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カーリット(4275)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

カーリットとは

カーリットグループは、化学品、ボトリング、産業用部材、エンジニアリングサービスの4事業を柱とする持株会社であり、自動車用緊急保安炎筒では国内最大手の地位を持つ企業グループである。株式会社カーリット(英語表記 Carlit Co., Ltd.)は、日本カーリット株式会社などを傘下に有し、旧社名はカーリットホールディングス株式会社である。東京証券取引所プライム市場に上場しており、証券コードは4275。2013年以降は研究開発体制を事業会社から持株会社側に集約し、グループ全体の技術基盤強化を進めている。

化学品事業はグループの中核であり、化薬分野では産業用爆薬、自動車用緊急保安炎筒、高速道路用信号焔管、煙火関連製品の製造・販売を行っている。特に自動車用緊急保安炎筒では高いシェアを誇る。受託評価分野では、化学物質の危険性評価試験や電池試験などの受託評価を手掛けている。化成品分野では、紙パルプ漂白用の塩素酸ナトリウム、繊維漂白用の亜塩素酸ナトリウム、ロケット用固体推進薬原料となる過塩素酸アンモニウムなどを製造・販売している。さらに、電子材料分野ではコンデンサ・キャパシタ用電解液やイオン導電材料、セラミック材料分野では研削材・研磨材の加工・販売、その他合成樹脂材料の販売も行っている。

ボトリング事業では、お茶やコーヒー系飲料を中心とした清涼飲料の受託製造を行い、安定した収益源となっている。産業用部材事業では、半導体用シリコンウェーハ、耐火・耐熱金物、ばね・座金製品などの製造・販売を手掛けており、半導体・インフラ関連分野を中心に事業を展開している。

エンジニアリングサービス事業では、化学プラントや各種設備、建築物のエンジニアリングおよび工事管理、工業用塗料の販売と塗装工事、上下水道・排水処理施設や建築物の設計・監理などを行い、技術サービス型の事業としてグループの付加価値を高めている。

グループ会社には、日本カーリット株式会社、三協実業株式会社、佳里多(上海)貿易有限公司、Carlit Singapore Pte. Ltd.、ジェーシーボトリング株式会社などがあり、国内外で事業を展開している。全体としてカーリットグループは、安全・インフラ関連分野に強みを持ちながら、事業の多角化による安定収益構造を構築している。

カーリット 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
純利益
(百万円)
一株益
(EPS)
一株当り配当
(円)
連21.3 45,537 1,574 1,770 1,231 51.8 12
連22.3 33,894 2,506 2,742 2,336 98.3 16
連23.3 36,008 2,640 2,910 2,246 94.6 20
連24.3 36,577 3,352 3,600 2,598 109.9 33
連25.3 36,914 3,046 3,320 2,570 109.1 36
連26.3予 38,000 3,500 3,700 2,850 128.2 38
連27.3予 39,000 3,600 3,800 2,900 130.4 38〜40

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期
(百万円)
営業キャッシュフロー 投資キャッシュフロー 財務キャッシュフロー
2023 2,064 -65 -1,784
2024 2,155 -1,373 -1,839
2025 4,696 -991 -1,699

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROA ROE PER PBR
2023 7.3% 4.3% 6.7%
2024 9.1% 4.7% 7.0%
2025 8.2% 4.8% 6.8% 高11.2倍 / 安7.2倍 1.12倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず業績は大きく崩れにくい安定型であることが分かる。連24.3では売上約366億円に対して営業利益33億円、経常利益36億円、純利益25億円。連25.3では売上約369億円、営業利益30億円、経常利益33億円、純利益25億円と営業利益はやや減少したが、最終利益はほぼ横ばいを維持している。連26.3予では売上約380億円、営業利益35億円、経常利益37億円、純利益28億円と再び増益が見込まれており、利益水準は緩やかながら回復基調にある。

収益性を見ると、営業利益率は2023年7.3%、2024年9.1%、2025年8.2%で推移しており、24年に一度高まった後はやや低下したものの、8%前後という製造業としては悪くない水準を維持している。ROEは6.7%、7.0%、6.8%と一貫して6%台後半にとどまり、株主資本を使った利益創出力は高水準とは言えないが、安定的である。ROAは4.3%、4.7%、4.8%とわずかに改善しており、資産効率は徐々に良くなっていることが読み取れる。

バリュエーション面では、2025年の実績PERは高値平均11.2倍、安値平均7.2倍、PBRは1.1倍である。ROEが6%台後半であることを考えると、PBR1倍前後という評価は妥当で、割高でも割安でもない中立的な水準と言える。PERも7〜11倍というレンジに収まっており、市場はこの会社を成長株としてではなく、業績が安定した成熟企業として評価していることがうかがえる。

これらを総合すると、カーリットは売上の大きな成長は見込みにくい一方で、利益は30億円台を安定して確保できる体質にあり、業績のブレは比較的小さい。営業利益率、ROE、ROAの水準から見て、今後大きく評価が切り上がる材料は乏しいが、逆に大きく崩れるリスクも限定的である。

投資判断としては、値上がり益を狙って積極的に買う銘柄ではなく、安定した利益と配当を前提にした中長期保有向きの銘柄と位置付けられる。PERが安値平均に近い水準であれば割安感を意識して買いを検討できるが、PERが10倍を超える水準では上値余地は限定的となりやすく、その場合は様子見が妥当だろう。全体としては、守り寄りの投資スタンスで付き合う銘柄という評価になる。

配当目的とかどうなの?

