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アミューズ(4301)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

アミューズとは

アミューズは、桑田佳祐や福山雅治をはじめとする多数の著名アーティストを擁する日本有数の大手芸能プロダクションであり、音楽・映像・舞台・イベントなどエンターテインメント分野全般に事業を展開する総合芸能企業である。株式会社アミューズは東京証券取引所プライム市場に上場しており、日本音楽制作者連盟(音制連)の正会員でもある。

同社は、ミュージシャン、俳優、女優、アイドル、声優、文化人、タレント、スポーツ選手など幅広いジャンルの所属者をマネジメントしており、所属者を総称して「アーティスト」と呼んでいる。サザンオールスターズ、福山雅治、ポルノグラフィティ、Perfume、BABYMETAL、星野源などの音楽アーティストに加え、大泉洋、安田顕、吉高由里子、吉沢亮、仲里依紗、ホラン千秋など、多数の俳優・女優が所属している点が大きな特徴である。

アパートの一室から始まった小規模プロダクションであったが、サザンオールスターズの成功をきっかけに急成長し、現在では日本を代表する大手芸能事務所へと発展した。1980年代までは主に音楽アーティストやアイドルを中心に展開していたが、1990年代以降は俳優・女優部門を本格的に強化し、テレビドラマの主要時間帯において主演クラスの出演比率が非常に高い事務所として存在感を高めてきた。

事業内容としては、アーティストマネジメントを中核に、テレビ番組、映画、舞台作品の企画・制作・出資を行っているほか、グループ企業を通じてDVD、ビデオ、Blu-ray、CDなどの映像・音楽ソフトの制作・販売も手がけている。音楽事業ではライブやコンサートの企画運営、楽曲制作・管理、配信事業にも力を入れている。

また、KDDIと共同で音楽CD・DVD制作や楽曲管理、携帯向け音楽配信を行う音楽レーベル企業「A-Sketch」を設立し、自社レーベルによるミュージシャン育成を推進している。音楽アーティストの発掘や著作権ビジネスにも注力しており、海外では中国や韓国に音楽関連法人、アメリカに映像制作会社を展開するなど、アジアを中心とした海外展開も強化している。

さらに、2003年以降は毎年、株主総会後に所属アーティストによる株主向けコンサートを開催するなど、エンターテインメント企業ならではの株主施策も特徴的である。新型コロナウイルスの影響により一時中断されたものの、アーティストIPを活用した独自の企業文化を象徴する取り組みとなっている。

全体としてアミューズは、強力なアーティストラインアップと制作力を背景に、マネジメント、コンテンツ制作、ソフト販売、配信、イベント運営までを一体で展開する総合エンターテインメント企業であり、国内にとどまらずアジアを中心としたグローバル展開にも力を入れている。

アミューズ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
純利益
(百万円)
一株益
(EPS)
一株当り配当
(円)
連21.3 39,839 3,574 3,320 1,665 95.8 35
連22.3 38,744 2,879 2,800 1,564 89.7 40
連23.3 52,497 3,153 3,379 1,692 100.6 40
連24.3 54,813 1,367 1,777 391 23.6 40
連25.3 68,186 2,798 2,963 1,648 99.3 40
連26.3予 65,000 4,300 4,300 2,800 172.8 40
連27.3予 62,000 2,800 2,800 1,800 111.1 40

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期
(百万円)
営業キャッシュフロー 投資キャッシュフロー 財務キャッシュフロー
2023 10,002 -1,957 -2,933
2024 -313 -1,729 -732
2025 433 -611 -2,059

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROA ROE PER PBR
2023 6.0% 2.9% 4.9%
2024 2.4% 0.6% 1.1%
2025 4.1% 2.7% 4.7% 高39.5倍 / 安30.0倍 0.81倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず業績水準を見ると、連24.3は売上約548億円に対して営業利益13億円、経常利益17億円、純利益3億円と、収益性が大きく落ち込んだ年であったことが分かる。連25.3では売上約681億円、営業利益27億円、経常利益29億円、純利益16億円まで回復しており、業績の底打ちと反動増が確認できる。連26.3予では売上約650億円、営業利益43億円、経常利益43億円、純利益28億円と、さらに大きな回復が見込まれており、利益水準はコロナ後の調整局面から明確に立ち直る想定となっている。

収益性の推移を見ると、営業利益率は2023年6.0%、2024年2.4%、2025年4.1%と大きく変動しており、事業の収益がイベントやコンテンツの当たり外れに左右されやすいことが数値からも読み取れる。ROEは4.9%、1.1%、4.7%、ROAは2.9%、0.6%、2.7%と、いずれも低水準で推移しており、資本効率は構造的に高いとは言えない。2025年は回復しているものの、なお中長期的に安定して高い水準とは評価しにくい。

バリュエーション面では、2025年の実績PERは高値平均39.5倍、安値平均30.0倍と非常に高く、利益回復期待を強く織り込んだ水準にある。一方、PBRは0.8倍と1倍を下回っており、資産面からの評価は低い。これは、利益の変動が大きく、将来の安定性に対して市場が慎重であることを示している。

これらを総合すると、アミューズは売上規模は大きく、2026年にかけて利益回復が見込まれているものの、営業利益率、ROE、ROAはいずれも低水準で、業績の振れ幅が大きい企業であることが数値から明確である。その一方で、PERは30倍超と高く、短期的な利益回復を前提にした期待先行の評価になっている。

投資判断としては、現在の数値だけを見る限り、安定収益や割安性を重視する投資には向きにくい。利益回復が計画どおり進めば株価の見直し余地はあるが、すでに高いPERが付いているため、さらなる上値余地は業績の想定超過が前提となる。従って、インカム目的や守りの投資ではなく、業績回復局面の継続を見極めながら参加する景気敏感・イベント依存型のリスク許容度が高い投資向けの銘柄、という判断になる。

配当目的とかどうなの?

