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メドレー(4480)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

メドレーとは

株式会社メドレーは、ヘルスケア領域に特化したインターネットサービス企業であり、成果報酬型の人材紹介事業を中核に、医療DXを推進するオンライン診療システムや電子カルテなどのプラットフォーム事業を育成している企業である。本社は東京都港区に置き、医療・介護分野が抱える人材不足や業務効率化といった社会課題の解決を事業テーマとしている。

同社は2009年6月、創業代表である瀧口浩平氏によって設立された。創業当初から医療・介護分野にフォーカスしており、2009年11月には成果報酬型の求人サイト「ジョブメドレー」を開設している。このサービスは、採用が決定した場合のみ費用が発生する仕組みを採用しており、医療機関や介護事業所にとって導入しやすい点が支持され、日本最大級の医療ヘルスケア向け人材採用プラットフォームへと成長した。求職者と事業所のマッチング精度向上だけでなく、就業していない有資格者の復職支援や、医療人材の地域偏在といった課題の解消にも取り組んでいる。

2015年にはオンライン医療事典「MEDLEY」を開始し、医療情報の可視化・標準化にも取り組んだ。同年には介護領域への展開として、プラチナファクトリー株式会社を子会社化し、介護施設の検索サイト「介護のほんね」の運営を開始している。これにより、医療だけでなく介護分野まで含めたヘルスケア領域全体をカバーする事業基盤を構築してきた。

医療プラットフォーム事業では、2016年に提供を開始したオンライン診療システム「CLINICS」が中核サービスとなっている。CLINICSは全国の診療所や大学病院など幅広い医療機関に導入されており、オンライン診療分野における医療機関導入シェアでトップクラスの実績を持つ。予約、問診、診察、決済といった一連の診療体験をオンラインで完結できる点が特徴で、医療機関の業務効率化と患者の利便性向上の両立を実現している。

近年は、オンライン診療にとどまらず、電子カルテやレセプトコンピュータなど医療機関の基幹業務を支える領域へ事業を拡張している。「MEDLEY AI CLOUD」として、生成AIなどのテクノロジーを活用し、院内業務の効率化、医療グループ経営の高度化、多職種連携の円滑化を支援するプロダクト群を展開している。また、予約、決済、お薬手帳などの機能を備えた患者向けアプリも提供し、医療機関と患者・生活者をスムーズにつなぐ環境づくりを進めている。

同社の特徴は、人材プラットフォーム事業による安定した収益基盤を持ちながら、医療DXという成長分野に積極投資を行っている点にある。成果報酬型人材紹介は利益率が高く、キャッシュ創出力のある事業であり、その収益を原資としてオンライン診療や電子カルテといった中長期成長を見込むプロダクトの開発を進めている。

さらに、介護領域や周辺ヘルスケア分野においても新規サービス開発を継続しており、IT活用が遅れている分野への展開を成長余地と捉えている。医療・介護という社会的意義の高い分野において、テクノロジーと人材の両面から課題解決を図る点が、メドレーの事業全体を貫く特徴である。

総じて株式会社メドレーは、医療ヘルスケア分野に特化した成果報酬型人材紹介を収益の柱としつつ、オンライン診療、電子カルテ、患者アプリなどの医療プラットフォームを育成することで、短期の収益性と中長期の成長性を両立させようとする企業である。医療DXの進展とともに、事業領域を拡張し続けるヘルスケアIT企業として位置付けられる。

メドレー 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益 EPS(円) 一株当たり配当(円)
連22.12 14,185 1,290 1,526 1,017 31.8 0
連23.12 20,532 2,661 3,755 2,566 79.5 0
連24.12 29,302 2,326 4,078 2,798 86.2 0
連25.12予 37,000 2,100 2,200 1,300 41.8 0
連26.12予 41,500 2,400 3,600 2,400 77.2 0

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2022 2,013 -751 -927
2023 3,871 -1,662 -1,218
2024 2,447 -10,719 11,899

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率(%) ROE(%) ROA(%) PER(倍) PBR(倍)
2023 12.9 14.6 10.0
2024 7.9 13.8 6.1 高値平均 94.3
安値平均 43.9
4.39
2025 5.6 6.4 2.8 57.6

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず業績規模を億円換算で見ると、2023年12月期は売上205億円、営業利益26億円、経常利益37億円、純利益25億円である。2024年12月期は売上293億円と大きく伸びた一方、営業利益は23億円と減少し、経常利益は40億円、純利益は27億円となっている。2025年12月期予想では売上370億円まで拡大するものの、営業利益は21億円、経常利益22億円、純利益13億円と大幅な減益を見込んでいる。2026年12月期予想では売上415億円、営業利益24億円、経常利益36億円、純利益24億円と再び回復する前提になっている。

収益性を見ると、営業利益率は2023年12.9%、2024年7.9%、2025年予想5.6%と明確な低下傾向にある。売上成長は続いているが、利益率は圧迫されており、スケール拡大に対して収益効率が悪化している点ははっきりしている。

