手がける点に特徴がある。主力はノートPC、タブレット端末、スマートフォンなどの液晶ディスプレイに使用される光学フィルムで、光の制御に関する独自技術を強みに事業を展開している。一方で、鉄鋼用の包装資材や建設資材など、ディスプレイ分野以外の産業用途にも幅広く製品を供給しており、事業領域は多岐にわたっている。

光学製品事業では、光拡散シートを中心に、さまざまな光学フィルムの製造・販売を行っている。中でも複合拡散板は、光の拡散、視野角の制御、輝度向上といった複数の光学機能を一枚のシートに集約した製品であり、ディスプレイの薄型化や省エネルギー化、組立工数の削減に貢献している。光拡散フィルムは、バックライトから出る光を効率よく拡散させることで、明るさを高めつつ光ムラの少ない美しい画面表示を実現する役割を担っている。

さらに、高機能光学フィルムでは、リタデーションを低く抑えることで干渉模様などの表示不良を防ぎ、用途や顧客ニーズに応じてフィルム表面の形状を制御することで、クリアタイプやマットタイプなど多様な製品を提供している。こうした製品群は、単なる汎用品ではなく、用途特化型・カスタマイズ型である点が特徴で、顧客との技術的なすり合わせを重視したビジネスモデルとなっている。

機能製品事業では、光学分野以外の産業資材を幅広く展開している。工程フィルムは製造工程の途中で製品を一時的に保護・保持するために使用されるフィルムであり、最終製品には残らないものの、品質確保に欠かせない役割を果たしている。工程紙では、ウレタンシートや塩ビシート、炭素繊維プリプレグなどを製造する際に用いられるセパレーターとして使用され、クッキングシートのように成形時のみ下敷きとして機能する。「セパレーター®」は恵和の登録商標であり、この分野でも一定の存在感を持っている。

包装資材分野では、湿気や水分、錆から製品を守る包装紙を提供しており、紙が空気中の水分を吸収することで生じる寸法変化やカールを防ぐ製品や、リサイクル可能なタイプも用意されている。防錆紙については、気化性防錆材を用いることで金属製品を錆から保護し、鉄鋼分野などで利用されている。

また、クリーンエネルギー資材として、太陽電池、二次電池、風力発電などに関連する資材の提供も行っている。耐久性や高いバリア性を持つシートによって、経年劣化から設備や部材を守り、自然エネルギーの利用拡大に貢献することを目指した製品づくりを進めている。

全体として恵和は、液晶ディスプレー向けの高機能光学フィルムという技術色の強い分野を軸にしながら、工程紙や包装資材、クリーンエネルギー関連資材といった産業用途にも裾野を広げている企業である。電子機器市場の影響を受けやすい側面はあるものの、用途特化型の製品開発力と長年培ってきた加工技術を武器に、ニッチ分野で存在感を発揮する堅実型の素材メーカーと位置づけられる。

恵和 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
純利益
(百万円)
一株益 EPS
(円)
一株配当 DPS
(円)
22.12期 21,102 5,569 6,202 4,860 252.5 37.5
23.12期 17,570 2,455 2,757 1,983 102.9 25
24.12期 21,130 4,739 5,210 2,790 144.7 35
25.12期(予) 20,900 4,700 4,700 3,500 189.2 35
26.12期(予) 22,900 5,100 5,100 3,600 194.6 35

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF
(百万円)
投資CF
(百万円)
財務CF
(百万円)
2022年 6,760 -4,004 -1,680
2023年 2,447 -3,907 -1,546
2024年 5,916 -2,719 -1,352

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

営業利益率 ROA ROE PER(倍) PBR(倍)
2023年 13.9% 6.7% 9.7%
2024年 22.4% 8.7% 12.1% 13.8(高)
7.4(安)
1.02
2025年 22.4% 10.9% 15.2% 6.96(予)

出典元:四季報オンライン

投資判断

恵和は、売上規模こそ中堅クラスだが、利益水準と収益効率の高さが際立つ企業だと感じる。23.12期の売上高は175億、営業利益24億、経常利益27億、純利益19億と、すでに二桁の営業利益率に近い水準で安定した利益を確保していた。24.12期には売上高が211億まで伸び、営業利益は47億、経常利益52億、純利益27億と大きく拡大しており、量と質の両面で明確な成長が見られる。

25.12期予想では売上高209億と横ばいだが、営業利益47億、純利益35億と高水準の利益を維持する見通しとなっている。さらに26.12期予想では売上高229億、営業利益51億、純利益36億と、再び増収増益が見込まれており、短期的なピークアウト感は感じにくい。収益性を見ると、営業利益率は2023年13.9%、2024年22.4%、2025年22.4%と急上昇した後、高水準で横ばいが続いている。製品の付加価値が高く、価格競争に巻き込まれにくい事業構造であることが数字からはっきり読み取れる。

資本効率も非常に良好だ。ROEは9.7%から12.1%、15.2%へと年々改善しており、株主資本を使ってしっかり利益を積み上げている。ROAも6.7%、8.7%、10.9%と上昇しており、資産全体の効率も高い水準にある。これは一過性の利益ではなく、事業そのものの収益力が強いことを示している。

