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ボードルアとは

ボードルア株式会社は、最先端のITインフラストラクチャ分野に特化した独立系のITベンチャー企業で、東京都港区に本社を置いている。社名の「ボードルア」はフランス語でアンコウを意味し、ITを底から支えるインフラ分野のガイド役でありたいという思想から名付けられた。ネットワークインフラ技術分野におけるフロントランナーとして、技術革新を通じて高度情報化社会の発展に貢献することを経営理念としている。
同社は、クラウド、ネットワーク、セキュリティといったITインフラ領域を中核に、ITコンサルティングから設計・構築、導入後の運用・保守までを一貫して提供している点が特徴である。SDN(Software Defined Network)やNFV(Network Functions Virtualization)といったネットワーク仮想化技術を活用し、クラウドサービス宛の通信トラフィックを軽減するローカルブレイクアウトや、複数拠点間通信をオーバーレイ方式で自動制御するなど、柔軟性の高いネットワークアーキテクチャを構築している。
ITインフラ設計においては、クラウドが中心的な役割を担う時代に対応し、オンプレミス環境からAWS、Azure、GCPなどのパブリッククラウド、あるいはハイブリッドクラウド環境への移行を、計画策定から導入、運用までトータルに支援している。クラウド活用を前提としたインフラ最適化が同社の強みとなっている。
セキュリティ分野では、ゼロトラストセキュリティを軸に、WAF、UTM、クラウドプロキシ、サンドボックスなど各種セキュリティ技術の導入から運用までをワンストップで提供している。IoTの普及やBYOD、リモートワークの拡大により多様化するエンドポイント環境に対応し、企業のセキュリティリスク低減に貢献している。
また、5Gの普及やクラウド通信の増加を背景に、ユーザー要件に応じてリソースや構成変更に柔軟に対応できるフレキシブルなネットワーク構築を重視している。教育分野ではGIGAスクール構想、医療分野ではリモート診療や遠隔手話通訳など、ロケーションフリーなICT社会の実現にも技術面から寄与している。
主要取引先には日本電信電話、KDDI、ソフトバンクなど大手通信事業者が名を連ねており、技術力と信頼性の高さがうかがえる。利益率は約15%とITサービス企業としては高水準であり、自社サービス導入後の運用・保守によるストック型売上が全体の約56%を占めるなど、安定した収益構造を構築している。
人材面では、上場後も継続的にエンジニア採用と育成を進める方針を掲げており、事業拡大と技術力強化を両立させている。2025年3月には東京証券取引所プライム市場へ市場変更しており、ITインフラ分野における成長企業としての位置づけを強めている。
ボードルア 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益(EPS) (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 21.2 | 3,084 | 509 | 542 | 415 | 14.4 | 0 |
| 22.2 | 3,922 | 679 | 688 | 542 | 18.5 | 0 |
| 23.2 | 5,244 | 975 | 1,033 | 793 | 25.3 | 0 |
| 24.2 | 7,330 | 1,567 | 1,558 | 1,171 | 37.0 | 0 |
| 25.2 | 11,649 | 2,460 | 2,461 | 1,799 | 56.7 | 0 |
| 26.2(予) | 17,100 | 3,300 | 3,300 | 2,400 | 77.0 | 7.58 |
| 27.2(予) | 22,200 | 4,250 | 4,250 | 3,130 | 100.5 | 10〜10.1 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 23.2 | 852 | -107 | 196 |
| 24.2 | 1,191 | -331 | -534 |
| 25.2 | 1,909 | 349 | -3,022 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 23.2 | 18.5% | 15.1% | 21.3% | — | — |
| 24.2 | 21.3% | 18.7% | 27.9% | — | — |
| 25.2 | 21.1% | 20.9% | 39.3% |
高49.0倍 安23.5倍 |
11.56倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益の規模と伸びを見ると、24.2期の営業利益は15億円、純利益は11億円。それが25.2期には営業利益24億円、純利益17億円に拡大し、26.2期予想では営業利益33億円、純利益24億円、27.2期予想では営業利益42億円、純利益31億円まで伸びていく見通しになっている。わずか数年で利益がほぼ3倍になる計算で、成長スピードとしてはかなり速い部類に入る。売上の拡大だけでなく、利益額そのものが大きく積み上がっていく点は、成長の質が高いと感じる。
次に収益性を見ると、営業利益率は2023年が18.5%、2024年が21.3%、2025年が21.1%。20%前後を安定して維持しており、成長企業にありがちな利益率の低下は見られない。むしろ高水準で横ばいに近い動きになっている。ROEは2023年21.3%、2024年27.9%、2025年39.3%と急上昇しており、自己資本を使って非常に効率よく利益を生み出していることが分かる。ROAも15.1%から20.9%まで上がっており、資産全体の効率もかなり高い水準にある。利益率、ROE、ROAを同時にここまで伸ばしている点は、この会社の数字の強さを端的に表している。
一方でバリュエーションを見ると、2025年実績PERは高値平均で49.0倍、安値平均でも23.5倍。PBRは11.5倍とかなり高い。これは市場がこの高成長と高効率を強く評価している証拠でもあるが、同時に「すでにかなり期待が織り込まれている水準」とも言える。PERのレンジが広いことからも分かるように、成長期待が強い局面では一気に買われるが、少しでも成長鈍化の兆しが出れば評価が大きく揺れやすい。
以上をまとめると、事業の成長力、利益率、資本効率は数字だけ見ればトップクラスで、企業そのものの質は非常に高い。一方で株価の評価はかなり強気な前提に立っており、割安感はない。長期で高成長が続くと信じる投資家にとっては納得できる水準だが、安全域を重視する投資や、割安株を探すスタンスには向きにくい。結論としては、数字は文句なしに優秀だが、価格は厳しめ。成長が続く限りは評価を正当化できるが、成長が少しでも鈍れば調整余地も大きい、典型的な高品質グロース株、という投資判断になる。
配当目的とかどうなの?