資本効率の面では、ROEが2023年14.6%、2024年13.8%、2025年予想6.4%、ROAが2023年10.0%、2024年6.1%、2025年予想2.8%と、こちらも低下が続いている。2023年時点では高い効率を誇っていたが、直近および予想ベースでは成長投資負担が重く、資本効率はかなり落ちている。バリュエーションを見ると、2024年実績PERは高値平均94.3倍、安値平均43.9倍と非常に高水準で、PBRも4.3倍と明確な成長株評価である。2025年予想PERも57.5倍と依然として高く、利益成長の鈍化を考えると割安感はない。

これらを総合すると、この銘柄は売上成長力そのものは非常に強いが、営業利益率、ROE、ROAが揃って低下しており、足元では「規模拡大を優先し、収益性を犠牲にしている段階」にあると評価できる。高いPERとPBRは、将来の再加速を強く織り込んだ水準であり、短期的な業績だけで正当化できる評価ではない。

投資判断としては、安定収益や割安修正を狙う局面ではなく、将来の医療DX市場拡大と同社のポジションをどこまで信じられるかが全ての銘柄である。業績が計画どおりに回復し、再び営業利益率やROEが改善に向かえば評価は維持されるが、回復が遅れればバリュエーション調整のリスクは大きい。結論として、メドレーは「高成長期待を前提に高い株価水準が許容されている成長株」であり、現時点では割安感はなく、慎重さが求められる。強気に買う局面というより、成長と収益性の回復が数字で確認できるかを見極める段階にある銘柄、という判断になる。

配当目的とかどうなの?

配当目的という観点では、この銘柄は明確に対象外と考えるのが妥当。連25.12期、連26.12期ともに予想配当利回りは0.00%であり、現時点では配当を出す前提の経営ではない。利益が出ている局面でも配当を実施していないことから、株主還元よりも成長投資を優先する方針がはっきりしている。

事業内容を踏まえると、同社は人材プラットフォームで安定したキャッシュを生みつつ、その資金をオンライン診療、電子カルテ、医療DX基盤といった中長期の成長領域に再投資している段階にある。営業利益率やROEが低下している点からも、短期的な利益配分より、将来の事業拡大を優先している状況が読み取れる。

そのため、この銘柄は配当を目的に保有するインカム株ではなく、株価上昇を通じたキャピタルゲイン狙い、あるいは医療DX市場の拡大を中長期で取りにいく成長株として位置付けるべきである。配当という安心材料は存在せず、投資成果はほぼ株価の評価変化に依存する。まとめると、高配当や安定配当を求める投資家には向かない。一方で、無配を許容し、将来の成長に賭ける投資スタンスであれば検討余地がある銘柄、という評価になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

株式会社メドレーは、現在株価2,282.0円を基準に見ると、安定配当を狙う銘柄ではなく、医療・ヘルスケア分野におけるDX需要の拡大を背景に、中長期の成長性を評価されるグロース寄りの企業と位置づけられる。人材プラットフォームで確立した収益基盤を持ちながら、オンライン診療や電子カルテといった先行投資色の強い事業を拡大しているため、足元では利益率やROEが低下しており、株価は将来の回復を織り込む形で推移している。この前提を踏まえて、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、ジョブメドレーを中心とした人材プラットフォーム事業が引き続き安定成長を続ける一方、CLINICSや電子カルテ関連サービスが医療DXの追い風を受けて本格的な収益フェーズに入る展開を想定する。先行投資が一巡し、営業利益率は8〜10%程度まで回復、ROEも10%前後まで改善することで、市場からは再び高成長銘柄として評価されやすくなる。この場合、PERは40〜50倍程度が許容され、売上成長を背景に株価は段階的に切り上がる。5年後の株価水準は3,800円から4,500円程度が目安となり、現在値からは大きな上昇余地を描く強気寄りのシナリオとなる。

中間のシナリオでは、人材事業は堅調に推移するものの、医療プラットフォーム事業の黒字化・収益拡大は想定より緩やかに進むケースを想定する。営業利益率は5〜7%程度で推移し、ROEも一桁台にとどまる。市場の評価は慎重で、PERは30〜35倍程度に落ち着く。この場合、株価は売上成長に沿って緩やかに上昇し、5年後の水準は2,700円から3,200円程度と、現在値からは中程度の上昇にとどまる中立的なシナリオとなる。

悪い場合のシナリオでは、医療DX関連の投資負担が長期化し、利益率の回復が進まない展開を想定する。人材事業の成長も鈍化し、営業利益率は5%を下回ったままとなる。市場は成長期待を引き下げ、PERは20〜25倍程度まで切り下がる可能性がある。この場合、株価は評価調整が進み、5年後の株価水準は1,500円から1,900円程度にとどまる弱気シナリオとなる。

総合すると、現在株価2,282.0円を起点としたメドレーの5年間の値動きは、良い場合で3,800円から4,500円前後、中間で2,700円から3,200円、悪い場合で1,500円から1,900円といったレンジが想定される。配当は期待できない一方で、医療DXの成長が本格化すればリターンも大きくなりやすい銘柄であり、値動きの振れ幅を許容できる中長期の成長投資と相性の良い銘柄と評価できる。

この記事の最終更新日:2025年12月24日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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