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システムサポートホールディングスとは

株式会社システムサポートは、石川県金沢市に本社を置く独立系のシステムインテグレータであり、パブリッククラウド基盤の構築・移行支援を主力事業として展開している。特定の親会社を持たない独立系企業であるため、特定ベンダーに縛られない中立的な立場から顧客企業のIT戦略を支援できる点が特徴である。現在は持株会社体制を採用しており、株式会社システムサポートホールディングスを中心にグループ経営が行われている。
システムサポートグループの事業は、クラウドインテグレーション事業、システムインテグレーション事業、アウトソーシング事業、プロダクト事業、海外事業の5つで構成されている。中でも中核となるのがクラウドインテグレーション事業であり、AWSやMicrosoft Azureなどのパブリッククラウドを活用した基盤設計、構築、既存システムからの移行支援を強みとしている。オンプレミス環境からクラウドへの移行需要が高まる中で、企業のDX推進を下支えするインフラ領域において安定した需要を取り込んでいる。
システムインテグレーション事業では、業務系システムや基幹システムの企画、設計、開発を行い、クラウド環境と組み合わせた柔軟なシステム構築を提供している。単なる開発受託にとどまらず、顧客の業務内容を理解したうえでの提案型SIを志向しており、長期的な取引関係を築くビジネスモデルとなっている。
アウトソーシング事業では、システムの運用・保守やデータセンターの受託運営などを手掛けており、顧客のITインフラを継続的に支えるストック型収益の基盤を形成している。クラウドとデータセンターの両方に対応できる点は、同社グループの事業安定性を高める要素となっている。
プロダクト事業では、自社製ソフトウェアの開発・販売を行っており、SIやクラウド導入で蓄積したノウハウを製品として展開することで、付加価値の高いビジネスを目指している。受託中心のSI企業と比べて利益率向上が期待できる事業領域である点も特徴である。さらに海外事業では、日本企業の海外拠点向けIT支援や海外でのシステム開発・運用を行い、グローバル展開を進める顧客をサポートしている。
全体としてシステムサポートグループは、ITシステムの企画から開発、運用・保守までを一貫して提供できる体制を持ち、成長分野であるクラウド移行支援と、安定収益が見込めるアウトソーシングやデータセンター受託、自社ソフト販売を組み合わせた事業構造を構築している。急成長を狙うITベンチャーというよりも、堅実に顧客基盤と収益を積み上げていく中堅SI企業としての色合いが強く、長期的なIT需要を背景に安定した成長を目指す企業と位置づけられる。
システムサポートホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株当たり配当 DPS(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.6 | 19,267 | 1,456 | 1,465 | 1,009 | 97.5 | 32 |
| 連24.6 | 22,029 | 1,670 | 1,743 | 1,224 | 118.2 | 40 |
| 連25.6 | 26,938 | 2,218 | 2,244 | 1,457 | 141.4 | 50 |
| 連26.6予 | 32,000 | 2,690 | 2,700 | 1,740 | 168.0 | 60 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023.6 | 1,066 | -324 | -462 |
| 2024.6 | 1,468 | -419 | -513 |
| 2025.6 | 2,376 | -792 | -4 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023.6 | 7.5 | 24.4 | 11.3 | — | — |
| 2024.6 | 7.5 | 24.2 | 12.3 | — | — |
| 2025.6 | 8.2 | 24.2 | 10.6 | 20.5(高) / 11.9(安) | 4.88 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
システムサポートホールディングスは、直近数年間にわたり売上・利益ともに着実な成長を続けており、高い収益性と資本効率を併せ持つ成長型のITサービス企業と位置づけられる。まず利益水準を見ると、2024年6月期は売上高220億円、営業利益16億円、経常利益17億円、純利益12億円で、営業利益率は7.5%と安定した水準を確保している。ROEは24.2%、ROAは12.3%と非常に高く、投入資本を効率よく利益に結び付けている点が特徴である。
2025年6月期は売上高269億円、営業利益22億円、経常利益22億円、純利益14億円と増収増益を達成しており、営業利益率は8.2%へと上昇、ROE24.2%、ROA10.6%と高水準の資本効率が継続している。規模拡大局面にありながら利益率が改善し、ROEも高水準を維持している点は、ビジネスモデルの強さを示している。
2026年6月期予想では、売上高320億円、営業利益26億円、経常利益27億円、純利益17億円と、さらに成長が見込まれており、営業利益率も引き続き8%台を維持する想定である。利益成長とともに収益性の改善も進む計画であり、量と質の両面での拡大が期待されている。
バリュエーション面では、2025年実績PERは高値平均20.5倍、安値平均11.9倍と、成長企業としては許容範囲内からやや高めの水準で推移している。PBRは4.8倍と高水準であり、市場が同社の高ROE体質と成長性を強く評価していることがうかがえる。一方で、すでに高いPBRが付与されているため、株価の上昇には継続的な利益成長が前提となる。
以上を踏まえた投資判断として、システムサポートホールディングスは、営業利益率8%台、ROE20%超を安定的に維持しながら売上・利益を拡大している点から、事業の質は非常に高い。一方で、PBRはすでに高く、割安感で買われる銘柄ではないため、成長が鈍化した場合の調整リスクは相対的に大きい。
結論として、システムサポートホールディングスは、「高収益・高ROEを背景に成長が続く限り評価されやすいが、成長前提が崩れると株価調整も起こりやすい成長株」と位置づけられる。安定配当や割安狙いよりも、業績の伸びを重視する中長期の成長投資と相性の良い銘柄と判断される。
配当目的とかどうなの?
