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日本システム技術とは

日本システム技術は、完全独立系のシステム開発会社として、ソフトウェア開発、パッケージ事業、システム販売、医療ビッグデータ事業の4本柱を軸に事業を展開するITサービス企業である。株式会社日本システム技術(英語表記 Japan System Techniques Co., Ltd.、JAST)は、特定の企業系列やハードウェアベンダーに属さない「完全独立系」の立場を貫き、自由度の高い技術選定と提案力を強みとしている。
同社の事業領域は、DX&SI事業、パッケージ事業、医療ビッグデータ事業、グローバル事業の4つで構成されており、連結子会社を含めたグループ体制で展開されている。サービス内容としては、システムコンサルテーション、システムインテグレーション、パッケージソフトの開発・販売・導入・保守、ビッグデータの分析・活用支援などを幅広く手がけている。
DX&SI事業では、デジタル技術に特化した技術力と専門知識を活かし、「共創DX」を掲げて顧客の事業変革を支援している。単なるシステム構築にとどまらず、課題の本質を見極めた提案から開発、運用保守まで一貫して関与し、顧客と共に価値創出を目指すスタイルが特徴である。半世紀にわたって蓄積してきた知見を背景に、DX分野では先駆的な存在として位置づけられている。
パッケージ事業では、自社ブランドのパッケージシステムを核に、包括的なITサービスを展開している。ビッグデータ活用を組み合わせることで、文教分野や金融分野におけるDX推進を支援し、ストック型収益の拡大にも寄与している。医療ビッグデータ事業では、医療現場で蓄積される個々の診療記録やデータを価値ある情報として活用し、医療・ヘルスケア分野の社会課題解決に貢献している。医療データの分析・利活用を通じて、研究支援や医療の高度化を支える成長分野として位置づけられている。
グローバル事業では、40年以上にわたるアジア諸国での実績を背景に、ASEAN諸国や中国の主要地域に開発・販売拠点を展開している。グループネットワークを活用し、日本国内で培った技術力とノウハウを海外市場に展開することで、アジアを中心としたDX需要の取り込みを進めている。全体として日本システム技術は、完全独立系ならではの提案力と、幅広い業界で培った技術・ノウハウを活かし、DX、パッケージ、医療ビッグデータ、グローバル展開を組み合わせた多角的な事業構造を持つITサービス企業である。
日本システム技術 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (EPS) |
一株当り配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3* | 18,789 | 1,216 | 1,310 | 578 | 27.0 | 7 |
| 連22.3* | 21,399 | 2,000 | 2,052 | 1,330 | 56.2 | 10 |
| 連23.3* | 23,519 | 2,385 | 2,450 | 1,772 | 72.3 | 16 記 |
| 連24.3* | 26,183 | 2,791 | 2,861 | 2,086 | 85.1 | 22.5 |
| 連25.3 | 29,324 | 3,188 | 3,264 | 2,443 | 99.2 | 27 |
| 連26.3予 | 32,500 | 3,700 | 3,770 | 2,830 | 114.5 | 35 |
| 連27.3予 | 34,500 | 4,000 | 4,070 | 3,000 | 121.4 | 35〜37 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 (百万円) |
営業キャッシュフロー | 投資キャッシュフロー | 財務キャッシュフロー |
|---|---|---|---|
| 2023 | 1,073 | -541 | -280 |
| 2024 | 1,888 | -761 | -424 |
| 2025 | 1,757 | -1,941 | -599 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 10.1% | 16.4% | 10.1% | ― | ― |
| 2024 | 10.6% | 16.4% | 10.4% | ― | ― |
| 2025 | 10.8% | 16.5% | 10.6% | 高20.2倍 / 安10.3倍 | 4.05倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績水準を見ると、連24.3は売上約261億円に対し、営業利益27億円、経常利益28億円、純利益20億円と、安定した利益水準を確保している。連25.3では売上約293億円、営業利益31億円、経常利益32億円、純利益24億円と、売上・利益ともに着実な成長を示している。連26.3予では売上約325億円、営業利益37億円、経常利益37億円、純利益28億円が見込まれており、DX需要や医療ビッグデータ事業の拡大を背景に、増収増益基調が続く計画となっている。
収益性指標を見ると、営業利益率は2023年10.1%、2024年10.6%、2025年10.8%と、3年連続で10%超を維持しており、SIerとしては高い水準で安定している。ROEは16.4%、16.4%、16.5%、ROAは10.1%、10.4%、10.6%と、資本効率・資産効率ともに一貫して良好で、事業の収益力が着実に積み上がっていることが分かる。
バリュエーション面では、2025年の実績PERは高値平均20.2倍、安値平均10.3倍とレンジが広く、相場環境によって評価が大きく振れやすい。ROEが16.5%あることを考えると、PER10倍台前半であれば割安感が意識されやすい一方、20倍近辺では成長期待を織り込んだ水準と言える。PBRは4.0倍と高く、これは高い収益性と成長期待を背景に、すでにプレミアム評価が付いていることを示している。
これらを総合すると、日本システム技術は、売上・利益ともに安定した成長を続け、営業利益率10%超、ROE16%台というSIerとして質の高い数値を維持している優良企業である。一方で、PBRが4倍と高く、株価には一定の成長期待が織り込まれている点には注意が必要である。
投資判断としては、事業の安定性と収益性は高く、中長期で業績が伸びる前提に立てば魅力はあるが、すでに評価水準は低くない。PERが10倍台前半まで下がる局面であれば投資妙味は高まるが、20倍近辺では過度な上昇余地は限定的になりやすい。したがって本銘柄は、成長性と安定性を重視する中長期投資向きだが、価格水準には慎重さが求められる銘柄という判断になる。
配当目的とかどうなの?
