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太陽ホールディングス(4626)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

太陽ホールディングスとは

太陽ホールディングスは、プリント配線板の保護膜や半導体実装に用いられる絶縁材インキで世界首位級のシェアを持つ化学メーカーであり、エレクトロニクス材料分野を中核に事業を展開している持株会社である。本社は東京都豊島区西池袋一丁目11番1号に置かれている。

同社の源流は印刷用インキの製造会社で、そこから培ってきた材料設計や分散技術、品質管理のノウハウを生かし、エレクトロニクス分野へと事業領域を拡大してきた。現在の主力製品であるプリント配線板向け絶縁膜やソルダーレジストは、スマートフォン、パソコン、車載機器、産業機器など幅広い電子機器に使われており、微細化、高密度化、高耐熱化といった技術進化への対応力が競争力の源泉となっている。特にスマートフォンや半導体関連用途では、高い信頼性と性能が求められるため、長年の研究開発投資による技術蓄積が強みとなっている。

エレクトロニクス事業に加え、医薬品事業も展開している点が同社の特徴である。医薬品分野では、原薬や医薬品関連事業を手掛け、化学合成技術や厳格な品質管理体制を背景に、安定した供給を行っている。エレクトロニクス材料とは異なる事業領域を持つことで、事業ポートフォリオの分散と中長期的な成長機会の確保を図っている。

グループ体制としては、太陽インキ製造株式会社を中心に、太陽ファインケミカル株式会社、太陽グリーンエナジー株式会社、太陽ファルマ株式会社などを傘下に持ち、それぞれがエレクトロニクス材料、化学品、エネルギー、医薬といった分野を担っている。太陽ホールディングス株式会社自身は持株会社として、グループ全体の経営方針の策定、資源配分、ガバナンス強化、成長戦略の立案を行い、各事業会社の価値最大化を目指す役割を担っている。

このように太陽ホールディングスは、世界トップクラスのシェアを持つエレクトロニクス材料を基盤にしつつ、医薬品など非エレクトロニクス分野にも展開することで、技術力を軸とした多角的な事業構造を築いている企業と位置づけられる。

太陽ホールディングス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益 EPS(円) 一株配当(円)
連21.3 80,991 13,943 13,819 9,529 83.7 40(記)
連22.3 97,966 17,958 18,062 11,803 104.6 34.8
連23.3 97,338 15,972 15,462 11,405 101.9 44.5(記)
連24.3 104,775 18,203 17,310 8,654 77.4 40
連25.3 119,010 22,067 21,577 10,780 96.6 95
連26.3予 128,800 26,900 26,500 18,400 165.3 155
連27.3予 130,000 28,500 27,500 19,000 170.7 155〜170

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023.3 22,736 -13,160 -13,942
2024.3 21,224 -21,069 8,954
2025.3 23,713 -8,307 -29,216

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(高値/安値平均) PBR
2023.3 16.4% 12.2% 6.0%
2024.3 17.3% 8.6% 4.0%
2025.3 18.5% 10.4% 5.6% 21.4倍/13.4倍 5.00倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず業績を見ると、売上高は24.3期で1047億円、25.3期で1190億円、26.3期予で1288億円と一貫して増加している。営業利益も182億円、220億円、269億円と順調に拡大しており、経常利益も173億円、215億円、265億円と同じ流れになっている。純利益は24.3期が86億円、25.3期が107億円、26.3期予が184億円と、26.3期に入って急激な伸びを計画している点が目立つ。トップラインと利益の両方が伸びており、業績面だけを見ると非常に力強い成長局面にある。

収益性を見ると、営業利益率は2023年16.4%、2024年17.3%、2025年18.5%と年々改善しており、事業そのものの稼ぐ力は着実に強くなっていることが分かる。価格競争に押されている様子はなく、むしろ利益率を高めながら成長している点は高く評価できる。

一方で資本効率に目を向けると、ROEは2023年12.2%、2024年8.6%、2025年10.4%、ROAは2023年6.0%、2024年4.0%、2025年5.6%となっている。24年に一度大きく低下し、25年は回復しているものの、営業利益率の改善スピードに比べると、ROEやROAはやや物足りない。利益成長は強いが、資本を使った効率という観点ではまだ完全に立ち直り切っていない段階といえる。

評価面を見ると、2025年の実績PERは高値平均で21.4倍、安値平均で13.4倍と振れ幅が大きく、市場が強気になるとかなり高い倍率まで買われる銘柄であることが分かる。実績PBRは5.0倍で、日本株全体の中では明確に高水準に位置する。これは、単なる安定企業というより、高収益と将来成長を前提に評価されている銘柄であることを示している。

以上を数値だけで整理すると、業績と営業利益率は非常に強く、26.3期にかけて成長が加速する見通しが立っている一方で、PBR5.0倍、PER上限20倍超という評価はすでにかなり織り込みが進んだ状態にある。ROEやROAは改善途上で、利益率ほどの勢いはまだ見えていない。

このため投資判断としては、割安さを狙うタイプの銘柄ではなく、成長力と高い収益性を評価して高いバリュエーションを許容できる投資家向けの銘柄といえる。業績計画どおりに進めば株価の下支えは強いが、成長が鈍化した場合には、評価の高さが調整要因になりやすい。現時点では、数字上は好調だが、すでに高評価ゾーンにある銘柄、という位置づけになる。

配当目的とかどうなの?