評価面を見ると、24.12期の実績PERは高値平均13.8倍、安値平均7.4倍と、これだけの利益率とROEを持つ企業としては割高感はない。PBRは1.0倍と、資本効率の改善を素直に反映した水準にある。さらに25.12期予想PERは6.9倍と低く、利益成長が続く前提では明らかに割安感が強い。

これらの数値を総合すると、恵和は「高収益・高効率・割安」という条件が同時にそろっている珍しい局面にあると判断できる。営業利益率20%超、ROE15%前後という水準は市場でも評価されやすく、現在のPER水準はその実力を十分に織り込んでいない可能性が高い。

投資判断としては前向き寄りとなる。業績の安定性、収益性、資本効率のいずれもが改善基調にあり、短期的な業績ブレよりも中期的な利益成長に目を向けた投資が有効だと感じる。少なくとも、利益率が大きく崩れない限り、現在の評価水準は下値リスクが限定的で、評価見直しの余地が残っている銘柄だと判断する。

配当目的とかどうなの?

配当目的という観点で見ると、恵和は「悪くはないが、配当一本で狙う銘柄ではない」という評価になる。25.12期、26.12期ともに予想配当利回りは3.16%と、安定配当株としては合格点の水準にある。極端に高配当ではないものの、業績の安定性と利益水準を考えると、無理のない範囲で配当を出している印象が強い。数字だけ見れば、減配リスクを強く意識する必要は現時点では小さい。

注目すべき点は、配当の裏付けとなる収益力がしっかりしていることだ。営業利益率は20%超、ROEも15%前後と高水準にあり、配当は利益の余力から十分に賄われていると考えられる。高配当を無理に演出している企業ではなく、「利益が出ているから自然に3%程度の配当が出ている」タイプであり、配当の質は良い。

一方で、利回りだけを目的にするなら、5%前後の高配当株と比べて見劣りするのも事実だ。恵和の配当は、インカムゲインを最大化するための銘柄というより、成長や評価見直しの過程で配当も受け取れる位置づけに近い。

総合すると、恵和は配当目的として「安心感はあるが主役ではない」銘柄だと思う。3%前後の配当を安定して受け取りつつ、利益成長やPERの切り下がりによる株価評価の見直しを狙うスタンスと相性が良い。純粋な高配当狙いなら他銘柄、配当+成長+割安修正をバランス良く取りに行くなら、十分に検討価値がある、という位置づけになる。

今後の値動き予想!!(5年間)

恵和は、液晶ディスプレー向けの高機能光学フィルムを中核としつつ、工程フィルムや工程紙、包装資材、建設・エネルギー関連資材など幅広い機能性素材を手がける素材メーカーである。光学分野では光拡散フィルムや複合拡散板など、付加価値の高い製品を強みとしており、ディスプレーの薄型化や省エネ化に貢献している。一方で、産業資材分野は鉄鋼向け包装資材や建材用途など比較的安定した需要を持ち、事業全体としては高収益だが、市況や電子機器需要の影響を受けやすい側面もある。現在の株価1,265円を起点に、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、ディスプレー向け高機能フィルムの需要が堅調に推移し、恵和の強みである高付加価値製品の比率がさらに高まる展開を想定する。光学分野での価格競争が緩和され、産業資材分野も安定的に利益を確保できれば、全社として高い収益力が維持される。営業利益率は20%超の水準で安定し、ROEも15%前後を保つことで、市場からは「小型だが非常に稼ぐ力の強い企業」として評価されやすくなる。この場合、現在7倍前後にとどまっているPERが10倍程度まで見直され、5年後の株価は2,000円から2,400円程度まで上昇する展開が考えられる。成長と割安修正が同時に進む強気寄りのシナリオである。

中間のシナリオでは、ディスプレー需要は横ばいから緩やかな成長にとどまり、産業資材分野が引き続き業績の下支えとなるケースを想定する。営業利益率は18〜20%程度で高水準を維持するものの、成長スピードは落ち着き、ROEも15%前後で安定する。市場評価はPER7〜8倍程度で落ち着き、配当利回り3%前後が株価の下支えとなる。この場合、株価は大きく上昇せず、5年後の株価水準は1,300円から1,600円程度と、現在値近辺から緩やかな上昇にとどまる展開が想定される。値上がり益よりも安定収益を重視する中立的なシナリオである。

悪い場合のシナリオでは、ディスプレー市場の減速や競争激化により、光学フィルムの採算が低下する展開を想定する。産業資材分野は一定の安定性を保つものの、全社の利益水準は低下し、営業利益率は10%台前半まで落ち込む。ROEも低下し、市場は成長期待を大きく後退させる。この場合、PERは5〜6倍程度まで切り下がり、5年後の株価は800円から1,000円程度まで下落する可能性がある。高収益企業としての評価は残るものの、冴えない値動きが続く弱気シナリオである。

総合すると、現在株価1,265円を起点とした恵和の5年間の値動きは、良い場合で2,000円から2,400円前後、中間で1,300円から1,600円、悪い場合で800円から1,000円といったレンジが想定される。高成長株ではないものの、光学フィルムという高付加価値分野と産業資材という安定分野を併せ持つ事業基盤を背景に、下振れリスクは比較的限定されやすい銘柄であり、配当を受け取りながら中長期で保有することを前提とした企業と位置づけられる。

この記事の最終更新日:2025年12月21日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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