配当目的で見ると、日本システム技術は配当重視の投資にはあまり向かない銘柄という評価になる。まず利回り水準を見ると、連26.3予、連27.3予ともに配当利回りは1.41%と低く、東証プライム全体の平均や高配当株と比べると明確に見劣りする水準である。インカム目的で求められる3〜4%台には届いておらず、配当そのものを主目的に保有するメリットは小さい。
業績面では、営業利益率は10%超、ROEは16%台、ROAも10%超と、収益性・資本効率は非常に良好で、配当を支払う余力自体は十分にある。営業キャッシュフローも安定してプラスを確保しており、配当の「安全性」という点では問題はない。ただし、同社は得られた利益を積極的に成長投資や事業拡大に回すスタンスが強く、株主還元は抑制的である。
また、PBRが4倍と高水準であることからも分かるように、市場は日本システム技術を「高収益・成長期待株」として評価しており、配当利回りを高めて株価を支えるタイプの銘柄ではない。株主還元の軸は配当ではなく、業績成長による企業価値拡大に置かれている。結論として、本銘柄は「配当目的」ではなく、「成長性と収益性を評価して保有する銘柄」であり、配当はあくまで補助的なおまけ程度と考えるのが妥当である。
今後の値動き予想!!(5年間)
日本システム技術は、現在株価2,477円を基準に見ると、高い収益性(営業利益率10%台、ROE16%台、ROA10%台)を背景とした安定成長銘柄と位置づけられる。ITシステム開発・パッケージ・医療ビッグデータ・グローバルの4本柱を持ち、DX需要を取り込む事業ポートフォリオは堅調である。ただし、配当利回りは約1.4%と低めであるため、配当狙いの高配当投資というよりは、企業価値の成長に期待した中長期投資向きの銘柄といえる。以下、今後5年間の値動きレンジ予想を示す。
良い場合
国内外でDX需要が一段と高まり、医療ビッグデータやパッケージ販売が想定以上に伸びる展開を想定する。安定的な受託開発・保守需要に加え、クラウド対応やAI・データ分析ソリューションへの引き合いが増え、営業利益率が10%台後半〜12%台に改善、ROEも18%前後まで上昇するような収益拡大が実現する場合、株価は現在の評価水準を超えて評価される可能性が高い。PERが20倍前後で推移する強気相場を背景に、5年後の株価は3,300円〜4,000円程度まで上昇することが想定される。事業成長と安定収益の継続が投資家評価を強めるシナリオである。
中間の場合
コア事業であるシステムインテグレーション、パッケージ、医療ビッグデータが堅調に推移し、売上・利益は計画どおり着実に伸びるものの、急成長には至らないケースを想定する。営業利益率は10〜11%程度、ROEは15〜17%程度で、収益性は高水準を維持しつつも大きな変化がない。この場合、市場評価はPER10倍台後半〜15倍程度、PBRは3倍台前半〜4倍台で推移し、配当1.4%前後が株価の下支えとなる。こうした「安定成長・高収益体質」は長期投資家に好感されるが、株価上昇幅は緩やかになる。5年後の株価は2,800円〜3,300円程度のレンジで推移すると見込まれる。
悪い場合
景気後退や企業のIT投資減速により受託開発・保守案件が停滞し、パッケージ販売や医療ビッグデータの拡大が予想ほど進まないケースを想定する。この場合、営業利益率は9%台前半まで低下、ROEやROAもやや低下傾向となり、PERは10倍以下に縮小、PBRも3倍前後へ評価の後退が起こる可能性がある。景気循環や競争激化を受けてPERが8〜10倍近辺に下がる局面では、5年後の株価は1,800円〜2,300円程度まで下振れするリスクがある。利益水準は維持しつつも評価指標の低下が重荷となる弱気シナリオである。
総括すると、現在株価2,477円を基準にした日本システム技術の5年間の値動きレンジは、良い場合で3,300円〜4,000円程度、中間で2,800円〜3,300円程度、悪い場合で1,800円〜2,300円程度と考えられる。安定的な収益性を背景に長期的な成長余地は残るものの、景気変動やIT投資環境の影響を受ける側面もあるため、投資判断は業績動向や評価指標の変化を注視しながら行うことが望ましい。
この記事の最終更新日:2025年12月21日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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