太陽ホールディングスについて、配当目的という観点だけで整理する。予想配当利回りは26.3期、27.3期ともに3.22%で、日本株全体の中では平均よりやや高めの水準にある。ただし、一般的に高配当株と呼ばれる4〜5%超には届かず、純粋なインカムゲイン狙いで最優先に選ばれる水準ではない。

一方、業績を見ると営業利益、経常利益、純利益はいずれも拡大傾向にあり、26.3期は純利益が184億円まで大きく伸びる計画になっている。利益規模に対して配当水準は過度に無理をしている印象はなく、業績が計画どおり進めば配当の持続性自体は比較的高いと判断できる。

ただし評価面では、PBRが5.0倍とかなり高く、株価は成長期待を強く織り込んだ水準にある。そのため、この3.22%という配当利回りは株価が割安だから成立しているものではなく、あくまで高収益・成長企業として評価された上での利回りである。成長期待が後退した場合は、配当水準よりも株価調整の影響を受けやすい点には注意が必要になる。

また、ROEやROAは回復途上にあり、営業利益率ほどの力強さはまだ見えていない。この点からも、長期にわたって安定的に高配当を積み上げていく配当特化型の銘柄とは性格が異なる。

以上を踏まえると、この銘柄は配当だけを目的に保有するにはやや物足りず、成長性を評価して保有しつつ、3%台の配当を受け取る位置づけが現実的といえる。配当を主目的にするのであれば、同程度の利回りでもPBRが低く、業績変動の小さい銘柄の方が向いており、太陽ホールディングスはあくまで成長寄りで配当も取れるハイブリッド型の銘柄と考えるのが妥当だと判断できる。

今後の値動き予想!!(5年間)

太陽ホールディングスについて、現在株価4,813円前後を基準に見ると、典型的な高配当株やディフェンシブ株というよりも、エレクトロニクス材料分野で高い技術力と世界首位級シェアを背景に、成長と収益性の両立を狙う高収益型の素材メーカーと位置づけられる。プリント配線板向け絶縁材インキを中心に、営業利益率は18%台まで上昇しており、事業そのものの稼ぐ力は国内製造業の中でもかなり高い水準にある。一方でPBRは5倍と評価はすでに高く、株価は将来成長を相当程度織り込んだ状態にある。

業績を見ると、売上高は24.3期1047億円、25.3期1190億円、26.3期予1288億円と安定した増収基調が続いている。営業利益も182億円、220億円、269億円と順調に拡大し、純利益は26.3期予で184億円と一段の成長が見込まれている。営業利益率は2023年16.4%、2024年17.3%、2025年18.5%と着実に改善しており、数量増だけでなく付加価値の向上によって利益を伸ばしている構造が読み取れる。ただしROEは12.2%→8.6%→10.4%、ROAは6.0%→4.0%→5.6%と、一度落ち込んでから回復する形で、資本効率はまだ完全な右肩上がりにはなっていない。この前提を踏まえて、今後5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合の3つのシナリオで考える。

良い場合のシナリオでは、エレクトロニクス材料の需要が想定以上に拡大し、車載、半導体関連向けの高付加価値製品が順調に伸びる展開を想定する。営業利益率は20%前後まで上昇し、ROEも12〜15%水準へ改善する。市場では世界首位級シェアと高収益性がより強く評価され、PERは高値平均に近い20倍前後が維持される。この場合、利益成長と評価水準の維持が重なり、株価は段階的に切り上がり、5年後には6,500円から8,000円程度を目指す展開が想定される。増配も進めば、トータルリターンはかなり良好な水準になる。

中間のシナリオでは、業績は会社計画に近いペースで推移し、営業利益率は18〜19%台で安定する一方、ROEの改善は緩やかにとどまる。成長力は評価され続けるが、PBR5倍という高さが意識され、PERは15〜17倍程度のレンジに落ち着く。この場合、株価は大きな上昇トレンドには乗らず、5,000円から6,000円付近を中心に上下しながら、5年後の水準は5,500円から6,000円程度に収れんする可能性が高い。配当を含めれば中程度のリターンは確保できるが、株価の大化けは期待しにくい。

悪い場合のシナリオでは、電子機器市場の成長鈍化や価格競争の激化により、営業利益率の改善が止まり、ROEも10%前後で伸び悩む状況を想定する。成長期待が後退すれば、市場は評価を引き締め、PERは安値平均に近い13倍前後、PBRも4倍台まで調整される可能性がある。この場合、株価は評価調整の影響を受け、4,000円前後、場合によっては3,500円程度まで下押しされ、その後も戻りの鈍い展開が続く弱気シナリオとなる。

総合すると、現在株価4,813円を起点とした太陽ホールディングスの5年間の値動きは、良い場合で6,500円から8,000円前後、中間で5,500円から6,000円、悪い場合で3,500円から4,000円程度といったレンジが想定される。配当利回りは3%台と一定の下支えはあるものの、投資の主軸はあくまで高収益エレクトロニクス材料メーカーとしての成長性にあり、業績の伸びが続くかどうかが中長期の株価を大きく左右する銘柄、という評価になる。

この記事の最終更新日:2025年12月26日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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