配当目的で見ると、アミューズは「配当は出るが、配当狙いの主力にする銘柄ではない」という評価になる。まず水準として、連26.3、連27.3予ともに予想配当利回りは2.12%と、東証プライム全体の平均と比べてもやや低めであり、高配当株の水準には届かない。インカム投資を主目的とする場合、この利回りだけで積極的に選ばれる銘柄ではない。

業績とのバランスを見ると、連26.3予では純利益が約28億円まで回復する見込みで、配当は40円を維持する想定となっている。利益回復局面ではあるものの、過去には純利益が3億円台まで落ち込んだ年もあり、業績の振れ幅は大きい。安定的に配当原資を積み上げるタイプの企業とは言いにくく、配当の持続性はコンテンツやイベントの成否に左右されやすい。

キャッシュフロー面を踏まえると、営業CFが年によって大きく変動しており、恒常的に潤沢とは言えない。配当40円は「出せる年は出す」という性格が強く、BPOやインフラ系企業のような強固な安定配当とは性質が異なる。

また、ROEやROAが低水準で推移していることから、企業として高い資本効率で株主還元を継続する余力が大きいとは言えない。PBRが1倍を下回っている一方で、PERは30倍超と高く、株価はすでに回復期待を織り込んでいるため、配当利回りが今後大きく上昇していくシナリオも描きにくい。

結論として、アミューズは「配当も一応もらえる回復期待株」であって、「配当を安定的に取りに行く銘柄」ではない。配当目的だけで保有するには利回り・安定性ともに物足りず、業績回復やコンテンツヒットによる値動きを許容できる投資家向けの銘柄と考えるのが妥当だろう。

今後の値動き予想!!(5年間)

アミューズは、現在株価1,880円を基準に見ると、高成長株というよりも、ヒットコンテンツの有無やイベント動向によって業績が大きく変動する回復期待型・循環寄りのエンターテインメント銘柄と位置づけられる。強力なアーティスト陣と制作力を持つ一方で、営業利益率やROE、ROAは低水準で推移しており、収益の安定性という点では課題を残している。以下、今後5年間の良い場合、中間の場合、悪い場合の値動きを考える。

良い場合のシナリオでは、所属アーティストによる大型ツアーやヒット作品が継続的に生まれ、音楽・映像・舞台・イベント事業が好調に推移する展開を想定する。売上規模が拡大する中で、営業利益率が6%前後まで回復し、ROEも5%台後半まで改善すれば、市場は「回復後の安定期に入った総合エンタメ企業」として評価を見直しやすくなる。この場合、PERは現在の30倍超から20倍台前半まで切り下がりつつも、利益成長によって株価が押し上げられる形となり、5年後の株価水準は2,400円から2,800円程度が目安となる。配当利回りは2%前後にとどまるが、値上がり益を伴う強気寄りのシナリオである。

中間のシナリオでは、ヒット作と不振作が混在し、業績は回復と停滞を繰り返しながらも、全体としては現状水準で落ち着くケースを想定する。営業利益率は4〜5%程度、ROEは4〜5%台にとどまり、資本効率の大きな改善は見られない。市場評価も慎重なままで、PERは25〜30倍、PBRは1倍前後で推移する。この場合、配当40円が下支えとなり、5年後の株価は1,800円から2,100円程度と、現在値近辺での横ばいから緩やかな上昇にとどまる中立的なシナリオとなる。

悪い場合のシナリオでは、主力アーティストの活動停滞やイベント不振が続き、売上は維持されるものの利益が想定ほど回復しない展開を想定する。営業利益率は3%台にとどまり、ROEやROAも低水準のまま推移すると、市場の評価は一段と慎重になる。回復期待が後退すればPERは20倍前後まで切り下がり、PBRも1倍を割り込む可能性がある。この場合、5年後の株価は1,300円から1,600円程度まで下落するリスクがあり、配当は維持されても株価面では厳しい弱気シナリオとなる。

総合すると、現在株価1,880円を起点としたアミューズの5年間の値動きは、良い場合で2,400円から2,800円前後、中間で1,800円から2,100円、悪い場合で1,300円から1,600円程度のレンジが想定される。安定配当や資本効率を重視する銘柄ではなく、業績回復とコンテンツ成功を前提にした値動きを許容できる中長期投資向きのエンタメ株と位置づけられる。

この記事の最終更新日:2025年12月21日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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