結論から言うと、配当目的としては向いていないです。まず配当利回りを見ると、26.2期予想で0.32%、27.2期予想でも0.42%。水準としてはかなり低く、一般的な配当株で期待される2〜4%とは大きな差があります。この時点で、安定したインカムを目的に持つ銘柄ではない、という結論はほぼ決まります。
次に利益水準との関係を見ると、利益は急拡大しています。26.2期予想の純利益は24億円、27.2期予想では31億円と、数字だけ見れば十分に配当を増やせる体力はあります。それでも配当利回りが0.3〜0.4%にとどまっているということは、会社が利益を株主に還元するよりも、内部留保や成長投資を優先している段階だと読み取れます。
バリュエーション面も配当目的には逆風です。PERは高値平均で49倍、安値平均でも23倍、PBRは11.5倍と高水準です。この価格帯では、配当額が多少増えても利回りはなかなか上がりません。仮に配当を倍にしても、利回りは1%に届かない可能性が高く、配当株としての魅力が出てくる水準には遠いです。
総合すると、この銘柄は配当を毎年安定して受け取りたい人や、利回りを重視したインカム投資をしたい人、株価下落時のクッションとして配当を期待したい人の目的には合いません。配当利回り自体が低く、現時点では配当による安心感を得るタイプの銘柄ではないからです。
一方で、今は低配当でも問題なく、会社の成長を優先して見守れる人や、成長が一段落した後に増配フェーズへ移行する可能性に期待したい人、値上がり益をメインに考えて配当はあくまでおまけと割り切れる人にとっては、理解しやすい投資対象と言えます。結論として、この銘柄は配当目的では不適であり、あくまで成長株として保有し、将来どこかのタイミングで株主還元が強化されるかどうかを見守る位置づけの銘柄になります。
今後の値動き予想!!(5年間)
ボードルアは、現在株価2,329.0円を基準に見ると、短期的なテーマ性で急騰を狙うハイパーグロース株というよりも、ITインフラ運用・クラウド・セキュリティ領域を軸に、高い収益性と資本効率を武器に成長を続ける、高品質グロース企業と位置づけられる。営業利益率は20%前後とSI・ITサービス業界の中では極めて高水準で推移しており、ROEも30%台後半まで上昇している点が最大の特徴である。一方で配当利回りは0%台と低く、インカムを目的とした銘柄ではなく、成長による企業価値拡大を重視する中長期向きの銘柄である。この前提を踏まえて、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。
良い場合のシナリオでは、クラウド・セキュリティを含むITインフラ需要が引き続き拡大し、案件単価の上昇と人員稼働率の改善が同時に進む展開を想定する。売上成長とともに利益も計画どおり拡大し、営業利益率は20%前後を維持、ROEも30%超の高水準が続く。市場では「高収益・高ROEの純グロース株」としての評価が維持され、PERは高成長前提のゾーンである30〜40倍程度が許容されやすい。この場合、利益成長に評価の持続が加わり、株価は段階的に切り上がる。5年後の株価水準は4,500円から5,000円程度が視野に入り、値上がり益を主目的とした強気寄りのシナリオとなる。
中間のシナリオでは、ITインフラ需要は堅調に推移するものの、成長ペースは徐々に落ち着き、売上・利益ともに安定成長に移行する展開を想定する。営業利益率は20%前後、ROEは20%台後半から30%前後で推移し、収益構造自体に大きな崩れはない。一方で市場の成長期待はやや落ち着き、PERは20〜25倍程度に収れんする。この場合、株価は大きく跳ねることはないが、業績に沿って緩やかに上昇し、5年後の株価は2,800円から3,500円程度と、現在値から中程度の上昇にとどまる中立的なシナリオとなる。
悪い場合のシナリオでは、IT投資の調整や人件費上昇、採用難による成長鈍化などが重なり、利益成長が想定を下回る展開を想定する。営業利益率は20%を割り込み、ROEも20%前後まで低下する局面が生じる。市場の評価は慎重となり、PERは成長株としてのプレミアムを失って15倍前後まで切り下がる可能性がある。この場合、株価は大きな成長期待を失い、5年後の株価は1,500円から2,000円程度にとどまる弱気シナリオとなる。
総合すると、現在株価2,329.0円を起点としたボードルアの5年間の値動きは、良い場合で4,500円から5,000円前後、中間で2,800円から3,500円、悪い場合で1,500円から2,000円といったレンジが想定される。爆発的なテーマ株ではないものの、営業利益率20%超、ROE30%超という数字が示すとおり、事業の質は極めて高い。配当を目的とする銘柄ではなく、成長と企業価値の積み上がりを重視し、評価の振れを許容しながら中長期で保有する投資と相性の良い銘柄と評価できる。
この記事の最終更新日:2025年12月22日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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