配当目的で見ると、カーリットは「悪くはないが、配当特化型としてはやや物足りない」という位置付けになる。まず水準面では、連26.3予、連27.3予ともに予想配当利回りは2.04%と、東証プライム全体の平均と比べるとほぼ同程度か、やや低めの水準である。高配当株と呼ばれる3〜4%台には届かず、インカム狙い一本で選ばれる銘柄ではない。

一方で、業績との整合性を見ると、連26.3予で純利益は約28億円、一株益は128円水準が見込まれており、予想配当38円前後とすると配当性向はおおむね30%前後に収まる。これは無理のない水準で、業績が多少ぶれても配当が急減しにくい構造である。

キャッシュフロー面でも、直近では営業キャッシュフローが大きく増えており、投資キャッシュフローや財務キャッシュフローを差し引いても、配当支払いを賄える余力は十分にあると考えられる。少なくとも、借入や無理な財務操作で配当を維持している印象はない。

ただし、配当利回りが2%前後にとどまる理由は明確で、ROEが6%台後半、PBRが1倍前後という資本効率を考えると、会社としても高配当政策に大きく舵を切る必然性が弱い。増配ペースも緩やかで、インフレや金利上昇局面では見劣りしやすい。結論として、カーリットは「配当ももらえる安定株」ではあるが、「配当を最優先で取りに行く銘柄」ではない。値下がりリスクを抑えつつ、業績安定+緩やかな増配を期待する中長期保有向きであり、高配当株ポートフォリオの主力ではなく、補完的な位置付けが妥当と言える。

今後の値動き予想!!(5年間)

カーリットは、現在株価1,862円を基準に見ると、高成長株というよりも、事業の安定性と一定の配当を背景に評価される中堅の安定型・循環寄り銘柄と位置づけられる。化学品、ボトリング、産業用部材、エンジニアリングサービスの4事業を柱とし、自動車用緊急保安炎筒では国内最大手という明確な強みを持つ。一方で、売上規模は大きく伸びにくく、業績は設備投資動向や市況の影響を受けやすいが、利益は30億円台を安定して確保できる体質にある。

直近では営業利益率が8%前後、ROEが6%台後半、ROAが4%台後半と、収益性・資本効率ともに派手さはないが堅実な水準で推移しており、市場評価もPBR1倍前後、PER7〜11倍と慎重なレンジにとどまっている。以下、今後5年間の良い場合、中間の場合、悪い場合の値動きを考える。

良い場合のシナリオでは、化学品事業において自動車用緊急保安炎筒や関連製品の需要が安定的に推移し、加えて電子材料や化成品分野が堅調に推移する展開を想定する。ボトリング事業や産業用部材事業も下支えとなり、全体として利益のブレが小さくなることで、営業利益率が8〜9%程度で安定し、ROEも7%台に近づく。この場合、市場からは「安定して稼げる複合型メーカー」としての評価が進み、PBRは1.1〜1.2倍程度まで見直される可能性がある。PERも10倍前後が意識されやすくなり、5年後の株価水準は2,400円から2,800円程度が目安となる。配当利回りは2%前後と高くはないものの、業績安定と緩やかな増配を背景に、値上がり益も狙える強気寄りのシナリオである。

中間のシナリオでは、各事業が現状水準で推移し、売上は横ばいから微増、利益も30億円台前半から中盤で安定するケースを想定する。営業利益率は8%前後、ROEは6%台後半、ROAは4%台後半で大きな変化はなく、資本効率の改善は限定的にとどまる。市場評価も現在と大きく変わらず、PERは8〜10倍、PBRは1倍前後で推移する。この場合、配当利回り2%前後が下支えとなり、5年後の株価は1,800円から2,200円程度と、現在値近辺から緩やかな上昇にとどまる中立的なシナリオとなる。値上がり益よりも、業績の安定性を重視した保有と相性が良い。

悪い場合のシナリオでは、自動車関連や設備投資の停滞により、化学品や産業用部材の収益性が低下する展開を想定する。営業利益率は7%前後まで低下し、ROEも6%を割り込む水準にとどまると、市場の評価は一段と慎重になる。配当は維持される可能性が高いものの、成長期待が乏しいとの見方からPERは7倍近辺、PBRも0.8〜0.9倍程度まで低下することが考えられる。この場合、5年後の株価は1,300円から1,600円程度まで下落するリスクがあり、インカムは確保できても株価面では厳しい弱気シナリオとなる。

総合すると、現在株価1,862円を起点としたカーリットの5年間の値動きは、良い場合で2,400円から2,800円前後、中間で1,800円から2,200円、悪い場合で1,300円から1,600円程度のレンジが想定される。大きな成長を期待する銘柄ではないが、事業の分散性と安定した利益水準を背景に、配当を受け取りながら景気循環に付き合う中長期投資向きの銘柄と位置づけられる。

この記事の最終更新日:2025年12月21日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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