結論から言うと、システムサポートホールディングスは純粋な配当目的には向かず、成長前提の補助的なインカムとして位置づけるのが妥当である。予想配当利回りは連26.6、連27.6ともに2.08%と、市場全体で見れば低めから中位の水準にとどまり、高配当株として意識される水準ではないため、利回りだけを目的に保有する銘柄ではない。
一方で、同社は営業利益率8%前後、ROE20%超という高い収益性と資本効率を維持しながら成長しており、利益水準そのものは堅調である。配当も年々増配基調にあり、利益成長と連動した形での株主還元が行われている点は評価できる。ただし、配当性向を高く固定するタイプではなく、成長投資を優先しつつ余力の範囲で還元するスタンスと考えられる。
このため、配当を最優先するディフェンシブな配当投資や、利回り3~4%台以上を求めるインカム投資には向かない。逆に、高収益・高ROE企業の成長を享受しつつ配当も受け取りたい、値上がり益を主軸に配当は補助的に考えたいという成長+準インカム型のスタンスであれば、利回り2.08%でも十分に意味を持つ水準である。
総合すると、システムサポートホールディングスの配当目的としての評価は、高配当銘柄ではないが、成長の裏付けがある中で増配を期待できる補助的インカム銘柄という位置づけになり、純粋な配当株として構えるよりも、成長を主目的に据え、その過程で配当を受け取る投資と相性の良い銘柄といえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
システムサポートホールディングスは、現在株価2,879.0円を基準に見ると、急拡大を狙うハイパーグロース株というよりも、パブリッククラウド基盤構築・移行支援を中核としたITサービス分野で安定的に成長を続ける、高収益・高ROE型の成長企業と位置づけられる。営業利益率は7〜8%台とSI業界の中では比較的高水準を維持しており、ROEも20%超と非常に高い水準で安定している点が大きな特徴である。一方で配当利回りは2%前後にとどまり、インカムよりも成長性と事業価値の積み上がりを重視する中長期向きの銘柄である。この前提を踏まえて、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。
良い場合のシナリオでは、企業のDX投資やクラウド移行需要が底堅く推移し、クラウドインテグレーション事業を中心に受注が安定的に拡大する展開を想定する。人材投資をこなしつつも稼働率と単価が改善し、売上・利益は計画どおり成長、営業利益率は8%前後を維持する。高い収益性を背景にROEは20%超を継続し、市場では「高ROE成長株」としての評価が維持される。この場合、PERは18〜22倍程度が許容されやすく、利益成長とともに株価は段階的に切り上がる。5年後の株価水準は4,500円から5,500円程度が目安となり、配当を受け取りつつ着実な値上がりを狙える強気寄りのシナリオとなる。
中間のシナリオでは、クラウド需要は堅調に推移するものの成長ペースはやや落ち着き、売上は安定成長にとどまるケースを想定する。営業利益率は7〜8%台、ROEは20%前後で安定し、収益構造に大きな変化はない。市場評価も現状水準を大きく上回ることはなく、PERは14〜17倍程度で落ち着く。この場合、5年後の株価は3,300円から4,000円程度と、現在値から緩やかな上昇にとどまる中立的なシナリオとなる。値上がり益と配当を合わせたトータルリターンを意識した投資と相性が良い。
悪い場合のシナリオでは、IT投資の減速や人件費上昇、採用難による成長鈍化などにより、利益成長が想定を下回る展開を想定する。営業利益率は6%台まで低下し、ROEも20%を割り込む局面が生じる。市場の評価は慎重となり、PERは12倍前後まで切り下がる可能性がある。この場合、5年後の株価は2,300円から2,800円程度にとどまり、高いPBRが重荷となって値動きの冴えない弱気シナリオとなる。
総合すると、現在株価2,879.0円を起点としたシステムサポートホールディングスの5年間の値動きは、良い場合で4,500円から5,500円前後、中間で3,300円から4,000円、悪い場合で2,300円から2,800円といったレンジが想定される。爆発的な成長を狙う銘柄ではないが、クラウド移行という長期テーマと高収益・高ROEの事業体質を背景に、安定した成長と中長期的な価値向上を重視して保有する投資と相性の良い銘柄と評価できる。
この記事の最終更新日:2025年12月22日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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